週報:世界の防衛,最新12論点
今回は陸軍関連の12の話題です。
オランダ軍は最新型のAH-64Eアパッチガーディアンを受領しました、最新型のAH-64EはAH-64E-version6とよばれる新型です。なお、オランダでは陸軍部隊の空中機動部隊用を含め空軍がヘリコプターを所管しており、このAH-64E-V6についてもオランダ空軍が受領しています。V6はアメリカ陸軍にも納入されていない世界初のAH-64E-V6配備です。
AH-64E-V6について、オランダ空軍は2019年に28機の調達を契約しており、2025年までに28機すべてを導入予定です。オランダ陸軍はAH-64Aの時代からアパッチを運用しており、1998年からAH-64Dアパッチロングボウを運用していますが、このAH-64EはAH-64Dの代替機に当たります。オランダ陸軍には第11空中機動旅団が編成されています。
パトリアAMVにスパイク
頑丈な装甲車であるパトリアAMVですが戦車と遭遇した際の備えは必要なのでしょう。
クロアチア陸軍はパトリアAMV装甲車からのスパイクLR対戦車ミサイル発射システムの実戦配備を開始しました。これはオイゲンクヴァテルニク演習場において行われたパトリア22演習において実弾射撃を実施するの形で公開されたものです。パトリアAMV装輪装甲車はフィンランドが設計した防御力の高さに定評あるモジュラー型装輪装甲車です。
クロアチア陸軍ではパトリアCRO-30L装甲車として正式採用されています、導入されたのは126両で運用による評価は高く、42両の追加調達を検討中となっています。クロアチア軍はこの装甲車にUT30-Mk2無人砲塔を搭載していて、これには30mm機関砲が装備されていますが、ここに射程4000mのスパイクLR対戦車ミサイルを搭載したかたちです。
中古BMPはマルダーに
退役させた装備を備蓄している点は日本があっさり解体している事を考えれば重要です。
ギリシャ陸軍はドイツ政府よりマルダー装甲戦闘車を受領しました。これはドイツ政府のウクライナ支援策の一巻として行われているもので、ウクライナ軍装備と互換性のある旧ソ連製装備をウクライナへ軍事支援した国へドイツ製装備を補填に供与するというこころみです。ギリシャ軍は東ドイツ軍廃止後取得の中古BMP-1装甲戦闘車を供与しました。
マルダー1A3装甲戦闘車40両の一部が10月21日、ギリシャへ搬入され、これに先立つ10月初旬、ギリシャ政府はBMP-1装甲戦闘車40両をウクライナへ提供しています。BMP-1は安価ということで中古取得したものの稼働率や整備性等で使い道が無く保管されていたもので、比較的高性能のマルダー1と交換できたことが初の実用的な使い道といえましょう。
ボラ弾道ミサイル
日本の反撃能力整備もこうした趨勢に乗っているだけなのでしょうかね。
インドネシア軍はトルコよりボラ戦術弾道ミサイルを導入するとのこと。このボラ戦術弾道ミサイルとは、トルコのロケットサン社が開発した戦術弾道ミサイルですが、射程は700kmと準中距離弾道ミサイルに含まれる射程を発揮します。ミサイル本体部分の重量は2.8tありラムジェット方式で飛翔しGPS誘導と慣性誘導方式を併用し精度を高めている。
ボラ戦術弾道ミサイル、この導入契約はさきごろ開催されたインドディフェンス国際兵器展示会において結ばれたもので、トルコにくわえてロケットモーター部分の製造にはチェコのエクスカリバー社が参画していることから、その輸出契約へはチェコも参加しました。ボラは射程もさることながら命中精度もCEP30mから50mと高い精度を有しています。
インドのアグニP
こちらは日本が想定しない核ミサイルだ。
インド軍は10月21日、新型のアグニP弾道ミサイルの第三回発射実験に成功しました。ミサイルはDRDOインド国防開発機構が担当し、射程は2000kmに達するものとされています。この三度目の試験は過去二度にわたる発射性能の基本確認を超え、地上施設や二隻のミサイル追跡船による赤外線やレーダーと電子光学情報により技術情報を精査しました。
