北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【京都幕間旅情】貴船神社,雪乞いを雨乞いに代えて-冬景色としての雪景色阻む異常暖冬は暑い冬の序章か

2024-02-21 20:24:12 | 写真
■雪景色阻む異常気象
 この冬は異常気象だと思う、いや昨年夏の異常な猛暑の延長線上に異常な暖冬が続いているという解釈でも成り立つのではない後思う程の暖冬で熱い夏の次は将来に暑い冬が来るのか。

 貴船神社参拝、雪なので急いで時間を作って叡山電車に飛び乗った、という実情なのですが、別に高龗神さんに雨乞いならぬ雪乞いを願いに行った、という訳ではありません。いや参拝の際にもう少し洛中にも雪を、と願ってよかったのかもしれませんが。

 鞍馬線に飛び乗ったのは雪乞いのためではなく、市街地付近では見られ無い雪景色を撮影する為なのです。時間的に実はかなり無理をしましたが、それでも決断は良かったように思う、なにしろひと冬に一度くらいは京都の雪景色を愛でておきたいのだから。

 雪景色、一つ冬を越す際には幾度か見ておきたい情景ではあるのですが暖冬といいますか気候変動といいますか、年々、前には普通の形式であったという情景が失われているような印象は、直近のこの十数年を見ても変化を感じるのは否定できない現実と思う。

 白銀の情景、いやそのうち間氷期が来るかもしれませんので一喜一憂という表現なのかもしれませんが、それでも全く見ることのできない一年というのは、太陽の出ない季節を過ごすようでやりきれない、だからこそ心の健康のために雪景色を見に行くのです。

 冬景色としての雪景色、嗚呼かつては日常であったのに、と考えるのは今年それほど京都盆地は雪に縁がなく、いや昨年は二月中旬に一発逆転の、という大寒気が進出したものの今年にはもう二月も後半が始まり、結局少し北に行くしかなかったのですね。

 春夏秋冬があるのだから、春は曙というよりも桜花梅花で夏は地獄、ではなく抜けるような青空と新緑に濃緑、秋は紅葉に落葉、とすすむ。いやいっそ枯れ葉の山を冬景色としても良いのかもしれませんが、それではあまりに味気ない、するとこれは雪が見たい。

 雪を見たい。そう思い切って舞鶴とか、いやそこまで行かずともお隣滋賀県に行けば湖北のあたりは雪景色で、新快速でも早い。北陸や関空から北海道にでも飛べば苦労しないところなのですが、日常の中にある古刹の雪化粧を見るという機会が、少なくなった。

 花鳥風月ともに例年とかわりは、なく、と安直に表現できないのは真夏の暑さゆえであり、例えば夏の風景一つとって苔が、先ず駄目になっているところが増え始め、緑の絨毯という情景は水やりの際に水が風呂のように熱せられ枯死させる一つの要因となります。

 さくらの花々なんかはもう四月には花見などは出来ないような状況となっていて、三月中に全て散ってしまうところが多い、唯一というか仁和寺の御室桜は四月に咲くも、御室桜そのものがこの気候変動の時代に長い目で見て万葉の気風を伝えられるのかは、と。

 日本全体で見れば、真夏の京都の暑さも熱さと言い換えることについて例外的ではない事を示しまして、いや雪の今の季節を見ても報道一つとって、二月中旬に新潟県上越市の日本最古というスキー場が雪不足で今期営業終了を週末に検討しているとの一報が。

 新潟の上越市金谷山スキー場で雪不足からスキー場が二月半ばに閉められる、これを異常事態と言わずしてどう表現するべきだろうか。いや、びわ湖バレイが営業しているのだからこれは単純に降水量の問題というのかもしれないけれども。雪は確かに少ない。

 青森県むつ市雪合戦大会が雪不足で紙玉を投げる、こちらは一昨日の話題です。舞鶴総監部管区のお隣大湊地方総監部の街、気候変動、こういうものをそんな今年は見れた古都の雪景色という一コマからだけでも、ちょっと深刻度を増しているように思うのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】貴船神社,雪化粧と水司る主祭神高龗神生んだ軻遇突智と大八島海から噴き出す不思議な神話

2024-02-21 20:00:27 | 写真
■雪化粧の社殿と水の神
 雪景色に雪化粧とこの冬にもう一度くらい愛でる事が出来るかと思っていましたものがこの暖冬で叶わぬかと思う今日この頃です。

 貴船神社は水の神様高龗神、たかおかみのかみ、と読むのですが祀っています。この神様は古事記では淤加美神、おかみのかみ、と記されていましてしかし日本書紀には龗神、おかみのかみ、と記されています。京都では雨乞いの際に高龗神に祈った。

 絵馬発祥の地、というのですがもともとは雨ごいの際に朝廷は高龗神にご神馬を献上していました、もちろん白馬や黒馬、なにしろ鞍馬という地名なのだから馬とは所縁深い。ただ、馬は長生きし雨乞いは毎年のように、すると野生の王国になってしまう。

 高龗神に献じる馬は絵馬、として願う事に改められ、これが案外と評判となり願い事の際には絵馬を献上する文化が江戸時代に定着します。すると雨が降るご利益の高龗神さんなのか、といいますと、実はこの神様の出自がなんともかんがえさせられるもの。

 南海トラフ地震と社殿再建の時期が重なる程度に歴史と関わる貴船神社ですが、その祭神高龗神は水の神様です。水の神様、といいましても単純な謂れではなく、どうしようもないほどの日本神話の非常事態に際し生まれ出でたという世界観がありまして。

