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ウクライナ情勢-ザポリージャ原発からロシア国営原子力企業ロスアトム職員退避開始,懸念される原子炉爆破と核汚染

2023-07-01 07:00:22 | 防災・災害派遣
■臨時情報-ウクライナ情勢
 原発が人為的に破壊された場合は一線を越えたと批判するのでしょうがその場合日本はどうするのでしょう。遺憾の意を表明するか、それとも戦車など供与に踏み切るか、軍事介入がありえるのか。

 共同通信が“ロシア軍が占拠するザポリージャ原発からロシア国営原子力企業ロスアトム職員が退避を始めウクライナ人従業員も7月5日までに退去するよう勧告があった”というウクライナ国防省情報総局6月30日付発表を報道しました。退去勧告を行う理由は不明ですが、この原発は占領中のロシア軍が爆発物などを設置し破壊が危惧されています。

 7月5日に原発を爆破するのではないか、こうした危惧を無視する事ができません。少なくとも爆破された際にダメージコントロールに当る職員が不在であれば、毎時10シーベルトの核汚染が広がれば最早人間には対処不能です、120ミリシーベルトが年間被ばく上限ですので10000ミリシーベルトにあたる10シーベルトの核汚染では遠隔操作機しか動けません。

 福島第一原発事故を経験した日本としては深刻な汚染が30km圏内にほぼ収まるという誤解があるのかもしれません、しかしそれは炉心融解という深刻な事故が発生したものの核念慮の大半は地下に燃料デブリとして落下しました。しかし、1986年チェルノブイリ事故のように核燃料の大半が大気中に拡散し致死的な汚染だけで30km圏内となっています。
■アメリカの去就不明
 原発が破壊された場合、アメリカは次の経済制裁を行うのか、それともロシアに対し限定介入を覚悟するのか。

 アメリカはザポリージャ原発が人為的に破壊された場合にはどうするのかを明確に示すべきです。具体的には軍事介入するのか否か、忘れてはならないのは2022年2月までの時点でアメリカのバイデン大統領は、ウクライナがロシアに侵攻された場合でもアメリカは軍事介入しない、と明言した上で最大規模の経済制裁を科すとロシアに警告しましたが。

 開戦直前のバイデン大統領発言は、プーチン大統領にとりウクライナ侵攻の場合にもアメリカは軍事介入しないという言質をとった構図でしょう。さて、仮にザポリージャ原発が破壊された場合には、東欧地域と西アジア地域において深刻な放射能汚染が広がるのは必至です。その放射能汚染はNATO加盟国にも広がり、世界の穀倉地帯も直撃するのです。

 ザポリージャ原発が破壊された場合、NATOはロシアが核攻撃を行った場合には介入すると明言しました、しかし、広範な地域へ核汚染を引き起こす原発での緊急事態、爆破による広範囲の汚染が広がった場合への姿勢を明確に示していません。線引きをして、また介入の準備を示威行動で示すか、後で後悔するか、国際政治において沈黙は逆効果なのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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