アグニP弾道ミサイル、今回の試験では多弾頭による再突入試験が行われています、弾頭重量は1.5tであり、また多弾頭を採用するとともにアグニPは終末誘導能力を有するものとされ、インド軍では中国海軍のインド洋への空母機動部隊進出を想定し、このミサイルを中国空母脅威に対処する対艦弾道ミサイルに転用することも視野に開発進めています。
リトアニアが重迫撃砲
自衛隊が採用したフランス設計の120mm迫撃砲とは異なる方式のコンテナを用いた機動性のある迫撃砲システムとのこと。
リトアニア軍はスペインEXPAL社製120mm重迫撃砲を導入します、導入するのはEXPALシステムズの120-MX2-SM重迫撃砲でハンヴィーなどの高機動車両で牽引するトレーラーと一体型の迫撃砲システムとなっており、トレーラ上に砲身と弾薬コンテナが格納されていて、射撃時には砲座ごと地面に設置して迅速に射撃を行うシステムとされる。
120-MX2-SM重迫撃砲の射程は8kmで調達数はまだ明らかにされていませんが、EXPAL社との契約は980万ユーロとのこと。EXPAL社はこのほかに81mm迫撃砲や60mm迫撃砲を加えワンストップシステムという無人機と射撃統制システム及びデータリンクシステムを一体化させた戦域火力システムを開発しており、こちらも提示されているもようです。
RBS-70をリトアニア採用
RBS-70は初期型の81式短距離地対空誘導弾を一発づつ運用しているような射程の大きさが有ります。
リトアニア軍はスウェーデンよりRBS-70可搬式地対空ミサイルを導入するべくサーブ社と契約を結びました。リトアニア軍では即応性の高い防空システムを求めており、今回携帯地対空ミサイルのなかでも比較的大型というRBS-70ミサイルが選定された形です。RBS-70は携帯地対空誘導弾に区分されるのですが非常に重く発射架での運用が原則です。
RBS-70の強みはその射程の長さにあり、有効射程8kmと有効射高6000m、この種のミサイルとしては初期型の81式短距離地対空誘導弾に匹敵する射程を有しているもの。また対電子妨害能力の高さなどが採用の背景にあるとのこと。リトアニア軍は導入するRBS-70を唯一の防空砲兵部隊であるリトアニア防空砲兵大隊へ配備する方針ということでした。
アメリカのアイアンドーム
アメリカ海兵隊の運用を考えますと自衛隊の87式自走高射機関砲や開発中止したM42ヨーク自走高射機関砲のほうがともおもう。
アメリカ海兵隊はアイアンドームミサイル防衛システムの評価試験を完了しました。アイアンドームはイスラエルのラファエル社がイスラエルの人口密集地域に定期的に撃ち込まれる大量のカッサムロケット弾の迎撃に活用されているもので、複数の20連装ミサイル発射装置がロケット弾による同時多数の飽和攻撃をも有効に迎撃する性能で知られます。
アイアンドームミサイル防衛システムに対してアメリカ海兵隊は近年増大する無人航空機の自爆攻撃という脅威や離島地域での巡航ミサイルによる海岸堡への攻撃から防衛するための装備という位置づけとして導入を検討しているものです。アメリカ海兵隊では一年間にわたり評価試験を実施、標的機多数での飽和攻撃への対処能力なども確認されたという。
ホーク地対空ミサイルをアメリカ海兵隊は2002年まで運用していましたが、海兵隊の海岸堡などが攻撃される懸念が2000年代初頭のテロとの戦いにおいて想定しにくくなり、すべて携帯地対空ミサイルシステムのスティンガーに統合されました。ただ中国の脅威が増大する今日、射程4kmのスティンガーでは射程が全く不足で、今回の施策が進められている。
オーストラリアのボクサー
偵察警戒車の後継を考える日本にとっては採用が決定したパトリアAMVが非常に車高が高いものの在れに敢えて砲塔を載せるべきか、三菱の機動装甲車機関砲搭載型を採用するか難しい所だ。
