北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

ウクライナにイーグルという選択肢はあるか,F-16よりロシアを刺激しない制空専用戦闘機F-15Cイーグル

2023-06-05 07:00:16 | 国際・政治
■米軍退役進むイーグル
 今とは比較にならない専守防衛の厳格な防衛政策下で日本が選んだF-15イーグルは文字通り周辺国に配慮した防衛用装備なのでしょう。

 ウクライナ空軍への供与に向けての訓練が間もなく開始されるF-16戦闘機ですが、実際のところアメリカがウクライナや東欧の同盟国、アジアの友好地域へ供与を考えなければならないのは、アメリカ空軍が加速度的に退役させているF-15C戦闘機の方ではないでしょうか。F-15C戦闘機、航空自衛隊でもまもなく退役が本格化するF-15Jの原型機です。

 F-15C戦闘機、アメリカ空軍の制空戦闘機として大量配備されましたが、F-35A戦闘機の量産に伴いアメリカでは数年内に全廃される方針であり、嘉手納基地の第18航空団からも飛行可能であるF-15Cは順次退役に向けて日本を去っています、そして空軍において酷使され続けた事もあり機体の状態は必ずしも新造機と比較し良好な状態ではありません。

 イーグル、しかし、AIM-120AMRAAM空対空ミサイル運用能力があり、能力向上されたAPG-63V3レーダーは、最新鋭のF-35のようなステルス機が相手であれば分が悪いのですが、Su-35戦闘機のようなロシアの最新鋭戦闘機が相手の場合では、相応にレーダー反射面積が大きい為に遠距離で捕捉し、180km以遠から空対空ミサイルにより交戦が可能です。

 F-16戦闘機と比較した場合、空対地攻撃能力ではF-16には及びません、それはF-15C戦闘機が純粋な制空戦闘機として設計されている為で、一方で能力向上により主任務ではないものの一定の空対地攻撃能力はあります。しかしなによりもウクライナの戦場を見る限り必要なものは制空戦闘機であり、敵戦闘機と巡航ミサイルから国土を守る事ができます。

 対地攻撃能力の低さは、ウクライナに供与した場合もモスクワ攻撃などロシア国土を直接攻撃する用途には用いる事が出来ない、という方便でも役立つ事でしょう。いや、実際問題として、専守防衛として周辺国に脅威を与える戦闘爆撃機の能力を避けていた1970年代末の日本が、航空自衛隊の戦闘機として採用したのもF-15戦闘機なのですから、ね。

 F-15C,老朽化は進んでいますし巨大な双発機ですので運用費用も安くはありません、しかし、ラファールやユーロファイターやF-35を導入できない東欧諸国には中古のF-15Cは制空戦闘能力の高さで合理的な選択肢ですしイーグルは象徴的な装備で、例えばウクライナと並ぶもう一つの脅威にさらされるアメリカの友好地域の空軍にも最適な装備と考えます。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【G3撮影速報】小牧基地C-130... | トップ | 【防衛情報】自衛隊ホーク後... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

国際・政治」カテゴリの最新記事