北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

舞鶴基地のサクラは今が満開! 明日も北吸桟橋・海軍記念館一般公開

2010-04-10 21:14:24 | 海上自衛隊 催事

◆自衛艦と桜の花

 奥比叡、三千院門跡、仁和寺御室桜を除けば京都市内は天龍寺、清滝、清水寺、高台寺、竜安寺、嵐山、知恩院、八瀬、二条城、醍醐寺と桜が満開です。高雄は五分咲きとのことですが。

Img_5864  Weblog北大路機関からは京都府は北辺から日本海の防衛警備を担う海上自衛隊舞鶴基地の桜花開花情報をお伝えします。桜並木とともに手前に見えるのは20ミリ多銃身機銃、こちらは舞鶴市役所から望む掃海艇桟橋に停泊する掃海艇まえじま。ちなみに釣り人に愛される舞鶴港前島埠頭から、この、まえじま、は見えません。

Img_5856  掃海艇桟橋の様子、掃海艇まえじま、と北吸桟橋に停泊する補給艦ましゅう、多用途支援艦ひうち、がみえます。舞鶴市内を散策してみますと、舞鶴市役所、舞鶴赤れんが博物館といった公共施設、文化施設に隣接して海上自衛隊の桟橋と停泊する艦船を眺めることが出来ます。

Img_5804  前島埠頭から北吸桟橋を望みます。北吸桟橋には第3護衛隊群司令部ほか護衛艦などが停泊する桟橋で、その向こうには桜並木が見えます。手前には海賊対処任務で活躍した護衛艦あまぎり、そして先日呉基地から舞鶴基地へ転属となった護衛艦まつゆき、が停泊しているのがみえます。

Img_5989  満開の桜、その向こうに護衛艦の上部構造物が見えます。自衛隊施設といったらば桜の木、という印象があるのですが、舞鶴基地も例外ではなく、その敷地内には多くの桜が植えられていて、見事な桜並木が続きます。春にはこのように満開の桜をもって隊員とともに見学者を迎えてくれます。

Img_5978  舞鶴市は、海軍主導の合併により誕生した市なのですが、そのためもあって、商業などの中心地は西舞鶴にある田辺城の城下町となっているのですけれども、東舞鶴には警察署や市役所といった行政の中枢が集まっています。海上自衛隊も舞鶴市の一員として1994年にはこうした赤煉瓦の壁を建設し、観光資源として供しています。

Img_5969  北吸桟橋を歩道橋から望みます。やや視線を高い位置においただけで、護衛艦と桜並木が上手く並んでくれます。舞鶴基地は、土曜日と日曜日に北吸桟橋と海軍記念館を一般公開していまして、受付で見学証を借りることで自由に見学することが出来ます。もしお時間のある方は明日、この桜並木を観に出かけてはいかがでしょうか。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

平成二十二年度四月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報2

2010-04-09 23:28:13 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

 今週末は、第12旅団創設記念行事、第1師団創設記念行事を始め、様々な行事が執り行われます。今年度は中央観閲式が行われるとあって、東部方面隊には注目が集まります。

Img_1719 土曜日四月十日、第12旅団司令部の置かれる群馬県相馬原駐屯地では旅団創立9周年、駐屯地創設51周年記念行事が行われます。高崎駅からバスが非常に少なく、よく調べる必要があります。最寄りの群馬総社駅からタクシーというのも遠いのですが、旅団司令部の置かれている場所からやや榛名山寄りの相馬原飛行場地区で行事が行われます、駐車場はありました。滑走路上の観閲行進、空中機動旅団ということで、ヘリコプター多数が参加する訓練展示も迫力でした。

Img_7808_1  四月十日、東北方面総監部が置かれる仙台駐屯地では、駐屯地創設52周年さくら祭が行われます。東北方面隊創設記念行事は十月に霞目飛行場で行われるので、仙台駐屯地にはシャトルバス乗車くらいでしか立ち入ることはできません。いわゆる行事とは少し異なるようなのですが、装備品展示が行われるようです。仙台駅から仙石線を利用、苦竹駅から徒歩すぐです。仙石線からの最寄り門は正門とは反対方向になります。

Img_8314  アメリカ海軍厚木航空基地さくら祭、十日に行われるのですが、ウイングスが行われなくなりました今日、厚木航空基地米軍区画での一般公開は、さくら祭と夏祭りくらいになってしまいました。さくら祭では、艦載機と海上自衛隊機が一般公開されまして、桜を見ている人は少ない印象でした。昨年は駐車場はあったのですが、今年は駐車場なしとのこと、要注意ですね。