オーストラリア国防省は導入しているボクサー装甲偵察車の初度作戦能力獲得を発表しました。ボクサー装甲偵察車はモジュール装甲車であるドイツ製ボクサー装輪装甲車のオーストラリア軍仕様であり、2027年までに211両を装備する計画とです。製造を担当するラインメタル社によれば420名のオーストラリア正規雇用を生んでいるとされています。
ボクサーCRV装甲偵察車は陸軍第7旅団2/14騎兵大隊へ配備されていて、老朽化しているASLAV装甲偵察車の後継に位置づけられています。今回の初度作戦能力獲得はこれまでの総仕上げであるシーレイダー演習を通じて確認され、この演習の一環として強襲揚陸艦アデレードからの揚陸するシーエクスプローラー演習に参加し、初度作戦能力を示しました。
トルコ戦車開発難航
戦車国産技術の構築は難しいらしい、これをみますと日本も短期間で量産し数十年改良に努め数十年後に新型戦車を量産する場合、開発や生産基盤が霧散しないかというリスクをどうしても感じてしまうのです。
トルコ軍が韓国の協力を受け開発を進めるアルタイ主力戦車が量産化に難航しているようです。トルコはアルタイ主力戦車のカタールへの輸出を計画しており、両国の間で特命合弁会社BMCを設立していますが、2023年に試作車両2両を納入するという試みは遅延が不可避となっているようで、現在予定されている1000両の量産には暗雲が漂っています。
アルタイ戦車にはトルコ独自のバトゥパワーパックが搭載される計画ですが開発に失敗しており、韓国からパワーパックを100両分輸入する、こうした指針で進められていますがトルコが設計した車体に適合化できない状況とされます。エンジン開発は過去に韓国もK-2戦車開発時に難航を経験していますが、時間をかけ協力と技術開発により解決できました。
トルコの防衛産業はレオパルド2の改良やM-60戦車へのイスラエル製サブラ戦車改修キットの装着などで高い経験がありますが、主力戦車の量産は今回が初めてであり、韓国が培ったM-48戦車のライセンス生産やアメリカの協力を受けてのK-1戦車の設計と製造、K-1A1戦車の製造などの経験を積んだ韓国の技術には一歩及ばないのかも知れません。
イギリスの核汚染偵察試験
日本も将来の原子力事故を考えれば自衛隊が居であっても何処かの役所が取り組むべき課題と思う。
イギリス国防省DSTL国防科学技術研究所は地上無人機による核汚染地域偵察実験を実施しました。核汚染地域での偵察は防護された走行車両であってもガンマ線などの影響を完全に払拭するには難しく、自律走行可能であるAI人工知能搭載型の地上無人機などの投入が人員を放射線被ばくリスクに曝す状況を避けるほぼ唯一の手段として考えられている。
ソールズベリー平原において行われた試験ではスパキャット社製六輪全地形車両を原型とした無人車両に放射性物質の検知モジュールが搭載、陸軍が運用するフクスNBC偵察車と連携する方式で汚染調査の試験を行い、この試験は5週間に及びました。核汚染の懸念は近年、ロシア軍などによるダーティーボムの実戦投入懸念など、相応に高くなっています。
アエロ軽空挺車両
ランドクルーザーすごいという話題です。
ポーランド軍は10月31日にトヨタランドクルーザー派生型のアエロ軽空挺車両の調達計画を完了しました。ポーランド軍は空挺部隊用車両として軽量だが汎用性の高い車両を模索しており、高い信頼性と整備性と更に1000kgまでの牽引能力や100km/hの速度などが求められ、この結果としてトヨタのランドクルーザーからの改造車が選ばれています。
アエロ軽空挺車両は全長3.6mと全幅2.1mに全高2.3mと小型でありC-130輸送機に3両を搭載し空挺投下可能、ランドクルーザーをもとにポーランド複合防衛企業合弁工場において改造されており、機関銃などを標準装備しています。これまでに納入されたのは車体120両と専用牽引車80両となっていて、ポーランド軍第6空挺旅団に集中配備されている。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
