■■■防衛フォーラム■■■
今週は陸軍関係9の話題ですが、自衛隊のUH-60JAを見ているとNH-90は運用コストがユーロファイター並だという泣き所さえ我慢すれば良い装備なのかなとも思えてきます。
イタリア陸軍はNH-90多用途ヘリコプター60号機を受領し導入計画を完了しました。NH-90の60号機納入式は11月25日にレオナルドヘリコプター社のベニステッセラ工場において行われています。NH-90多用途ヘリコプターはイタリア陸軍ではUH-90として運用されており、これらは3個のヘリコプター連隊に20機づつが配備されています。
NH-90多用途ヘリコプターはUH-1多用途ヘリコプターの後継としてレオナルド社の前身であるアグスタウェストランド社やエアバスヘリコプターズの前身ユーロコプター等欧州共同開発により完成したヘリコプター、20名の人員を空中機動させるとともに後部カーゴハッチを有しており物資輸送や医療支援任務などにも広い用途を有しています。
NH-90多用途ヘリコプターの特色は、従来の多用途ヘリコプターよりも大型化させた点で、戦術空中機動と共に比較的遠距離を飛行させる能力を付与、また兵員輸送に留まらない多用途性を付与しています。しかしその一方、UH-1などに付与された武装ヘリコプター、所謂ガンシップとして用いるには機体が大き過ぎ、また実際に派生型も開発されていません。
■ZMA-15装甲戦闘車
APCとIFVの違いは火力の方では無くて防御力と機動力の面で戦車に随伴できるという点が重要なのだけれども。
トルコのFNSS社はM-113派生型となるZMA-15装甲戦闘車を完成させました。M-113装甲車は1980年代から側面などの防御力を強化し機関砲などを搭載したAIFV装甲車が開発されています、トルコ軍もFNSS社がライセンス生産し更に改良したものをACV-15として採用していますが、大型のNEFER-25mm機関砲を搭載したものがZMA-15です。
ZMA-15は機動力ではM-113の水準にあり第三世代戦車の機動力に随伴することは難しいのですが、不整地突破能力を有するという点だけでもこの種の装甲車には用途があることがウクライナ戦争におけるウクライナ軍M-113装甲車により確認されています。NEFER-25mm砲塔はトルコのアセルサン社が開発した無人式の機関砲塔となっています。
M-113装甲車は、しかしインファントリーパーソナルキャリアとしての用途に限定してウクライナでは成果を上げている分析があり、機動力が劣るために敵戦闘部隊とは視程外の地域で運用されています、ここに来観桜を搭載する試みは1980年代から各国で進められていますが、近接戦闘部隊としてこの種の車両を最前線に投入する性能は未知数です。
■ピオルン地対空ミサイル
NATOの備蓄も心細くなっている印象です。
ノルウェー陸軍はポーランド製ピオルン携帯地対空ミサイル調達を決定しました。ノルウェー軍ではNASAMS中距離防空システム最低射程の内側を担う携帯地対空ミサイルを模索しており、今回迅速に納入できるという点も加え、ポーランド製地対空ミサイルを採用する事となりました、なおポーランドはノルウェーと同じNATO加盟国となっています。
ピオルン携帯地対空ミサイルはポーランドのMESKO-SAが生産しており、射程6000mで有効射高4000m、今回の契約は3億5000万ノルウェークローネ規模であり、ドル換算では3500万ドル規模となります。全体的な形状は旧ソ連製9K38/SA-18グレイル携帯地対空ミサイルと酷似しており、実際SA-18を近代化改修したものでNATOでは異色の存在です。
9K38/SA-18グレイル携帯地対空ミサイルは広くライセンス生産が行われてきたという背景があります、しかし今回のノルウェー軍によるポーランド製装備導入という背景にはもう一つ、所謂西欧諸国が冷戦終結後に軍需産業と防衛力を局限化してきました一方、東欧はロシア脅威を見続け、防衛力整備とともに軍需産業維持に取り組んだ結果といえます。
■スバルベル412EPX
無難なのはわかるのですが輸出に全然注力していないこの装備が売れているのは驚きです。
グアテマラ空軍はスバルベル412EPX多用途ヘリコプターの受領を開始しました。これは2022年12月19日に引き渡し式が行われ最新型のスバルベル412EPXが2機就役しています。いわゆるUH-1シリーズの最新型であり、グアテマラ空軍では旧型機としてUH-1シリーズ初期型にあたるベル206から比較的新しいベル412までを運用しています。
