■普通科隊員一人の装備
徴兵制に関する特集、今回は費用面から少し説明してみようとおもいます。
さて、徴兵制、何故有り得ないかといいますと、人口1億2000万の日本国が韓国なみの1年9か月の徴兵期間を施行して徴兵制を行う場合、陸上自衛隊が韓国軍の三倍、つまり150万名も集まってしまうのです。すると、駐屯地も演習場も足りませんが、なにより装備が足りません。そして、装備ならば買って揃えればよい、となるかもしれませんが、そうもいきません。
戦車部隊には戦車が必要ですし、特科部隊には大砲と大砲を命中させるための気象観測装置や対砲レーダー等の標定装置と輸送車両が必要となります、施設科部隊には建設機械だけではなく戦場で障害を除去し、逆に防御で障害を構成する為の装備が必要ですし、通信部隊には専用のデータ通信装置が民間インフラが皆無の地域でデータ通信する装備が必要、これらを確実に動かせる後方支援部隊も必要です。
一番安上がり、と誤解されるのが歩兵、ライフルマンですが、現代はそうはいきません。勿論訓練の基幹と費用は別ですが、そちらは後述しましょう、自衛隊では戦闘に参加し様々な状況で生き残るための最低限必要な期間は、つまり一人前になるまでの、という事ですが、二年程度必要、といわれていますが、後述します。
装備品、普通科隊員、88式鉄帽と戦闘防弾チョッキ2型に防弾付加器材を装着し身に着け、戦闘防護装備防護マスクと防護衣を準備、暗視装置を準備し89式小銃に照準具を取り付け携行し弾薬入と戦闘シャベルや水筒と救急キットを弾帯に装備し、戦闘靴を履く。防衛省装備施設本部の調達情報を見ますと、一人完全武装させるだけで190万円、かかる。
普通科隊員10名が集まれば1000万円の高機動車、装甲化する場合は4名を2700万円の軽装甲機動車に乗車させる、もちろん、1丁250万のMINIMI分隊機銃が数名に一人必要ですし、敵戦車に備えるには最低でも一発75万円の110mm個人対戦車弾パンツァーファストⅢを数発容易しなければならないわけで、安易に人数を増やせば大変なこととなってしまいます。
十倍に人員が増えるのであれば、一人あたりの装備に掛かる費用を十倍にする、それができないのならば十分の一の18万円で可能な限りの装備を、となるのでしょう。しかし、89式小銃が30万円です。老朽化した64式小銃やもしかしたら警察予備隊時代に供与された第二次大戦中のM-1小銃が残っているかもしれませんが。
それでも鉄帽が5万6000円、戦闘服3型が予備含め2着で2万8000円、戦闘靴が1万5000円、弾帯と弾薬入れに水筒とシャベルを合わせ1万8100円、雨衣が1万5000円、約13万2000円です。戦闘防弾チョッキがないので砲撃が来たら死傷、防護マスクが無いので毒ガスが散布されれば死傷、暗視装置が無いので夜間は戦闘不能、ですが、ね。
例えば徴兵制を施行している諸国では、全てではありませんが装備が非常に老朽化している事例が多い。お隣韓国では、現役部隊を基幹とした部隊は装甲車に新型を持ち戦車も比較的新しいのですが、徴兵部隊では個人装備がヴェトナム戦争時代にアメリカより供与されたものの仕様で装備、戦車は1950年代に設計されたものがまだ現役です。
数が必要となりますと、どうしても費用を掛けなければ質に影響するもので、報じられるものだけで、靴や被服の不良品や弾薬の不良など、予算さえかければ対応できる事が予算不足に悩むという事が多く、2000年代にイラク復興支援へ海外派兵した際にも、韓国軍は当初、鉄帽がケブラー製ではなく鉄製、防弾チョッキもイラク派遣部隊で当初はレベルⅠの耐破片用となっていました。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
徴兵制に関する特集、今回は費用面から少し説明してみようとおもいます。
さて、徴兵制、何故有り得ないかといいますと、人口1億2000万の日本国が韓国なみの1年9か月の徴兵期間を施行して徴兵制を行う場合、陸上自衛隊が韓国軍の三倍、つまり150万名も集まってしまうのです。すると、駐屯地も演習場も足りませんが、なにより装備が足りません。そして、装備ならば買って揃えればよい、となるかもしれませんが、そうもいきません。
戦車部隊には戦車が必要ですし、特科部隊には大砲と大砲を命中させるための気象観測装置や対砲レーダー等の標定装置と輸送車両が必要となります、施設科部隊には建設機械だけではなく戦場で障害を除去し、逆に防御で障害を構成する為の装備が必要ですし、通信部隊には専用のデータ通信装置が民間インフラが皆無の地域でデータ通信する装備が必要、これらを確実に動かせる後方支援部隊も必要です。
一番安上がり、と誤解されるのが歩兵、ライフルマンですが、現代はそうはいきません。勿論訓練の基幹と費用は別ですが、そちらは後述しましょう、自衛隊では戦闘に参加し様々な状況で生き残るための最低限必要な期間は、つまり一人前になるまでの、という事ですが、二年程度必要、といわれていますが、後述します。
装備品、普通科隊員、88式鉄帽と戦闘防弾チョッキ2型に防弾付加器材を装着し身に着け、戦闘防護装備防護マスクと防護衣を準備、暗視装置を準備し89式小銃に照準具を取り付け携行し弾薬入と戦闘シャベルや水筒と救急キットを弾帯に装備し、戦闘靴を履く。防衛省装備施設本部の調達情報を見ますと、一人完全武装させるだけで190万円、かかる。
普通科隊員10名が集まれば1000万円の高機動車、装甲化する場合は4名を2700万円の軽装甲機動車に乗車させる、もちろん、1丁250万のMINIMI分隊機銃が数名に一人必要ですし、敵戦車に備えるには最低でも一発75万円の110mm個人対戦車弾パンツァーファストⅢを数発容易しなければならないわけで、安易に人数を増やせば大変なこととなってしまいます。
十倍に人員が増えるのであれば、一人あたりの装備に掛かる費用を十倍にする、それができないのならば十分の一の18万円で可能な限りの装備を、となるのでしょう。しかし、89式小銃が30万円です。老朽化した64式小銃やもしかしたら警察予備隊時代に供与された第二次大戦中のM-1小銃が残っているかもしれませんが。
それでも鉄帽が5万6000円、戦闘服3型が予備含め2着で2万8000円、戦闘靴が1万5000円、弾帯と弾薬入れに水筒とシャベルを合わせ1万8100円、雨衣が1万5000円、約13万2000円です。戦闘防弾チョッキがないので砲撃が来たら死傷、防護マスクが無いので毒ガスが散布されれば死傷、暗視装置が無いので夜間は戦闘不能、ですが、ね。
例えば徴兵制を施行している諸国では、全てではありませんが装備が非常に老朽化している事例が多い。お隣韓国では、現役部隊を基幹とした部隊は装甲車に新型を持ち戦車も比較的新しいのですが、徴兵部隊では個人装備がヴェトナム戦争時代にアメリカより供与されたものの仕様で装備、戦車は1950年代に設計されたものがまだ現役です。
数が必要となりますと、どうしても費用を掛けなければ質に影響するもので、報じられるものだけで、靴や被服の不良品や弾薬の不良など、予算さえかければ対応できる事が予算不足に悩むという事が多く、2000年代にイラク復興支援へ海外派兵した際にも、韓国軍は当初、鉄帽がケブラー製ではなく鉄製、防弾チョッキもイラク派遣部隊で当初はレベルⅠの耐破片用となっていました。
北大路機関:はるな くらま
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