今回は陸軍関連の12の話題です。
オランダ軍は最新型のAH-64Eアパッチガーディアンを受領しました、最新型のAH-64EはAH-64E-version6とよばれる新型です。なお、オランダでは陸軍部隊の空中機動部隊用を含め空軍がヘリコプターを所管しており、このAH-64E-V6についてもオランダ空軍が受領しています。V6はアメリカ陸軍にも納入されていない世界初のAH-64E-V6配備です。
AH-64E-V6について、オランダ空軍は2019年に28機の調達を契約しており、2025年までに28機すべてを導入予定です。オランダ陸軍はAH-64Aの時代からアパッチを運用しており、1998年からAH-64Dアパッチロングボウを運用していますが、このAH-64EはAH-64Dの代替機に当たります。オランダ陸軍には第11空中機動旅団が編成されています。
パトリアAMVにスパイク
頑丈な装甲車であるパトリアAMVですが戦車と遭遇した際の備えは必要なのでしょう。
クロアチア陸軍はパトリアAMV装甲車からのスパイクLR対戦車ミサイル発射システムの実戦配備を開始しました。これはオイゲンクヴァテルニク演習場において行われたパトリア22演習において実弾射撃を実施するの形で公開されたものです。パトリアAMV装輪装甲車はフィンランドが設計した防御力の高さに定評あるモジュラー型装輪装甲車です。
クロアチア陸軍ではパトリアCRO-30L装甲車として正式採用されています、導入されたのは126両で運用による評価は高く、42両の追加調達を検討中となっています。クロアチア軍はこの装甲車にUT30-Mk2無人砲塔を搭載していて、これには30mm機関砲が装備されていますが、ここに射程4000mのスパイクLR対戦車ミサイルを搭載したかたちです。
中古BMPはマルダーに
退役させた装備を備蓄している点は日本があっさり解体している事を考えれば重要です。
ギリシャ陸軍はドイツ政府よりマルダー装甲戦闘車を受領しました。これはドイツ政府のウクライナ支援策の一巻として行われているもので、ウクライナ軍装備と互換性のある旧ソ連製装備をウクライナへ軍事支援した国へドイツ製装備を補填に供与するというこころみです。ギリシャ軍は東ドイツ軍廃止後取得の中古BMP-1装甲戦闘車を供与しました。
マルダー1A3装甲戦闘車40両の一部が10月21日、ギリシャへ搬入され、これに先立つ10月初旬、ギリシャ政府はBMP-1装甲戦闘車40両をウクライナへ提供しています。BMP-1は安価ということで中古取得したものの稼働率や整備性等で使い道が無く保管されていたもので、比較的高性能のマルダー1と交換できたことが初の実用的な使い道といえましょう。
ボラ弾道ミサイル
日本の反撃能力整備もこうした趨勢に乗っているだけなのでしょうかね。
インドネシア軍はトルコよりボラ戦術弾道ミサイルを導入するとのこと。このボラ戦術弾道ミサイルとは、トルコのロケットサン社が開発した戦術弾道ミサイルですが、射程は700kmと準中距離弾道ミサイルに含まれる射程を発揮します。ミサイル本体部分の重量は2.8tありラムジェット方式で飛翔しGPS誘導と慣性誘導方式を併用し精度を高めている。
ボラ戦術弾道ミサイル、この導入契約はさきごろ開催されたインドディフェンス国際兵器展示会において結ばれたもので、トルコにくわえてロケットモーター部分の製造にはチェコのエクスカリバー社が参画していることから、その輸出契約へはチェコも参加しました。ボラは射程もさることながら命中精度もCEP30mから50mと高い精度を有しています。
インドのアグニP
こちらは日本が想定しない核ミサイルだ。
インド軍は10月21日、新型のアグニP弾道ミサイルの第三回発射実験に成功しました。ミサイルはDRDOインド国防開発機構が担当し、射程は2000kmに達するものとされています。この三度目の試験は過去二度にわたる発射性能の基本確認を超え、地上施設や二隻のミサイル追跡船による赤外線やレーダーと電子光学情報により技術情報を精査しました。
