北大路機関

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新空中給油輸送機を要求、KC-767に続く新型機を防衛省来年度予算概算要求へ盛り込み

2015-08-17 22:42:11 | 防衛・安全保障
■ポストKC-767
 NHK報道などによれば、防衛省は来年度予算概算要求へ新型空中給油輸送機の導入予算を盛り込むとのこと。

 空中給油輸送機は、戦闘機等が空中で給油を受け飛行時間や航続距離を延伸する用途に用いられ、戦闘機の長距離飛行の際の中継地着陸を省き迅速な展開を可能とする事例、戦闘空中哨戒任務での滞空時間延伸を目指すもので、前者は例えば航空自衛隊機のアラスカなどでの訓練機動時の給油へ用いられるもの。

 航空自衛隊では既に小牧基地へKC-767空中給油輸送機4機を配備し運用しています。空中給油輸送機は貨物型旅客機を原型としている為、パレット輸送等や人員輸送にも大きな能力を有し、国際人道支援任務へもその輸送能力を発揮しており、防衛省は中期防衛力整備計画において予てよりその増勢を発表していました。

 来年度予算概算要求へは、現在運用中のKC-767をそのまま増勢するのではなく新型機を導入するとの報道が為されています。この背景にはKC-767がボーイング767-200ER型旅客機を原型としている点で、1980年代の原型機であるボーイング767-200ERをそのまま入手する事が難しくなった為でしょう。

 さて、新型機についてですが、現在のところ具体的な機種名は示されていません。最有力候補はKC-767の改良型に当たる米空軍向けKC-46Aです、ボーイング767-200ERFの機体に767-300ERの主翼とボーイング787のコックピットを合わせた最新型で給油装置も最新型となり、これは早期警戒管制機E-767とKC-767と767系統の航空機を導入した航空自衛隊としては最適の機種といえるやもしれません。

 機種については概算要求と予算閣議決定後に示されるという事ですので、政府専用機としてボーイング777が導入予定ですので777の派生型として新規開発の可能性が皆無ではありませんし、候補の一つにエアバスA330MATTが売り込まれる可能性もあります。ただ、総合評価方式を採る場合、整備性と部品供給の面からKC-46Aに対抗するのは難しいところ。

 KC-46AはKC-767と比較し全長と全幅、そして給油用燃料搭載能力が若干程度増大しています、そしてプラットアンドホイットニーPW4062ターボファンエンジンを採用しています、ただ航空自衛隊はE-767やKC-767にC-2などにGE-CF6-80C2B6Fターボファンエンジンを採用していますので、日本仕様としてエンジン換装などが要求される可能性が高い。

 元来、航空自衛隊は空中給油輸送機導入の際12機程度の取得を要望していましたが、1990年代の時点でその要求は財政再建を背景に難しいものとなり、米空軍のKC-135による訓練を行うと共に運用研究を含め4機のKC-767を導入しました。今回の予算要求に盛り込まれたのは、ようやくその防衛基盤構築が実現するのだともいえ、感慨深いものです。

北大路機関:はるな くらま
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コメント (1)
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