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ニッポンV-22オスプレイ部隊創設,陸上自衛隊"輸送航空隊"が木更津駐屯地に明日新編

2020-03-25 20:00:27 | 防衛・安全保障
■輸送航空隊,初号機五月配備
 V-22,アメリカ海兵隊が水陸機動によける空中機動作戦用に大量配備する高性能航空機です。

 陸上自衛隊のV-22オスプレイ可動翼機運用部隊が明日、木更津駐屯地に創設されます。木更津駐屯地にはCH-47J/JA輸送ヘリコプターなど多数を装備する第1ヘリコプター団などが駐屯している。V-22は回転翼を可動させることで回転翼航空機と固定翼航空機双方の利点を併せ持つ航空機で巡航速度556km/h以上、フェリー航続距離は3590kmに達します。

 V-22はまだ国内に到着していませんが、2015年度予算から2018年度予算にかけ17機が調達され、早ければ今年5月にも最初の初号機と二号機が木更津駐屯地に到着します。現在、陸上自衛隊向けの機体がベル社とボーイング社にて製造が進んでおり、現在のところアメリカ海兵隊のMV-22やアメリカ空軍のCV-22と似たグレー基調の航空迷彩塗装が施されています。

 輸送航空隊。木更津駐屯地に明日創設される部隊名は輸送航空隊という名称で、人員は340名規模、陸上自衛隊は今後順次17機のV-22を配備予定です。ただ、V-22は第1ヘリコプター団に配備されるのではなく、暫定的に木更津駐屯地に配備され、将来的には九州佐賀県の佐賀空港に隣接し新設が計画される仮称佐賀駐屯地もしくは分屯地に移駐する予定だ。

 木更津駐屯地へ暫定配備された背景には、ここには陸上自衛隊最大規模の航空部隊、第1ヘリコプター団が展開しており、地元である千葉県木更津市との間で騒音や安全性の問題が解決した、として暫定配備に関する合意が昨年12月に締結され、これを受けての部隊創設となります。一方、佐賀県との交渉は安全性や用地取得などの見通しが立っていません。

 木更津駐屯地には富士重工SUBARUのV-22定期整備施設が置かれています。これはベル社とボーイング社が製造し有償軍事供与の方式が採られるものの、定期整備や重整備はアメリカに持ち帰るのではなく、日本国内のパートナー企業が実施する事となっており、米軍機の整備も、部品供給遅延から異常に長期化しましたは、既に木更津で行われています。

 目達原駐屯地。佐賀県には第3戦闘ヘリコプター隊や西部方面ヘリコプター隊、また福岡第4師団隷下の第4飛行が駐屯する目達原駐屯地が置かれています。しかし残念なことに2018年2月5日、第3戦闘ヘリコプター隊所属のAH-64D戦闘ヘリコプターが県内の住宅街に墜落、操縦士と射手が死亡し墜落した住宅が全焼する事故があり、慎重論がある。

 V-22は長大な航続距離と巡航速度を有する分、取得費用はAH-64D戦闘ヘリコプターの1.5倍から2倍、CH-47JA輸送ヘリコプターの2倍、UH-60JA多用途ヘリコプターの3倍、そしてボーイング737-800型旅客機やエアバスA-320旅客機の2倍もの取得費用を要する、高価な航空機でMV-22取得費用を転じればUH-2多用途ヘリコプターを130機取得できた。

 緊急展開を考えた場合、例えばその予算でCH-47JAを調達するならば、目達原に第1ヘリコプター団と同規模の第2ヘリコプター団を創設できましたし、UH-60JA武装型を調達したならば、全国の対戦車ヘリコプター隊に各10機の飛行隊を編成する事ができ、言い換えれば陸上自衛隊の航空機調達計画を大きく変容させる、政治的な決定ともいわれています。

 しかし、いったん装備が決定し、そして具体的に17機が配備される段階となりますと、島嶼部防衛における能力は勿論、例えば在外邦人救出においても威力を発揮し、極論ですが、現在配備されていたらば、佐賀空港から中国武漢まで1550kmで充分飛行可能で、新型コロナウィルス感染拡大により世界に取り残された邦人救出へも十分対応できたでしょう。

 水陸機動団。自衛隊には長崎県佐世保市の相浦駐屯地に新編された自衛隊初の水陸両用部隊である水陸機動団があり、V-22は南西有事などの突発的事態に際して緊急展開する装備として調達されました。V-22の性能は佐賀空港に配備する事で沖縄県島嶼部であっても、また東京首都圏であっても水陸機動団をそのまま佐賀から緊急展開させることが可能です。

 第1空挺団と特殊作戦群。さて、木更津駐屯地に創設される陸上自衛隊輸送航空隊ですが、本来緊急展開するべき相浦駐屯地の水陸機動団からは非常に距離を隔てていつものの、千葉県には自衛隊の緊急展開部隊である第1空挺団と陸上自衛隊の特殊部隊である特殊作戦群が近傍の習志野駐屯地に駐屯しており、全国規模の即応緊急展開が可能となります。

 V-22,自衛隊が導入するV-22はアメリカ海兵隊仕様のMV-22により当初は17機が完結する方針でしたが、政府は周辺情勢の変化から後期取得分の機体を一部、特殊作戦用としてアメリカ空軍が運用するCV-22と同型機を取得する検討も続けられています。V-22可動翼機、極めて高価な航空機である分、その能力を最大限、活用してほしいところですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2020-03-26 17:45:37
オスプレイは最初たったの17機なのかとおもったのだけれど17機あればできる事はたくさんありそうで楽しみです、木更津航空祭今年できたならば展示される事を期待するものですね
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