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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

航空防衛作戦部隊論(第四回):航空防衛力、中国空軍力の軍事的圧力水準

2015-08-13 23:03:56 | 防衛・安全保障
■中国空軍の規模
我が国へ多数の航空機を接近させ、緊張度を高めている中国空軍ですが、その規模を見てみましょう。

航空自衛隊の戦闘機を見ますとF-15戦闘機200機、F-2支援戦闘機80機、F-4戦闘機50機、以上戦闘機330機、と前回紹介しましたが、対する中国空軍の規模はどの程度なのか、戦闘機数だけではなく、日本周辺までを戦闘行動半径に含めている航空機の規模などから見なければこの装備水準が充分であるのか不充分であるのか、判断できません。

中国空軍、膨大な機数を持つ事は確かですが、努力し対処し得る規模なのか否かについて。冷戦最盛期には1940年代の戦闘機を含めソ連製コピー戦闘機を膨大な数を有しているという印象があり、数は多いものの我が国防空識別圏をその戦闘行動半径に含めていない機体が主力、という固定観念が定着していますが、現在ではその配備数が一桁減ったものの、戦闘行動半径が沖縄や九州と本州も含めた機体の比率が高まりました。

中国空軍の装備体制について、ロシア製Su-30戦闘機73機、Su-27戦闘機75機、輸入した機体はこのふたつ。加えてJ-16、Su-30中国ライセンス生産機が24機、J-11、Su-27中国ライセンス生産機が205機、所謂フランカーシリーズで377機、イスラエルよりラビ戦闘機の技術援助を受け開発されたJ-10戦闘機250機で生産継続中です。海軍航空隊を含めるともう少し大きいですが。

空軍、更に二線級ですがMiG-21独自改良型のJ-8戦闘機192機、同J-7戦闘機528機、JH-7攻撃機とQ-5攻撃機計240機、即ち第一級の戦闘機が637機、そして旧型機、これらは戦闘行動半径で何とか大陸沿岸部から南西諸島周辺まで飛行する事は出来るのですが、低空飛行や空戦機動に対応できず、データリンクの面で現代戦へ対応できません。

中射程ミサイルを運用できないJ-7とJ-8など超音速戦闘機と超音速攻撃機が加えて960機、という陣容です。データリンク能力が無く、新世代機の後備えとして本土防空に参加する事も難しく、一説には無人機に改造し攪乱用に用い得るといわれます。くわえてJ-7複座型のJJ-7練習機が200機運用中とのこと。  

爆撃機は1952年にソ連が開発したTu-16をコピーしたH-6爆撃機が120機のみ。早期警戒機として実験的試みとしまして後述するY-8輸送機にレーダーを搭載したKL-200を7機装備し、Il-76を原型とする最新鋭のKJ-500が開発中、輸送機はソ連製Il-76輸送機を導入中で14機を装備、主力輸送機はソ連製A-12輸送機をコピーしたY-8輸送機が54機と改良型のY-9輸送機が9機、となっています。

特殊用途航空機として、Y-8電子偵察型が19機程度、旅客機原型で電子偵察型のTu-154が4機、H-6爆撃機原型のHY-6空中給油機が10機、この他に複葉機のAn-2輸送機を200機程度や初等練習機に人員輸送機等を多数装備しており、全体的な航空機数は3000機を超える規模となっています。

北大路機関:はるな くらま
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コメント (2)
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