Img_0295_1  練馬駐屯地では第一師団創設記念行事が日曜日に行われます。首都防衛を担う第一師団は、軽装甲機動車の配備を開始、いよいよ近代化されることとなったようです。東武東上線練馬でしたか、やや遠い場所で、撮影位置によっては報道カメラマンが式典や展示と観覧席の中間に位置する行事なのですけれども、訓練展示などにはかなり気合いが入っています。昨年度は山梨県での山林火災の影響で訓練展示が中止となってしまいましたが、本年度は期待をしたいですね。土曜日に相馬原駐屯地祭、日曜日に練馬駐屯地祭、と足を運べば、東部方面隊の基幹部隊を一度に見学することもできます。

Img_2238_1  船岡駐屯地祭が十一日に行われます。第二施設団司令部が置かれている駐屯地です。第二施設団は東北方面隊直轄部隊、92式浮橋、94式水際地雷敷設車、坑道掘削装置を始め様々な装備品が配備されています。施設科部隊の行事は様々な車両が配備されていて迫力がありますのでお勧め。駐屯地へは東北本線船岡駅から徒歩十五分、かなり大きめの駐車場を確保しているという話です。

Img_6335  四月十一日には郡山駐屯地祭、三重県の郡山ではなく福島県の郡山で特科部隊が駐屯している駐屯地なのですが、駐屯地創立57周年記念行事が行われます。郡山駅から路線バスを利用するとのことですが、ちょっと駐屯地への交通アクセスの雰囲気がわかりません。FH70榴弾砲が多数配備されている駐屯地祭ですから、多数の砲が一斉に空包を射撃する模擬戦には期待したいです。FH70は74式の105ミリ砲よりも砲焔が大きいですから、写真にも写りやすいです。射撃します、というアナウンスを聞いたらば、撃つ直後まで根気強くシャッターを押し続けることが撮影のコツです。

Img_8712  航空学校霞ヶ浦校創設50周年記念行事、こちらも十一日に行われます。明野に本校を置き陸上自衛隊航空科部隊隊員の戦術研究や装備品研究、教育やパイロットの養成を行う機関です。AH64Dが配備されている部隊ですので、編隊飛行には期待が膨らみますね、なお陸上自衛隊の航空科部隊の観閲飛行は、航空自衛隊航空祭の編隊飛行を違って、基本的に一航過で編隊を解きますので、もの凄い数のヘリを撮影できるタイミングは一度限り、お見逃しには気をつけてください。常磐線荒川沖駅からシャトルバスが運行されるとのことです。

Img_9533  滝ヶ原駐屯地創設記念行事、富士学校の普通科教導連隊が駐屯している駐屯地なのですが、創設記念行事が行われます。普通科教導連隊といえば、中隊ごとに装甲車などで機械化された部隊で、89式装甲戦闘車も中隊規模で配備されている強力な部隊、有事の際には富士教導団の一員として首都防衛の戦略予備部隊としても位置づけられています。昨年は市街戦迷彩の96式装輪装甲車が展示され注目を集めましたが、水性塗料による研究塗装だったとのこと、本年度はどういった車両が登場するのでしょうか、ちなみに駐車場はあるようです。

Img_5988  海上自衛隊鹿屋航空基地にて11日、エアーメモリアルかのや2010が開催されます。九州南部の鹿屋航空基地は旧海軍以来の洋上哨戒の拠点基地で、現在はP3C部隊が展開しています。P3Cの機動飛行はもの凄い迫力と定評なのですが、難点は交通の便が悪いという点があげられています。鉄道は鹿児島中央駅からフェリーで錦江湾を渡り鹿屋バスセンターへ、鹿児島中央駅からざっと40km、京都から大阪までの距離に匹敵します。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

  1. 4月10日:東北方面隊創設52周年さくら祭・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/neae/neahq/
  2. 4月10日:第12旅団創設記念行事相馬原駐屯地祭・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/eae/12b/
  3. 4月10日:アメリカ海軍厚木航空基地日米親善さくら祭り・・・http://www.mod.go.jp/msdf/atsugi/
  4. 4月11日:第2施設団創設記念行事船岡駐屯地祭・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/neae/neahq/
  5. 4月11日:郡山駐屯地創設記念行事・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/neae/neahq/
  6. 4月11日:第1師団創設記念行事練馬駐屯地祭・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/eae/1d/
  7. 4月11日:航空学校霞ヶ浦校創設50周年記念行事・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/eae/
  8. 4月11日:滝ヶ原駐屯地創設記念行事・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/eae/
  9. 4月11日:鹿屋航空基地エアーメモリアル・・・http://www.mod.go.jp/msdf/kanoya/

