■■■防衛フォーラム■■■
今回はアメリカ陸軍とアメリカ海兵隊の、日本へ前方展開予定とされた地上発射型トマホークシステムやMLR海兵沿岸連隊に関する最新の情報をお伝えしましょう。
アメリカ陸軍RCCTO重要装備迅速技術局は移動式トマホーク地上発射システムを完成させました。アメリカ陸軍はトランプ政権時ぢ亜の中距離核戦力全廃条約離脱を受け、それまで制限されていた499㎞以上の地上発射型ミサイルシステムの導入が可能となり、ロシア軍や中国軍の中距離ミサイル部隊へ対抗する国際法上の法的根拠を得ました。
タイフォンミサイルシステムの名称で進められるトマホーク地上発射型システムはこれを受け開発が進められていたもので、レイセオンミサイルアンドディフェンス社との間で2億1712万ドルの契約の下、地上発射システムを開発していました。このシステムはMk41垂直発射装置をそのまま地上発射型としたもので、様々なミサイル運用能力がある。
スタンダードSM-6ミサイル、タイフォンミサイルシステムにはMk41を転用したことでイージス艦などに採用されていたVLS垂直発射装置を倒立式により地上運用することが可能となり、この長距離防空及び弾道ミサイル迎撃システムの試験も実施されています。タイフォンミサイルシステムは4セル分のミサイルを搭載可能、4両で中隊を構成します。
■タイフォンミサイルシステム
これは日本のイージスアショアミサイル防衛システムへの一つの解決策と成り得た技術なのですがどう考えるべきなのでしょうか。
タイフォンミサイルシステムの詳細について。タイフォンミサイルシステム運用部隊はMRC-BOC中距離作戦機能中隊指揮センターを搭載したトレーラー一両、そして再装填システムを内蔵したトレーラー発射装置4両により一個中隊を編成、これらの機動はオシコシM-983A4牽引車により行われ、発射と再装填が迅速化されているとのこと。
発射装置は機動時には発射装置は寝かされた状態で収容され、発射時には倒立させ垂直に、垂直発射システムとして機能させます。搭載されるミサイルは4セル分であり、スタンダードSM-6とトマホーク巡航ミサイルが現在試験されており、特にスタンダードSM-6は中間指令誘導方式、CEC共同交戦能力により艦艇やF-35戦闘機からの照準が可能だ。
タイフォンミサイルシステムの利点は、再装填を寝かせた状態で行う為に迅速に行うことが可能で、RT再装填トレーラーが随伴することで弾薬集積地付近では短時間で次発が可能であるとともに、従来の地対艦ミサイルシステムとは異なり、BOC支援車両と連携することで発射装置間を分散運用することが可能、陸上のイージス艦となりうる装備です。
■NMESISシステム
要するにハンヴィーの後継車両に射程180kmの地対艦ミサイルを搭載するという。
アメリカ海兵隊はNMESIS海軍海兵遠征艦艇阻止システムの大規模導入を検討中です。そもそもアメリカ海兵隊はインド太平洋地域での中国海軍との全面衝突を見込んだ、戦車全廃を含む大規模改編、フォースデザイン2030を推進中です。しかし、フォースデザイン2030画定時には無かった装備体系を取り込む修正の必要性が出ているとのことです。
NMESIS海軍海兵遠征艦艇阻止システムはまさにその一つで、陸軍が導入しているJLTV統合軽量戦術車両の車体を無人化し、後部に二発のNSM地対艦ミサイルを搭載したもので、無人システムであるため、島嶼部に分散配置し、長期間の待機においても燃料補給などの必要性は最小限、通信維持などは太陽光パネルにより動力を得ることも可能という。
フォースデザイン2030については、現在、海兵隊の水陸両用作戦部隊から島嶼部防衛部隊への大胆な改編、という本筋を変更する動きはなく、海兵連隊の海兵沿岸連隊への改編も予定通り推進中です。しかしその上で、地対艦ミサイルや無人機に無人水上艇などなど、任務上必要となる新装備については例外とせず導入する方針が、示された形でしょう。
■総合的戦闘母艦計画
揚陸艦は必要という事ですが他の安価な艦艇でも充分代替できそうな技術でもありアメリカ海兵隊の今後の説明に関心が集まります。
アメリカ海兵隊は海軍両用戦艦との改編の整合性説明に迫られている状況です。それは海兵隊が進めるフォースデザイン2030では、水陸両用作戦部隊としての位置づけを見直し、沿岸防備部隊に戻るという改編であるため、多額の予算を要する海軍の揚陸艦は果たして必要なのか、という予算を担う海軍側からの疑問を突き付けられているのです。
フォースデザイン2030修正計画では、総合的戦闘母艦計画という位置づけを持ち、例えばサンアントニオ級ドック型輸送揚陸艦について、海兵隊が導入する様々な無人航空機や無人車両と無人水上艇、更に有人システムの母艦として機能させることを想定しています。もっとも、それにサンアントニオ級のような高価な艦艇が必要か、疑問はありうる。
総合的戦闘母艦計画について、アメリカ海兵隊は海軍と協同し、海兵隊戦闘研究所を中心に2023年10月1日までに、母艦実験計画を策定するとしています。ただ、繰り返すように現在の揚陸艦はMEU海兵遠征群の運用を念頭に搭載能力が画定されているため、海兵隊は海軍に巨費を投じた両用戦艦維持の必要性を丁寧に説明する必要が、あるでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
