■防衛フォーラム
これこそ防衛フォーラムというものなのかもしれませんがシンポジウムで発表された無人僚機とレーザー砲システムについて紹介しましょう。
防衛省防衛装備庁は遠隔操作型支援機技術の研究を発表しました。これは11月14日から東京の市ヶ谷で開かれた防衛技術シンポジウムにおいて概要が示され、固定翼のステルス機を有人ヘリコプターより管制する技術試験が計画、このヘリコプターは有人戦闘機を擬して試験を行い最終的には戦闘機と連携する無人僚機まで発展させる計画です。
遠隔操作型支援機技術のヘリコプターからの遠隔操作研究は、イメージ図では陸上自衛隊のUH-1J多用途ヘリコプターが僚機となる想定が示されていますが、これは戦闘機とは別に陸上自衛隊でもAH-1S対戦車ヘリコプターやAH-64D戦闘ヘリコプターの後継に無人機を充てる構想もあり、固定翼無人機運用の可能性を示唆している可能性もある。
遠隔操作はヘッドセット音声入力装置やタッチパネルとAI人工知能を併用したもので、当面は操作要員が必要となっていますが、F-22やF-35戦闘機など第五世代戦闘機は単座戦闘機が主流となっていて、防衛装備庁での研究は続いて戦術飛行制御技術と遠隔操作技術を融合させ、有人戦闘機機動へ自律飛行により追随させる運用を想定しています。
遠隔操作型支援機技術の研究について、防衛省は今後導入するイギリスイタリアとの共同開発GCAP戦闘機との連接が間に合うのかが一つの焦点となるのかもしれません。具体的には競合機としてアメリカのクラトス社が開発を進めるXQ-58無人機とオーストラリアがボーイング社とともに共同開発を進めるMQ-28無人機などが既に飛んでいる。
MQ-28は愛称がゴーストバット、かつてロイヤルウイングマン、忠実な僚機という愛称で開発されていたものです。対してXQ-58はアメリカ空軍もCAA協調戦闘機計画として、有人戦闘機を支援するMUM有人無人機協同運用という具体的な指針が示されています。特に第五世代戦闘機は費用が高く、無人僚機との連接は重要な課題となります。
遠隔操作型支援機技術の研究は、既に完了している無人航空機に関する研究としてTACOM無人機の実績があり、今回遠隔操作型支援機技術の研究として示された模型にもTACOM無人機と共通点が見受けられます。ただ、GCAP戦闘機の開発は十年以内であり、国産無人僚機完成が間に合わなければ海外製無人機に依存する可能性もあります。
防衛装備庁は車両搭載型高出力レーザーシステムの研究試作を完成させた、防衛技術シンポジウム2023においてその概況が発表されました。車両搭載型高出力レーザーシステムは防衛装備庁とともに川崎重工と三菱重工が研究開発しているもので、迫撃砲弾や近年脅威度が増し続けている無人航空機の迎撃などを念頭として進められているもの。
川崎重工は2023年2月までに100kwレーザー砲の開発を完了させ、地上試験において迫撃砲弾の迎撃試験を成功、これは地上に設置された迫撃砲弾にレーザーを照射し規定時間内の照射で無力化する試験となっています。川崎重工はこの研究試作を2018年より開始しており、今後は飛翔する砲弾などに対する迎撃試験に移行することとなります。
三菱重工が開発するものは10kwレーザー砲で開発は2021年に開始、こちらは無人航空機を想定しているもので、防衛装備庁は鹿児島県の種子島試験場において飛行する無人機への迎撃実験を既に複数回成功させていて、防衛装備庁によれば1.2km射程での無人機迎撃に効果を発揮させているとのこと。また10kwレーザーは集束運用が可能という。
防衛装備庁は車両搭載型高出力レーザーシステムの搭載電源開発を推進します。これは東京市ヶ谷で開催された防衛技術シンポジウム2023において示されたもので、三菱重工の10kwレーザー砲と川崎重工の100kwレーザー砲が既に試験を開始しています。10kwと100kwは桁が違いますが、三菱重工は10kw砲を10本集束することが可能、と。
三菱重工10kwレーザー砲はそのまま車載装備として電源装置を加えて実用化できる水準ですが、射程は小型無人機に対して1.2㎞程度であり、戦車に搭載し戦車を狙うランセットドローンを迎撃できる可能性が示されていますが、より速い速度で飛翔する対戦車ミサイルなどの命中前の段階での迎撃能力については不確定の要素が残ります。
川崎重工の100kwレーザー砲は、高出力である分、その電源装置が大型化しており、40フィートコンテナ2台分、つまり路面電車二両編成に匹敵するおおきなシステムとなっているとのこと。この問題は現在、レーザーの熱変換効率が30%であるため、100kwレーザーには3.3倍の出力が必要となり、効率向上も併せて研究課題となる分野です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
