北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】フィリピン軍-A-29スーパーツカノ軽攻撃機増強計画と韓国製HDC-3100型コルベット起工式

2023-07-04 20:14:12 | 先端軍事テクノロジー
■■■防衛フォーラム■■■
 フィリピンの周辺情勢緊迫化を受けてのひところでは考えられない水準での防衛力強化について今月もお伝えしましょう。

 フィリピン政府はアメリカとのEDCA国防協力強化協定発効を受け、新たに四か所のフィリピン軍施設をアメリカ軍へ提供する決定を行いました、この協定はEDCA交渉の段階でアメリカ軍がフィリピン国内で拠点とできる施設の増設を条件としていたことを受けて調整されたもので、フィリピンとアメリカの相互防衛協力を前進させるものです。

 カガヤン州サンタアナのカミロオシアス海軍基地、同じカガヤン州のサンタアナのカミロオシアス海軍基地、やはり同じカガヤン州のカミロオシアス海軍基地、そしてカガヤン州サンタアナのカミロオシアス海軍基地、カガヤン州サンタアナのカミロオシアス海軍基地、新しく提供される施設はカガヤン州にある既存のフィリピン軍施設となっています。

 アメリカ軍は1992年まで空母二隻が母港となっていたスービックベイ海軍基地や東アジア最大と呼ばれたクラーク空軍基地などを維持していましたが、ピナツボ火山噴火に伴うクラーク基地閉鎖を受け代替施設を検討したところ、当時のフィリピン政府が拒否し、これに伴い在比米軍の大半が撤収し、在日米軍基地へ整理統合された歴史がありました。

 フィリピン国防省はブラジルのエンブラエル社との間でA-29スーパーツカノ軽攻撃機に関する契約を締結しました。フィリピン空軍は既に2020年10月にA-29スーパーツカノ軽攻撃機の受領を開始しており、最初に引き渡された6機を以て第15航空団第16飛行隊を編成していますが、フィリピン空軍は性能を高く評価し、増強を計画しています。

 OV-10ブロンコ多用途航空機、フィリピン空軍は従来、COIN機として対地攻撃を行うほか、前線飛行場への物資輸送や特殊部隊空挺進入などに用いられるOV-10ブロンコ多用途航空機を装備してきましたが、その老朽化が進んだことで後継機としてA-29スーパーツカノ軽攻撃機が選定、プロペラ式高等練習機を軽攻撃機へ改修した航空機となっています。

 A-29スーパーツカノ軽攻撃機、フィリピン空軍の計画は2024年までに24機体制とし、12機編成の2個飛行隊を編成する計画です、今回の契約では第二段階となる追加の6機を調達することとなります。小型の機体ですが汎用性の高さからゲリラや武装麻薬カルテルなどに悩まされる諸国には評価が高く、海外向けにアメリカでも生産されている航空機だ。

 フィリピン海軍が導入計画を進める将来コルベット2隻の起工式が2023年5月と11月に韓国で行われる方針です、これは韓国の現代重工業が発表した建造計画に基づくもの。フィリピン海軍は韓国から既にホセリサール級フリゲイト2隻を導入していますが、導入されるのは設計を一新して、このホセリサール級フリゲイトを補完する水上戦闘艦です。

 HDC-3100型、韓国の現代重工が提示したのは同社が輸出用に提示している水上戦闘艦です。これは満載排水量3100tであり全長116mと全幅14.8m、艦砲とVLS垂直発射装置16セル、そして対潜ヘリコプターの運用能力を有し、飛行甲板も大型化させます、対潜用のソナー及び兵装を有すると共に速力は25ノット、4500浬の航続距離を有する設計です。

 ホセリサール級フリゲイトと比べた場合、当初計画ではコルベットを導入する計画でしたが結果として現代重工から提示された案は大型化しており、建造費の面からも了承されフリゲイトよりもコルベットの方が大きいという不可思議な状況となっています。建造は2021年12月27日に正式契約されており、2隻の建造費は280億ペソとなっています。

 フィリピン海軍が韓国で建造する次期哨戒艦6隻へコングスベルクマリンタイム社が推進システムを提案しました。この哨戒艦は韓国の現代重工において建造されているもので、フィリピン海軍では水上戦闘艦の建造を進めるとともに、周辺情勢の緊張に対し圧倒的に不足する水上戦闘感染力を補うべく、大型哨戒艦の建造を並行して進めているもの。

 コングスベルクマリンタイム社は可変ピッチプロペラシステムを有する推進装置とともに制御システム一式を現代重工へ納入するとのこと。哨戒艇は全長94mあり満載排水量は2450t、最高速力22ノットを発揮し15ノットの巡航速力では5500浬の航続距離を有するとのこと。建造は順調に進められており一番艦は2024年8月に竣工予定です。

 哨戒艦ではありますが海軍が運用するため、対艦ミサイルなど、一定程度の水上打撃力の付与も可能です。フィリピン海軍は近年まで海軍力の重要性への認識が薄く、しかし領域内の環礁などを占領された事を受け海軍力を整備開始しており、制海権を確保するような施策ではなく、相手に損耗を強いる事で接近を拒否する防衛型の海軍を志向しています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ウクライナ情勢-カホフカダム... | トップ | ウクライナ情勢-反攻作戦投入... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

先端軍事テクノロジー」カテゴリの最新記事