■八七艦隊建造案!
本日八月八日は“八八艦隊の日”、そこで本日は海上防衛を主軸に集団的自衛権に依存しない独自防衛力を考えることとしましょう。
海上防衛力に関する個別的自衛権に依拠したシーレーン防衛は、1980年代頃の政策提言を行う立場のシーレーン防衛に関する研究会が、必要な防衛力として、機動運用部隊に7個護衛隊群56隻、群直轄艦にインヴィンシブル級軽空母とシーハリアーの導入が必要、と提言した事例がありまして、インヴィンシブル級を護衛艦ひゅうが型や護衛艦いずも型に、シーハリアーをF-35Bに置き換えれば今日的にも成り立つでしょう。これまで提案していますような、ヘリコプター搭載護衛艦とイージス艦に汎用護衛艦2隻を配置する2個護衛隊基幹の部隊、個人的には反対ですが、この編成で護衛隊群7個を独力で整備し維持すれば、シーレーンは独力でも防衛し得ることでしょう。
護衛艦隊7個護衛隊群の数的根拠は、我が国周辺海域と中東からの長大なシーレーンに各1個護衛隊群の2個護衛隊群を即応体制に置くというものでした、シーハリアーを1個航空隊10機と想定して運用する部内研究を参考としまして、教育航空群を加え稼動機75機、在場予備機と損失予備機を加え100機程度、ですか。同時期にホーカー社が盛んにハリアーを我が国へ売り込んでいまして、誤報でしたが110機導入検討という話題が流れました、同時期に米空軍が余剰B-52を機雷敷設用と対潜哨戒用に我が国へ打診という怪情報が流れた時代でもあり、参考ともならないのですが、自民党部内での研究がそのまま不明瞭な形を採って流れたことが遠因であるのかもしれません。
集団的自衛権を敢えて否定し、個別的自衛権に依拠した必要な海上防衛力ですが、この7個護衛隊群を独力でシーレーン防衛するための数値との事ですからそのまま参考に、各護衛隊群を2個護衛隊として現行のまま編成した場合で、必要な護衛艦はヘリコプター搭載護衛艦7隻、イージス艦14隻、大型汎用護衛艦35隻、と。現在の護衛艦隊はDDH中心の対潜掃討護衛隊とDDG中心のMD対応護衛隊に区分されていますが、護衛艦隊所要だけで56隻、中曽根内閣時代には地方配備の護衛艦がここに各地方隊へ2個護衛隊6隻を必要としまして、同時期に沿岸用護衛艦の代替を進めていましたので56隻に30隻を加え必要な護衛艦は86隻となります 。
独力でのシーレーン防衛、これは特に我が国のシーレーンが非常に長い為ではありますが、必要な護衛艦数が86隻、当時は護衛艦隊直轄艦1隻を有していましたので87隻となりますか、実は中曽根内閣以降、PKO協力法を始め集団安全保障の枠内に入りつつ集団的自衛権への解釈が内閣法制局により転換してゆく事となるのですが、上記装備数の実現困難を反映してのものとも見えてきます。潜水艦定数は現在の防衛計画の大綱が22隻、これは16隻の定数が増強されたものなのですが、16隻の必要積算根拠がソ連太平洋艦隊警戒へ宗谷海峡・津軽海峡・対馬海峡警戒監視へ、というもので22隻への拡大根拠が南西諸島での中国艦隊太平洋進出への警戒監視へ6隻の増強が必要とされたと推測されるところ。
個別的自衛権にのみ依拠しての海洋進出対処任務を考えますと、更にバシー海峡での警戒監視任務を行わなければならず、必要潜水艦数は28隻、ただバシー海峡は潜水艦基地である呉基地から距離が大きすぎるため、沖縄の勝連基地を拡大するか、回航する潜水艦を増勢する必要があるため、潜水艦定数は30~32隻程度必要とする必要があるでしょう。前述の7個護衛隊群及び地方隊所要の護衛艦87隻という数字は少々非現実的ですが、潜水艦30隻、という見積もりも少々非現実的です、が、南西諸島警戒監視任務へ6隻の増勢が行われた訳ですので、加えてバシー海峡を警戒する運用を念頭とすればこの規模の潜水艦隊が必要となり決して誇張ではありません。
護衛艦約90隻(87隻:全通飛行甲板型護衛艦7隻・イージス艦14隻など)、潜水艦約30隻(32隻)、作戦用航空機300機(哨戒機100機、固定翼艦載機100機、回転翼艦載機100機)、ここに掃海艇や掃海用航空機と救難航空機を加えた装備体系、まさに”ぼくのかんがえたさいきょうの”的な印象の装備となりました。個人的には八八艦隊構想として各護衛隊群をヘリコプター搭載護衛艦1とイージス艦1に汎用護衛艦2から成る護衛隊を2個編成する案を提示していますので、7個護衛隊群構想を示す場合には、全通飛行甲板型護衛艦14隻、イージス艦14隻、汎用護衛艦28隻、F-35B7個航空隊、と示したいのですが、流石にこれは。
