■最初の大隊は三月にも供与
90式戦車はじめ第三世代戦車は長年の課題であった攻走守の三要素を全てを充分満たした装備です。
ドイツのピストリウス国防相は訪問先の8日に発表したところによれば、ウクライナへ供与される第三世代戦車、レオパルド2戦車による最初の戦車大隊は早ければ来月、若しくは4月にも供与されるとのこと。この大隊は31両編成という。ドイツの供与決定と共に欧州各国は供与方針を相次ぎ表明、旅団規模のレオパルド2主力戦車が引き渡されるもよう。
ロシア軍がレオパルド2戦車とエイブラムス戦車を警戒する理由、ロシアのT-90戦車では歯が立たないという理由が最大のものなのですけれども、それ以上に”ネットワーク中心の戦い”という1990年代以降アメリカと欧州NATOや自衛隊と豪州軍などが丹念に組み立てた先進的な戦い方を仕掛けられることを極度に警戒している為なのかもしれません。
RMA軍事における技術革命、として1990年代後半から2000年代に説明されたものですが、第三世代戦車の一つ一つの装備は強力な通信ネットワークにより結ばれています、分散して浸透する、昔ならば分散していれば各個撃破されたものの、データリンクにより敵を避け、ほんとうに分散し、ただし攻撃の瞬間だけ集結して集団としての威力を発揮する。
この戦いには、昔の第一次大戦中の浸透戦術を師団単位で行う様なもので、ネットワーク化されてこそ可能な戦いです。分散して前進しますと、敵もどの部隊が主力であるのかが分り難く、また砲兵火力を集中させようにも分散しています。分散した部隊は此処に補給点も分散し、沁み込むように、しかし70km/hの機動力で浸透してゆく戦いかたとする。
主力戦車、分散して各個撃破されない為には堅い装甲と機動力を備えた装備が必要です、要するに分散した一つ一つの小規模な部隊が、ロシア軍戦車部隊等と遭遇した際に情報を共有するまでの部隊の生存を図る装備、それが戦車です。まさに、電子機器と通信能力を高い機動力と防御力と共に浸透の先鋒を担う戦車は正に中心的な装備なのですから、ね。
分散して浸透する、ウクライナへ供与が決定している装備にはM-2ブラッドレイ歩兵戦闘車やマルダー1装甲戦闘車があります、これはM-113装甲車のような箱型で不整地を移動させる点に特化した装甲車よりも進み、高い機動力を持つ第三世代戦車が最大限前進する機動力に随伴できる機動力と一定の敵の反撃に耐える防御力を持つ歩兵の機動手段です。
M-109自走榴弾砲やAS-90自走榴弾砲にPzH-2000自走榴弾砲、つまりトラック機動ではない装甲防御力を持つ自走砲、そして装軌式のMLRSも、こうした分散して浸透する機械化部隊へ随伴できる装備です。ロシア軍はウクライナ軍から物資集積所などを離隔しては位置しているようですが、第一次世界大戦中の西部戦線とは違い、前線防御には隙が有る。
アメリカが供与したHIMARSの射程80kmというGMLRSロケットによる精密誘導攻撃にロシア軍は大損害を被り、基本的に前線から80km圏内に弾薬や物資集積所を置かないという方法で対応しています、この為にウクライナはATACMS陸軍戦術ロケットなど射程の更に長い装備を求めていますが、ウクライナは射程の長いミサイルを求めているが。
長射程ミサイルを補う装備、その役割を果たすのは"戦車"なのかもしれません。これはレオパルド2A6やM-1A2エイブラムス戦車がデータリンクにより結ばれた戦車という点であり、相当数のM-2ブラッドレイ歩兵戦闘車とマルダー装甲戦闘車も供与され、機械化部隊が編成可能となります。すると、西側の軍隊は、自衛隊は未だ装甲戦闘車が足りませんが。
最前線が昔のフランスのマジノ線のように固く万遍なく防衛されている場合を除けば、少数で浸透攻撃を行います、これを普通の昔ながらの戦車で行えば孤立して各個撃破されますが、データリンクで結ばれている場合、補給も火力支援も敵のいない地域も情報を共有し、とんでもも無い所まで奥深く浸透できる、ここにHIMARSを随伴させるならば。
MLRS,いや出来ればHIMARSよりもイギリスが供与したMLRSのほうが装甲が厚いのですが、GMLRSで敵の深部をも一掃できるのです。射程が足りなければ分散して肉薄する、相手が密集している場合にはMLRSの最大の強みである面制圧火器としての威力を発揮出来ますし、小規模目標である場合でもPzH-2000やAS-90自走榴弾砲が威力を発揮する。
戦車というものは、時代遅れではないか、2020年のナゴルノカラバフ紛争でも今回のロシアウクライナ戦争でも、いや1973年の第四次中東戦争以降、メディアに今風の視点ということで毎回のように喧伝される視点なのですけれども、近接戦闘という戦争の実態が不変である以上、特に前線に楔を打ち込み穿つという点で戦車の重要性は当面続きそうです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