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シンガポール海軍ストルワート親善訪問 4月13日~16日横須賀へ寄港

2010-04-08 23:12:29 | 北大路機関 広報

◆FORMIDABLE CLASS:STALWART

 海上自衛隊によれば4月13日から16日にかけて、シンガポール海軍のフリゲイト、ストルワートが親善目的で日本を訪問するとのことです。

Img_2440  ストルワートは、フォーミダブル級フリゲイトの五番艦で、このクラスは2008年にも写真の三番艦ステッドファストが横須賀基地へ寄港しています。満載排水量3200㌧、この水上戦闘艦は、ステルス性を重視した設計を採っている事で知られ、設計はステルス艦を多く手掛けたフランスにより行われています。ハーキュリーズ多機能レーダーとアスター15艦対空ミサイルを搭載し、個艦防空能力が重視されているほか、ヘリコプターの運用機能も有している水上戦闘艦で、現在六隻が就役しています。

Img_2710  海上自衛隊では、護衛艦たかなみ、をホストシップとして派遣します。たかなみ、は満載排水量6300㌧、FCS-2を中心とした火器管制システムを搭載しており、艦対空ミサイルESSMやアスロック対潜誘導弾、国産艦対艦ミサイルSSM-1を搭載するとともに、大型の船体には常用一機、必要に応じて二機のヘリコプターを運用する能力が付与されていて、日本から遠く離れたインド洋やアラビア海、アデン湾での任務にも派遣されています。

Img_3077  フリゲイト、ストルワートの指揮官はチョン・ウォク・チェン海軍中佐、護衛艦たかなみ艦長は澤口和彦2佐です。シンガポール海軍は、横須賀基地へのフリゲイトの寄港のほか、佐世保基地にエンジュランス級揚陸艦などを寄港させていまして、訪日は八回目、横須賀への寄港は二年ぶり三回目とのことです。

Img_74502  日程は、13日火曜日1100時にシンガポール海軍艦艇横須賀入港。そのまま停泊します。参考までに前回は吉倉桟橋に停泊、安針台公園から停泊中の姿を見ることが出来ましたし、出航の模様はヴェルニー公園から見ることが出来ました。16日0945時ホストシップ横須賀出航、1000次にシンガポール海軍艦艇横須賀出航、そして親善訓練、という予定となっています。

Img_1060  ストルワート、たかなみ、の親善訓練は伊豆大島東方海域で実施されるということで、親善訓練の項目は通信訓練、戦術運動訓練等が予定されているとのことです。マラッカ海峡に面するシンガポール海軍は着々とその装備を大型化、近代化させることで、国際海峡であるマラッカ海峡の安全を維持するという責任を果たそうとしていて、一方でこの海峡の恩恵を受ける日本としても、海軍機構同士の親善を深めることには大きな意義があると言えるでしょう。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ハイチPKOへの自衛隊活動状況 防衛省統合幕僚監部2010年4月6日発表

2010-04-07 23:33:25 | 防衛・安全保障

◆中米ハイチでは現在も第二次派遣要員が任務中

 統合幕僚監部は4月6日、ハイチPKO活動状況を発表しました。本日はその概要を紹介します。原文はこちらです:http://www.mod.go.jp/jso/pko_minustah_activity/pko_haiti_100406.pdf

Img_4555  日本国内では、復興会議が行われていること以外、テレビ報道や新聞の紙上にあがることは稀なのですが、任務は継続中です。国際緊急援助隊の活動は以下の通りです。1月14日先遣チーム派遣命令が発令され16日に調査チームが出国、18日に派遣準備指示が下令されました。一方で21日に医療援助隊が出発、2月12日に活動終結命令が出され、18日には医療援助隊は無事帰国しています。

Img_3975  ハイチ派遣国際救援隊はPKOとして1月25日に準備指示が発令、2月5日に行動命令下令、6日から第一次要員の出国が開始、16日には初任務にあたっています。24日には第二次要員の出国が開始され、3月18日に第二次要員主力が展開完了、19日に第一次派遣隊から第二次派遣隊へ指揮を転移させて、現在、活動中とのことです。

