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北朝鮮偵察衛星打ち上げ失敗-日本時間24日0400時前,発射後複数に分離し我が国EEZ外に落下

2023-08-24 07:30:12 | 国際・政治
■臨時情報-ミサイル防衛
 北朝鮮が二度目の軍事偵察衛星打ち上げを今朝行い失敗しました。

 防衛省によれば本日0400時頃、北朝鮮から飛翔体が発射されましたが、複数に分離した後に我が国EEZ外の三か所に分かれて落下しました。飛翔体は朝鮮半島からフィリピン沖へ、我が国南西諸島上空を通過したものとみられますが、政府によれば自衛隊による破壊措置命令は執られていないとのことです。また落下物による被害は出ていません。

 飛翔体発射はトンチャンリ付近から。飛翔体落下は0358時頃に朝鮮半島西方300kmの黄海に最初のものが落下、0359時頃に朝鮮半島南西沖350kmの東シナ海へ落下、そして0405時頃にフィリピン東方600kmの太平洋上に落下したものとみられ、落下物はありませんでしたが0400時頃に沖縄県と宮古島の中間空域上空を通過したものとみられています。

 政府は0538時に国家安全保障会議を緊急招集しています。沖縄県による各自治体からの報告の集計でも飛翔体落下物への被害情報は出ていません、また海上保安庁も船舶などへの被害は出ていません、更に飛翔体による落下物は航空航路などを逸れており、全日空や日本航空といった沖縄からの航空便は24日朝から平常通り運行されているとのこと。
■十月に再度実施へ
 北朝鮮は朝鮮労働党創立記念日の月でもある10月に再度打ち上げるとしています。

北朝鮮の朝鮮中央通信は打ち上げ失敗を認める報道を行いました。これによれば、今回打ち上げられたのはマルリギョンⅠ号軍事偵察衛星で、打ち上げに用いられたのは新型ロケットというチョルリマⅠ号、三段式ロケットだとしています。一段目と二段目の切り離しには成功したものの、三段目の切り離しにおいてエラーが発生したとしています。

三度目の打ち上げは10月に実施する、朝鮮中央通信によれば切り離しシステムの不具合であり、エンジンそのものには問題はないとしている事から対策を講じた上で10月にも三度目の打ち上げを行うとしています。ただ、前回の発射失敗も今回の発射失敗も切り離しのシステムに問題が生じており、前回よりは落下物が遠方に飛散した程度でしかありません。

軍事偵察衛星はその能力以上に国威発揚を目的としたもので、人工衛星を軌道に乗せる技術は再突入体により核弾頭を目標付近へ到達させる技術を誇示する用途にも用いられるため、今後北朝鮮は成功するまで継続するのでしょう。他方、繰り返し失敗する事での技術への周辺国の疑義は、他の技術が確立したミサイル演習強化に繋がるのかもしれません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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