北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【日曜特集】海上自衛隊60周年観艦式【07】ヘリコプター搭載護衛艦くらま浦賀水道を太平洋へ(2012-10-08)

2023-02-12 20:00:16 | 海上自衛隊 催事
■思えば平和だった
 二〇一二年自衛隊観艦式の頃は護衛艦くらま以下今では歴史となっていった護衛艦も健在だったのですが、思えば緊張感はあるも平和な時代だった。

 観艦式特集、日曜特集として過去の自衛隊行事を紹介するとともに日常で掲載する防衛装備品や時事関連の話題に掲載するための写真アーカイブスを整理するという目的でも掲載しています観艦式特集ですが、この掲載を開始した昨年末には象徴的な転換点が。

 安全保障関連三文書が発表されます。防衛政策の大転換が始まり、これはCIVID-19感染拡大前に、月刊軍事研究が別冊にて自衛隊の50年に一度の大改編が開始されるという、善通寺駐屯地祭市街パレードの様子を表紙、水陸機動団と即応機動連隊を中心とした話題です。

 わたしが撮影していたのは表紙撮影位置から20mくらい後ろか、特集が組まれていました。ただ、自衛隊改編は2022年の改編が、かなりのリソースを反撃能力につぎ込むという、MLRSを廃止しそのリソースを反撃能力へ、AH-1Sを廃止しそのリソースを反撃能力へ。

 AH-64Dも廃止してそのリソースを反撃能力へ、OH-1といいますか観測ヘリコプターを全廃してそのリソースを反撃能力へ、88式地対艦誘導弾を廃止して反撃能力へ、12式地対艦誘導弾を廃止して反撃能力へ、U-125救難機を廃止して反撃能力へ、というものです。

 MLRSはM-270の後継装備にM-270A2でも調達するならばいいのでしょうが、そんな予算は無駄だとばかりに反撃能力を整備するという。まさに史上最大の防衛改革とおもう、が、賛同はしにくい。極端すぎる防衛力整備というものです、たとえば海上を例にすると。

 潜水艦が重要だと考える人に、その通りだ潜水艦を大幅に増強しよう、護衛艦は全廃だ、とかりに提示しますと極論過ぎる、と逆に反対されるでしょう。戦車はウクライナの戦場で評価されたといって普通科を全廃して戦車に置き換えるといえばやはり反対されるでしょう。

 50年に一度の大改革という2020年の表現は、そうではなく2022年こそ70年に一度といいますか、明治建軍以来の大改編といえるのです。痛いのはいやなので長距離打撃力に極振りしたいと思います、的な。即応機動連隊の改編は維持されるようですけれどもね。

 白書、しかし防衛白書に記された地対艦ミサイルが反撃能力に置き換わるという防衛省の説明を参考に、MLRSで海岸線の敵を撃破する運用も反撃能力に切り替わり、戦闘ヘリコプターなども反撃能力と、これは一部どんな機体を導入するのか不明なのですが。

 無人航空機で置き換えるようですけれども、防衛白書に記される防衛のあり方は、随分と変容することとなります。離島などで即応機動連隊が海岸線付近で敵の前進を阻んでいる間に、敵本土の港湾施設と飛行場を全力でミサイル攻撃するという現状からは一変する。

 防衛白書の防衛に関するイラストは随分と簡単になりますが、しかしイラストのイメージ図は敵国本土まで描かなければならないので大変です。陸上防衛は、相手が限定侵攻を仕掛けてきた場合に初動で相手を釘付けにする部隊をのぞけば、あとは全部変ります。

 多くが射程2000km規模の反撃能力、現在の自衛隊には装備されていない射程のミサイルにより置き換わる事となる。限定侵攻に初動の即応部隊で対応できなければ即座に相手国本土をミサイル攻撃する全面戦争に拡大するという、かなり思い切ったといいますか。

 北朝鮮型の自衛隊へ転換することとなります。ただ、これを防衛産業が本気で受け止めているならば、と懸念するのです。三菱重工の誘導関連の事業部付近には今後毎年数兆円のミサイル発注が十年単位で続くこととなりますので、現実になれば特需景気といえる。

 春日井や小牧当たりでタワーマンションラッシュになっていそうですが、先日そのあたりを所用で探訪しました際にはそのような気配はなく、防衛産業も、この勇ましい政策は岸田政権の寿命次第、とまではいかないにしても、これまでなんども繰り返されてきた事が。

 250機調達する航空機が33機で打ち止めとか、66機調達するというから部品を調達したものの13機で打ち止めとか、141機製造するはずの戦闘機が急に93機、と苦杯を飲まされてきましたので、静観しているという印象です。実際仮に現状のまま選挙に勝てるのか。

 防衛増税を争点に衆院総選挙をやって勝てる気がしないのですね、おそらく子育て政策や地方活性化政策とともに防衛増税をパッケージ化させて焦点を曖昧なものとするのでしょうけれども。結局、防衛産業はそんな危ない橋を渡れず、無駄に税金が流れる懸念さえ。

