■防衛フォーラム
エイブラムスがパットンに合流した、今回はまあ写真は手持ちという事で自衛隊の戦車になるのですけれども中華民国台湾の大きな防衛力整備の話題をお伝えしましょう。
中華民国台湾へ初のM-1戦車が納入されました。これは台湾が長らく悲願としていた主力戦車の更新であり、これにより抑止力は少なくないが期待できるでしょう。今回台湾に納入されたのはM-1A2T、アメリカ陸軍に導入されたものと同等だ。
M-1A2エイブラムス戦車は、過去1990年代に台湾が導入を構想しましたが、台中市などが被害を受けた台湾中部地震を受け、台湾本島での地形と特に地盤の問題から、重量が70tちかいM-1戦車を導入した場合でも運用が難しいと一時は断念していました。
M-60A3戦車、愛称はパットン、しかし、中華民国陸軍を悩ませたのは台湾の主力戦車が第二世代のまま、という問題です。台湾のM-60戦車は1991年湾岸戦争を最後にアメリカ海兵隊が引退させたM-60戦車を本国に持ち帰らず、台湾へ譲渡したという歴史があります。
M-1A2T戦車の導入によりどういった点が変わるのでしょうか。具体的には、漸く中国の99式G型戦車を相手に十分な戦車戦が展開できる目処がついた、ということでしょう。それは第二世代戦車であるM-60戦車からの大きな発展に他なりません。
第三世代戦車と第二世代戦車、その最大の相違点は、戦車用高出力エンジンと複合装甲の有無にあります。第三世代戦車は1500hp前後のエンジンを搭載していますが、これは1980年代近くまで戦車用に小型化が実用化できなかったものでした。
複合装甲は、いくつかの手法が開発されていますが、これも1970年代に真剣な脅威となった対戦車ミサイルに対し、特に圧延均一鋼板で500mmや600mmを軽々と貫通するミサイルに従来の装甲を厚くすることは重量が100tに迫り現実的ではありません。
対戦車ミサイルの脅威に、一般的にはチタン合金と硬化セラミック、つまり衝撃に強い素材と高熱に強い素材を適度な緩衝材とともに複合化する装甲ならば、圧延均一鋼板換算で900mm相当とか1200mm相当の防御力を付与し、防ぐ見通しがついた、と。
台湾で独自開発できなかったのか、という疑問符があるでしょうが、毎年戦車を生産し続けている日本や、多くの支援を受けて国産基盤を構築した韓国とちがい、世界の多くの国では戦車砲や戦車用エンジン、装甲板などを自国で生産は出来ません。
韓国のK-2戦車を例に挙げれば、エンジンが国産でき変速装置も国内生産できるようになったのはつい最近で、それまではドイツから輸入に依存、またK-2をライセンス生産すべく意気込んだポーランドも、工場設備の古さで生産見通しが立っていない。
台湾では20mm機関砲までは国内製造できますが、105mm砲の国内生産を行うだけの冶金技術が無く、現在試験中の雲豹装甲車105mm機動砲型についても車体は国内生産するものの105mm砲についてはアメリカから輸入しているほど、生産が難しい。
M-1A2T戦車の導入により台湾の防衛力は強化され、今後は既に納入待ちとなっているM-142HIMARS高機動ロケットシステムやハープーン沿岸防備システムの導入が続きます。また既にF-16V戦闘機の納入も始まり、ようやく近代化の目処がみえてきた。
台湾の防衛政策で難しいのは台湾へ兵器を有償供与する際の中国政府からの圧力です。ただ、台湾は今後、中古でも好いのでイージス艦や、また中国の第五世代戦闘機に対抗しうるF-35戦闘機などの売却許可を、アメリカへ求めて行くことでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
エイブラムスがパットンに合流した、今回はまあ写真は手持ちという事で自衛隊の戦車になるのですけれども中華民国台湾の大きな防衛力整備の話題をお伝えしましょう。
中華民国台湾へ初のM-1戦車が納入されました。これは台湾が長らく悲願としていた主力戦車の更新であり、これにより抑止力は少なくないが期待できるでしょう。今回台湾に納入されたのはM-1A2T、アメリカ陸軍に導入されたものと同等だ。
M-1A2エイブラムス戦車は、過去1990年代に台湾が導入を構想しましたが、台中市などが被害を受けた台湾中部地震を受け、台湾本島での地形と特に地盤の問題から、重量が70tちかいM-1戦車を導入した場合でも運用が難しいと一時は断念していました。
M-60A3戦車、愛称はパットン、しかし、中華民国陸軍を悩ませたのは台湾の主力戦車が第二世代のまま、という問題です。台湾のM-60戦車は1991年湾岸戦争を最後にアメリカ海兵隊が引退させたM-60戦車を本国に持ち帰らず、台湾へ譲渡したという歴史があります。
M-1A2T戦車の導入によりどういった点が変わるのでしょうか。具体的には、漸く中国の99式G型戦車を相手に十分な戦車戦が展開できる目処がついた、ということでしょう。それは第二世代戦車であるM-60戦車からの大きな発展に他なりません。
第三世代戦車と第二世代戦車、その最大の相違点は、戦車用高出力エンジンと複合装甲の有無にあります。第三世代戦車は1500hp前後のエンジンを搭載していますが、これは1980年代近くまで戦車用に小型化が実用化できなかったものでした。
複合装甲は、いくつかの手法が開発されていますが、これも1970年代に真剣な脅威となった対戦車ミサイルに対し、特に圧延均一鋼板で500mmや600mmを軽々と貫通するミサイルに従来の装甲を厚くすることは重量が100tに迫り現実的ではありません。
対戦車ミサイルの脅威に、一般的にはチタン合金と硬化セラミック、つまり衝撃に強い素材と高熱に強い素材を適度な緩衝材とともに複合化する装甲ならば、圧延均一鋼板換算で900mm相当とか1200mm相当の防御力を付与し、防ぐ見通しがついた、と。
台湾で独自開発できなかったのか、という疑問符があるでしょうが、毎年戦車を生産し続けている日本や、多くの支援を受けて国産基盤を構築した韓国とちがい、世界の多くの国では戦車砲や戦車用エンジン、装甲板などを自国で生産は出来ません。
韓国のK-2戦車を例に挙げれば、エンジンが国産でき変速装置も国内生産できるようになったのはつい最近で、それまではドイツから輸入に依存、またK-2をライセンス生産すべく意気込んだポーランドも、工場設備の古さで生産見通しが立っていない。
台湾では20mm機関砲までは国内製造できますが、105mm砲の国内生産を行うだけの冶金技術が無く、現在試験中の雲豹装甲車105mm機動砲型についても車体は国内生産するものの105mm砲についてはアメリカから輸入しているほど、生産が難しい。
M-1A2T戦車の導入により台湾の防衛力は強化され、今後は既に納入待ちとなっているM-142HIMARS高機動ロケットシステムやハープーン沿岸防備システムの導入が続きます。また既にF-16V戦闘機の納入も始まり、ようやく近代化の目処がみえてきた。
台湾の防衛政策で難しいのは台湾へ兵器を有償供与する際の中国政府からの圧力です。ただ、台湾は今後、中古でも好いのでイージス艦や、また中国の第五世代戦闘機に対抗しうるF-35戦闘機などの売却許可を、アメリカへ求めて行くことでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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