アグニP弾道ミサイル、今回の試験では多弾頭による再突入試験が行われています、弾頭重量は1.5tであり、また多弾頭を採用するとともにアグニPは終末誘導能力を有するものとされ、インド軍では中国海軍のインド洋への空母機動部隊進出を想定し、このミサイルを中国空母脅威に対処する対艦弾道ミサイルに転用することも視野に開発進めています。
リトアニアが重迫撃砲
自衛隊が採用したフランス設計の120mm迫撃砲とは異なる方式のコンテナを用いた機動性のある迫撃砲システムとのこと。
リトアニア軍はスペインEXPAL社製120mm重迫撃砲を導入します、導入するのはEXPALシステムズの120-MX2-SM重迫撃砲でハンヴィーなどの高機動車両で牽引するトレーラーと一体型の迫撃砲システムとなっており、トレーラ上に砲身と弾薬コンテナが格納されていて、射撃時には砲座ごと地面に設置して迅速に射撃を行うシステムとされる。
120-MX2-SM重迫撃砲の射程は8kmで調達数はまだ明らかにされていませんが、EXPAL社との契約は980万ユーロとのこと。EXPAL社はこのほかに81mm迫撃砲や60mm迫撃砲を加えワンストップシステムという無人機と射撃統制システム及びデータリンクシステムを一体化させた戦域火力システムを開発しており、こちらも提示されているもようです。
RBS-70をリトアニア採用
RBS-70は初期型の81式短距離地対空誘導弾を一発づつ運用しているような射程の大きさが有ります。
リトアニア軍はスウェーデンよりRBS-70可搬式地対空ミサイルを導入するべくサーブ社と契約を結びました。リトアニア軍では即応性の高い防空システムを求めており、今回携帯地対空ミサイルのなかでも比較的大型というRBS-70ミサイルが選定された形です。RBS-70は携帯地対空誘導弾に区分されるのですが非常に重く発射架での運用が原則です。
RBS-70の強みはその射程の長さにあり、有効射程8kmと有効射高6000m、この種のミサイルとしては初期型の81式短距離地対空誘導弾に匹敵する射程を有しているもの。また対電子妨害能力の高さなどが採用の背景にあるとのこと。リトアニア軍は導入するRBS-70を唯一の防空砲兵部隊であるリトアニア防空砲兵大隊へ配備する方針ということでした。
アメリカのアイアンドーム
アメリカ海兵隊の運用を考えますと自衛隊の87式自走高射機関砲や開発中止したM42ヨーク自走高射機関砲のほうがともおもう。
アメリカ海兵隊はアイアンドームミサイル防衛システムの評価試験を完了しました。アイアンドームはイスラエルのラファエル社がイスラエルの人口密集地域に定期的に撃ち込まれる大量のカッサムロケット弾の迎撃に活用されているもので、複数の20連装ミサイル発射装置がロケット弾による同時多数の飽和攻撃をも有効に迎撃する性能で知られます。
アイアンドームミサイル防衛システムに対してアメリカ海兵隊は近年増大する無人航空機の自爆攻撃という脅威や離島地域での巡航ミサイルによる海岸堡への攻撃から防衛するための装備という位置づけとして導入を検討しているものです。アメリカ海兵隊では一年間にわたり評価試験を実施、標的機多数での飽和攻撃への対処能力なども確認されたという。
ホーク地対空ミサイルをアメリカ海兵隊は2002年まで運用していましたが、海兵隊の海岸堡などが攻撃される懸念が2000年代初頭のテロとの戦いにおいて想定しにくくなり、すべて携帯地対空ミサイルシステムのスティンガーに統合されました。ただ中国の脅威が増大する今日、射程4kmのスティンガーでは射程が全く不足で、今回の施策が進められている。
オーストラリアのボクサー
偵察警戒車の後継を考える日本にとっては採用が決定したパトリアAMVが非常に車高が高いものの在れに敢えて砲塔を載せるべきか、三菱の機動装甲車機関砲搭載型を採用するか難しい所だ。