 軻遇突智、カグツチという読み方なのですけれどこの神様は国生みの神事で知られる伊邪那岐と伊邪那美命の子で火の神様でした、国生みの神事というのが大海に神々が天之瓊矛で突いた事により大八島という今の日本列島を生み出していったという神話で。

 大八島が海から噴き出すように生まれるのは、これは西ノ島の火山噴火、いや最近では能登半島の隆起か、日本が火山性地形であることを示す、当時そんな科学的見識はなかったのでしょうが、日本の火山性弧状列島の形成過程と不思議に神話が重なるのです。

 伊邪那美命は、国生みの神事の後に子を為しましてその一人が軻遇突智なのですが、こちらは火の神様といい、出産の際に高熱を発して結果は実母伊邪那美命に致命的なやけどを負わせてしまい、激怒した実父伊邪那岐に突き殺されてしまう悲劇の神話がある。

 高龗神はこの突き殺された軻遇突智の血だまりから生まれた水の神様、というのですね。実際問題、国生みの神殺しとなった軻遇突智が示す通り、日本には最大規模の噴火を起こせば北半球を壊滅させかねない寒冷化を引き起こした巨大火山が幾つもあります。

 イエローストーン火山噴火、世界最大の火山噴火を起こすアメリカの火山の50万年に一度の大噴火と同程度の火山噴火は日本には、洞爺湖、支笏湖、屈斜路湖、阿蘇山、阿多カルデラ、姶良カルデラ、鬼界カルデラ、火山が引き起こし、まさに軻遇突智の国だ。

 トバ湖や、イエローストーンにも過去数百万年前まで遡りますと阿蘇山の最大規模の噴火、ASO-4を上回る噴火災害が発生し、この際には北米大陸が西海岸からカルパチア山脈のあたりまで火砕流と致命的な灰神楽を受けている故、日本だけが酷い訳ではないが。

 国生みの神で実母を死に追いやってしまう神殺しの神ではあるのですが、そう、日本の火山性地形は時折とんでもない噴火を引き起こす、人類が知る巨大噴火は限られるも、それは不思議な謂れのように神話に内包されている、故に日本の神話は説話的という。

 高龗神は、こうしたいわば日本の火山性地形を物語るような神話の神である軻遇突智より出でた水の神様、ということでして、これは災厄の先にも救いがあるという災害の中を生き抜いてきた人々の願望の様な神様を祀っている貴船神社、なのかもしれません。

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ウクライナ情勢-アメリカが長射程型ATACMS供与検討,アウディイフカ西方の防御線と南部戦線の状況

2024-02-21 07:00:21 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 日本が廃棄したMLRSを供与していれば活躍できたのでしょうか。

 アメリカ政府は長射程型ATACMSのウクライナ供与を検討している、アメリカのNBCニュースが報道しました。ATACMSは陸軍戦術ミサイルで、M-270MLRSからは2発が、M-142HIMARSからは1発が投射可能、元々は軍団単位で装備される全般支援用のもので、初期型の射程145㎞のものは既にウクライナへ供与され実戦投入されています。

 ATACMS,今回供与が想定されているのは射程300㎞型のもので、ウクライナのヘルソン州からクリミア半島などへも射程内に収めることとなります。もっとも、ウクライナ支援予算は上院を通過したものの下院が下院議長の休暇取得により議論に入れない状況であり、ATACMS以外にも155mm砲弾さえ不足しているのがウクライナの現状です。
■アウディイフカ西方
 一歩引いたもののそれ以上は後退しないという。

 アウディイフカの状況についてイギリス国防省ウクライナ戦況報告2月20日付発表によれば、この一週間の戦闘でアウディイフカ市街地とアウディイフカ北方のコークス工場をロシア軍は占領、2014年以来実に10年目となる戦闘の末にアウディイフカをロシア軍は占領しましたが、ウクライナ軍はアウディイフカ西方に撤退に成功したとのこと。

 アウディイフカ西方防御陣地を確保したウクライナ軍に対して、ロシア軍にはアウディイフカの占領を即座に活用する戦闘力は残っておらず、休息と再編成の必要がある、とイギリス国防省は分析しています。しかし、こうしたうえでロシア軍は今後数週間のうちにアウディイフカから徐々に周辺地域への侵攻を試みる、とも分析していました。
■ロボティネ近郊
 ロボティネ攻撃は昨年の反転攻勢戦果を圧砕するというロシアの政治的な思惑からの攻撃と見るべきなのでしょうか。

 ロシア軍はロボティネ近郊に大隊規模の攻撃を行った、ISWアメリカ戦争研究所2月18日付報告によれば、ウクライナ軍東部作戦管区の情報としてザポリージャ州の特定地域に30両の車両を伴ったかなりの人員から成る攻撃が加えられ、これを撃退したと発表しています。ISWはこの攻撃がロボティネ付近に対して行われたと推測していますが。

 ロボティネ近郊での攻撃は同じくISWがロシア側ミルブロガーの情報として、改良型だが三世代前のT-55戦車を用いてロボティネ攻撃を行わされたとの不満を紹介しており、またロシア軍自身も2月17日にロボティネへの攻撃を行ったと発表しています。陽動か偵察か、アウディイフカ失陥と共に今度は南部のロボティネへの圧力がつよまりました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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