八八艦隊といいますか、護衛艦隊と地方隊の計算をしますと期せずして87隻の護衛艦が必要、と八七艦隊構想というような言葉遊びの様になってしまいましたが。この他、個別的自衛権にのみ限定し国土を防空しようとする場合、例えば航空防衛力も、米空軍が有事の際に展開できる航空部隊規模、嘉手納基地だけで戦闘機を350機収容できるといいますので、機動運用可能な戦闘機として航空自衛隊は350機の運用、全体で450機程度の戦闘機が必要となってしまうでしょう。
陸上防衛力は、陸上自衛隊はかなりの防衛力を整備していますので、戦車定数を400両程度確保できれば、あとは適宜通信能力強化と無人機や普通科部隊の装甲化促進で対応できるとは考えます、が、空中機動能力だけは米海兵隊の増援に匹敵する程度増強しなければ島嶼部を含め機動防衛が不可能となりますので増強しなければなりません、が、AH-1W/Z攻撃ヘリコプター12機、UH-1N/Y汎用ヘリコプター 12機、CH-46中輸送ヘリコプター/MV-22可動翼機48機、CH-53E重輸送ヘリコプター32機、AV-8B攻撃機40機、F/A-18戦闘攻撃機24機、EA-6B電子戦機4機、KC-130空中給油機6機、海兵航空団の規模は戦闘序列はこの程度、これを自衛隊が別枠で整備し、投入できる体制を整備しなければなりません。
さて、集団的自衛権を否定し個別的自衛権を行使する範囲内にて、必要な防衛力を整備し我が国のみでの大陸からの軍事圧力へ対処する、という方策、実際現在の野党民主党などは防衛力整備こそが重要としまして、政権時代には削減していた防衛力強化を提唱し、領域警備法などを示しています、更に個別的自衛権に依拠した周辺事態法により、政府が提唱する集団的自衛権行使への対処の代案ともなるとの考え。
日米同盟があり、集団的自衛権は2000年代の解釈で既に行使できないが保持している、との判断が統治行為論に基づき憲法判断を最高裁判所より授権した内閣法制局により為されているのですが、ここを面子だけで個別的自衛権に基づく防衛力整備により達成する場合には、これだけの装備と人員拡充が必要となるわけです。ただ、7個護衛隊群にインヴィンシブル級軽空母を配備しシーハリアーを運用するという構想は過大なのではないの、科との視点があるやもしれませんので若干捕捉を。当時必要とされたシーハリアーは、ソ連海軍航空隊のバックファイア超音速爆撃機からの超音速対艦ミサイル攻撃へ外洋上でイージス艦と共に対処するためのものでした。
そこで、与党部内での意見として仄聞した限りでは、インヴィンシブル級軽空母ではなく、当時計画中であった4万tクラスのシャルルドゴール級原子力空母を通常動力化し、F/A-18C戦闘機を搭載し中距離空対空ミサイルにより視程外戦闘を展開しなければ対応する事は難しいのではないか、という意見があった程、とのこと。中国海軍航空隊は旧式ですが新型巡航ミサイルを投射する長距離爆撃機を運用しているほか、この後継機に関する研究は既に2010年頃より開始されていると伝えられ、アメリカの空母航空団を含む海上航空打撃力を想定せず個別的自衛権により対処しようとするならば、上記の必要防衛力は決して過大ではないといえるやもしれません。
結論から述べますと、日本国家が最大限の資源を国土防衛に投入し、一国だけで永世中立国に近いほどの覚悟を以て防衛力を整備すれば、日米安保条約に基づく集団的自衛権行使に依拠せずとも、我が国は独伊の防衛力で国土の防衛は不可能ではありませんが、これには非常に大きな負担が掛かるものです。しかし、その負担は非常に大きく、当方個人的な私見を述べればやるべきではありません。実際、世界の永世中立国はスイスやオーストリアが代表例として未だに徴兵制を以て陸上国境防衛に多大な負担を国民に強いていますし、諸外国からの介入を自力で排除し専守防衛一国平和を守り抜くことへの国民負担を耐え抜くのか、世界の平和に世界の一員として参画するか、という判断は主権者が選ぶ次元の問題ではあると考える次第です。
北大路機関:はるな くらま
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本日八月八日は“八八艦隊の日”、そこで本日は海上防衛を主軸に集団的自衛権に依存しない独自防衛力を考えることとしましょう。
海上防衛力に関する個別的自衛権に依拠したシーレーン防衛は、1980年代頃の政策提言を行う立場のシーレーン防衛に関する研究会が、必要な防衛力として、機動運用部隊に7個護衛隊群56隻、群直轄艦にインヴィンシブル級軽空母とシーハリアーの導入が必要、と提言した事例がありまして、インヴィンシブル級を護衛艦ひゅうが型や護衛艦いずも型に、シーハリアーをF-35Bに置き換えれば今日的にも成り立つでしょう。これまで提案していますような、ヘリコプター搭載護衛艦とイージス艦に汎用護衛艦2隻を配置する2個護衛隊基幹の部隊、個人的には反対ですが、この編成で護衛隊群7個を独力で整備し維持すれば、シーレーンは独力でも防衛し得ることでしょう。
護衛艦隊7個護衛隊群の数的根拠は、我が国周辺海域と中東からの長大なシーレーンに各1個護衛隊群の2個護衛隊群を即応体制に置くというものでした、シーハリアーを1個航空隊10機と想定して運用する部内研究を参考としまして、教育航空群を加え稼動機75機、在場予備機と損失予備機を加え100機程度、ですか。同時期にホーカー社が盛んにハリアーを我が国へ売り込んでいまして、誤報でしたが110機導入検討という話題が流れました、同時期に米空軍が余剰B-52を機雷敷設用と対潜哨戒用に我が国へ打診という怪情報が流れた時代でもあり、参考ともならないのですが、自民党部内での研究がそのまま不明瞭な形を採って流れたことが遠因であるのかもしれません。
集団的自衛権を敢えて否定し、個別的自衛権に依拠した必要な海上防衛力ですが、この7個護衛隊群を独力でシーレーン防衛するための数値との事ですからそのまま参考に、各護衛隊群を2個護衛隊として現行のまま編成した場合で、必要な護衛艦はヘリコプター搭載護衛艦7隻、イージス艦14隻、大型汎用護衛艦35隻、と。現在の護衛艦隊はDDH中心の対潜掃討護衛隊とDDG中心のMD対応護衛隊に区分されていますが、護衛艦隊所要だけで56隻、中曽根内閣時代には地方配備の護衛艦がここに各地方隊へ2個護衛隊6隻を必要としまして、同時期に沿岸用護衛艦の代替を進めていましたので56隻に30隻を加え必要な護衛艦は86隻となります 。
独力でのシーレーン防衛、これは特に我が国のシーレーンが非常に長い為ではありますが、必要な護衛艦数が86隻、当時は護衛艦隊直轄艦1隻を有していましたので87隻となりますか、実は中曽根内閣以降、PKO協力法を始め集団安全保障の枠内に入りつつ集団的自衛権への解釈が内閣法制局により転換してゆく事となるのですが、上記装備数の実現困難を反映してのものとも見えてきます。潜水艦定数は現在の防衛計画の大綱が22隻、これは16隻の定数が増強されたものなのですが、16隻の必要積算根拠がソ連太平洋艦隊警戒へ宗谷海峡・津軽海峡・対馬海峡警戒監視へ、というもので22隻への拡大根拠が南西諸島での中国艦隊太平洋進出への警戒監視へ6隻の増強が必要とされたと推測されるところ。
個別的自衛権にのみ依拠しての海洋進出対処任務を考えますと、更にバシー海峡での警戒監視任務を行わなければならず、必要潜水艦数は28隻、ただバシー海峡は潜水艦基地である呉基地から距離が大きすぎるため、沖縄の勝連基地を拡大するか、回航する潜水艦を増勢する必要があるため、潜水艦定数は30~32隻程度必要とする必要があるでしょう。前述の7個護衛隊群及び地方隊所要の護衛艦87隻という数字は少々非現実的ですが、潜水艦30隻、という見積もりも少々非現実的です、が、南西諸島警戒監視任務へ6隻の増勢が行われた訳ですので、加えてバシー海峡を警戒する運用を念頭とすればこの規模の潜水艦隊が必要となり決して誇張ではありません。
護衛艦約90隻(87隻:全通飛行甲板型護衛艦7隻・イージス艦14隻など)、潜水艦約30隻(32隻)、作戦用航空機300機(哨戒機100機、固定翼艦載機100機、回転翼艦載機100機)、ここに掃海艇や掃海用航空機と救難航空機を加えた装備体系、まさに”ぼくのかんがえたさいきょうの”的な印象の装備となりました。個人的には八八艦隊構想として各護衛隊群をヘリコプター搭載護衛艦1とイージス艦1に汎用護衛艦2から成る護衛隊を2個編成する案を提示していますので、7個護衛隊群構想を示す場合には、全通飛行甲板型護衛艦14隻、イージス艦14隻、汎用護衛艦28隻、F-35B7個航空隊、と示したいのですが、流石にこれは。