オーストラリア国防省は導入しているボクサー装甲偵察車の初度作戦能力獲得を発表しました。ボクサー装甲偵察車はモジュール装甲車であるドイツ製ボクサー装輪装甲車のオーストラリア軍仕様であり、2027年までに211両を装備する計画とです。製造を担当するラインメタル社によれば420名のオーストラリア正規雇用を生んでいるとされています。
ボクサーCRV装甲偵察車は陸軍第7旅団2/14騎兵大隊へ配備されていて、老朽化しているASLAV装甲偵察車の後継に位置づけられています。今回の初度作戦能力獲得はこれまでの総仕上げであるシーレイダー演習を通じて確認され、この演習の一環として強襲揚陸艦アデレードからの揚陸するシーエクスプローラー演習に参加し、初度作戦能力を示しました。
トルコ戦車開発難航
戦車国産技術の構築は難しいらしい、これをみますと日本も短期間で量産し数十年改良に努め数十年後に新型戦車を量産する場合、開発や生産基盤が霧散しないかというリスクをどうしても感じてしまうのです。
トルコ軍が韓国の協力を受け開発を進めるアルタイ主力戦車が量産化に難航しているようです。トルコはアルタイ主力戦車のカタールへの輸出を計画しており、両国の間で特命合弁会社BMCを設立していますが、2023年に試作車両2両を納入するという試みは遅延が不可避となっているようで、現在予定されている1000両の量産には暗雲が漂っています。
アルタイ戦車にはトルコ独自のバトゥパワーパックが搭載される計画ですが開発に失敗しており、韓国からパワーパックを100両分輸入する、こうした指針で進められていますがトルコが設計した車体に適合化できない状況とされます。エンジン開発は過去に韓国もK-2戦車開発時に難航を経験していますが、時間をかけ協力と技術開発により解決できました。
トルコの防衛産業はレオパルド2の改良やM-60戦車へのイスラエル製サブラ戦車改修キットの装着などで高い経験がありますが、主力戦車の量産は今回が初めてであり、韓国が培ったM-48戦車のライセンス生産やアメリカの協力を受けてのK-1戦車の設計と製造、K-1A1戦車の製造などの経験を積んだ韓国の技術には一歩及ばないのかも知れません。
イギリスの核汚染偵察試験
日本も将来の原子力事故を考えれば自衛隊が居であっても何処かの役所が取り組むべき課題と思う。
イギリス国防省DSTL国防科学技術研究所は地上無人機による核汚染地域偵察実験を実施しました。核汚染地域での偵察は防護された走行車両であってもガンマ線などの影響を完全に払拭するには難しく、自律走行可能であるAI人工知能搭載型の地上無人機などの投入が人員を放射線被ばくリスクに曝す状況を避けるほぼ唯一の手段として考えられている。
ソールズベリー平原において行われた試験ではスパキャット社製六輪全地形車両を原型とした無人車両に放射性物質の検知モジュールが搭載、陸軍が運用するフクスNBC偵察車と連携する方式で汚染調査の試験を行い、この試験は5週間に及びました。核汚染の懸念は近年、ロシア軍などによるダーティーボムの実戦投入懸念など、相応に高くなっています。
アエロ軽空挺車両
ランドクルーザーすごいという話題です。
ポーランド軍は10月31日にトヨタランドクルーザー派生型のアエロ軽空挺車両の調達計画を完了しました。ポーランド軍は空挺部隊用車両として軽量だが汎用性の高い車両を模索しており、高い信頼性と整備性と更に1000kgまでの牽引能力や100km/hの速度などが求められ、この結果としてトヨタのランドクルーザーからの改造車が選ばれています。
アエロ軽空挺車両は全長3.6mと全幅2.1mに全高2.3mと小型でありC-130輸送機に3両を搭載し空挺投下可能、ランドクルーザーをもとにポーランド複合防衛企業合弁工場において改造されており、機関銃などを標準装備しています。これまでに納入されたのは車体120両と専用牽引車80両となっていて、ポーランド軍第6空挺旅団に集中配備されている。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)