今回はアメリカ陸軍とアメリカ海兵隊の、日本へ前方展開予定とされた地上発射型トマホークシステムやMLR海兵沿岸連隊に関する最新の情報をお伝えしましょう。
アメリカ陸軍RCCTO重要装備迅速技術局は移動式トマホーク地上発射システムを完成させました。アメリカ陸軍はトランプ政権時ぢ亜の中距離核戦力全廃条約離脱を受け、それまで制限されていた499㎞以上の地上発射型ミサイルシステムの導入が可能となり、ロシア軍や中国軍の中距離ミサイル部隊へ対抗する国際法上の法的根拠を得ました。
タイフォンミサイルシステムの名称で進められるトマホーク地上発射型システムはこれを受け開発が進められていたもので、レイセオンミサイルアンドディフェンス社との間で2億1712万ドルの契約の下、地上発射システムを開発していました。このシステムはMk41垂直発射装置をそのまま地上発射型としたもので、様々なミサイル運用能力がある。
スタンダードSM-6ミサイル、タイフォンミサイルシステムにはMk41を転用したことでイージス艦などに採用されていたVLS垂直発射装置を倒立式により地上運用することが可能となり、この長距離防空及び弾道ミサイル迎撃システムの試験も実施されています。タイフォンミサイルシステムは4セル分のミサイルを搭載可能、4両で中隊を構成します。
■タイフォンミサイルシステム
これは日本のイージスアショアミサイル防衛システムへの一つの解決策と成り得た技術なのですがどう考えるべきなのでしょうか。
タイフォンミサイルシステムの詳細について。タイフォンミサイルシステム運用部隊はMRC-BOC中距離作戦機能中隊指揮センターを搭載したトレーラー一両、そして再装填システムを内蔵したトレーラー発射装置4両により一個中隊を編成、これらの機動はオシコシM-983A4牽引車により行われ、発射と再装填が迅速化されているとのこと。
発射装置は機動時には発射装置は寝かされた状態で収容され、発射時には倒立させ垂直に、垂直発射システムとして機能させます。搭載されるミサイルは4セル分であり、スタンダードSM-6とトマホーク巡航ミサイルが現在試験されており、特にスタンダードSM-6は中間指令誘導方式、CEC共同交戦能力により艦艇やF-35戦闘機からの照準が可能だ。
タイフォンミサイルシステムの利点は、再装填を寝かせた状態で行う為に迅速に行うことが可能で、RT再装填トレーラーが随伴することで弾薬集積地付近では短時間で次発が可能であるとともに、従来の地対艦ミサイルシステムとは異なり、BOC支援車両と連携することで発射装置間を分散運用することが可能、陸上のイージス艦となりうる装備です。
■NMESISシステム
要するにハンヴィーの後継車両に射程180kmの地対艦ミサイルを搭載するという。
アメリカ海兵隊はNMESIS海軍海兵遠征艦艇阻止システムの大規模導入を検討中です。そもそもアメリカ海兵隊はインド太平洋地域での中国海軍との全面衝突を見込んだ、戦車全廃を含む大規模改編、フォースデザイン2030を推進中です。しかし、フォースデザイン2030画定時には無かった装備体系を取り込む修正の必要性が出ているとのことです。
NMESIS海軍海兵遠征艦艇阻止システムはまさにその一つで、陸軍が導入しているJLTV統合軽量戦術車両の車体を無人化し、後部に二発のNSM地対艦ミサイルを搭載したもので、無人システムであるため、島嶼部に分散配置し、長期間の待機においても燃料補給などの必要性は最小限、通信維持などは太陽光パネルにより動力を得ることも可能という。
フォースデザイン2030については、現在、海兵隊の水陸両用作戦部隊から島嶼部防衛部隊への大胆な改編、という本筋を変更する動きはなく、海兵連隊の海兵沿岸連隊への改編も予定通り推進中です。しかしその上で、地対艦ミサイルや無人機に無人水上艇などなど、任務上必要となる新装備については例外とせず導入する方針が、示された形でしょう。
■総合的戦闘母艦計画
揚陸艦は必要という事ですが他の安価な艦艇でも充分代替できそうな技術でもありアメリカ海兵隊の今後の説明に関心が集まります。
アメリカ海兵隊は海軍両用戦艦との改編の整合性説明に迫られている状況です。それは海兵隊が進めるフォースデザイン2030では、水陸両用作戦部隊としての位置づけを見直し、沿岸防備部隊に戻るという改編であるため、多額の予算を要する海軍の揚陸艦は果たして必要なのか、という予算を担う海軍側からの疑問を突き付けられているのです。
フォースデザイン2030修正計画では、総合的戦闘母艦計画という位置づけを持ち、例えばサンアントニオ級ドック型輸送揚陸艦について、海兵隊が導入する様々な無人航空機や無人車両と無人水上艇、更に有人システムの母艦として機能させることを想定しています。もっとも、それにサンアントニオ級のような高価な艦艇が必要か、疑問はありうる。
総合的戦闘母艦計画について、アメリカ海兵隊は海軍と協同し、海兵隊戦闘研究所を中心に2023年10月1日までに、母艦実験計画を策定するとしています。ただ、繰り返すように現在の揚陸艦はMEU海兵遠征群の運用を念頭に搭載能力が画定されているため、海兵隊は海軍に巨費を投じた両用戦艦維持の必要性を丁寧に説明する必要が、あるでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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