スバルベル412EPXのグアテマラ空軍でも運用は強襲ヘリコプターとしての運用も想定してはいるのでしょうが、白地に青色のラインを描き上部を白色という、救難用や患者輸送用の迷彩色ではない塗装を採用しています。この機体は2022年にベル社とアメリカ陸軍多国間航空計画局によりグアテマラ空軍に提案され、採用が決定したという背景があります。
スバルベルのなの通り、この開発には当時の富士重工がベル社と共同開発したものです、現在社名を富士重工からスバルへと改名したためにこの名に。滞空時間が3.8時間あり、人員15名を輸送可能であるとともに武装ヘリコプターへの転用も可能となっています。そして陸上自衛隊でもUH-2多用途ヘリコプターとして採用されている機体と同一のヘリコプターです。
■M-136ボルケーノ
陸上自衛隊では87式地雷散布装置とヘリコプターを使うところですね。
中華民国台湾はアメリカからM-136ボルケーノ地雷敷設装置を導入します、アメリカ国務省は1億8000万ドルで、その対外供与を認可しました。M-136地雷散布装置は巨大なM-977-HEMTT重貨物トラックに搭載される地雷散布装置でM-87地雷敷設装置を搭載、AP対人地雷やMP対戦車地雷を短時間で広範囲に敷設、対戦車生涯を構成する装備です。
M-136地雷散布装置は対人地雷6発と対戦車地雷1発からなるコンテナを複数搭載しており、高圧空気で遠方まで地雷投擲、特に対人地雷は単純な触発式ではなく地面に落下後12m先まで罠線となるワイヤーを張り、広範囲の地雷原を構成、対戦車地雷も触発式ではなく磁気検知方式ですが、地雷処理装置を見分ける機能があり車両を標的として起爆します。
M-87地雷敷設装置には地雷を撒く機能だけであり埋める性能は含まれていません。しかし、一見して地雷が敷設されている事を示すだけでも相手の行動を制約する性能があり、これには更に実地雷に複数の擬製地雷を紛れ込ませる運用でも、相手にどれが実地雷かを把握させない意味があり、時として有効な地雷原として機能するという研究もあるようです。
■BvS.10全地形車両436両
防弾で浮航能力もあって傾斜地は勿論山間部も湿地帯も大丈夫というこの装備は自衛隊に絶対必要な装備だと思う。
イギリスとスウェーデンおよびドイツは共同でBvS.10全地形車両436両を取得します。これは近年NATOが新しい最前線として認識している北極圏での戦闘に備えるもので、BvS.10は雪上はもちろん北極圏の厳しい低温においても、機動力とともに一定の防御力を確保できると機体されていて、436両のBvS.10は7億8000万ドルにて取得されるという。
BvS.10はBAEシステムズ社が生産、開発国のスウェーデンが236両を取得、ドイツが140両を導入しイギリスはすでに海兵隊がBvS.10を運用しているところにさらに60両を追加配備します。この引き渡しは2024年からはじまるとのことですが、汎用車両としてBvS.10の非装甲型であるベーオウルフ全地形車両についてもこの436両に含まれるとしています。
全地形車両は連節式の車両で前後に動力伝達装置を通じて履帯を駆動させるとともに前後の車両に人員や物資の輸送能力があります、これは雪庇などを踏破する性能に繋がりますが、積雪地域では設地圧を広くする必要があり、一方この方式は橇などによる物資の牽引能力が高くなるという利点もあります。BvS.10は雪上車のBV-206を改良した装備です。
■RCH-155装輪自走榴弾砲
99式自走榴弾砲の砲塔を無人化して16式機動戦闘車に搭載した様な凄いのだけれども採用されなかった装備の初陣がウクライナという。
ドイツのクラウスマッファイヴェクマン社はウクライナへRCH-155装輪自走榴弾砲18門を納入します、このRCH-155はドイツ連邦軍において運用されているPzH-2000自走榴弾砲の砲塔システムを軽量化し、またドイツ連邦軍において多数が運用されているボクサー装輪装甲車に搭載したもので、連邦軍の装備ではなく独自開発した自走榴弾砲です。
ウクライナへのRCH-155供与はドイツ政府の連邦軍能力構築基金から費用が捻出されており、これにはPzH-2000自走榴弾砲14両の供与資金も含まれています。ただ、RCH-155は第二次世界大戦後、ドイツが初めて開発した装輪自走榴弾砲となっています、興味深いのはRCH-155は砲塔システムであり、ボクサー装輪装甲車以外にも搭載可能ということ。
RCH-155はMLRS多連装ロケットシステムの車体部分などへの搭載も可能となっていますが、モジュール方式装甲車というボクサー装輪装甲車が選定、ボクサーは増加装甲など38.5tまでの車体重量を想定しているということですが、RCH-155は39tに達するとのことです。乗員は車体内に位置し砲塔は無人化、エンジンは804hp型を搭載しています。
