■イージス艦8隻体制完成とNIFC-CA統合防空システム
防衛省の来年度予算概算要求へイージス艦建造費一隻が盛り込まれる方向で調整中とのこと。
8200t型ミサイル護衛艦の二番艦にあたり、はたかぜ型ミサイル護衛艦しまかぜ後継となります。これにより海上自衛隊のミサイル護衛艦8隻はイージスシステム搭載艦に統一される事となり、ターターシステム搭載艦は、1965年に就役した初のミサイル護衛艦あまつかぜ以来の艦隊防空任務をイージス艦へ譲る事となります。
新しいイージス艦ですが、今年度の平成27年度予算に8200t型護衛艦1隻の建造費とともにもうい1式のイージスシステム等取得費が盛り込まれており、このイージスシステムを搭載する護衛艦として船体とイージスシステムを除く兵装システム等が来年度予算に盛り込まれる事は事実上決定していましたが、こちらが具体化したかたち。
海上自衛隊は、1993年就役の、こんごう型ミサイル護衛艦よりイージスシステムの導入を開始し、7200t型として4隻が就役、続いて7700t型としてミサイル護衛艦あたご型2隻が就役し、ターターシステム艦はたかぜ型2隻と8隻のミサイル護衛艦が護衛艦隊の艦隊防空を担っています、8200t型では、イージスシステムは最新型となり、アーレイバーク級ミサイル駆逐艦最新仕様と同型のベースライン9が採用され、レーダー部分もSPY-1DMk7が搭載されます、米海軍の海軍統合火器管制防空システムNIFC-CAと統合防空ミサイル防衛能力IAMDへの協同が可能となります。
NIFC-CAは、航空自衛隊が導入する新早期警戒機E-2Dにも目玉装備となるもので、艦隊のリモートセンサーとして早期警戒機や、またデータを連接する事で戦闘機との接合も可能となります。NIFC-CAは米海兵隊が米海軍との協同作戦にも用いられ、艦隊防空能力を陸上に展開した戦闘部隊の防空掩護に応用する共同交戦能力にも応用されるため、艦隊間の防空能力を高めるだけではなく、米海軍や米海兵隊との共同運用、将来的には航空自衛隊の防空システムへの海上自衛隊艦艇の参入を可能性として含みます。
言い換えれば航空自衛隊の防空をイージス艦が参画する可能性も示し、導入されるであろうスタンダードミサイルSM-6/RIM-174ERAMとの連接性も示します、これは対航空機用に現在運用されているSM-2の後継となり射程は、SM-2の100kmから実に370kmに達し、水平線を越えての防空任務が可能となりましょう。
統合防空ミサイル防衛能力IAMD能力付与が併せて行われ、アメリカ海軍の弾道ミサイル防衛システムと海上自衛隊イージス艦の協同がより迅速に且つ広範に展開可能となります。これは日米のイージス艦センサーの統合運用に関する可能性が大きく開けます。元来、イージス艦は艦隊防空にあって水平線上に展開する敵索敵機や哨戒機を長射程のSM-2スタンダードミサイルにより迎撃し、情報優位を相手に取らせない能力が求められました。
加えて多数の対艦ミサイルによる飽和攻撃に対し、同時多数の迎撃能力を行使し艦隊防空に当たる事が求められました。旧ソ連の超音速爆撃機バックファイア60機がイージス艦2隻により護衛される護衛隊群8隻を攻撃した場合でも第一撃で20%の損害に抑える事が出来るという当時の研究があり、大きな防空能力が期待されてきました。
一方、現在審議が参議院にて進む安全保障法制における集団的自衛権行使に関する核心部分は、弾道ミサイル防衛での日米共同の強化が視野に含まれており、NIFC-CAへの連接能力を視野に、技術に対応した能力構築へ法整備を進めているといえるやもしれません。自衛隊のイージス艦は勿論、多くの装備はネットワークに加入することで共同交戦能力を行使します、これを欠く運用はあたかもインターネットに接続しないパソコンのようなものですから。
こんごう型の就役から今年で22年、そろそろ延命改修を視野に含めねばならない時期となり、こうした時期にイージス艦8隻体制が完成するわけですが、こんごう型のミサイル防衛能力付与に続き、あたご型へのミサイル防衛能力付与と近代化改修が行われます、8隻体制完成は、長い期間を要しましたが、ようやくその完成が見えてきたといえるでしょう。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