90式戦車はじめ第三世代戦車は長年の課題であった攻走守の三要素を全てを充分満たした装備です。
ドイツのピストリウス国防相は訪問先の8日に発表したところによれば、ウクライナへ供与される第三世代戦車、レオパルド2戦車による最初の戦車大隊は早ければ来月、若しくは4月にも供与されるとのこと。この大隊は31両編成という。ドイツの供与決定と共に欧州各国は供与方針を相次ぎ表明、旅団規模のレオパルド2主力戦車が引き渡されるもよう。
ロシア軍がレオパルド2戦車とエイブラムス戦車を警戒する理由、ロシアのT-90戦車では歯が立たないという理由が最大のものなのですけれども、それ以上に”ネットワーク中心の戦い”という1990年代以降アメリカと欧州NATOや自衛隊と豪州軍などが丹念に組み立てた先進的な戦い方を仕掛けられることを極度に警戒している為なのかもしれません。
RMA軍事における技術革命、として1990年代後半から2000年代に説明されたものですが、第三世代戦車の一つ一つの装備は強力な通信ネットワークにより結ばれています、分散して浸透する、昔ならば分散していれば各個撃破されたものの、データリンクにより敵を避け、ほんとうに分散し、ただし攻撃の瞬間だけ集結して集団としての威力を発揮する。
この戦いには、昔の第一次大戦中の浸透戦術を師団単位で行う様なもので、ネットワーク化されてこそ可能な戦いです。分散して前進しますと、敵もどの部隊が主力であるのかが分り難く、また砲兵火力を集中させようにも分散しています。分散した部隊は此処に補給点も分散し、沁み込むように、しかし70km/hの機動力で浸透してゆく戦いかたとする。
主力戦車、分散して各個撃破されない為には堅い装甲と機動力を備えた装備が必要です、要するに分散した一つ一つの小規模な部隊が、ロシア軍戦車部隊等と遭遇した際に情報を共有するまでの部隊の生存を図る装備、それが戦車です。まさに、電子機器と通信能力を高い機動力と防御力と共に浸透の先鋒を担う戦車は正に中心的な装備なのですから、ね。
分散して浸透する、ウクライナへ供与が決定している装備にはM-2ブラッドレイ歩兵戦闘車やマルダー1装甲戦闘車があります、これはM-113装甲車のような箱型で不整地を移動させる点に特化した装甲車よりも進み、高い機動力を持つ第三世代戦車が最大限前進する機動力に随伴できる機動力と一定の敵の反撃に耐える防御力を持つ歩兵の機動手段です。
M-109自走榴弾砲やAS-90自走榴弾砲にPzH-2000自走榴弾砲、つまりトラック機動ではない装甲防御力を持つ自走砲、そして装軌式のMLRSも、こうした分散して浸透する機械化部隊へ随伴できる装備です。ロシア軍はウクライナ軍から物資集積所などを離隔しては位置しているようですが、第一次世界大戦中の西部戦線とは違い、前線防御には隙が有る。
アメリカが供与したHIMARSの射程80kmというGMLRSロケットによる精密誘導攻撃にロシア軍は大損害を被り、基本的に前線から80km圏内に弾薬や物資集積所を置かないという方法で対応しています、この為にウクライナはATACMS陸軍戦術ロケットなど射程の更に長い装備を求めていますが、ウクライナは射程の長いミサイルを求めているが。
長射程ミサイルを補う装備、その役割を果たすのは"戦車"なのかもしれません。これはレオパルド2A6やM-1A2エイブラムス戦車がデータリンクにより結ばれた戦車という点であり、相当数のM-2ブラッドレイ歩兵戦闘車とマルダー装甲戦闘車も供与され、機械化部隊が編成可能となります。すると、西側の軍隊は、自衛隊は未だ装甲戦闘車が足りませんが。
最前線が昔のフランスのマジノ線のように固く万遍なく防衛されている場合を除けば、少数で浸透攻撃を行います、これを普通の昔ながらの戦車で行えば孤立して各個撃破されますが、データリンクで結ばれている場合、補給も火力支援も敵のいない地域も情報を共有し、とんでもも無い所まで奥深く浸透できる、ここにHIMARSを随伴させるならば。
MLRS,いや出来ればHIMARSよりもイギリスが供与したMLRSのほうが装甲が厚いのですが、GMLRSで敵の深部をも一掃できるのです。射程が足りなければ分散して肉薄する、相手が密集している場合にはMLRSの最大の強みである面制圧火器としての威力を発揮出来ますし、小規模目標である場合でもPzH-2000やAS-90自走榴弾砲が威力を発揮する。
戦車というものは、時代遅れではないか、2020年のナゴルノカラバフ紛争でも今回のロシアウクライナ戦争でも、いや1973年の第四次中東戦争以降、メディアに今風の視点ということで毎回のように喧伝される視点なのですけれども、近接戦闘という戦争の実態が不変である以上、特に前線に楔を打ち込み穿つという点で戦車の重要性は当面続きそうです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)