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陸上防衛作戦部隊論(第二六回):装甲機動旅団編制案の概要 普通科連隊のFV中隊とLAV中隊等

2015-08-06 22:04:09 | 防衛・安全保障
■装甲機動旅団編制案の概要
装甲機動旅団、装甲機動旅団編制案の概要を今回より記載してゆく事としましょう。

広域師団構想、普通科部隊の編制やその隷下の装甲機動旅団基幹装備としての装甲戦闘車の話題に航空機動旅団との連環、方面隊と広域師団との関係等を記載してきましたが、戦車が縮小され、且つ統合機動防衛力として緊急展開能力が必要とされる新しい状況へ、という改編を期したものです。

これまで示しましたが、広域師団は打撃力中心の旅団と機動力中心の旅団の連合、空地一体の機動打撃を期したもので、陸上自衛隊の師団旅団を戦車を中心とした機動運用部隊主体の装甲機動旅団、戦車を持たないものの方面隊航空部隊の装備を一手に引き受ける航空機動旅団へ改編し、二個旅団を以て広域師団を編成する、というもの。

今回から装甲機動旅団の概要を提示してゆきます。旅団は人員4900名:戦車41両・装甲戦闘車90両・特科火砲30門・MLRS16門を基幹とします。旅団司令部、司令部付隊 、普通科連隊、普通科連隊、普通科連隊、戦車大隊、偵察隊、特科連隊、特殊武器防護隊、高射特科大隊、施設大隊、通信大隊 、飛行隊、後方支援隊、音楽隊、を基幹編成とします。それでは旅団基幹部隊を各個に見てゆきます。

普通科連隊は3個普通科中隊基幹とし、連隊編成は、本部管理中隊・FV中隊・FV中隊・LAV中隊・重火器中隊、以上です。本部管理中隊は、本部小隊・通信小隊・情報小隊・施設作業小隊・衛生班・輸送班・NBC班、などを以て連隊の戦術支援に当たりますが、こちらの編成などについては連隊戦闘団の項目にて後述しましょう。

FV中隊は装甲戦闘車を運用する編制で、戦車縮小の代替として装甲戦闘車の増勢を念頭とした編成部隊です。本土での武力攻撃事態に加え、国際平和維持活動への参加へも装甲戦闘車は重要です。機関砲を運用する装軌式装甲戦闘車を装備し、戦車との協同を重視した機械化普通科部隊を構成、連隊戦闘団編成時には戦車中隊と共に機械化大隊を編成する。

装甲戦闘車の整備は多くの予算的措置を要しますが必要です。普通科部隊の任務は近接戦闘にある訳ですが、基盤的防衛力から統合機動防衛力への防衛基盤の抜本的変革を視野に、全国への均一部隊配置体制という前提が防衛計画の大綱改訂により転換された事で、防御力の一端に部隊機動力、即ち機動打撃能力を加味する必要が生じ、このための装甲戦闘車の配備です。

LAV中隊は軽装甲機動車を装備する中隊で幹線道路沿いの機動力はFV中隊よりも大きく、普通科連隊基幹部隊である普通科中隊にあって進出速度の大きさと限定的な対戦車戦闘能力や乗車戦闘能力を以て機械化普通科部隊の先鋒を担うと共に、敵機甲部隊との遭遇後は機械化普通科部隊展開までの前地戦闘、続いて後方連絡線確保等に威力を発揮しましょう。

FV中隊とLAV中隊ですが、LAV中隊については既に全国の普通科連隊のほぼすべてに装甲車化された中隊があり、北部方面隊を除く本土の普通科連隊にはこの装甲車部隊にLAV中隊が充てられており、編成はそのまま応用できます。しかし、FV中隊の装甲戦闘車は、取得費用は大きくなるでしょうが、装甲機動旅団が限られた戦車による機動打撃を展開する以上、調達しなければなりません。

各中隊は、一例として、FV中隊が装甲戦闘車14両と軽装甲車両を基幹として編成は中隊本部・FV小隊・FV小隊・FV小隊・迫小隊、という編成とし、LAV中隊が軽装甲機動車22両と軽装甲車両を基幹としまして中隊本部・LAV小隊・LAV小隊・LAV小隊・迫小隊、という編成です。軽装甲車両は主として1個小銃班を輸送可能な四輪駆動軽装甲車を想定し、迫撃砲小隊の輸送を想定します。

四輪駆動軽装甲車は、高機動車の後継として予てより北尾次期艦が必要性を提示しています軽装甲車両で、82式指揮通信車の設計時案として存在した四輪駆動型を軸に不整地突破能力をかなりの部分で犠牲としてでも、10名規模の普通科隊員を乗車させ機動可能な小型装甲車で、重迫撃砲牽引や近距離地対空誘導弾システムに多目的誘導弾用の運用車両としても応用するもの。

重火器中隊は、重迫撃砲小隊2個と対戦車小隊2個を基幹として、連隊の火力運用を担います。重迫撃砲小隊は120mm重迫撃砲4門を装備し、対戦車小隊は中距離多目的誘導弾4セットを運用、中隊の装備定数は120mm重迫撃砲8門と中距離多目的誘導弾8セットを運用、2個対戦車小隊についてはLAV中隊へ配置し対戦車能力強化にも充てる想定です。

北大路機関:はるな くらま
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