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ウクライナ情勢-黒海穀物合意破綻影響3200万トンとノヴォイエホリフカ地区・ヴェルヴォベ地区の戦闘

2023-09-19 07:00:45 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 ウクライナ戦争についてイギリス国防省とアメリカ戦争研究所の最近の発表をまとめてみました。日本の防衛に資する意見として、やはり侵略され相手に防御陣地を造らせてしまうと大変だということ。

 ISW9月7日発表によれば、ウクライナ軍報道官の発表としてロシア軍はノヴォイエホリフカ地区において攻撃を試みたものの失敗したとのこと、当該地域は東部戦線北部のスヴァトヴェ南西16kmの地域にあり、ロシア軍が繰り返し攻撃を加えている地域の一つ。ウクライナ軍発表としてロシア軍は部隊再編成へ後退している状況だとしています。

 ウクライナ軍の反撃が進んでいる南部地域ではヴェルボベ地区において前進に成功している、これはウクライナ軍とロシア情報源が同様の概況を示しており、ヴェルヴォベ地区はオリヒフの南西18km地域、ロシア軍の複郭陣地防衛線の一つを突破した地域では戦果拡張が続いており、2023年内に一定程度の戦果を収められる可能性がでました。
■黒海穀物合意破綻影響
 ロシアはグローバルサウス諸国の支持を集めようと躍起ですがグローバルサウス諸国は穀物供給停止の影響を最初に受けています。

 イギリス国防省9月8日付ウクライナ戦況報告において、黒海穀物合意の破綻の影響について分析が示されました。まず、中断されるまでの黒海穀物合意の成果としてウクライナから3200万トンの穀物が世界市場に供給されたことで、一時高騰していた世界の穀物取引価格が23%低下させ、安定供給に寄与したとその成果を認識しているのですが。

 黒海穀物合意のロシア離脱は世界市場への穀物価格高騰懸念以上に、ウクライナからの穀物輸出の中断がウクライナ経済に影響を及ぼし、ウクライナの戦争継続能力に悪影響を及ぼす可能性をイギリス国防省は分析、その上でドナウ川河川交通や鉄道輸送などを分析し、黒海での海上輸送を代替できる輸送力は無いであろうと分析しています。
■囚人部隊とPMC
 ロシアはまだPMCと囚人部隊を使う。

 ISWアメリカ戦争研究所9月9日の分析においてロシア軍が東部戦線北部のシンキフカ地区とノヴォイエホリフカ地区において攻撃を仕掛け失敗したとのこと、この地域での戦闘は断続的に続く。。特筆すべきはISWの分析としてこの地域でのロシア軍攻撃にはロシア正規軍ではなく囚人部隊とPMC民間軍事会社戦闘員を用いているとのこと。

 南部地域においては、ロシア側とウクライナ側での情報が錯綜していて、ウクライナ参謀本部発表ではロボティネ近郊でのウクライナ軍限定的な攻撃成功を発表したのに対して、ロシア国防省は同地域ヴェルボベ近郊においてウクライナ軍が攻撃を試みたものの、これが撃退されたと発表、ISWはそうほうの真贋を確認できていません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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