Img_6278  ハイチPKOに関する部隊の展開状況は以下の通りとなっています。ハイチ国内、ポルドープランスを中心に派遣救援隊、司令部要員が展開し、連絡調整要員も展開しています。そして隣国のドミニカ共和国サントドミンゴには派遣救援隊ドミニカ分遣隊が展開。そしてアメリカ国内にはフロリダ州マイアミに派遣救援隊フロリダ分遣班が展開しているとのことです。

Img_6646  現在、ハイチPKOとして派遣されている自衛隊の活動についてです。活動内容としては第一に耐震診断、第二に経済財政庁の瓦礫撤去、第三にドミニカ国境道の補修、以上です。3月11日から実施されています耐震診断には四名が任務に当たっています。3月22日から開始された任務である被災した経済財務庁庁舎の解体及び撤去任務には約10名と油圧ショベル、小型ドーザが当たっています。3月29日から開始されたドミニカ国境道の補修には、約10名の隊員が油圧ショベルを以てあたっています。

Img_6697  終了した任務についても以下に列挙します。第一にWFP資材集積場の整地任務、2月16日に実施されたこの任務には10名の隊員とバケットローダーが参加して行われました。第二に倒壊した美術館の瓦礫撤去、2月22日から3月19日にかけて実施されたこの任務には油圧ショベル、ダンプを用いて約10名の隊員が任務に当たり完了しました。第三に隣接WFP地域の排水施設の補修、3月22日から25日にかけてこの任務に3名の隊員が油圧ショベル、大型ドーザーを以てあたり完遂しています。

Img_6759  ハイチでの任務実績は続きます。第四にマダン・ガノ水路の浚渫、3月25日から26日にかけて実施された任務には10名の隊員が油圧ショベルをもってあたりました。第五には隣接キャンプ予定地の造成、こちらは2月22日から3月29日にかけて比較的長い期間行われていたのですが約10名の隊員が中型ドーザ、ダンプを以て任務に当たっています。第六に日本隊宿営地拡張工事、3月26日から30日まで行われ20名の隊員が油圧ショベル、大型ドーザ、グレーダ、バケットローダ、ダンプをもって行われました。

Img_6786  続けてハイチでの任務。第七にWFPフォークリフトの輸送任務、3月30日に2名がトレーラを用いて実施しました。第八にタバレイッサ避難民キャンプ予定地の造成、2名がグレーダを用いて3月27日から4月1日にかけて行っています。第九にMINUSTAH後方支援施設拡張工事、3名の隊員が大型ドーザを用いて3月30日から4月2日まで実施しています。第十にゴヤビエ山通信塔取付道の補修、参加要員は5名で資材運搬車、小型ドーザを用いて3月22日から4月5日にかけて実施しています。

Img_4556  ごらんの通り、複数の任務を同時進行して復旧任務にあたっているのですが、一方で、自隊任務を宿営地で行っていますので、この点重要です。こうした自活任務は自己完結型の軍事機構でなければできないものですからね。日本国内では殆どハイチでの任務について報道は、ありませんが、防衛省統合幕僚監部の方から発表されていましたので掲載してみました。

Img_4075  しかし、大規模直下型地震による被害、そしてこれに対する復旧状況や自衛隊の対応というもの、そして日本の国際貢献のあり方という意味で、報道ももう少し注目して現地への取材班派遣を考えてもいいのではないでしょうか、カメラマンの派遣は行われているのでしょうが、テレビ報道には上がりませんね。国内問題ならば火事や失踪まで扱うのですが、五桁もの人命が失われ、そこへ自衛隊が派遣されている。こうした状況を報じなければ視野狭窄に陥ってしまいます。任務は継続中、これからも実績は増えてゆく事でしょう。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヘリコプター護衛艦ひえい(DDH142 HIEI) 呉基地から神戸港へ入港(2010.03.22) Ⅱ

2010-04-06 23:40:44 | 海上自衛隊 催事

◆近海練習航海部隊入港歓迎行事

 練習艦隊神戸入港は年度末に、ひえい入港を掲載しましたが、本日はその第二報記事です。今回は、ひえい、に続く護衛艦さわゆき入港と、入港歓迎行事の様子をお伝えします。

Img_9933  ヘリコプター搭載護衛艦ひえい。満載排水量6800トン、全長153メートル、幅17.5メートル、喫水5.3メートル、蒸気タービン二基の70000馬力により31ノットの速力を発揮します。推進は二軸。127ミリ単装砲二門、20ミリCIWS二基、シースパロー八連装発射器一基、三連装短魚雷発射管二基、乗員は370名。

