北大路機関

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三菱機動装甲車-パトリアAMV,防御力の高さとNEMO迫撃砲システムが特筆するフィンランドのパトリアAMV

2022-10-09 07:01:03 | 先端軍事テクノロジー
■パトリアAMVのすごさ
 機動装甲車の完成度が凄いという話題をかきましたので国産贔屓と云われぬようにフィンランドの車両についても。

 次期装甲車について、前回は三菱重工の機動装甲車が、当初の車両よりも完成度が高まっていたことを強調しましたが、競合するパトリアAMVについては、防護力の高さを示しました。しかし機動装甲車に自走迫撃砲型が含まれていたとのことで、この点においてはパトリアAMVの自走迫撃砲型であるパトリアNEMOのほうに圧倒的な優位性があります。

 パトリアNEMOは後填式の自走迫撃砲で、この種の自走迫撃砲としてはスウェーデンの簿フォースが開発したAMOS自走迫撃砲システムを思い出すところでしょう、なにしろパトリアPASIというAMVの前型にあたり安価な六輪式装甲車へ搭載した試験や、欧州標準型装甲戦闘車となりつつあるCV-90装甲戦闘車に搭載した事例があり、外見は凄いものだ。

 AMOSの双連型の120mm迫撃砲はものすごい威圧感をもつものでした。しかしパトリアNEMOは更に進んでいます、AMOSの改良型ですからね。驚くべき事に行進間射撃が可能なのです。16式機動戦闘車はスラローム射撃が可能だ、こう反論があるのかもしれませんが直接照準射撃ではなくパトリアNEMOは砲兵でいうところの間接照準射撃が可能です。

 16式機動戦闘車は2019年の富士総合火力演習で4kmの射撃を展示しましたがパトリアNEMOは迫撃砲であり射程は10kmに達します。そしてもう一つ驚くべき点は1550mまでの距離は直接照準射撃が可能という。砲兵は自己位置を敵に標定されるまえに素早い陣地変換を繰り返すものですが、行進間射撃がおこなれるならばほぼ無敵といえましょう。

 射程40kmの火砲に対しても、第一次大戦中にドイツ軍が誇るかの420mm榴弾砲ディッケベルダ砲がフランス軍の75mm砲に近距離から破壊されたように機動力を活かして間合いに入り込まれることとなります。このパトリアNEMO,自衛隊の即応機動連隊のように特科部隊の援護を受けられない部隊での火力支援中隊へ配備されるならば、非常に心強い。

 NEMO,射程は10kmではあるのですがなにしろ自動装填、NEMOは毎分10発の射撃が可能ですので、火力支援中隊12両ならば一分間で120発をたたき込む事が可能です、パトリアAMVは防御力が実績としてすごいのですが、同時にこの自走迫撃砲の威力も、砲兵を喰うほどの威力を持っているのです。AMVは先進多目的車両、様々な用途に対応するのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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