防衛省の来年度予算概算要求へイージス艦建造費一隻が盛り込まれる方向で調整中とのこと。
8200t型ミサイル護衛艦の二番艦にあたり、はたかぜ型ミサイル護衛艦しまかぜ後継となります。これにより海上自衛隊のミサイル護衛艦8隻はイージスシステム搭載艦に統一される事となり、ターターシステム搭載艦は、1965年に就役した初のミサイル護衛艦あまつかぜ以来の艦隊防空任務をイージス艦へ譲る事となります。
新しいイージス艦ですが、今年度の平成27年度予算に8200t型護衛艦1隻の建造費とともにもうい1式のイージスシステム等取得費が盛り込まれており、このイージスシステムを搭載する護衛艦として船体とイージスシステムを除く兵装システム等が来年度予算に盛り込まれる事は事実上決定していましたが、こちらが具体化したかたち。
海上自衛隊は、1993年就役の、こんごう型ミサイル護衛艦よりイージスシステムの導入を開始し、7200t型として4隻が就役、続いて7700t型としてミサイル護衛艦あたご型2隻が就役し、ターターシステム艦はたかぜ型2隻と8隻のミサイル護衛艦が護衛艦隊の艦隊防空を担っています、8200t型では、イージスシステムは最新型となり、アーレイバーク級ミサイル駆逐艦最新仕様と同型のベースライン9が採用され、レーダー部分もSPY-1DMk7が搭載されます、米海軍の海軍統合火器管制防空システムNIFC-CAと統合防空ミサイル防衛能力IAMDへの協同が可能となります。
NIFC-CAは、航空自衛隊が導入する新早期警戒機E-2Dにも目玉装備となるもので、艦隊のリモートセンサーとして早期警戒機や、またデータを連接する事で戦闘機との接合も可能となります。NIFC-CAは米海兵隊が米海軍との協同作戦にも用いられ、艦隊防空能力を陸上に展開した戦闘部隊の防空掩護に応用する共同交戦能力にも応用されるため、艦隊間の防空能力を高めるだけではなく、米海軍や米海兵隊との共同運用、将来的には航空自衛隊の防空システムへの海上自衛隊艦艇の参入を可能性として含みます。
言い換えれば航空自衛隊の防空をイージス艦が参画する可能性も示し、導入されるであろうスタンダードミサイルSM-6/RIM-174ERAMとの連接性も示します、これは対航空機用に現在運用されているSM-2の後継となり射程は、SM-2の100kmから実に370kmに達し、水平線を越えての防空任務が可能となりましょう。
統合防空ミサイル防衛能力IAMD能力付与が併せて行われ、アメリカ海軍の弾道ミサイル防衛システムと海上自衛隊イージス艦の協同がより迅速に且つ広範に展開可能となります。これは日米のイージス艦センサーの統合運用に関する可能性が大きく開けます。元来、イージス艦は艦隊防空にあって水平線上に展開する敵索敵機や哨戒機を長射程のSM-2スタンダードミサイルにより迎撃し、情報優位を相手に取らせない能力が求められました。
加えて多数の対艦ミサイルによる飽和攻撃に対し、同時多数の迎撃能力を行使し艦隊防空に当たる事が求められました。旧ソ連の超音速爆撃機バックファイア60機がイージス艦2隻により護衛される護衛隊群8隻を攻撃した場合でも第一撃で20%の損害に抑える事が出来るという当時の研究があり、大きな防空能力が期待されてきました。
一方、現在審議が参議院にて進む安全保障法制における集団的自衛権行使に関する核心部分は、弾道ミサイル防衛での日米共同の強化が視野に含まれており、NIFC-CAへの連接能力を視野に、技術に対応した能力構築へ法整備を進めているといえるやもしれません。自衛隊のイージス艦は勿論、多くの装備はネットワークに加入することで共同交戦能力を行使します、これを欠く運用はあたかもインターネットに接続しないパソコンのようなものですから。
こんごう型の就役から今年で22年、そろそろ延命改修を視野に含めねばならない時期となり、こうした時期にイージス艦8隻体制が完成するわけですが、こんごう型のミサイル防衛能力付与に続き、あたご型へのミサイル防衛能力付与と近代化改修が行われます、8隻体制完成は、長い期間を要しましたが、ようやくその完成が見えてきたといえるでしょう。
北大路機関:はるな くらま
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