北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

新護衛艦かが/加賀 DDH-184 KAGA いずも型護衛艦2番艦として本日進水式を挙行!

2015-08-27 23:14:41 | 海上自衛隊 催事
■新護衛艦かが/加賀
 新護衛艦かが、航空母艦加賀の名を継ぎ本日、満載排水量27000tの大型護衛艦として進水式を迎えました。

 いずも型護衛艦2番艦かが、は護衛艦くらま後継、平成24年度計画護衛艦として2013年10月にジャパンマリンユナイテッド横浜事業所磯子工場にて起工し、建造が進められてきました、全長248m、基準排水量19500t、満載排水量27000t、全つ飛行甲板と艦内に大型の格納庫を有し、ガスタービンエンジンにより最高速度は30ノット、新型のOPS-50多機能レーダーとOQQ-23ソナーを搭載し、最大の特色はSH-60K哨戒ヘリコプターやMCH-101掃海輸送ヘリコプターなど艦内に14機を搭載可能、新型艦載多用途ヘリコプターの選定も開始されました。造船所は、護衛艦ひゅうが型の護衛艦ひゅうが、護衛艦いせ、いずも型護衛艦いずも、の建造を担っており、我が国全通飛行甲板型護衛艦建造を全て経験している高度な工員により建造されている事を意味します。かが、は、ヘリコプター搭載護衛艦くらま代艦にあたり、今後艤装工事を進め公試等を経て2017年3月に自衛艦旗を受領し就役することでしょう。

 かが、加賀です。いずも型護衛艦は、海上自衛隊自衛艦隊護衛艦隊の機動運用部隊である4個護衛隊群へ各1個配置されている対潜中枢護衛隊に各1隻が配備されるヘリコプター搭載護衛艦で、最初のヘリコプター搭載護衛艦は1973年に就役した護衛艦はるな、満載排水量6800tの護衛艦でした、はるな型は、はるな、ひえい。続いて、1979年より護衛艦しらね型しらね、くらま、が建造されこちらは満載排水量7200t、海上自衛隊は幾度かその間航空機搭載護衛艦や対潜空母等の研究を行っていましたが、3機の大型対潜ヘリコプターと2門の5in砲を搭載する護衛艦として4隻が整備され、はるな型後継艦として満載排水量19000tの全通飛行甲板型護衛艦ひゅうが、いせ、が建造されています。全通飛行甲板型護衛艦は、ヘリコプター搭載護衛艦の必要数4隻、はるな、ひえい、しらね、くらま、のうち既に、ひゅうが、いせ、いずも、が3隻を置き換え、くらま置き換えにより、漸く完成する事となります。

 加賀、先代の加賀は航空母艦として建造されました、そして東日本大震災から復興途上の我が国と空母加賀誕生の背景は共通する部分もありまして興味深い。大日本帝国海軍は1919年に、新戦艦加賀の建造を決定します、これは土佐型戦艦の2番艦として当時整備を進めていた八八艦隊、大型戦艦8隻と巡洋戦艦8隻からなる強力な水上打撃部隊の長門と陸奥に続く3隻目4隻目の巡洋戦艦として計画されました、しかし一番艦土佐、二番艦加賀、共に1922年、世界初の戦略兵器制限条約となるワシントン海軍軍縮条約により建造が中止となる決定が為され、戦艦加賀は建造途上にして廃艦が決定します、しかし、転機となったのは1923年の関東大震災です、神奈川県相模湾北西沖を震源とするマグニチュード7.9の海溝型地震は10万5000名の犠牲者をだし旧東京市六割が被災、国家予算数年分が吹き飛ぶ被害に際し、当時横浜で建造中であった新空母天城が横転し、修理不能と判断されます、ここが転機へ。

 戦艦加賀から空母加賀へ、加賀は廃艦予定でしたが、大破した空母天城に代え、空母加賀として建造されることとなるのです。基準排水量26900tの航空母艦として加賀は1928年3月31日、就役しました。日本海軍は世界初の空母鳳翔、空母赤城に続く三隻目の航空母艦として完成、戦艦から空母への設計変更により20cm副砲10門を備え、積層式飛行甲板を持つ特殊な艦型となりましたが、1932年には上海日本租界での邦人連続襲撃事件と続く中国十九路軍の上海外国人居留地への侵攻へ対処すべく世界初の空母機動部隊編制へ参加し艦載機による実戦を経験、1935年には単一飛行甲板を有する改装が完了、これにより基準排水量38200tと日本最大の航空母艦となりました、第一航空艦隊旗艦を隔年で担い支那事変全般を艦隊航空による航空阻止任務や制空戦闘に寄与、1941年の第二次世界大戦太平洋戦争開戦の日、真珠湾攻撃へ向かう日本空母6隻の一員として参加しました、その後、豪州ポートダーウィンを空襲、インド洋作戦等緒戦の主力を担いましたが、1942年、ミッドウェー海戦にて飛行甲板に多数の爆弾命中を受け艦橋全損と大火災を起こし、その後の魚雷攻撃等を受け、戦没し、最期を迎える。

 新護衛艦かが、海上自衛隊は最初の護衛艦あさひ、が戦艦朝日を踏襲しており、今回も帝国海軍の艦名を受け継ぐこととなりました、その将来は、南海トラフ地震への国家危機に立ち向かう航空中枢艦として、また、佐世保基地から南西諸島への中国大陸からの脅威への対処へ、2040年代前後まで防衛の重責を担う事となります。対潜中枢艦として、加えて高い指揮機能を活かし艦隊旗艦へ、将来的には長い現役期間中に固定翼航空機としてMV-22可動翼機の搭載、更には自衛隊が垂直離着陸可能であるF-35B戦闘機を導入した場合、航空阻止や艦隊防空に弾道ミサイル策源地攻撃任務への対応能力が付与される可能性もあります。先代加賀は関東大震災を乗り越えて就役しましたが、二代目かが、東日本大震災から復興に向かう我が国の護衛艦として建造が進みます、そして、全通飛行甲板型護衛艦は、19000tひゅうが型2隻と、27000tいずも型2隻体制となり、世界的にも大きな海洋戦力投射能力を海上自衛隊は整備することとなりました。護衛艦かが、自由と協調を理念とする我が国と世界の平和と繁栄へ寄与する一隻となるよう、願いたいですね。

北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
コメント (11)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする