■仮設住宅よりも迅速で再利用も可能
報道など見ていますと、少数ですがトレーラーハウスの被災地への投入が開始されたとのこと。現段階では寄贈、というかたちになっているようですが、再利用できるトレーラーハウスは実は仮設住宅よりもコストが小さいようです。
そこで、これは一つの提案でして、実行するのは東日本大震災での復旧がひと段落したのち、ということになるのでしょうけれども、可搬性のあるコンテナハウス、スーパーハウスとも呼ばれ、工事現場などの事務所や自宅の中庭、それに農場などの管理棟に使われている住宅ですが、あれを自衛隊に市街戦訓練を行う近接戦闘訓練施設として備蓄することはできないでしょうか。コンテナハウス購入は別に防衛費を投じることもなく、総務省予算などで数千個を取得し、演習場等で自衛隊が管理する、という形をとれば、最低限管理を行わなければ劣化してしまうのですけれども、これを自衛隊が担うことができますし、演習場は決して自衛隊にとり広いものではないのですが、それでも幕営地周辺などにコンテナハウスを置く場所もないのか、と問われれば、実弾射撃を行う場所でもないのですし、考慮の余地はあると考えます。
積み重ねて外部階段を設けることで二階建て三階建てとする方式もあるようですので、市街地を想定した訓練には、ある程度考えることができると思います。特殊な建築物を想定した訓練は従来通りの専用施設に依拠することになるのでしょうけれども、基本動作などは、それこそ空き箱を積み重ねて訓練している駐屯地もありますから、訓練環境は多少はまともになるのではないでしょうか。何よりも戸数を大規模災害に念頭を置けば相当数必要になり、それだけ広い訓練が可能となります。戸数が多ければ多いほど街になりますので、場合によっては複数中隊と車両部隊の共同訓練が可能な演習場を構築できるかもしれません。コンテナハウスも形状も多々ありますから、商店街、住宅街、オフィス街などなども再現できるでしょう。
もちろん、問題はあります。近接戦闘訓練ですので扉を蹴破ったり、空包の射撃により焦げるなどの損傷はあるでしょうから、修理が必要になるわけです。訓練教材として東京マルイ社製のエアソフトガンが導入されていますので、特徴的な傷ができてしまう可能性がありますし、車両と共同する近接戦闘訓練では二階建てとはいえ基本は積んだだけですので車両が衝突すれば倒壊の危険もあります。水道やガスなどは当然訓練には不要なので後付となり、被災地に投入しても仮設住宅に入居しても雨風を凌げるだけ、ということにもなり、一考の余地は考えなくてはなりません。ただ、平時は演習場に積んでおき、有事の際、つまり大災害の際ですが、即座にクレーンで吊り上げて大型トラックに搭載し、被災地に運ぶことが可能。この間、近接戦闘訓練はまた空き箱を積み重ねるか、タイヤで壁をつくらねばならなくなるのですが、また造って次の災害に備えて納入してもらえばいいではありませんか。
なんといいますか、用地の関係からなかなか完成せずに、完成してもダニの大発生とアリの侵入に雨漏り。こんな仮設住宅の現状と、多くの予算を投じて建設しても二年後、もう少し延ばすという声があるのですが、まあ、数年で解体してしまう仮設住宅の現状を見ますと、必要ならばまた吊り上げて移動できるのだから大急ぎで設置可能で、しかも返還されればまた耐用年数内であれば備蓄が可能、一応完成の状態になっているコンテナハウスをもう少し考えてもいいのでは、と。同時に紫外線、近接戦闘ですが、こればかりになっては無意味なのですけれども、市街地での戦闘の能力は、日本のような人口密集地域の多い地域の防衛では、山岳戦とともに重要な課題でして、市街戦に長けた部隊を用意することはそれだけ、日本へ軍事的冒険を考える勢力に対して日本国土の占領を難しくするという意味もあります。
大きさにもよりますが、最近の可搬式コンテナハウスは、水周りなどにも配慮があるものもあり、ものによっては比較的安価ですので、被災者に払い下げることも可能です。義捐金が今回のように集まっている状況を考えれば、現金かコンテナハウスか、という考えもできるでしょう。とりあえず、もともと家があった場所に置けばいいのです。もう梅雨明けが近く夏はすぐそこ、コンテナハウスの買い付けだけでしたら今からでも出来ますし、事後返還s慣れた場合に、こういう管理方法がある、というものでもいいです。なにかできることをやるという配慮が必要でしょう、とにかく、現在の政府の災害対処ですが、思いやりが見えない、血が通っていない、冷たいです。
北大路機関:はるな
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