■海上自衛隊、くらま・ちょうかい・たかなみ出動
本日は沖縄戦、多数の一般国民を巻き込んだ沖縄戦が終結した沖縄慰霊の日、しかし、そうした慰霊の日にも関わらず沖縄県に実弾演習を実施した中国海軍艦隊11隻が宮古島近海を突破しました。
(お知らせ)23.6.23統合幕僚監部:中国海軍艦艇の動向について・・・6月22日(水)から23日(木)にかけて、海上自衛隊第2護衛隊群(佐世保)所属「たかなみ」、「ちょうかい」及び「くらま」が、宮古島の北東約110kmの海域を太平洋から東シナ海に向けて北西進する中国海軍のソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦3隻、ジャンカイⅡ級フリゲート1隻、ジャンウェイⅡ級フリゲート1隻、ジャンウェイⅠ級フリゲート2隻、フーチン級補給艦1隻、ダージャン級潜水艦救難艦1隻、トゥーヂョン級艦隊航洋曳船1隻及びドンディアオ級情報収集艦1隻の合計11隻を確認した。
なお、これらの艦艇は、6月8日(水)から9日(木)にかけて、宮古島の北東約100kmの海域を東シナ海から太平洋に向けて南東進し、その後、沖ノ鳥島南西約450kmの海域において射撃訓練を行ったほか、無人航空機や艦載ヘリコプターの飛行等の訓練及び洋上補給を行っていたことが確認されている。http://www.mod.go.jp/jso/Press/press2011/press_pdf/p20110623.pdf#search='
中国海軍、ソブレメンヌイ級を三隻揃えていたことは驚きましたが、それ以上に実弾射撃まで実施していましたか。沖ノ鳥島から450kmの海域とありますので公海上、距離にして東京から名古屋までの距離ではあるのですが、日本からグアムまでを結ぶ重要な海域になっていますから、日本としては重大な関心を持たざるを得ません。通信や救難訓練だけではなく実弾射撃などの訓練をこの海域で実施するということ自体、日本への実施したということは十分示威的なことになるのですが、その後に沖縄慰霊の日に沖縄近海を通過しなくても、と考えます。
航空自衛隊の緊急発進と同じように、海上自衛隊の護衛艦が継続的に警戒に当たらなければ、軍事的には意味は薄くとも政治的に非常に大きな行動に打って出てくる危険性があるのが忘れてはならないところ。ミサイル駆逐艦に加えてステルス性のデザインに配慮したジャンウェイ1型の参加だけでなく、このほか、潜水艦救難艦が参加していますので、高い確率で潜水艦が遊弋していることが考えられます。所在不明の潜水艦に関する警戒も必要で、仮に我が国領海に接近することがあれば海上警備行動命令を発令する必要もあります。しかし、恒常的に護衛隊規模の部隊を沖縄近海に遊弋させる必要もそろそろ、本格的に考えてこなければならないようにも、日本は戦後、北方ばかりを注視し過ぎ、沖縄の安全を蔑ろにしてきましたから、ね。
他方で、沖縄慰霊の日に合わせた今回の蛮行というべき行為、国内の報道は普天間問題の報道に合わせて沖縄慰霊の日を報じているものが多いのですが、前述のとおり自衛隊による沖縄防衛は広大な管区に比してあまりに非力、これを偶然、北東アジア地域と東南アジア地域に焦点を合わせた在沖米軍基地の抑止力が不足する抑止力を担っているという構図、ここで在沖米軍の抑止力が低下すれば、再度沖縄戦が勃発してしまいますし、占領でもされたならば今度は奪還に次の悲劇。沖縄慰霊の日に艦隊通過、しかし報道は在沖米軍関連ばかり。このあたり、もうひとつ視点を考えてほしいと希望します。沖縄には友人もいます、再度の沖縄戦は、困りますからね。
北大路機関:はるな
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