■韓国新型分隊機銃K-15
日本は日本特殊金属を受け継いだ住友がやる気を出さず駄目な機関銃ばかりつくるので警告したら逆に撤退されたという。この位はやってほしいけれども小さな陸上自衛隊の国内需要のみと巨大な陸軍の輸出用込みとの違いか。
韓国陸軍は新型分隊機銃K-15の導入を開始します、5.56mm分隊機銃としてSNI-S&T社により開発されたK-15は先行して配備されている旧型のK-3分隊機銃を置き換えることとなりますが、もともとK-15はK-3を近代化改修したものであり、軽量であるが華奢というK-3の難点を、部品単位で強化したもの。K-1小銃の弾倉をそのまま装填可能です。
K-15分隊機銃はK-3を堅牢化したことで重量が増大しています、これは韓国版MINIMIと称されたK-3分隊機銃が二脚込みで6.8kgであったのに対してK-15は本体重量だけで7kgとなり二脚を加えると更に重量は大きくなります、しかし、全体重量としてはMINIMI分隊機銃よりも軽量に押さえており、また射撃性能の信頼性も向上したとされている。
■SISU-GTP軽装甲機動車
こういう話題を見ると日本の軽装甲機動車はそろそろ初期の車両が老朽化するのだけれども後継装備をどうするのかが不安です。
フィンランド軍はSISU-GTP軽装甲機動車を増強します。SISU-GTPはフィンランドのSISU社が2019年に開発した四輪駆動の機動装甲車両でMRAP耐爆車両よりも機動性が高く、RWS遠隔操作銃塔を搭載可能、5名定員の貨物輸送型と10名を機動させる歩兵輸送車が開発されています、機械化部隊用装備としてフィンランド軍は2020年に調達決定する。
SISU-GTP軽装甲機動車今回追加調達されるのは25両で取得費用は1910万ユーロとのこと。フィンランド軍では六輪式装輪装甲車であるXA-180装輪装甲車の老朽化に直面しており、XA-180ほどの多用途性能はありませんが、小型車両が求められる状況では軽装甲機動車のほうが有用であるとして採用されました、車輪が大きく積雪地でも行動可能です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
今週は陸軍関係9の話題ですが、自衛隊のUH-60JAを見ているとNH-90は運用コストがユーロファイター並だという泣き所さえ我慢すれば良い装備なのかなとも思えてきます。
イタリア陸軍はNH-90多用途ヘリコプター60号機を受領し導入計画を完了しました。NH-90の60号機納入式は11月25日にレオナルドヘリコプター社のベニステッセラ工場において行われています。NH-90多用途ヘリコプターはイタリア陸軍ではUH-90として運用されており、これらは3個のヘリコプター連隊に20機づつが配備されています。
NH-90多用途ヘリコプターはUH-1多用途ヘリコプターの後継としてレオナルド社の前身であるアグスタウェストランド社やエアバスヘリコプターズの前身ユーロコプター等欧州共同開発により完成したヘリコプター、20名の人員を空中機動させるとともに後部カーゴハッチを有しており物資輸送や医療支援任務などにも広い用途を有しています。
NH-90多用途ヘリコプターの特色は、従来の多用途ヘリコプターよりも大型化させた点で、戦術空中機動と共に比較的遠距離を飛行させる能力を付与、また兵員輸送に留まらない多用途性を付与しています。しかしその一方、UH-1などに付与された武装ヘリコプター、所謂ガンシップとして用いるには機体が大き過ぎ、また実際に派生型も開発されていません。
■ZMA-15装甲戦闘車
APCとIFVの違いは火力の方では無くて防御力と機動力の面で戦車に随伴できるという点が重要なのだけれども。
トルコのFNSS社はM-113派生型となるZMA-15装甲戦闘車を完成させました。M-113装甲車は1980年代から側面などの防御力を強化し機関砲などを搭載したAIFV装甲車が開発されています、トルコ軍もFNSS社がライセンス生産し更に改良したものをACV-15として採用していますが、大型のNEFER-25mm機関砲を搭載したものがZMA-15です。
ZMA-15は機動力ではM-113の水準にあり第三世代戦車の機動力に随伴することは難しいのですが、不整地突破能力を有するという点だけでもこの種の装甲車には用途があることがウクライナ戦争におけるウクライナ軍M-113装甲車により確認されています。NEFER-25mm砲塔はトルコのアセルサン社が開発した無人式の機関砲塔となっています。
