北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】F-35最新情報-オーストラリア戦闘機維持拠点建設と韓国KMPR大規模懲罰報復システム

2024-02-19 20:22:45 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 今回はF-35戦闘機のオーストラリアや韓国とベルギーにフィンランドなど最新情報を纏めてみました。

 オーストラリア空軍はハンターバレーにF-35戦闘機維持拠点建設を計画しています。オーストラリア政府は、F-35戦闘機について当初の限定的な調達計画から拡大する方針を示した事で、運用機数増大を背景に維持施設をオーストラリア国内へ建設する目処が立ったとしています。またこの施設はインド太平洋地域の友好国にも開放される見込み。

 BAEシステムズオーストラリア社は、2023年12月のオーストラリア政府とのF-35関連契約として1億1000万ドル規模の追加契約を発表、これはそれ以前に契約された1億ドルの契約に重ねて行われるという、実質的に契約規模が倍増した事を意味します。従来までの契約ではメンテナンスベイと呼ばれる航空機整備区画は7カ所分となっていましたが。

 メンテナンスベイ7カ所の施設は暫定的な施設規模となり、列せん整備以上の整備を周辺の整備デポからの協力を受け検査隊水準の整備を行うかたちでしたが、今回の施設強化により13メンテナンスベイを構築することとなり、その為の予備部品は周辺国ではなくハンターバレー内に恒久設置できる程度の備品消費量となった事が反映されています。■

 韓国空軍はF-35戦闘機20機の追加調達を計画中とのこと。これは韓国国防計画局が2023年12月27日に発表した戦闘機調達計画で、これまでに調達契約に至ったF-35戦闘機のオプション条項を発動するかたち。アメリカ政府は韓国政府によるF-35追加調達の打診について先立って2023年9月に了承の方針を示しており、正式契約を待つ。

 KMPR大規模懲罰報復システム、として韓国は北朝鮮の核開発及び核兵器の実戦配備化を受け、核兵器の攻撃の兆候となる事態に際し通常兵器を大量使用し一気に北朝鮮の戦争遂行能力を破綻させる運用を模索、更にKAMD韓国ミサイル防衛計画、そしてキルチェーン先制攻撃システムという三本の柱を新しい国防戦略としてしめしてきました。

 F-35戦闘機は、韓国自身も独自にKF-21戦闘機という第五世代戦闘機に伍する第4.9世代戦闘機として開発していますが、ステルス戦闘機であるF-35のポテンシャルは第一撃などの構成に不可欠であると理解され、こちらが優先されたかたち。韓国はこれまで、2014年に40機のF-35取得決定に続いて20機、将来的には艦載用F-35Bも検討中です。■

 フィンランド国防省はF-35戦闘機の国内整備施設構築方針を発表しました。フィンランドのアンティハッケネン国防大臣が発言したところによれば、この方針は空軍のF-35導入計画における産業協力能力醸成と不可分の能力構築と位置付けられていて、すでに担当はパトリア社の子会社、政府財務委員会の了承とともに進められているとしています。

 F-35国内整備施設は、パトリア社の子会社であるパトリアアビエーションオイ社が担当、フィンランド政府はこの施設により周辺諸国の支援を受けられないような極限状態においてもF-35稼働率を維持できる体制を目指しており、この施設整備には最大1億1160万ユーロを当時、先ず2026年までの初期段階で9000万ユーロを支出するとしています。

 パトリアアビエーションオイ社はこの施設維持へ600名規模の新規雇用を想定しているといい、同時にロッキードマーティン社とプラットアンドホイットニー社との間でも協力を強化し、且つF-35を運用する友好国支援にも寄与するとのこと。なお、フィンランドはHX新戦闘機計画に30%の国内産業協力を義務付け、その上でF-35を選定しました。■

 ベルギー空軍が導入するF-35戦闘機初号機がロールアウト式を迎えました。ベルギー空軍は2024年にF-35戦闘機初号機を受領することとなっています。ベルギー空軍は長くF-16戦闘機を運用しており、特に開発当初の中射程空対空ミサイル運用能力を付与される前の段階でF-16戦闘機を採用、改良型の導入などF-16とともにあゆんできました。

