■ロシア国営通信が発表
今朝は驚かされる事が多かったのです。6月にクーデター未遂事件を起こしベラルーシに出国した後はアフリカやロシアでも目撃されていたプリゴジン氏についてです。
ワグネルグループトップのプリゴジン氏が死亡しました。搭乗していたプライベートジェットが墜落したためで、航空機はモスクワからサンクトペテルブルグへ向かう航路を飛行、その途中のトベリ州上空で墜落し、煙をあげながら墜落し地上に激突ののち炎上する様子がSNS動画で拡散しています。ロシア国営テレビは乗客乗員10名の搭乗を報道した。
プリゴジン氏の死亡はロシア国営テレビが続報として墜落したプライベートジェットの乗客名簿を発表する形で死亡を報道、全世界の旅客機位置を公開しているフライトレーダー24によれば現地時間0611時にモスクワ州の上空を高度8500mまで上昇した時点で航路が途切れており、墜落したものと思われます。撃墜か爆発物か機械的故障かは不明です。
ワグネルクーデターとして、6月24日、ロシア連邦史上最大の反乱事件を主導した民間軍事会社ワグネルのトップであるプリゴジン氏は、6月25日にモスクワへ向かったワグネル部隊を撤収させ、ロシア大統領府は“誰も罪には問われないだろう”との声明を発表、反乱に参加したワグネル部隊の多くはロシアから隣国のベラルーシに移動していました。
ロシア軍に粛軍の嵐が吹き荒れるのではないか。危惧する点はここです。既にロシア航空宇宙軍司令官のスロヴィキン上級大将が、ワグネルクーデターに関係した疑いで消息不明となっています。スロヴィキン上級大将、ワグネルクーデター後早い段階で軟禁状態にあるともされていましたが、8月23日、ロシアのRBK紙が司令官の解任を報じました。
セルゲイスロヴィキン上級大将はロシア航空中軍司令官であり、モスクワ防空の全般に責任を持つとともに、現在はウクライナ特別軍事作戦派遣軍司令官とされており、ウクライナでの苦戦とともにモスクワに飛来する無人機攻撃からの防空でも苦戦しています。そして懸念するのは前任の特別軍事作戦派遣軍司令官もつい最近死亡しているのです。
ゲンナディジトコ陸軍大将の死亡、もう一つ粛軍を思わせる報道はロシア国営タス通信が18日に、ウクライナ特別軍事作戦指揮を執った東部軍管区司令官でウクライナ戦域司令官のゲンナディジトコ陸軍大将の死亡です。ゲンナディジトコ陸軍大将はロシア軍のキエフ攻略失敗後に司令官に着任し、国防省次官も兼任しましたが、昨年10月に解任された。
ロシア国営タス通信によれば、長い闘病の末に死亡したという表現を用いていますが、解任は昨年10月であり、長い闘病というには無理がある表現です。しかしタス通信が公開したジトコ大将の経歴にはウクライナでの司令官という言及は無く、過去にシリアでの作戦経験があるとしており、事実上ウクライナでの作戦経験は無かったことにされている。
粛軍の嵐というのは、ロシア政府、より踏み込んだ表現ではプーチン政権の視点としては二度とプリゴジン氏のワグネルクーデターのような事態を起こさせないという事に繋がるでしょう。しかし問題は現在、ロシアウクライナ戦争の最中であり、軍隊の待遇改善という選択肢は執れない事に在ります。その為のウクライナ撤退という選択肢はありません。
ウクライナ第一線でのロシア死傷者は既に25万とも30万とも言われています、無論、ロシアではモスクワ及びサンクトペテルブルク居住民とロシア連邦構成国の数多い自治共和国民とは、成文化されていない格差があり、これは徴兵対象者や社会保障公的年金やインフラ整備などあらゆる点で格差があります、しかし、それでもこの損害は大きすぎる。
不満を蓄積するなという事は土台無理な話であり、自治共和国としてロシア連邦を構成する国以外の旧ソ連構成国で独立国である幾つかの国はトルコや中国との関係を強化し、ロシアから距離を置こうとしている現状です。すると、大損害を出してウクライナから撤退することとなればこの距離感は確実となり、損害を積み重ねるほか選択肢がありません。
粛軍の嵐は、不満を漏らした指揮官、高級将校や将官も含めて粛清するという、これもスターリン粛軍の再来にはならないと思いたいのですが、既に複数の将官が粛清には至っていないものの長期療養や不審な事故死に繋がっています。ただ、これでは現代的な指揮系統と参謀体系に装備体系と補給系統からなる軍隊を構成するのは難しいといえるでしょう。
民主主義国家は選挙で政権が敗れるが、権威主義国家では占拠である日突然政権が崩壊する。粛軍がどの段階で完了するかはわかりません、それは粛軍を行うことで忖度を行う制度が暴走する為であり、粛軍と精強な軍隊を天秤にかけた状態ですので、粛軍による反乱を起こさない軍隊を強権に進めることを優先したため、簡単には引き返せないのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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今朝は驚かされる事が多かったのです。6月にクーデター未遂事件を起こしベラルーシに出国した後はアフリカやロシアでも目撃されていたプリゴジン氏についてです。