M-113装甲車は、しかしインファントリーパーソナルキャリアとしての用途に限定してウクライナでは成果を上げている分析があり、機動力が劣るために敵戦闘部隊とは視程外の地域で運用されています、ここに来観桜を搭載する試みは1980年代から各国で進められていますが、近接戦闘部隊としてこの種の車両を最前線に投入する性能は未知数です。
■ピオルン地対空ミサイル
NATOの備蓄も心細くなっている印象です。
ノルウェー陸軍はポーランド製ピオルン携帯地対空ミサイル調達を決定しました。ノルウェー軍ではNASAMS中距離防空システム最低射程の内側を担う携帯地対空ミサイルを模索しており、今回迅速に納入できるという点も加え、ポーランド製地対空ミサイルを採用する事となりました、なおポーランドはノルウェーと同じNATO加盟国となっています。
ピオルン携帯地対空ミサイルはポーランドのMESKO-SAが生産しており、射程6000mで有効射高4000m、今回の契約は3億5000万ノルウェークローネ規模であり、ドル換算では3500万ドル規模となります。全体的な形状は旧ソ連製9K38/SA-18グレイル携帯地対空ミサイルと酷似しており、実際SA-18を近代化改修したものでNATOでは異色の存在です。
9K38/SA-18グレイル携帯地対空ミサイルは広くライセンス生産が行われてきたという背景があります、しかし今回のノルウェー軍によるポーランド製装備導入という背景にはもう一つ、所謂西欧諸国が冷戦終結後に軍需産業と防衛力を局限化してきました一方、東欧はロシア脅威を見続け、防衛力整備とともに軍需産業維持に取り組んだ結果といえます。
■スバルベル412EPX
無難なのはわかるのですが輸出に全然注力していないこの装備が売れているのは驚きです。
グアテマラ空軍はスバルベル412EPX多用途ヘリコプターの受領を開始しました。これは2022年12月19日に引き渡し式が行われ最新型のスバルベル412EPXが2機就役しています。いわゆるUH-1シリーズの最新型であり、グアテマラ空軍では旧型機としてUH-1シリーズ初期型にあたるベル206から比較的新しいベル412までを運用しています。
スバルベル412EPXのグアテマラ空軍でも運用は強襲ヘリコプターとしての運用も想定してはいるのでしょうが、白地に青色のラインを描き上部を白色という、救難用や患者輸送用の迷彩色ではない塗装を採用しています。この機体は2022年にベル社とアメリカ陸軍多国間航空計画局によりグアテマラ空軍に提案され、採用が決定したという背景があります。
スバルベルのなの通り、この開発には当時の富士重工がベル社と共同開発したものです、現在社名を富士重工からスバルへと改名したためにこの名に。滞空時間が3.8時間あり、人員15名を輸送可能であるとともに武装ヘリコプターへの転用も可能となっています。そして陸上自衛隊でもUH-2多用途ヘリコプターとして採用されている機体と同一のヘリコプターです。
■M-136ボルケーノ
陸上自衛隊では87式地雷散布装置とヘリコプターを使うところですね。
中華民国台湾はアメリカからM-136ボルケーノ地雷敷設装置を導入します、アメリカ国務省は1億8000万ドルで、その対外供与を認可しました。M-136地雷散布装置は巨大なM-977-HEMTT重貨物トラックに搭載される地雷散布装置でM-87地雷敷設装置を搭載、AP対人地雷やMP対戦車地雷を短時間で広範囲に敷設、対戦車生涯を構成する装備です。
M-136地雷散布装置は対人地雷6発と対戦車地雷1発からなるコンテナを複数搭載しており、高圧空気で遠方まで地雷投擲、特に対人地雷は単純な触発式ではなく地面に落下後12m先まで罠線となるワイヤーを張り、広範囲の地雷原を構成、対戦車地雷も触発式ではなく磁気検知方式ですが、地雷処理装置を見分ける機能があり車両を標的として起爆します。
M-87地雷敷設装置には地雷を撒く機能だけであり埋める性能は含まれていません。しかし、一見して地雷が敷設されている事を示すだけでも相手の行動を制約する性能があり、これには更に実地雷に複数の擬製地雷を紛れ込ませる運用でも、相手にどれが実地雷かを把握させない意味があり、時として有効な地雷原として機能するという研究もあるようです。
■BvS.10全地形車両436両
防弾で浮航能力もあって傾斜地は勿論山間部も湿地帯も大丈夫というこの装備は自衛隊に絶対必要な装備だと思う。
