北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】アメリカ海兵隊ARV高度偵察車両とコットンマウス装甲偵察車,CH-53K重輸送ヘリコプター

2023-02-21 20:22:47 | 先端軍事テクノロジー
■特報:世界の防衛,最新論点
 自衛隊は浮航能力を持つパトリアAMV装甲車を採用しましたが、これを起点に本格的な水陸両用装甲車の充実を考えてはどうかと考えていたところにアメリカから興味深い話題です。

 アメリカ海兵隊では将来揚陸体系への無人哨戒艇の有用性について評価試験を実施しています。この一環として海軍は2023年の時点で7隻の大型ないし中型の無人軍艦を運用試験中です。この中でアメリカ海軍は沿岸に近づきすぎる事により将来の水陸両用作戦では厳重に防護された海域での多数の乗員の乗る揚陸艦を損害から守ろうとしているのです。

 ノーマッドとレンジャー、アメリカ海軍が試験しているのはコンテナモジュール数十基を搭載可能である無人艦艇です、これは有人での運用も可能ですが、地対艦ミサイルなどによる脅威が見込まれる海域では無人運用し、船体後部のコンテナスペースに複数の無人舟艇や無人航空機の搭載区画とし、沿岸偵察や沿岸からの艦砲射撃等を目指すという。

 無人哨戒艇については、RWS遠隔操作銃搭や射程10km前後のグリフィンミサイルを搭載し、海岸線付近の敵を攻撃すると共に、AAV-7などの水陸両用車に先立ち、敵の攻撃を引き受けるという用途も想定されています。これは従来、敵の所持する地域への水陸両用作戦で見込まれたような人的損耗が最早許されない時代での両用作戦の模索ともいえます。

 アメリカ海兵隊は2022年12月23日、新しくARV高度偵察車両を導入しました。これはジェネラルダイナミクスランドシステムズ社が開発している八輪式装輪装甲車で、フォースデザイン2030構想として進められる将来のアメリカ海兵隊偵察車両として具体化が進められていたもの、具体的には老朽化していたLAV-25軽装甲車を置き換えるものです。

 ARV高度偵察車両は競争試作の方式が採られており、ジェネラルダイナミクスランドシステムズ社のほかにテイストロンシステムズ社も試作車両を開発してます。今回提出された車両は同社が2017年にプライベートベンチャーにより開発していたもので、基本車体には各種センサーが搭載されていますが、30mm機関砲塔の搭載型も開発されている。

 海兵隊はARV高度偵察車両に対して水陸両用性能、特にありきたりな浮航性能ではなく外洋の波浪に耐える両用作戦能力を求めており、さらにネットワーク戦に対応し高度な防護力と輸送力を求めています。LAV-25は車幅2.5mと非常にコンパクトな設計となっていましたが、ARVは高い防護力と両用性能を有している分、車体は大型化しました。

 アメリカ海兵隊は2022年12月1日、テキストロンシステムスコーポレーション社からコットンマウス装甲偵察車試作車の納入を受けました。ARV高度偵察車両の候補の一つとして開発されているのがコットンマウスで、この年末の12月にはジェネラルダイナミクスランドシステムズ社もARV高度偵察車両の試作車を納入、評価試験が本格化します。

 コットンマウスは六輪式の装輪装甲車で車体全体を競合するジェネラルダイナミクスランドシステムズ社の試作車よりもかなり小型のものとして完成させています。小型であることはARV高度偵察車両が求める水陸両用性能のなかで特に外洋での航行能力には適したものではありませんが、コットンマウスは充分な性能をもつと自信を示している。

 ARV高度偵察車両は30mm機関砲と対戦車ミサイルの搭載能力や充分な収容能力を求めていますが、コットンマウス試作車両は12.7mm重機関銃と対戦車ミサイルを搭載したRWS遠隔操作銃塔を備えており、必要に応じてより大型のRWSを搭載可能としています、これは2023年に評価試験が行われますが選定されれば78億ドル規模の契約が見込まれている。

