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【日曜特集】海上自衛隊60周年観艦式【07】ヘリコプター搭載護衛艦くらま浦賀水道を太平洋へ(2012-10-08)

2023-02-12 20:00:16 | 海上自衛隊 催事
■思えば平和だった
 二〇一二年自衛隊観艦式の頃は護衛艦くらま以下今では歴史となっていった護衛艦も健在だったのですが、思えば緊張感はあるも平和な時代だった。

 観艦式特集、日曜特集として過去の自衛隊行事を紹介するとともに日常で掲載する防衛装備品や時事関連の話題に掲載するための写真アーカイブスを整理するという目的でも掲載しています観艦式特集ですが、この掲載を開始した昨年末には象徴的な転換点が。

 安全保障関連三文書が発表されます。防衛政策の大転換が始まり、これはCIVID-19感染拡大前に、月刊軍事研究が別冊にて自衛隊の50年に一度の大改編が開始されるという、善通寺駐屯地祭市街パレードの様子を表紙、水陸機動団と即応機動連隊を中心とした話題です。

 わたしが撮影していたのは表紙撮影位置から20mくらい後ろか、特集が組まれていました。ただ、自衛隊改編は2022年の改編が、かなりのリソースを反撃能力につぎ込むという、MLRSを廃止しそのリソースを反撃能力へ、AH-1Sを廃止しそのリソースを反撃能力へ。

 AH-64Dも廃止してそのリソースを反撃能力へ、OH-1といいますか観測ヘリコプターを全廃してそのリソースを反撃能力へ、88式地対艦誘導弾を廃止して反撃能力へ、12式地対艦誘導弾を廃止して反撃能力へ、U-125救難機を廃止して反撃能力へ、というものです。

 MLRSはM-270の後継装備にM-270A2でも調達するならばいいのでしょうが、そんな予算は無駄だとばかりに反撃能力を整備するという。まさに史上最大の防衛改革とおもう、が、賛同はしにくい。極端すぎる防衛力整備というものです、たとえば海上を例にすると。

 潜水艦が重要だと考える人に、その通りだ潜水艦を大幅に増強しよう、護衛艦は全廃だ、とかりに提示しますと極論過ぎる、と逆に反対されるでしょう。戦車はウクライナの戦場で評価されたといって普通科を全廃して戦車に置き換えるといえばやはり反対されるでしょう。

 50年に一度の大改革という2020年の表現は、そうではなく2022年こそ70年に一度といいますか、明治建軍以来の大改編といえるのです。痛いのはいやなので長距離打撃力に極振りしたいと思います、的な。即応機動連隊の改編は維持されるようですけれどもね。

 白書、しかし防衛白書に記された地対艦ミサイルが反撃能力に置き換わるという防衛省の説明を参考に、MLRSで海岸線の敵を撃破する運用も反撃能力に切り替わり、戦闘ヘリコプターなども反撃能力と、これは一部どんな機体を導入するのか不明なのですが。

 無人航空機で置き換えるようですけれども、防衛白書に記される防衛のあり方は、随分と変容することとなります。離島などで即応機動連隊が海岸線付近で敵の前進を阻んでいる間に、敵本土の港湾施設と飛行場を全力でミサイル攻撃するという現状からは一変する。

 防衛白書の防衛に関するイラストは随分と簡単になりますが、しかしイラストのイメージ図は敵国本土まで描かなければならないので大変です。陸上防衛は、相手が限定侵攻を仕掛けてきた場合に初動で相手を釘付けにする部隊をのぞけば、あとは全部変ります。

 多くが射程2000km規模の反撃能力、現在の自衛隊には装備されていない射程のミサイルにより置き換わる事となる。限定侵攻に初動の即応部隊で対応できなければ即座に相手国本土をミサイル攻撃する全面戦争に拡大するという、かなり思い切ったといいますか。