イギリスとスウェーデンおよびドイツは共同でBvS.10全地形車両436両を取得します。これは近年NATOが新しい最前線として認識している北極圏での戦闘に備えるもので、BvS.10は雪上はもちろん北極圏の厳しい低温においても、機動力とともに一定の防御力を確保できると機体されていて、436両のBvS.10は7億8000万ドルにて取得されるという。
BvS.10はBAEシステムズ社が生産、開発国のスウェーデンが236両を取得、ドイツが140両を導入しイギリスはすでに海兵隊がBvS.10を運用しているところにさらに60両を追加配備します。この引き渡しは2024年からはじまるとのことですが、汎用車両としてBvS.10の非装甲型であるベーオウルフ全地形車両についてもこの436両に含まれるとしています。
全地形車両は連節式の車両で前後に動力伝達装置を通じて履帯を駆動させるとともに前後の車両に人員や物資の輸送能力があります、これは雪庇などを踏破する性能に繋がりますが、積雪地域では設地圧を広くする必要があり、一方この方式は橇などによる物資の牽引能力が高くなるという利点もあります。BvS.10は雪上車のBV-206を改良した装備です。
■RCH-155装輪自走榴弾砲
99式自走榴弾砲の砲塔を無人化して16式機動戦闘車に搭載した様な凄いのだけれども採用されなかった装備の初陣がウクライナという。
ドイツのクラウスマッファイヴェクマン社はウクライナへRCH-155装輪自走榴弾砲18門を納入します、このRCH-155はドイツ連邦軍において運用されているPzH-2000自走榴弾砲の砲塔システムを軽量化し、またドイツ連邦軍において多数が運用されているボクサー装輪装甲車に搭載したもので、連邦軍の装備ではなく独自開発した自走榴弾砲です。
ウクライナへのRCH-155供与はドイツ政府の連邦軍能力構築基金から費用が捻出されており、これにはPzH-2000自走榴弾砲14両の供与資金も含まれています。ただ、RCH-155は第二次世界大戦後、ドイツが初めて開発した装輪自走榴弾砲となっています、興味深いのはRCH-155は砲塔システムであり、ボクサー装輪装甲車以外にも搭載可能ということ。
RCH-155はMLRS多連装ロケットシステムの車体部分などへの搭載も可能となっていますが、モジュール方式装甲車というボクサー装輪装甲車が選定、ボクサーは増加装甲など38.5tまでの車体重量を想定しているということですが、RCH-155は39tに達するとのことです。乗員は車体内に位置し砲塔は無人化、エンジンは804hp型を搭載しています。
■韓国新型分隊機銃K-15
日本は日本特殊金属を受け継いだ住友がやる気を出さず駄目な機関銃ばかりつくるので警告したら逆に撤退されたという。この位はやってほしいけれども小さな陸上自衛隊の国内需要のみと巨大な陸軍の輸出用込みとの違いか。
韓国陸軍は新型分隊機銃K-15の導入を開始します、5.56mm分隊機銃としてSNI-S&T社により開発されたK-15は先行して配備されている旧型のK-3分隊機銃を置き換えることとなりますが、もともとK-15はK-3を近代化改修したものであり、軽量であるが華奢というK-3の難点を、部品単位で強化したもの。K-1小銃の弾倉をそのまま装填可能です。
K-15分隊機銃はK-3を堅牢化したことで重量が増大しています、これは韓国版MINIMIと称されたK-3分隊機銃が二脚込みで6.8kgであったのに対してK-15は本体重量だけで7kgとなり二脚を加えると更に重量は大きくなります、しかし、全体重量としてはMINIMI分隊機銃よりも軽量に押さえており、また射撃性能の信頼性も向上したとされている。
■SISU-GTP軽装甲機動車
こういう話題を見ると日本の軽装甲機動車はそろそろ初期の車両が老朽化するのだけれども後継装備をどうするのかが不安です。
フィンランド軍はSISU-GTP軽装甲機動車を増強します。SISU-GTPはフィンランドのSISU社が2019年に開発した四輪駆動の機動装甲車両でMRAP耐爆車両よりも機動性が高く、RWS遠隔操作銃塔を搭載可能、5名定員の貨物輸送型と10名を機動させる歩兵輸送車が開発されています、機械化部隊用装備としてフィンランド軍は2020年に調達決定する。
SISU-GTP軽装甲機動車今回追加調達されるのは25両で取得費用は1910万ユーロとのこと。フィンランド軍では六輪式装輪装甲車であるXA-180装輪装甲車の老朽化に直面しており、XA-180ほどの多用途性能はありませんが、小型車両が求められる状況では軽装甲機動車のほうが有用であるとして採用されました、車輪が大きく積雪地でも行動可能です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)