謝罪
昨日のブログ記事――《橋下徹の1月27日「報道ステーションSUNDAY」出演の桜宮高体育科入試中止論には無理がある - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》で、最初「報道ステーションSUNDAY」を「新報道2001」と間違えて扱っていました。2時間程で直しておきましたが、直す前にアクセスした読者には謝罪いたします。
次の記事が照射から首相官邸報告、そして公表の経緯を詳しく伝えている。《小野寺防衛相への報告は6日後=1月30日のレーダー照射》(時事ドットコム/2013/02/07-21:39)
以下は黒江哲郎防衛省運用企画局長、その他による2月7日予算委質疑等で判明した事実となっている。
1月19日、中国海軍艦艇からの対海自ヘリレーダー照射を疑い、発生当日に安倍晋三首相と防衛相に一報。
この時点で公表しなかった理由。
小野寺防衛相「証拠がしっかり国際的にも表明できる内容になるか不安があった」
レーダー照射だと明確に確認できなかったことになる。
防衛省運用企画局がデーターを解析、1月21日、「中国側のレーダー照射であるとの確証は得られなかった」として、防衛相に改めて報告。
解析に2日間から3日間かかったことになる。
小野寺防衛相「しっかりとした明確な違反が確認されたことをもって対応したい」と防衛省に指示。(2月7日衆院予算委答弁)
要するに間違えた反応を避けるためにレーダー照射かどうかの解析後、事実を明確に確認できてから対応することを自らか、あるいは安倍首相も関わってのことなのか、ルールとし、そのようなルールで行くことを防衛省に指示したということになる。
記事は、〈この指示により、30日の照射の報告が6日後になったとみられる。〉と解説している。
1月30日、中国海軍艦艇から海上自衛隊護衛艦に射撃用レーダー照射の疑い。
この疑いの事実を以って、疑いの段階であるから、発生当日に首相官邸と小野寺防衛相に報告することはしなかった。
いわば解析・確認後の報告とする予定としていた。
発生から6日後の2月5日、小野寺防衛相、防衛省運用企画局から、レーダー照射であったと報告を受け取る。当日2月5日夜、小野寺防衛相は緊急記者会見を開いて、公表。
解析に5日間かかったことになる。照射時間と解析終了時間によっては、6日間か、6日間近く時間を要したことになる。
一般的には疑いが疑いでしかなかったときの方が何度も確認する必要に迫られるために時間がかかるもので、疑いが明らかな事実だと判明する場合は、その分、痕跡が色濃く残されているために時間がかからないものだが、一般的と違って、逆の解析時間となっていて、少ない時間で済むと思われる後者の方が2倍近くか、2倍も時間がかかっている。
なぜなのだろう。限りなく疑いたくなる点である。
安倍首相「事務方がより慎重になり、私のところに(情報が)上がってくるのが遅くなった。今後は未確認でも私や防衛相に上がるようにする」(2月7日衆院予算委答弁)
要するに疑いの段階でも、解析・確認を待たずに首相官邸に直ちに報告させるルールとすることを言明、小野寺防衛相が一人決めたルールなのか、安倍首相も共に話し合って決めたルールなのか、解析・確認後の報告という前のルールを改めることとしたということになる。
問題はルールではない。安倍首相や小野寺防衛相が発言している経緯・展開が事実存在したかどうかである。
映画では味方戦闘機が敵戦闘機に射撃管制用レーダー(マスコミによっては火器管制レーダーと表現している)を照射、うまく捕捉すると、「ロックオン」と知らせ、ミサイルを発射するかどうかの指示を待つ。
敵戦闘機も気づいて、発射される前に逃げようとする。いわば瞬時にレーダーが照射されたかどうか判断できることを窺うことができるシーンとなっている。
このことは沖縄差別発言で米国務省日本部長の職を更迭され、元米国務省日本部長の肩書となったケビン・メア氏の発言が証明してくれる。
《「レーダー照射、米軍なら反撃」メア元日本部長》(YOMIURI ONLINE/2013年2月6日20時15分)