 アメリカ海兵隊はシコルスキー社との間でCH-53K重輸送ヘリコプターのフルレート生産承認を発表しました。CH-53K重輸送ヘリコプターは通称キングスタリオン、海兵隊に長らく主力重輸送ヘリコプターとして運用されているCH-53Eスーパースタリオンの後継機として開発され、海兵隊のほかイスラエル空軍への輸出実績を積んでいる航空機です。

 CH-53K重輸送ヘリコプターは低量量産が開始されていて、アメリカ海兵隊では強襲揚陸艦での運用試験を含め、第461海兵重輸送ヘリコプター飛行隊などに先行配備し、実戦運用への試験とともに取得費用などを調査し、また生産体制の調査などが完了したことを受け、IOT&E実運用評価が完了、これをうけてのフルレート生産へ移行することとなります。

 計画では2029年にも初度作戦能力獲得が見込まれているとのこと。海兵隊では200機のCH-53Kを250億ドルで取得する計画です。基本的にCH-53Eの改良型ではありますが、つり上げ空輸能力の強化と機内容積の拡充による車両輸送能力の強化などが大きな改良点で、シコルスキー社では日本の海上自衛隊とドイツ空軍の採用も期待しているようです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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バイデン大統領キエフ電撃訪問と実現せぬ岸田総理ウクライナ訪問,問題は情報漏えいと戦場要人警護の確立

2023-02-21 07:00:28 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 安倍元総理が杜撰な警備により選挙演説中に暗殺された事は令和時代最大の悲劇ではありますが日本のシステムは未だこの点を反省できていないように思う。

 アメリカのバイデン大統領がウクライナの首都キエフを電撃訪問し、ゼレンスキー大統領とウクライナ大統領府において首脳会談に臨みました。アメリカは副大統領のウクライナ訪問などは実現していますが、バイデン大統領のキエフ訪問は開戦後初となり、ロシア侵攻から一年を前にアメリカ政府によるウクライナ軍事支援継続の姿勢を明確としました。

 岸田総理は、しかしウクライナへ訪問できていません。目立つ政府専用機などではなく、C-2輸送機などでさっとウクライナ国内へ入国してしまえば、あとは輸送防護車などの防弾車両で移動すれば良いのですが、そもそも首相警護から警察の所管であり、警察の装備では万一の際に警護は、暴漢からは守れたとして軍事攻撃からは防護するすべがありません。

 ただ、このほどNHK報道により岸田総理は何度もウクライナ訪問を計画しているものの、繰返される情報漏えいにより実現せず、なんとか今年五月のG7広島サミットまでにキエフ訪問を模索し続けていることが明らかとなりました。前回の欧州歴訪でもウクライナ訪問が検討されるも、情報漏えいが事前に検討している事を報じてしまい、断念したという。

 首相官邸で検討した内容が関係者からの情報として報道に筒抜けとなている、岸田総理は不快感を何度も示しているとの事で、これは政府関係者と報道の関係が強く、しかしウクライナ訪問の日時が判明した場合には、その時間帯にミサイル攻撃などが行われた場合、総理大臣の殉職に繋がりかねない危険があるも、情報漏えいは繰り返されているとのこと。

 報道協定を結べばいいのではないか、こう思われるかもしれませんが、報道協定は情報漏えいを防ぐものではなく、情報漏えいしたものを一定期間まで報道しないよう協定するものであり、肝心な内容は報道されない事ではなく情報を漏えいさせない事ですので、例えば当該事案を秘密保護法に指定し、情報漏えい者を捜査で発見し逮捕する必要があります。

 要人警護についても、警察の所管ではあるのですがどの程度対応できるのか、想定する脅威は刃物を持つ暴漢ではなく特殊部隊の組織的襲撃やミサイル攻撃に際しての対比などを警察が行えるのかという疑問もあります、SAT特殊急襲部隊へ武力紛争地帯要人警護中隊を新たに創設するか、デルタフォースのように自衛隊特殊作戦群の警備も検討が必要です。

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