特報:世界の防衛,最新論点
今回は欧州の装甲戦闘車の最新動静を纏めました。もっともれいによって写真は自衛隊の89式装甲戦闘車で代用ですが要するに日本もこうした潮流に乗り遅れるべきではない。
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オランダ陸軍はCV-90装甲戦闘車の延命改修車両を受領しました。スウェーデンのヘルグランド社が製造しているCV-90,現在ヘルグランド社はBAE社参加となりBAEシズテムズヘルグランド社となっていますが、オランダへCV-90装甲戦闘車を供給、オランダ軍ではCV-9035-NL装甲戦闘車として実に122両が採用されています。今回の改修幅は広い。
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CV-9035-NLは元々強力な35mm機関砲を装備していますが、今回の改修ではATGM対戦車ミサイルの運用能力を付与、またEOPS複合電子光学照準装置を新型に更新しました、しかし最大の特色はAPSアクティヴ防御装置を追加したことであり、これにより対戦車ミサイルによる攻撃から装甲戦闘車と乗車する歩兵や乗員を守ることができる改造です。
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オランダ政府はこの改修に5億ユーロを投じています、それに見合った性能向上となりますが、同時に車体の老朽部分も換装されたことで2039年までの長期運用が可能となりました。オランダは冷戦時代に1000両以上のレオパルド2戦車を装備しましたが冷戦後一時戦車を全廃した時代があり、今も戦車は若干数である為、装甲戦闘車の重要性は高いのです。
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ハンガリー軍はリンクス装甲戦闘車の一号車をドイツのラインメタル社から受領しました。引き渡し式典はブダペストのペトフィサンドル駐屯地において実施され、ラインメタル社のCEOやハンガリーの国防大臣も臨席しました。リンクス装甲戦闘車はラインメタル社がプライベートベンチャーで開発、45tの車体は極めて高い防御力を誇るものといえる。
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リンクス装甲戦闘車を導入したのはハンガリー軍が世界初であり、2020年9月に209両のリンクス装甲戦闘車、そして9両のバッファロー装甲回収車と9両のAVLB戦車橋とともに20ユーロの契約を結んでいます。当面はドイツのラインメタル社での製造となりますが、契約では後期の生産車両はハンガリー国内で組み立てられ、国内での雇用を生む契約です。
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リンクス装甲戦闘車は高い汎用性をもつ車体構造が特色であり、ハンガリーが今回採用したものは30mm機関砲の有人砲塔を搭載しますが、リンクス120機動砲として自動装填装置を備えた有人砲塔に120mm低圧砲を搭載した重量50tのものもあります、近年の120mmHEAT弾威力増大は凄まじいもので、場合によっては戦車を置き換える事も可能だ。
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スウェーデン国防軍はCV-90装甲戦闘車派生型であるCV90-RENOについて9000万ドル相当の追加契約をBAEシステムズ社との間で結びました。CV-90はヘルグラント社を吸収合併したBAEシステムズ社が生産と国際流通を担当しており、今回の契約はそのジョイントベンチャーである国内のHBトヴィックリングAB社との間で契約されています。
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CV-90装甲戦闘車はスウェーデンが開発し、重量は23tと平均的でエンジンも625hpと平均水準、対戦車ミサイルもガンポートも搭載しない一見平凡といえる装甲戦闘車でしたが、ボフォース40mm機関砲を搭載し強力な火力を有しており、なにより火力以外の個性のなさが優等生的な設計と理解され、欧州共通装甲戦闘車というべき地位を獲得した装備です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/7f/5ede9992c92af93c744e154a76a4edc0.jpg)
今回契約されたのはCV90-FM前線整備車両とCV90-CE工兵戦闘車両で、ともに強力な40mm機関砲塔は取り除かれ小型の機関銃を搭載したRWS遠隔操作銃塔を搭載、後部兵員室を作業用汎用区画するとともに工兵戦闘車は排土板を装備しています。今回契約された車両は2023年から2027年にかけ順次スウェーデン軍へ納入される計画となっています。
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ポーランド陸軍は新型のボルスク装甲戦闘車をNATO戦闘群へ配備開始しました。これは2022年11月24日のNATOポーランド戦闘群編成完結式において示されたもので、ポーランドは冷戦時代の旧式化が進んだBMP-1装甲戦闘車の後継車両として開発を続けてきました国産装甲戦闘車の初度作戦能力獲得をNATOの同盟国に示す機会ともなりました。
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NATOポーランド戦闘群は、アメリカ第1歩兵師団隷下となった第1騎兵師団第3機甲旅団戦闘団第8騎兵連隊第3大隊とポーランド第15機械化旅団、イギリス王立槍騎兵連隊プリンスオブウェールズ戦闘群及びクロアチア軍砲兵中隊とルーマニア軍防空砲兵部隊から編成されています。このなかでポーランド軍は歩兵と偵察任務を担当しています。
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ボルスク装甲戦闘車のNATO戦闘群配備に際してはポーランドのマリウシュブラシュチャク副首相兼国防大臣も臨席しています。この車両は韓国のK-9自走榴弾砲車体部分の1000hpエンジンを搭載した機動力の高さに注目し、155mm砲塔を軽量な30mm自動砲塔へ置き換えた上で後部兵員室を配置した構造で、車体は水陸両用性能を有しています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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今回は欧州の装甲戦闘車の最新動静を纏めました。もっともれいによって写真は自衛隊の89式装甲戦闘車で代用ですが要するに日本もこうした潮流に乗り遅れるべきではない。