八八艦隊といいますか、護衛艦隊と地方隊の計算をしますと期せずして87隻の護衛艦が必要、と八七艦隊構想というような言葉遊びの様になってしまいましたが。この他、個別的自衛権にのみ限定し国土を防空しようとする場合、例えば航空防衛力も、米空軍が有事の際に展開できる航空部隊規模、嘉手納基地だけで戦闘機を350機収容できるといいますので、機動運用可能な戦闘機として航空自衛隊は350機の運用、全体で450機程度の戦闘機が必要となってしまうでしょう。
陸上防衛力は、陸上自衛隊はかなりの防衛力を整備していますので、戦車定数を400両程度確保できれば、あとは適宜通信能力強化と無人機や普通科部隊の装甲化促進で対応できるとは考えます、が、空中機動能力だけは米海兵隊の増援に匹敵する程度増強しなければ島嶼部を含め機動防衛が不可能となりますので増強しなければなりません、が、AH-1W/Z攻撃ヘリコプター12機、UH-1N/Y汎用ヘリコプター 12機、CH-46中輸送ヘリコプター/MV-22可動翼機48機、CH-53E重輸送ヘリコプター32機、AV-8B攻撃機40機、F/A-18戦闘攻撃機24機、EA-6B電子戦機4機、KC-130空中給油機6機、海兵航空団の規模は戦闘序列はこの程度、これを自衛隊が別枠で整備し、投入できる体制を整備しなければなりません。
さて、集団的自衛権を否定し個別的自衛権を行使する範囲内にて、必要な防衛力を整備し我が国のみでの大陸からの軍事圧力へ対処する、という方策、実際現在の野党民主党などは防衛力整備こそが重要としまして、政権時代には削減していた防衛力強化を提唱し、領域警備法などを示しています、更に個別的自衛権に依拠した周辺事態法により、政府が提唱する集団的自衛権行使への対処の代案ともなるとの考え。
日米同盟があり、集団的自衛権は2000年代の解釈で既に行使できないが保持している、との判断が統治行為論に基づき憲法判断を最高裁判所より授権した内閣法制局により為されているのですが、ここを面子だけで個別的自衛権に基づく防衛力整備により達成する場合には、これだけの装備と人員拡充が必要となるわけです。ただ、7個護衛隊群にインヴィンシブル級軽空母を配備しシーハリアーを運用するという構想は過大なのではないの、科との視点があるやもしれませんので若干捕捉を。当時必要とされたシーハリアーは、ソ連海軍航空隊のバックファイア超音速爆撃機からの超音速対艦ミサイル攻撃へ外洋上でイージス艦と共に対処するためのものでした。
そこで、与党部内での意見として仄聞した限りでは、インヴィンシブル級軽空母ではなく、当時計画中であった4万tクラスのシャルルドゴール級原子力空母を通常動力化し、F/A-18C戦闘機を搭載し中距離空対空ミサイルにより視程外戦闘を展開しなければ対応する事は難しいのではないか、という意見があった程、とのこと。中国海軍航空隊は旧式ですが新型巡航ミサイルを投射する長距離爆撃機を運用しているほか、この後継機に関する研究は既に2010年頃より開始されていると伝えられ、アメリカの空母航空団を含む海上航空打撃力を想定せず個別的自衛権により対処しようとするならば、上記の必要防衛力は決して過大ではないといえるやもしれません。
結論から述べますと、日本国家が最大限の資源を国土防衛に投入し、一国だけで永世中立国に近いほどの覚悟を以て防衛力を整備すれば、日米安保条約に基づく集団的自衛権行使に依拠せずとも、我が国は独伊の防衛力で国土の防衛は不可能ではありませんが、これには非常に大きな負担が掛かるものです。しかし、その負担は非常に大きく、当方個人的な私見を述べればやるべきではありません。実際、世界の永世中立国はスイスやオーストリアが代表例として未だに徴兵制を以て陸上国境防衛に多大な負担を国民に強いていますし、諸外国からの介入を自力で排除し専守防衛一国平和を守り抜くことへの国民負担を耐え抜くのか、世界の平和に世界の一員として参画するか、という判断は主権者が選ぶ次元の問題ではあると考える次第です。
北大路機関:はるな くらま
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