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ウクライナ海軍USV無人水上艇の活躍,海上自衛隊はUSV無人水上艇とどのように向き合うべきか

2023-05-29 07:00:12 | 先端軍事テクノロジー
■もがみ型などで搭載
 エクゾセショック、対艦ミサイルの重要性が認識された1982年のエクゾセショック程ではありませんがUSV無人水上艇の戦果から考えさせられるものが有ります。

 ウクライナ海軍のUSV無人水上艇によるロシア海軍情報収集艦攻撃、USVからの撮影では、目標至近距離へ到達したところで情報が途切れており、目標へ損害を与えられた可能性が高くなっています。さて、USV無人水上艇、要するに震洋のような特攻兵器の無人版として見て取る事が出来るのですが、この装備体系は今後どのように展開するのでしょう。

 対艦ミサイルの代替と考えるべきではありません、USVは情報取集や遊弋の時間的余裕が大きく、キャプチャー機雷の発展型か、一種の徘徊式弾薬と情報収集用装備の特性を兼ね備えた海上兵器であると考えるべきです、具体的には、目標の位置を特定しなければ発射できない対艦ミサイルに対し、USVは数日間から数週間、目標を索敵する事が可能です。

 キャプチャー機雷というのは、魚雷を内蔵した機雷ですがUSVは自ら行動する事が可能で、きわめて少ない数でも広範囲を索敵できるほか、機銃弾などが命中した場合は破壊されるものの、掃海艇などの機雷探知装置に掛かる事は無く、逆に機雷原等を防衛するべく掃海艇などを駆逐する能力を備えているともいえるもので、新しい装備体系を構築し得る。

 海上自衛隊としては、USV、もがみ型護衛艦へ艦載型のものが開発されているほか、今後建造する哨戒艦についての無人運用が模索されており、自衛隊としてはこの装備体系について、導入を進めると同時に対策を構築しなければなりません。例えば、南西諸島の島嶼部防衛に陸上自衛隊がUSVを運用する可能性などを考慮し開発を進めるべきでしょう。

 無人ヘリコプター、もう一つはUSV対策について。欧州やアメリカでは無人ヘリコプターの艦載運用基盤構築が急がれています、この点についてUSVは非常に小さく、勿論護衛艦の潜望鏡探知レーダーとCIWS水上射撃モードを応用するならば撃退は充分可能なのでしょうが、USVは今でこそ数隻で運用されているものの、飽和攻撃が研究されるのでしょう。

 MQ-8無人ヘリコプター、海上自衛隊はSH-60哨戒ヘリコプターの補完に高性能であるMQ-8の導入を内定していましたが、一向に進んでいません。いやS-100のような小型機でもよいので複数機を護衛艦の艦載機として搭載し交代しつつ、いわばセンサーを空中に置く方式で常時滞空させる、こうした能力構築を急がなければならないように、考えるのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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