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原子力災害派遣隊員への手当増大では不十分、生涯先端医療保障恒久法整備急げ!

2011-06-25 22:44:38 | 防災・災害派遣

■放射線被爆へ、一時金だけでは不十分

 原子力災害派遣へ対処した隊員への災害派遣手当の増額が発表されました。災害派遣手当増大は前々から提示されていたのですが、その第一弾ということなのでしょうか。

Img_6197 自衛隊員の震災手当増額 原発対応に1日4万2千円2011年6月24日15時0分・・・ 防衛省は、東日本大震災の被災地で活動した自衛隊員らに支払う災害派遣の手当や遺体取り扱いの手当を現行の2倍程度に引き上げることを決めた。東京電力福島第一原発の直近で活動した隊員には1日4万2千円を支払う。関連する法律の施行令が24日改正され、震災が発生した3月11日までさかのぼって適用される。

Img_1367  原発直近での活動の手当はイラク・サマワに派遣された隊員の1日2万4千円を上回り、過去最高額。対象は、原発の上空や地上から放水したり放射線量などのモニタリングをしたりした隊員や技官らで、4月末までに延べ約500人いるという。  ほかは距離に応じて、原発から半径10キロ圏内2万1千円▽20キロ圏内1万6千円▽30キロ圏内6480円▽30キロ圏外3240円――となっている。これまでも原発事故で被曝(ひばく)の恐れがある区域での活動は手当の額が決まっていたが、今回ほど危険な任務は想定しておらず、13~2倍まで引き上げたhttp://www.asahi.com/national/update/0624/TKY201106240271.html

Img_9862 被曝しているのは自衛官だけではない、ということは承知で、原子力災害へ向かった全公務員に対して同様の措置を求めたいのではありますが、少なくとも日割りの災害派遣手当だけではなく、一生涯にわたる医療保障と生活保障の枠組みを恒久法として制定してほしいと強く考えます。自衛官がほかの公務員と根本的に異なるのは、可能な限り危険を排するという建前の一方で、必要であれば危険を顧みず行動を求められる、ということでしょう。

Img_0299 そういう意味では自衛隊は軍事機構で、命令に従い原子力災害へ展開しました。放射線はその被爆度合いによっては遺伝子そのものを傷つけるもので、それは将来にわたり、世代を超えて人の尊厳に重大な影響を及ぼすもので、これを一時金である災害派遣手当の増大だけで済ませようとは、人命の何たるか、生命倫理のあり方に関する施行体系に重大な欠陥のある考え方といわざるをえません。退職後も含め、生涯にわたり保障する制度の制定です。こうした制度は原子力災害への国の負担の長期化を招くことなのですけれども、しかし、日本は今後数百年単位で影響から逃れることは土台出来ないのです。

Img_7267  そもそも、日本では防衛出動などで戦死、日本では殉職というようですが、そういった最悪の場合となった場合に遺族への補償制度が不十分と言われてきており、イラク派遣などでは慌てて特例を構築しました。しかし、それでは特例を間に合わない状況も考えられるのでして、特に国の命令、その中には前述のとおり一般常識からは理不尽な命令も含まれるなかで、責務を遂行する上での危険に立ち向かうには、後顧の憂いがあってはならないわけで、現在の制度は極めて不十分です。この点で、日本は一時金のような制度に頼りすぎるきらいがあるようにも。

Img_9879  旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所事故では、空中消火活動にあたった要員が重度被爆に陥りました。この点、日本の被爆量を管理している機構との相違点を見出すことができるのですが、旧ソ連では人民英雄として表彰され、生涯年金と一体化した勲章を叙勲、そして東西冷戦下であっても、ソ連からアメリカへ最新の遺伝子治療や骨髄移植などの医療支援を実施しています。生涯にわたっての支援、という点では、なにか現在のこの国よりも、まだ旧ソ連の方が優れているようにも見えてきてしまうわけでして、そうならないようにも、生涯先端医療保障の恒久法を制定する必要があるでしょう。それも速やかに、です。

北大路機関:はるな

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コメント (5)
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