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陸上防衛作戦部隊論(第二七回):装甲機動旅団編制案の概要 戦車大隊

2015-08-16 22:41:44 | 防衛・安全保障
■装甲機動旅団戦車大隊
広域師団構想の機動打撃力骨幹火力を担う装甲機動旅団戦車大隊について。

戦車大隊は3個戦車中隊基幹とし、編成は大隊本部・戦車中隊・戦車中隊・戦車中隊 、とします。装甲機動旅団の主要装備に当たり、戦車を運用しての機動打撃の骨幹を構成します。戦車定数は41両で、戦車配置が大隊本部に2両、戦車中隊が13両、戦車小隊が4両と中隊長車1両、戦車中隊3個を以て39両、大隊直轄2両を合わせ41両です。もともと広域師団の発想は、新防衛大綱が300両で充分とした戦車を北海道と九州南部に集中する極めて歪な部隊配置を行うため、限られた戦車ならば北海道と九州に集中させなければ、薄く戦車の集団運用を展開できなくなるとの施策に対し、戦車を持つ旅団と高度な航空機を持つ旅団に分け、戦車中隊を装甲戦闘車中隊と併せる機械化大隊を機動打撃力の骨幹とする発想から論理が梁間りました。

90式戦車、10式戦車、戦車大隊は陸上自衛隊が誇る新鋭戦車の何れかを装備します。74式戦車は機動戦闘車に代替されますが、機動戦闘車は装甲機動旅団ではなく航空機動旅団へ配備すべき装備で、普通科部隊が装軌式装甲戦闘車を装備することから90式戦車か10式戦車による高い不整地突破能力と直接照準火力投射能力を以て機動打撃を展開します。90式戦車と10式戦車は、共に複合装甲と120mm滑腔砲を搭載し自動装填装置による高い行進間射撃能力と砲安定装置及び目標自動追尾能力を有すると共に、基幹連隊指揮統制システムへの連接能力を有する事から、装甲機動旅団に求められる戦術能力全般を有しており、将来的にも十分な能力を発揮できるでしょう。併せて戦車の光学監視装置は非常に大きく、基幹連隊指揮統制システムとの連接で装甲機動旅団の情報収集主力ともなる。

戦車大隊は3個戦車中隊を基幹とします。この3個中隊は、現在の本土戦車大隊と北部第11戦車大隊が2個戦車中隊基幹となっている点に鑑みますと、やや大型の戦車大隊となっていますが、これは装甲機動旅団隷下の普通科連隊が3個連隊基幹である点に依拠しており、連隊戦闘団編成時には各普通科連隊へ配属する想定です。戦車中隊は、連隊戦闘団編成時に普通科連隊隷下のFV中隊2個とともに機械化大隊を編成しますが、可能であるならば各戦車中隊にFO:特科前進観測用の戦車等を装備し、第一線火力との連接を強化します。ただ、防衛計画の大綱には戦車定数が示されており、FO用の戦車を捻出する事は出来ません。96式装輪装甲車か軽装甲機動車を充てる事となりましょう。

戦車中隊は、中隊長、副中隊長、運用訓練幹部、3個戦車小隊、となるのですが、副中隊長と中隊先任曹長用の戦車を確保する余裕がありません。したがって副中隊長と中隊先任曹長用には軽装甲機動車を配置します。中隊管理班へ73式装甲車を充当する事が望ましいのですが、老朽化が進み、装甲戦闘車では用途が限定、96式装輪装甲車は不整地突破能力が限定されますが、消去法ですと96式装輪装甲車を中隊本部に充てる事となります。その上で、戦車小隊は4両です、1号車に小隊長が、2号車に小隊陸曹、3号車と4号車が続き、小隊長車と3号車、小隊陸曹車と4号車が奇数偶数で運用します。小隊編成には3両も有り得ますが、小隊長と小隊陸曹で小隊を二分することが出来ませんし、1両が戦闘で損耗した場合の戦闘継続が不可能となります、戦車部隊としての最適解は4両ということ。

戦車定数41両、一個方面隊を担う広域師団の戦車はこの41両のみですが、理想を言うならば、大隊長の直轄に1個中隊を加え54両必要なところです、しかし防衛計画の大綱と機動打撃力の骨幹となる機甲師団を維持する場合、防衛大綱の定数を300両とし、最大限350両とした場合でも、この41両という数量がギリギリとなってしまいます。ただ、機動打撃力に関しては一定水準が維持される編成としました、即ち、装甲戦闘車と連携する運用を前提とするのですから、作戦単位は3個を維持できます。一方、旅団が一個として運用する場合、例えば旅団全般が地域防備に当たる場合、普通科連隊は独立し運用されることとなり、戦車大隊は大隊長隷下、所要の普通科中隊の配属を受け、独立した代替として運用する事も考えられるでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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