 観艦式、政府は反撃能力整備までの間隙を縫うべく、当面は先ずトマホークミサイルをアメリカから導入し、当面をしのぐとのこと。こうしますと、防衛費も増額することとなりますので、現在すすむ護衛艦もがみ型量産と平行し、将来護衛艦が建造される事は無いか。

 VLS垂直発射装置を大幅に増大させた護衛艦むらさめ型後継艦を前倒しで建造するのかもしれません。いや、こうした視点はまず八月の防衛予算概算要求をまたなければ先走りすぎということになるのでしょうけれども、政府が導入するトマホークミサイルもここは。

 現在の護衛艦には対空ミサイルと対潜用のアスロックを搭載してぎりぎりのVLS垂直発射装置しか搭載されていません、アスロックを予備弾半数を下ろして4発程度トマホークを載せる選択肢も、ないにはないのですけれども、数百発のトマホークを導入するのです。

 数発を護衛艦にひろく搭載したとしても、載せられる本数は知れています。潜水艦、ハープーンミサイルの後継にトマホークを載せる、これも出来ないことはないのですが。潜水艦に搭載する、ハープーンミサイルは便利そうに見えるものですが発射しますと難点が。

 即座に潜水艦の航行海域は暴露します、ハープーンの射程を考えれば潜水艦にはかなり自殺行為でして、射程の大きなトマホークの搭載はハープーンを置き換えるのに理想的です、ただ、これにしても潜水艦のミサイルと魚雷の搭載本数は22発程度でしかありませんから。

 まったく魚雷を下ろして巡航ミサイル潜水艦とするわけにも行かないでしょう、すると一隻あたり魚雷のほかに搭載できるトマホークミサイルはやはり数発、となる。個人的には、おやしお型潜水艦を、これは今自衛隊でもっとも古い、といいつつ自衛隊の潜水艦は若い。

 世界的に見れば最新鋭に伍する潜水艦について、最新鋭たいげい型潜水艦の建造が進むとともに延命改修と更に船体を延長、はるしお型潜水艦あさしおAIP実験区画追加改修のように、いったん切り離した船体にもう一つの区画を挿入して全長を15mほど延長させる。

 この区画にトマホークミサイル用水中発射VLSを追加しては、と考えるのです。現在製造されているトマホークは潜水艦魚雷発射管から発射できないものとなっていますので、アメリカ海軍の在庫から購入しない限りはVLSを搭載した潜水艦を新造するほかなくなる。

 ヴァージニア級攻撃型原潜にとりつけられているようなトマホーク四発内蔵型VLSを3セルか6セルおやしお型へ追加しますと、12発から24発搭載できることとなる、トマホーク運用能力は相手国からみれば脅威ですので、こうした潜水艦なんてものでもなければ、政府が導入を決定したミサイルを詰めないように思うのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】護浄院清荒神,雪残る京都の節分神事は如意ヶ岳の白大文字と火で清める仏法の守り手

2023-02-12 18:15:14 | 写真
■セッツブーン二〇二三
 今年は節分も賑わいが戻ってきたよう思うのです。

 白大文字、というように勝手に読んでいるのですが、これは京都の冬の風物詩とおもっています。前は北大路機関の資料庫からもみえたのですが、悲しいかなとなりに高い建物が建ってしまいまして壁しか見えません。スペース金閣寺基地とかいろいろあったのですが。

 如意ヶ岳の大文字は五山送り火で有名ですが、この火床のあたりまでは自由に登山道が整備されていますので、夜景を眺めにちょっとだけ登山、という方も多い。さすがに高すぎるぞ、という方には左大文字山が標高が低く散策ついでにはお勧めといえるかもしれない。

 護浄院、今回散策に寄りましたのは京都御所にほど近い、しかし白大文字が参道からよく見えるという堂宇です。荒神口バス停、この名前を市内をバスで移動する際にお気づきの方も多いでしょう、ここが荒神さん、ここでは白大文字を見上げつつ節分神事が行われた。

 宝亀3年こと西暦772年までこの御堂の歴史はさかのぼります、時の光仁天皇、その皇子であらせられる開成皇子が遠く摂津国勝尾山にて修行のこと、荒神と邂逅するという縁がありまして、開成皇子はその様子を彫像し、御所に小さな堂宇を建て祀ったのが始まり。

 節分のこの日、一部にはセッツブーン!、と賑わうところもあるようですが護浄院清荒神さんのところも節分会でにぎわっています、ここは焚火で熱しましたお神酒を竹盃として節分に際してご志納とともに供していまして、まあ節分だからいいよね的な雰囲気も漂う。

 上京区荒神口通寺町東入ル荒神町、ここは京都御所の東側、鴨川に挟まれた一角にありまして、実は別表神社はじめ寺社仏閣が多く集まる一角なのですが、観光地のような喧騒とは無縁であり、観光地で思い切りいい写真を撮る、と気取らない散策にはお勧めとおもう。

 寺町通沿いですので、しかし実はあの新京極、今年が150周年ということですけれども、修学旅行生の定番というその新京極通に並行している寺町通が、伸びて伸びて御所のあたりまで散策しますと、この堂宇に至ります。ただ、徒歩では25分ほどかかるみちのり。