 北朝鮮型の自衛隊へ転換することとなります。ただ、これを防衛産業が本気で受け止めているならば、と懸念するのです。三菱重工の誘導関連の事業部付近には今後毎年数兆円のミサイル発注が十年単位で続くこととなりますので、現実になれば特需景気といえる。

 春日井や小牧当たりでタワーマンションラッシュになっていそうですが、先日そのあたりを所用で探訪しました際にはそのような気配はなく、防衛産業も、この勇ましい政策は岸田政権の寿命次第、とまではいかないにしても、これまでなんども繰り返されてきた事が。

 250機調達する航空機が33機で打ち止めとか、66機調達するというから部品を調達したものの13機で打ち止めとか、141機製造するはずの戦闘機が急に93機、と苦杯を飲まされてきましたので、静観しているという印象です。実際仮に現状のまま選挙に勝てるのか。

 防衛増税を争点に衆院総選挙をやって勝てる気がしないのですね、おそらく子育て政策や地方活性化政策とともに防衛増税をパッケージ化させて焦点を曖昧なものとするのでしょうけれども。結局、防衛産業はそんな危ない橋を渡れず、無駄に税金が流れる懸念さえ。

 観艦式、政府は反撃能力整備までの間隙を縫うべく、当面は先ずトマホークミサイルをアメリカから導入し、当面をしのぐとのこと。こうしますと、防衛費も増額することとなりますので、現在すすむ護衛艦もがみ型量産と平行し、将来護衛艦が建造される事は無いか。

 VLS垂直発射装置を大幅に増大させた護衛艦むらさめ型後継艦を前倒しで建造するのかもしれません。いや、こうした視点はまず八月の防衛予算概算要求をまたなければ先走りすぎということになるのでしょうけれども、政府が導入するトマホークミサイルもここは。

 現在の護衛艦には対空ミサイルと対潜用のアスロックを搭載してぎりぎりのVLS垂直発射装置しか搭載されていません、アスロックを予備弾半数を下ろして4発程度トマホークを載せる選択肢も、ないにはないのですけれども、数百発のトマホークを導入するのです。

 数発を護衛艦にひろく搭載したとしても、載せられる本数は知れています。潜水艦、ハープーンミサイルの後継にトマホークを載せる、これも出来ないことはないのですが。潜水艦に搭載する、ハープーンミサイルは便利そうに見えるものですが発射しますと難点が。

 即座に潜水艦の航行海域は暴露します、ハープーンの射程を考えれば潜水艦にはかなり自殺行為でして、射程の大きなトマホークの搭載はハープーンを置き換えるのに理想的です、ただ、これにしても潜水艦のミサイルと魚雷の搭載本数は22発程度でしかありませんから。

 まったく魚雷を下ろして巡航ミサイル潜水艦とするわけにも行かないでしょう、すると一隻あたり魚雷のほかに搭載できるトマホークミサイルはやはり数発、となる。個人的には、おやしお型潜水艦を、これは今自衛隊でもっとも古い、といいつつ自衛隊の潜水艦は若い。

 世界的に見れば最新鋭に伍する潜水艦について、最新鋭たいげい型潜水艦の建造が進むとともに延命改修と更に船体を延長、はるしお型潜水艦あさしおAIP実験区画追加改修のように、いったん切り離した船体にもう一つの区画を挿入して全長を15mほど延長させる。

 この区画にトマホークミサイル用水中発射VLSを追加しては、と考えるのです。現在製造されているトマホークは潜水艦魚雷発射管から発射できないものとなっていますので、アメリカ海軍の在庫から購入しない限りはVLSを搭載した潜水艦を新造するほかなくなる。

 ヴァージニア級攻撃型原潜にとりつけられているようなトマホーク四発内蔵型VLSを3セルか6セルおやしお型へ追加しますと、12発から24発搭載できることとなる、トマホーク運用能力は相手国からみれば脅威ですので、こうした潜水艦なんてものでもなければ、政府が導入を決定したミサイルを詰めないように思うのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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