北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】フィリピン軍ネスターアセロ級ミサイル艇とスパイダー地対空ミサイル,サブラ軽戦車の受領

2023-02-14 20:06:53 | 先端軍事テクノロジー
特報:世界の防衛,最新論点
 今週は成長著しいフィリピン軍の最新情報です。

 フィリピン海軍は11月28日、新たに2隻のネスターアセロ級ミサイル艇を受領しました。ネスターアセロ級ミサイル艇は全長32m、哨戒艇にスパイクNLOS視程外ミサイルを搭載しておりこのほかに30mm機関砲を搭載、最高速力は40ノットに達します。2隻のミサイル艇はフィリピンの入り組んだ多島海域において重要な水上打撃力を構成します。

 ネスターアセロ級ミサイル艇はイスラエルが建造したシャルタグ級哨戒艇の輸出仕様で、この引き渡し式にはイスラエルからイランフルス大使とラファエルディフェンスシステムズ社の関係者、フィリピン軍参謀総長バルトメビセンテバカロ中将が出席しました、フィリピン海軍は中国脅威を受け限られた予算の中で水上戦闘艦などの整備を急いでいます。

 シャルタグ級哨戒艇はもともとミサイル艇ではなく、オプションとしてミサイルが搭載されており、フィリピン海軍では哨戒艇としてネスターアセロ級9隻を導入、内4隻をミサイルで武装させる運用で、フィリピン領海に接近する非友好諸国の艦艇には、一見してミサイル艇か哨戒艇かを判別を難しくする厳しい予算下でも運用方式をとるとのことです。

 フィリピン空軍は11月8日、イスラエルから導入したスパイダー地対空ミサイルシステムを報道公開しました、今回導入したものはイスラエルのラファエルアドバンスディフェンスシステムズ社の開発したスパイダーMR中距離地対空ミサイルで、この装備化はフィリピン軍にとり建国以来と建軍以来でも初の中距離地対空ミサイル導入ともなりました。

 スパイダーMR地対空ミサイルシステムは3個射撃中隊所要が今回導入されており、その取得費用は1億4100万ドル規模となっています。配備は空軍で、今回の導入においてパンパンガ州のバサ空軍基地に新しく第960航空ミサイル防衛群が創設されていて、2023年に配備開始となるインド製ブラモス地対艦ミサイルの直掩防空が主な任務とされています。

スパイダー地対空ミサイルはイスラエル軍が配備するパイソン空対空ミサイルの地対空型として開発され、原型のスパイダーミサイルの射程は15kmとなっていました、しかしスパイダーMRミサイルはパイソンにブースターを追加しており射程は35km、また1万6000mの高度まで迎撃能力を有していて、レーダーの探知距離は80kmとなっています。

 フィリピン軍はサブラ軽戦車の受領を開始しました。これは2022年12月25日、ケソン市内にておこなわれましたフィリピン軍創設87周年記念行事において装備品展示され、フィリピン機甲師団への配備を大きく誇示しています。機甲師団の名前ではありますが、過去フィリピンはまともな戦車を導入した経験が無く軍事圧力背景に導入を決断しました。

 サブラ軽戦車はオーストリアとスペインが共同開発したASCOD装甲戦闘車の車体にいる等得るのエルビット社が105mm砲塔を搭載したもので、厳密には主力戦車ではなく装甲機動砲や戦車駆逐車に区分されるものとなりますが、サブラシステムそのものはエルビット社がM-60戦車近代化改修キットとして開発したものの延長線上であり高性能です。

 サブラ軽戦車は戦闘重量30t、一見して車高が高いのは難点ですがしかし砲塔は高度な打撃力を有しており、トローチX戦闘情報システムや車長よう独立照準装置と優先射撃機能などを有しています。これは初期の第三世代戦車に対抗しうる性能で、フィリピン軍は2023年から導入を本格化し、機甲師団には20両が配備されるけいかくとなっています。

 スウェーデン政府はフィリピン政府にJAS-39戦闘機を提案しました。JAS-39戦闘機の提案はスウェーデン政府がマニラでのスウェーデン大使とフィリピン国防省調達次官とのあいだで2022年12月22日に行われた会談で示され、特にフィリピン政府が進めているMRF多機能戦闘機計画についての話題で示されたものという。フィリピンは空軍が小さい。

