◆後方支援体制の課題は未知数
UNMISS南スーダン派遣国際平和協力隊先遣隊二名の派遣が行われました。課題はイラク派遣の際と道東、もしくはそれ以上に大きい中、自衛隊はアフリカへ展開します。
南スーダン派遣国際平和協力隊・・・国連からの要請を受け、南スーダン共和国における国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS:United Nations Mission in South Sudan)に対し、国際平和協力法に基づき、以下の陸上自衛官2名を司令部要員として派遣することとなりました。
平成23年11月25日 司令部要員見送り行事 防衛省において、南スーダン派遣国際平和協力隊 司令部要員2名の見送りを行いました。今後の予定○ 出国日 平成23年11月28日(月)(案) ※ 出発後、約2週間ウガンダで導入研修を受講予定 http://www.mod.go.jp/jso/Activity/Pko/pko_unmiss.htm
南スーダンPKO派遣がいよいよはじまりました。先遣隊の派遣で、必要な部隊や運用基盤の模索を行うのでしょうか、兵站幕僚など二名を派遣するということになり、出国行事を経て明日、予定では日本を出国することとなっている模様。本格的な部隊に先立つ先遣隊ですが、今後の任務の分水嶺となる最初の一歩。最終的には一個大隊にあたる300名規模の部隊を五年程度派遣することとなります。
しかし、繰り返すように後方支援の面での不安は残ります。輸送艦により南スーダンへ派遣する場合、隣国のケニアから舗装道路がほとんどない地域を1000km移動し兵站線を維持しなければなりません。これは例えれば、1000kmですから我々が京都から新田原基地や三沢基地航空祭へ、高速道路や国道を一切使わず林道と農道を使って移動するようなもの。自衛隊には交代要員がいますがその分航空祭遠征と異なりゲリラが出ます。
250km置きに整備拠点が必要になりますし、自衛隊のトラックは国内の道路交通法の影響から決して大型ではなく、こうした任務に通用する重装輪回収車の車体を利用した大型輸送車両は来年度予算でようやく調達開始、しかし一両2億円と高価であり年間調達数は2両からはじまるばかり。補給線の長さに対して本来国内インフラを最大限活用する専守防衛を国是とする自衛隊は後方支援能力を重視せず戦闘能力を最重要視してきました。
こうした国際平和維持活動に重要な装輪装甲車は北海道の機械化部隊を志向した普通科連隊の一部中隊以外全く不足しており、本来自衛隊の規模と任務を考えれば普通科連隊の二個中隊だけを装甲化するとしても普通科部隊だけで最低限2000両は必要な96式装輪装甲車の調達数は300両少々です。足りない足りないと危機感を煽るのは不本意ですが、輸送用大型車両、装甲車、そしてこれらを支えるヘリコプターの増勢は財政難とはいえ不可避ではないのでしょうか、それができないのであれば、政府は責任を以て今からでも派遣の断念、断るべきです。
北大路機関:はるな
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