 F-35戦闘機の導入はこのF-16を置き換える多用途性やNATO同盟国との運用基盤共通化とともに第五世代戦闘機という側面から選定され、34機の導入を決定しています。今回製造されたベルギー空軍向け初号機はAY-01と呼称されていまして、先ず2024年の引き渡し後は、アリゾナ州ルーク空軍基地において操縦士の機種転換訓練を行います。

 AY-01のロールアウト式と共にロッキードマーティン社によれば、既にアメリカ空軍を筆頭に納入されたF-35戦闘機は980機を超えており1000機が間近になっている点、また各国空軍のF-35戦闘機運用基地は31カ所となっているといい累計飛行時間は768000時間以上、F-35戦闘機パイロットもすでに2250名が任務にあたっていると発表しました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ウクライナ情勢-ウクライナ軍,アウディイフカ撤退決定!補給路寸断と最後の撤退路へ第3強襲旅団投入し撤退掩護へ

2024-02-19 07:00:37 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 ウクライナ軍はアウディイフカ撤退を決定しました。現状のままでは全滅しかねないという厳しい状況があったためといい先んじて撤退することで態勢を立て直すという。

 ウクライナ軍は激戦地アウディイフカからのウクライナ軍部隊撤退を決定しました。現時点では撤退が開始、アウディイフカは陥落していませんが、ロシア軍は現在、アウディイフカの占領よりもアウディイフカ市街地から後退する最後の退路へ攻撃を試みておりウクライナ軍部隊の後退妨害に注力し、ウクライナ軍へ出血を強要しようと試みています。

 アウディイフカは交通要衝、というよりもY字型に主要道路に挟まれた地形で、昨年10月ごろから道路まで進出したロシア軍により両翼包囲されていました。そして同市はドンバス州の都市であり、市街地にはまだ900名程の市民が。ロシアのプーチン大統領にとりドンバス2州の制圧という政治的成果を目指すために攻撃が強化された経緯があります。
■第3強襲旅団投入
 戦略予備の投入時機としてはもっとも考え抜かれたところ。

 アウディイフカの戦況は先週頃から大きく動いており、ウクライナ軍は戦略予備として待機させていました第3強襲旅団をアウディイフカへ投入したのが正に先週、同じころアメリカが31両を供与したM-1A2戦車進出の情報も。第3強襲旅団の投入はロシア軍の攻勢正面に当る市街地北部のコークス工場への防衛正面へ投入されると目されましたが。

 第3強襲旅団の投入、しかし結果論から言えば、アウディイフカ市街地南部において防衛拠点を構成していたウクライナ軍第110旅団の撤退を支援するための投入であったもよう。第110旅団は2014年のロシア軍ドンバス空港占領を受け構築された防空基地を起点とした要塞化された複郭陣地を固守、逆にロシア軍攻勢で孤立しかけていた部隊でもありました。
■市街地南北寸断危機
 いまならば撤退する最後の機会であるという時機を逃さないところは日本もみならっておかなければなりません。

 アウディイフカを保持できない、ウクライナ軍が判断した背景には市街地北部に位置するコークス工場がほぼロシア軍に占領される事が画定し、同時に工場南側に位置していた道路、ウクライナ軍にとっての補給路がロシア軍の近接戦闘部隊の射程内に入る事が確実となったためでしょう。これによりアウディイフカ南北は分断される危機に陥りましたが。

 ウクライナ軍撤退の機会は、補給路として用いられたコークス工場側道路ではなく両翼包囲された中央部に未舗装の道路が一本保持されており、補給車両の常時利用は厳しいものの、兵員を不整地踏破能力の高い車両にて後退させる最後の道路は維持されており、この時機を逃せば撤退できず孤立した部隊が全滅する、この分水嶺を見極めた為と考えます。

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