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オランダ陸軍はCV-90装甲戦闘車の延命改修車両を受領しました。スウェーデンのヘルグランド社が製造しているCV-90,現在ヘルグランド社はBAE社参加となりBAEシズテムズヘルグランド社となっていますが、オランダへCV-90装甲戦闘車を供給、オランダ軍ではCV-9035-NL装甲戦闘車として実に122両が採用されています。今回の改修幅は広い。
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CV-9035-NLは元々強力な35mm機関砲を装備していますが、今回の改修ではATGM対戦車ミサイルの運用能力を付与、またEOPS複合電子光学照準装置を新型に更新しました、しかし最大の特色はAPSアクティヴ防御装置を追加したことであり、これにより対戦車ミサイルによる攻撃から装甲戦闘車と乗車する歩兵や乗員を守ることができる改造です。
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オランダ政府はこの改修に5億ユーロを投じています、それに見合った性能向上となりますが、同時に車体の老朽部分も換装されたことで2039年までの長期運用が可能となりました。オランダは冷戦時代に1000両以上のレオパルド2戦車を装備しましたが冷戦後一時戦車を全廃した時代があり、今も戦車は若干数である為、装甲戦闘車の重要性は高いのです。
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ハンガリー軍はリンクス装甲戦闘車の一号車をドイツのラインメタル社から受領しました。引き渡し式典はブダペストのペトフィサンドル駐屯地において実施され、ラインメタル社のCEOやハンガリーの国防大臣も臨席しました。リンクス装甲戦闘車はラインメタル社がプライベートベンチャーで開発、45tの車体は極めて高い防御力を誇るものといえる。
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リンクス装甲戦闘車を導入したのはハンガリー軍が世界初であり、2020年9月に209両のリンクス装甲戦闘車、そして9両のバッファロー装甲回収車と9両のAVLB戦車橋とともに20ユーロの契約を結んでいます。当面はドイツのラインメタル社での製造となりますが、契約では後期の生産車両はハンガリー国内で組み立てられ、国内での雇用を生む契約です。
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リンクス装甲戦闘車は高い汎用性をもつ車体構造が特色であり、ハンガリーが今回採用したものは30mm機関砲の有人砲塔を搭載しますが、リンクス120機動砲として自動装填装置を備えた有人砲塔に120mm低圧砲を搭載した重量50tのものもあります、近年の120mmHEAT弾威力増大は凄まじいもので、場合によっては戦車を置き換える事も可能だ。
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スウェーデン国防軍はCV-90装甲戦闘車派生型であるCV90-RENOについて9000万ドル相当の追加契約をBAEシステムズ社との間で結びました。CV-90はヘルグラント社を吸収合併したBAEシステムズ社が生産と国際流通を担当しており、今回の契約はそのジョイントベンチャーである国内のHBトヴィックリングAB社との間で契約されています。
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CV-90装甲戦闘車はスウェーデンが開発し、重量は23tと平均的でエンジンも625hpと平均水準、対戦車ミサイルもガンポートも搭載しない一見平凡といえる装甲戦闘車でしたが、ボフォース40mm機関砲を搭載し強力な火力を有しており、なにより火力以外の個性のなさが優等生的な設計と理解され、欧州共通装甲戦闘車というべき地位を獲得した装備です。
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今回契約されたのはCV90-FM前線整備車両とCV90-CE工兵戦闘車両で、ともに強力な40mm機関砲塔は取り除かれ小型の機関銃を搭載したRWS遠隔操作銃塔を搭載、後部兵員室を作業用汎用区画するとともに工兵戦闘車は排土板を装備しています。今回契約された車両は2023年から2027年にかけ順次スウェーデン軍へ納入される計画となっています。
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ポーランド陸軍は新型のボルスク装甲戦闘車をNATO戦闘群へ配備開始しました。これは2022年11月24日のNATOポーランド戦闘群編成完結式において示されたもので、ポーランドは冷戦時代の旧式化が進んだBMP-1装甲戦闘車の後継車両として開発を続けてきました国産装甲戦闘車の初度作戦能力獲得をNATOの同盟国に示す機会ともなりました。
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NATOポーランド戦闘群は、アメリカ第1歩兵師団隷下となった第1騎兵師団第3機甲旅団戦闘団第8騎兵連隊第3大隊とポーランド第15機械化旅団、イギリス王立槍騎兵連隊プリンスオブウェールズ戦闘群及びクロアチア軍砲兵中隊とルーマニア軍防空砲兵部隊から編成されています。このなかでポーランド軍は歩兵と偵察任務を担当しています。
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ボルスク装甲戦闘車のNATO戦闘群配備に際してはポーランドのマリウシュブラシュチャク副首相兼国防大臣も臨席しています。この車両は韓国のK-9自走榴弾砲車体部分の1000hpエンジンを搭載した機動力の高さに注目し、155mm砲塔を軽量な30mm自動砲塔へ置き換えた上で後部兵員室を配置した構造で、車体は水陸両用性能を有しています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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