2月6日、国会内で講演。
ケビン・メア氏「米軍であれば、(自らへの)攻撃と判断して反撃する。中国海軍は規律が良くないし、あまり訓練もされていない。非常に危ない。
(中国の海洋戦略に関して)尖閣諸島だけでなく(沖縄本島などの)琉球諸島も狙っている。中国の脅威にどう対処するか、日本は決断しなければならない」
軍備増強を求めたという。
「攻撃と判断して反撃する」には、レーダー照射と同時に瞬時に解析可能でなければならない。少しでも時間がかかったなら、相手にミサイル等で攻撃する意思があった場合、常に反撃前に撃破されることになる。
政府関係者も似た発言をしている。
政府関係者「米軍なら照射を受けた時点で反撃していただろう」(MSN産経)
この発言の方が瞬時の解析可能であることの証明となる。但し記事は、〈国際基準との差を指摘する声〉だと位置づけていて、自衛隊法で「防護のための武器の使用」が許されているにも関わらず、反撃しないことの日本と外国の違いレベルでこの発言を把えているに過ぎない。
だが、1月19日の海自ヘリコプターの場合も、1月30日の海上隊護衛艦の場合も、「照射を受けた時点」どころか、前者は2日間から3日間、後者は5日、あるいは6日か6日近く解析に時間がかかった。
有事の際のレーダー照射だった場合、敵は解析・確認の3日間とか5日間、攻撃を待ってくれるのだろうか。有事であっても、相手が分析・検討する時間ぐらい待ってやろうじゃないか、それからでも発射は遅くないと配慮してくれるなら、間に合うかも知れない。
そうでなければ、今回の中国海軍艦艇からのレーダー照射の解析・確認が5日もかかったために防衛相への報告も首相官邸への報告も遅れた、公表も遅れたといった説明・情報公開との整合性が取れない。
米軍の場合は照射された時点で解析・確認は可能だが、自衛隊の場合はそれが不可能だという話は通らない。
また、有事ではないから、解析・確認に慎重の上にも慎重を期した、有事の際は照射時点で直ちに解析・確認するから、いたずらに攻撃を招くということはしないという話も通らない。
一般常識的に照射された時点で解析・確認ができていたとしたら、防衛省がその情報の防衛相や首相官邸への伝達を怠っていたか、防衛相も首相官邸も情報を受け取っていながら、国民への情報開示を怠っていたか、いずれかになる。
但し1月19日のケースの場合が発生当日に防衛相と首相官邸に報告している関係から、実際は1月19日と同様に1月30日の場合も発生当日に報告していたが、首相官邸と防衛相は中国との間に事を荒立てたくないとして情報隠蔽を決め込んだものの、いわばなかったことにしていたところ、レーダー照射事案公表の2月5日前日の2月4日午前9時半頃、中国海洋監視船2隻が尖閣諸島沖合日本領海内に侵入、午後11時半過ぎまで14時間に亘って領海内を航行するに及んで、事を荒立てたくないとする我慢の尾が切れて、これ以上の無法、国際法違反は許すことはできないと翌日照射事案を公表するに至ったとするなら、米軍の場合は照射時点で解析・確認が可能だが、自衛隊の場合は不可能となっている不自然な矛盾に整合性が取れることになる。
この見方が正しいということなら、小野寺防衛相の「しっかりとした明確な違反が確認されたことをもって対応したい」とする、防衛省から小野寺防衛相への解析・確認後の連絡とするルールも、安倍首相の「事務方がより慎重になり、私のところに(情報が)上がってくるのが遅くなった。今後は未確認でも私や防衛相に上がるようにする」も、情報隠蔽を隠すためにあとから作った情報操作のためのシナリオということになる。
また、2月4日の14時間に亘る中国海洋監視船2隻日本領海内侵入にしても、1月30日の中国海軍艦艇レーダー照射に対して日本政府が沈黙を守っていたことから、その足許を見た、既成事実作りの決行と見ることができる。
だから、14時間にも亘って我が物顔に堂々と侵入できたのではないのか。
どう見ても、情報隠蔽が結果的につくり出した情報操作に見えて仕方がない。