《社会保障支出少ない韓国 OECD最下位=日本の3分の1》(聯合ニュース/2014/01/05 14:36)
1月26日日曜日、都知事選で他候補を押さえて一歩リードしているさすがの我が舛添要一先生、日曜日の休日だからと言って、精一杯張り込んだわけではないだろうが、多摩地区の街頭演説。
舛添要一「東京を世界一の福祉都市にしたい」(asahi.com)――
いくら東京都が世界を代表する巨大都市の一つだからと言って、低福祉国家日本の首都に過ぎない。東京都だけが飛び抜けて高度な福祉社会を形成しているわけではなく、もしそうであったなら、東京都と国の格差は国政の失敗・矛盾の現れとして地方都市から攻撃を受けるだろうから、それを世界一にするというのはハッタリに過ぎるのではないかと思った。
東京都の予算は約12兆円で、これはデンマークの国家予算に匹敵すると、都知事選の候補者の一人である宇都宮氏が発言していた。一都市が外国の国家予算と比較される、さすが東京都だが、「世界一の福祉都市」にするためには、予算が同規模のデンマークが医療費、大学卒業までの教育費(学生の間は返済義務がない生活支援金の支給を含む)、出産費、介護福祉費は基本的に無料の高福祉国家で、「世界一幸せな国」と言われているということだから、そのデンマークの高福祉を飛び越えなければならない。
但しデンマークのそのような高福祉を支えているのは一律25%の消費税という強いバックアップがあってこその話で、今年4月の消費税率8%への引上げ時には国分4.9%、地方交付税分1.4%、地方消費税収1.7%、合計8%のうち、東京都が手にする地方交付税分+地方消費税収分=3.1%と他の税収からの振り分けで現在の福祉レベルから「世界一の福祉都市」への飛躍が可能なのか、その辺をどうするのかも問題となる。
そういった具体的な説明なしで、「東京を世界一の福祉都市にしたい」と言っている。
いずれにしても、社会保障支出費に当てる税収が消費税収であろうと、他の税収であろうと、目標とする福祉レベルを実現するためにかかる予算の裏付けは必要であって、「世界一の福祉都市」が実現可能かどうかはデンマークと東京都の同等の予算のうち、消費税収等の予算の裏付けはひと先ず措いて、それぞれの社会保障支出費はどのくらいなのか、その金額の比較によっても判断できるはずである。
もしデンマークよりも遥かに少ない予算で「世界一の福祉都市」にすると言うなら、社会保障関係費を都民の生活を圧迫しない範囲で大幅に抑制するための創造的な改革が必要となり、今度はさすが舛添先生だと都民を唸らせるような見事な改革案を提示しなければならない。
だが、改革案を提示しているわけではない。
2012年度東京都予算案の概要は次のようになっている。
一般歳出4兆5,231億円。
特別会計3兆6,303億円
公営企業会計1兆9,950億円
合計 11兆7,742億円
約12兆円ということになる。
では社会保障支出費をどのくらいなのか調べてみたが、いくら調べても、一般歳出しか出ていない。
1年後の2013年度で見てみると、一般歳出は上記予算案よりも増えて、4兆5,943億円。
福祉関係予算は9,618億円。一般歳出の約5分の1強となる。全合計予算を12兆円と見て、大雑把な計算となるが、その5分の1は2兆4千億円。
勿論、これに国の社会保障支出費が各都民に加わる。平成23年度の「社会保障給付費」国民1人当たりで84万1100円だそうだから、都民1300万人にかけると、1兆円を超える。合わせて約3兆4千億円。
デンマークについては次の記事を参考にする。
【ソウル聯合ニュース】韓国政府の支出のうち社会保障費が占める割合(2011年基準)は13.1%と経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち最下位だった。OECD加盟30カ国を対象にした調査結果を韓国安全行政部が5日に明らかにした。
社会保障費の支出が最も多かったのはデンマークで43.8%だった。ドイツ(43.3%)、ルクセンブルク(43.2%)、フィンランド(43.1%)、日本(42.7%)などが続いた。30カ国の平均支出割合は35.6%だった。
一方、韓国政府の支出のうち「経済活性化目的」の割合は20.1%で30カ国のうち最も高かった。アイルランド(16.4%)、ハンガリー(14.4%)が韓国に続いた。平均は10.5%だった。
国内総生産(GDP)のうち政府支出が占める割合で、韓国は30.2%となりワースト2位だった。57.6%のデンマークが最多で、フランス(55.9%)、フィンランド(55.2%)が続いた。
デンマークの社会保障費政府支出は43.8%。
12兆円の43.8%は5兆2560億円。
予算規模が東京都とデンマークがを同じ規模であったとしても、社会保障関係予算はデンマークの方が約2兆円も多い。やはり医療費、大学卒業までの教育費(学生の間は返済義務がない生活支援金の支給を含む)、出産費、介護福祉費は基本的に無料の高福祉制度の裏付けは一律25%の消費税ということになる。
だが、その裏付けもなく、また低予算で高福祉を実現する創造的な改革案を示しているわけでもなく、いくら東京都が日本の首都であっても、一地方自治体としてデンマークと同等の消費税の裏付けを自らつくり出すことはできない以上、「東京を世界一の福祉都市にしたい」の主張はハッタリでしかなく、そのハッタリ度に於いてのみ、世界一だと言わざるを得ない。
先ずは「東京を世界一の福祉都市」にするためにはどのくらいの財源が必要なのか、その財源はどう捻出するのか、その裏付けを明らかにする説明責任が要求される。ただ「東京を世界一の福祉都市にしたい」と主張するだけでは無責任である。
もっとも無責任とハッタリがふさわしい舛添要一先生ではある。