 寺町二条の界隈は古くには古書店などが並んだといいまして、まあ確かにあるにはあったのですが、今は入れ替わりが激しい一角という印象です。しかし街路が整備され、ここは事なのか、と思ったところに町家があったりで、今出川通くらいまでの散策は愉しいもの。

 荒神、こう文字に起こしますと、NHKさんが怪獣映画のような番組をやってくれましたので、御所に怪獣でも飼っていたのか、ガメラかよ、とおもわれるかもしれませんが、荒神というのは僧侶を不浄から守り、またかまどの神様のこと、ご飯を炊いたりするところ。

 金剛山にて役小角が修業をしていたところへ降臨した、という飛鳥時代の伝説があるものなのですが、密教における不動明王のような憤怒の表情という佛神でして、しかし大陸における荒神信仰はヒンドゥー教の神のうち仏教に帰依した神様を指すという解釈もある。

 かまどの神様、ヒンドゥー教の話まで進みますとかまどの神様とのつながりがわかりにくくなるのですが、もともとは仏僧を不浄から守るという神様です、これは信仰の広がりとともに伽藍などを守る、という概念に発展してゆきまして、そこから火を司る事となった。

 不浄から守る神様で不浄を祓うといえば古来からわが国では火が用いられましたし、また伽藍を守るというものでは伽藍の最大の敵は火災である。故にこう火の用心に信仰が移りまして民間では火といえばかまどだ、と崇敬されるようになりましたのが、荒神さんです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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トルコ南部地震-甚大被害のシリア反政府勢力滞る支援,国連支援漸く-アサド独裁政権に被災地支援の方針無し

2023-02-12 07:00:01 | 防災・災害派遣
■臨時情報-トルコ南部地震
 崩れている建物の様子が阪神大震災よりも遥かに多い状況故に心が痛むのですが。

 トルコ南部地震、犠牲者は2万4000名という状況でして、行方不明者の救出を進めれば進むほどに犠牲者の素ゆじだけががってゆくという状況です。阪神大震災の様な直下型地震が脆弱な建物を襲い、トルコの耐震基準は近年強化されているものの、耐震基準通りでは中所得層には建築費が大き過ぎる点が、脆弱な建物を多くした状況があります。しかし。

 内戦中のシリア領内、反政府勢力掌握地域での被災状況が、全く支援が届かないという点で深刻です。10日に国連の車両が漸く人道物資を搭載し到着しましたが、人道物資は毛布とテント、被災地が必要としているのはまだ瓦礫の下で助けを待つ膨大な行方不明者を救出する建設機械と専門のレスキュー要員ですが、こうした支援の手は伸びていません。

 シリア領内へ、例えばPKO部隊等を派遣し一時的に人道支援を実施した場合にシリア政府軍からの攻撃等を阻止する人道介入ができれば理想的なのですが、現在のPKOは2002年依然と異なり、安全保障理事会の所管である為に大規模地震災害が果たして安全保障理事会を招集する対象であるかについても、現在の国連は前例踏襲主義を堅持する状況です。

 紛争地での人道問題、これは大規模災害であった場合でも国連以外の主権国家が紛争当事国の了承なしに介入することは、いわゆる“国境を越えた義務”のような人道介入として看過しうるのか、それとも政党政府との紛争問題に発展する可能性から自重するべきなのか、国際人道法は、地域紛争や内戦を扱っても紛争地での大災害には未着手という部分が。

 PKO国連防護軍など、安全保障理事会の所管以外での、国連人道支援軍のような組織を総会において、これは恰も過去、スエズ危機に際して安保理の米ソ対立による拒否権行使が朝鮮戦争のような国連軍編成にたどり着けず、国連総会が独自のPKO国連平和維持軍という新組織を立ち上げた様な、こうした決断が必要なのかもしれません、前例を覆して。

 国連憲章には加盟国の義務として国連の支援義務が明記されています、その支援の定義が曖昧ゆえに国連創設当時の各国軍隊の指揮系統統一というような壮大な展望は、そもそも軍事参謀委員会さえ70年近く招集されておらず、30年以上前の湾岸戦争の際には、軍事参謀委員会室の鍵が見つからないと騒がれていましたが、各国へ支援要請位はだせるはず。

 復興やインフラ整備についても、反政府勢力掌握地域での復興支援は、ともすれば反政府勢力支援と反論され、支援国が係争当事国になりかねないという非常に大きな問題を突き付けるのですが、他方今回の震災の破壊状況を見る限り、だからと言って反政府勢力の減衰に繋がる様子をシリア政府が奇貨として受け取ることを看過することもまた人道問題だ。

 今回の巨大災害は、震災という点単体で見ても悲劇的なものでしたが、内戦中の国、しかも一方が交戦団体承認を受けず単なる一般刑法犯として戦闘員が裁かれる事例があった内戦の地域における大規模災害と国家承認などを棚上げしての支援の枠組み、こうしたもののあり方も、次に続かないでほしいのですが、次の災害に備え、検討が必要なのでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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