ワグネルグループトップのプリゴジン氏が死亡しました。搭乗していたプライベートジェットが墜落したためで、航空機はモスクワからサンクトペテルブルグへ向かう航路を飛行、その途中のトベリ州上空で墜落し、煙をあげながら墜落し地上に激突ののち炎上する様子がSNS動画で拡散しています。ロシア国営テレビは乗客乗員10名の搭乗を報道した。
プリゴジン氏の死亡はロシア国営テレビが続報として墜落したプライベートジェットの乗客名簿を発表する形で死亡を報道、全世界の旅客機位置を公開しているフライトレーダー24によれば現地時間0611時にモスクワ州の上空を高度8500mまで上昇した時点で航路が途切れており、墜落したものと思われます。撃墜か爆発物か機械的故障かは不明です。
ワグネルクーデターとして、6月24日、ロシア連邦史上最大の反乱事件を主導した民間軍事会社ワグネルのトップであるプリゴジン氏は、6月25日にモスクワへ向かったワグネル部隊を撤収させ、ロシア大統領府は“誰も罪には問われないだろう”との声明を発表、反乱に参加したワグネル部隊の多くはロシアから隣国のベラルーシに移動していました。
ロシア軍に粛軍の嵐が吹き荒れるのではないか。危惧する点はここです。既にロシア航空宇宙軍司令官のスロヴィキン上級大将が、ワグネルクーデターに関係した疑いで消息不明となっています。スロヴィキン上級大将、ワグネルクーデター後早い段階で軟禁状態にあるともされていましたが、8月23日、ロシアのRBK紙が司令官の解任を報じました。
セルゲイスロヴィキン上級大将はロシア航空中軍司令官であり、モスクワ防空の全般に責任を持つとともに、現在はウクライナ特別軍事作戦派遣軍司令官とされており、ウクライナでの苦戦とともにモスクワに飛来する無人機攻撃からの防空でも苦戦しています。そして懸念するのは前任の特別軍事作戦派遣軍司令官もつい最近死亡しているのです。
ゲンナディジトコ陸軍大将の死亡、もう一つ粛軍を思わせる報道はロシア国営タス通信が18日に、ウクライナ特別軍事作戦指揮を執った東部軍管区司令官でウクライナ戦域司令官のゲンナディジトコ陸軍大将の死亡です。ゲンナディジトコ陸軍大将はロシア軍のキエフ攻略失敗後に司令官に着任し、国防省次官も兼任しましたが、昨年10月に解任された。
ロシア国営タス通信によれば、長い闘病の末に死亡したという表現を用いていますが、解任は昨年10月であり、長い闘病というには無理がある表現です。しかしタス通信が公開したジトコ大将の経歴にはウクライナでの司令官という言及は無く、過去にシリアでの作戦経験があるとしており、事実上ウクライナでの作戦経験は無かったことにされている。
粛軍の嵐というのは、ロシア政府、より踏み込んだ表現ではプーチン政権の視点としては二度とプリゴジン氏のワグネルクーデターのような事態を起こさせないという事に繋がるでしょう。しかし問題は現在、ロシアウクライナ戦争の最中であり、軍隊の待遇改善という選択肢は執れない事に在ります。その為のウクライナ撤退という選択肢はありません。
ウクライナ第一線でのロシア死傷者は既に25万とも30万とも言われています、無論、ロシアではモスクワ及びサンクトペテルブルク居住民とロシア連邦構成国の数多い自治共和国民とは、成文化されていない格差があり、これは徴兵対象者や社会保障公的年金やインフラ整備などあらゆる点で格差があります、しかし、それでもこの損害は大きすぎる。
不満を蓄積するなという事は土台無理な話であり、自治共和国としてロシア連邦を構成する国以外の旧ソ連構成国で独立国である幾つかの国はトルコや中国との関係を強化し、ロシアから距離を置こうとしている現状です。すると、大損害を出してウクライナから撤退することとなればこの距離感は確実となり、損害を積み重ねるほか選択肢がありません。
粛軍の嵐は、不満を漏らした指揮官、高級将校や将官も含めて粛清するという、これもスターリン粛軍の再来にはならないと思いたいのですが、既に複数の将官が粛清には至っていないものの長期療養や不審な事故死に繋がっています。ただ、これでは現代的な指揮系統と参謀体系に装備体系と補給系統からなる軍隊を構成するのは難しいといえるでしょう。
民主主義国家は選挙で政権が敗れるが、権威主義国家では占拠である日突然政権が崩壊する。粛軍がどの段階で完了するかはわかりません、それは粛軍を行うことで忖度を行う制度が暴走する為であり、粛軍と精強な軍隊を天秤にかけた状態ですので、粛軍による反乱を起こさない軍隊を強権に進めることを優先したため、簡単には引き返せないのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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