 JAS-39戦闘機とともにフィリピン空軍はF-16V戦闘機を検討候補としています、F-16V戦闘機は非常に優れているとともにフィリピン周辺国では台湾が採用していますし、F-16V以前のF-16C戦闘機も韓国や台湾、東南アジアでも採用の実績があります、しかしMRF多機能戦闘機調達計画は12機と限られており、稼働率確保が大きな課題となるでしょう。

 JAS-39戦闘機は東南アジアではタイ空軍が採用していますが、スウェーデンでは分散運用を念頭に少数の戦闘機を確実に稼働させる点に設計の重点を置いています。フィリピンはアメリカの同盟国ですが、近年はインド製対空対艦ミサイルやイスラエル製自走砲に韓国製軽戦闘機など、性能とともに安価な取得費用を第一とした装備選定を進めています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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UFO未確認飛行物体アメリカ本土上空続々飛来!アメリカ空軍が警戒,4機撃墜-脅威性あるUFOは撃墜辞さず

2023-02-14 07:00:48 | 防衛・安全保障
■臨時情報-北米UFO飛来
 オカルトの話じゃない、オカルトの話じゃなく実際の安全保障上の問題なのですけれどもこの表題この論調は誤解を招く。

 アメリカ上空に相次ぎ未確認飛行物体UFO飛来、空軍戦闘機部隊連日UFOを撃墜、F-22戦闘機カナダ上空で葉巻型UFO撃墜に成功、レーダーに映り難い新たなUFOを目撃、と。何か2050年代あたりのオカルト本に特集されそうな字面となっていますが、アメリカ上空に飛来する国籍不明気球に対して、アメリカ空軍は三日連続の撃墜を実施しています。

 F-22戦闘機がバイデン大統領の命令を受け最初に撃墜した未確認飛行物体は、2020年に東北地方上空へ飛来したものと類似したアンテナ装置を装備しており、電子情報収集などに当る偵察用とされていました、高度18000mと旅客機の飛行高度よりも高く、しかしICBM基地付近などを飛行した為にF-22戦闘機が洋上で空対空ミサイルを発射し撃墜しました。

 60m、最初に撃墜されたものは飛行高度が旅客機よりも高いものの肉眼で地上から確認できています。同様の飛行物体が2020年に出現した当時、民放テレビ報道番組などでは自称専門家が、民間気球大会などで飛ばした掌に載る重さのマイクロ気球ではないかと見解をしめしていて、地上から真上でも20km近い遠方のものが見えるかと見識を疑ったが。

 気球の撃墜ですが、もっとも頻繁に行われているのは日本周辺地域、具体的に言えば南北軍事境界線付近で、韓国の民間団体が北朝鮮へ韓国の実情等を広報する為に義捐金などを搭載して飛行させているものです、これに対しては北朝鮮も激しく反発しています。またこの数日間、中国当局もアメリカから中国へ気球の飛来を主張し両国の摩擦となっている。

 10日と11日と12日、連続でアメリカ空軍は未確認飛行物体を撃墜しています、このうち一つカナダ上空で撃墜されたものについては円筒形のもので、葉巻型UFOだと一部で話題になりましたが、この三日連続で撃墜されたものは旅客機の飛行高度を飛行しており、偵察用ではないと思われるものが含まれていましたが、航空航路安全上、対処したという。

 アラスカ州上空では10日、カナダのユーコン準州で11日、そして12日には五大湖のひとつヒューロン湖上空で撃墜しています。この内、10日と11日のものは高度1万2000mというものでしたが、12日に撃墜されたものは飛行高度が6000mで、しかも情報収集用機器を搭載していた可能性が指摘され、現在落下した飛行船の調査を進めているとのこと。

 国籍不明の気球、もちろん民間の科学目的のものや趣味の交歓などのものも多数が含まれている事でしょうが、この数日間に相次ぎ撃墜するという手段へ大きく転換した背景には、もともとこの気球の中に偵察用のものが含まれている事が長年問題視されていたのでしょう。他方、旅客機飛行高度を浮遊する物体は率直に危険物である点も加味するべきです。

 旅客機飛行高度を浮遊する飛行物体、そして高高度を飛行する偵察用気球、この危険性はこの場合分けて考えるべきなのかもしれません。他方で、大型気球とは別の低高度を飛行する気球、太平洋を越えて中国大陸から運用されているのか、別のものなのか、調査する為にも、一旦地上に落とさなければならないという現状が、米中対立を更に深めているようです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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