これこそ防衛フォーラムというものなのかもしれませんがシンポジウムで発表された無人僚機とレーザー砲システムについて紹介しましょう。
防衛省防衛装備庁は遠隔操作型支援機技術の研究を発表しました。これは11月14日から東京の市ヶ谷で開かれた防衛技術シンポジウムにおいて概要が示され、固定翼のステルス機を有人ヘリコプターより管制する技術試験が計画、このヘリコプターは有人戦闘機を擬して試験を行い最終的には戦闘機と連携する無人僚機まで発展させる計画です。
遠隔操作型支援機技術のヘリコプターからの遠隔操作研究は、イメージ図では陸上自衛隊のUH-1J多用途ヘリコプターが僚機となる想定が示されていますが、これは戦闘機とは別に陸上自衛隊でもAH-1S対戦車ヘリコプターやAH-64D戦闘ヘリコプターの後継に無人機を充てる構想もあり、固定翼無人機運用の可能性を示唆している可能性もある。
遠隔操作はヘッドセット音声入力装置やタッチパネルとAI人工知能を併用したもので、当面は操作要員が必要となっていますが、F-22やF-35戦闘機など第五世代戦闘機は単座戦闘機が主流となっていて、防衛装備庁での研究は続いて戦術飛行制御技術と遠隔操作技術を融合させ、有人戦闘機機動へ自律飛行により追随させる運用を想定しています。
遠隔操作型支援機技術の研究について、防衛省は今後導入するイギリスイタリアとの共同開発GCAP戦闘機との連接が間に合うのかが一つの焦点となるのかもしれません。具体的には競合機としてアメリカのクラトス社が開発を進めるXQ-58無人機とオーストラリアがボーイング社とともに共同開発を進めるMQ-28無人機などが既に飛んでいる。
MQ-28は愛称がゴーストバット、かつてロイヤルウイングマン、忠実な僚機という愛称で開発されていたものです。対してXQ-58はアメリカ空軍もCAA協調戦闘機計画として、有人戦闘機を支援するMUM有人無人機協同運用という具体的な指針が示されています。特に第五世代戦闘機は費用が高く、無人僚機との連接は重要な課題となります。
遠隔操作型支援機技術の研究は、既に完了している無人航空機に関する研究としてTACOM無人機の実績があり、今回遠隔操作型支援機技術の研究として示された模型にもTACOM無人機と共通点が見受けられます。ただ、GCAP戦闘機の開発は十年以内であり、国産無人僚機完成が間に合わなければ海外製無人機に依存する可能性もあります。
防衛装備庁は車両搭載型高出力レーザーシステムの研究試作を完成させた、防衛技術シンポジウム2023においてその概況が発表されました。車両搭載型高出力レーザーシステムは防衛装備庁とともに川崎重工と三菱重工が研究開発しているもので、迫撃砲弾や近年脅威度が増し続けている無人航空機の迎撃などを念頭として進められているもの。
川崎重工は2023年2月までに100kwレーザー砲の開発を完了させ、地上試験において迫撃砲弾の迎撃試験を成功、これは地上に設置された迫撃砲弾にレーザーを照射し規定時間内の照射で無力化する試験となっています。川崎重工はこの研究試作を2018年より開始しており、今後は飛翔する砲弾などに対する迎撃試験に移行することとなります。
三菱重工が開発するものは10kwレーザー砲で開発は2021年に開始、こちらは無人航空機を想定しているもので、防衛装備庁は鹿児島県の種子島試験場において飛行する無人機への迎撃実験を既に複数回成功させていて、防衛装備庁によれば1.2km射程での無人機迎撃に効果を発揮させているとのこと。また10kwレーザーは集束運用が可能という。
防衛装備庁は車両搭載型高出力レーザーシステムの搭載電源開発を推進します。これは東京市ヶ谷で開催された防衛技術シンポジウム2023において示されたもので、三菱重工の10kwレーザー砲と川崎重工の100kwレーザー砲が既に試験を開始しています。10kwと100kwは桁が違いますが、三菱重工は10kw砲を10本集束することが可能、と。
三菱重工10kwレーザー砲はそのまま車載装備として電源装置を加えて実用化できる水準ですが、射程は小型無人機に対して1.2㎞程度であり、戦車に搭載し戦車を狙うランセットドローンを迎撃できる可能性が示されていますが、より速い速度で飛翔する対戦車ミサイルなどの命中前の段階での迎撃能力については不確定の要素が残ります。
川崎重工の100kwレーザー砲は、高出力である分、その電源装置が大型化しており、40フィートコンテナ2台分、つまり路面電車二両編成に匹敵するおおきなシステムとなっているとのこと。この問題は現在、レーザーの熱変換効率が30%であるため、100kwレーザーには3.3倍の出力が必要となり、効率向上も併せて研究課題となる分野です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)