Img_0015  ヘリコプター搭載護衛艦ひえい、その最大の特色はヘリコプター三機を運用できる点にあります。ヘリコプター三機を運用できるという能力は海上自衛隊の任務範囲の広域化に重要な地位を与えていて、1974年に就役、日本でもっとも古い護衛艦なのですけれども、搭載するヘリコプターを最新のものとすることで活躍を続けています。母港は呉基地。

Img_0202  入港し接岸を終えると、さっそく上陸準備です。神戸港に入港する客船でしたら、そのまま乗降用タラップが設置されるのですが、護衛艦にはタラップが備え付けられていて、桟橋にタラップを降ろすことで上陸準備が完了します。しかし、練習艦隊の入港は今回神戸港へはもう一隻、隣では入港準備が同時進行で進められているわけなのですね。

Img_0192  ヘリコプター三機を搭載する、ひえい、の巨大な格納庫。はるな型ひえい、ほか、しらね型の、しらね、くらま、にもこうした格納庫が配置されています。この格納庫上にあるクレーンは航空機整備などに使われるものなのですが、これを応用します。このほか、格納庫上には航空機火災用の大型消火装置が二基取り付けられています。写真にみえる赤い管がその消火装置ですね。クレーンの隣にはシースパロー発射器。

Img_0212  護衛艦さわゆき、入港。横須賀基地の護衛艦で護衛艦隊直轄の第11護衛隊に所属する護衛艦です。この二桁護衛隊は、地方隊に所属する護衛隊だったのですけれども、自衛艦隊の運用を機能化するために護衛艦隊へ編入されました。練習艦ではなく護衛艦。今回、練習艦は阪神基地の方へ入港したようです。練習艦隊入港なのですが、入港したのは護衛艦、という訳です。

Img_0230  神戸港のタグボートが入港を支援します。海上自衛隊の基地でしたら、地方隊の港務隊が曳船をもっていますし、補給には油船が、そして物資の輸送には交通船が配備されています。しかし、商業港に入港することは護衛艦としては多いわけですし、災害時など有事の際にも入港する必要があるでしょう、こういう場合に人と人との繋がりを、ということも意味があるのでしょうね。

Img_0231  護衛艦さわゆき。12隻が建造された、はつゆき型護衛艦の四番艦として1984年に就役した護衛艦です。満載排水量4000トン、全長130メートル、幅13.6メートル、喫水4.2メートル。ガスタービン四基の出力45000馬力で30ノットの速力を発揮します。非常に高性能な装備をバランスよく搭載した護衛艦で、本型12隻の建造で、それまで世界有数の対潜能力、といわれていた海上自衛隊は1980年代、一挙に世界有数の海軍に仲間入りすることが実現しました。

Img_0265  ひえい飛行甲板と、さわゆき。飛行甲板の大きさを象徴する一枚ですね。長大な飛行甲板は、一機が離発着、もう一機が待機することができます。設計当初には二機同時離発着を行えるように、という要望もあったのですが、そうすると127ミリ砲が一門しか搭載できなくなるわけで、当時には対空ミサイルが大型で高価、射程も今と比べれば短いものでしたので、127ミリ砲を搭載したほうが射程も長い、結果、砲を二門搭載する、ということで飛行甲板はこの大きさ、となったわけです。127ミリMk42砲は射程22km、発射速度は毎分17~34発、砲マウント重量は58.6トン。

Img_0275  護衛艦さわゆき。搭載する武装は、76ミリ単装砲、20ミリCIWS二基、ハープーン対艦ミサイル四連装発射機二基、シースパロー対空ミサイル八連装発射器、アスロック八連装発射器、三連装短魚雷発射管二基、そして対潜ヘリコプター。加速性に優れたガスタービン艦で、対空・対艦ミサイルを搭載、対潜装備も充実していてヘリコプターを搭載している、装備は非常に強力で近代的、バランスがとれていたわけです。

Img_0285  はつゆき型は、護衛艦隊において、あさぎり型とともにワークホースとして頑張っていたんですが、新型の、むらさめ型、たかなみ型が護衛艦隊へ配備が始まると、地方隊へ移管されました。その際に、ヘリコプター運用能力を省いて移管されていたのですけれども、護衛艦隊復帰にともない写真のようにヘリコプターの運用能力が再度整備されました。写真のSH60J哨戒ヘリコプターは館山航空基地の第21航空群所属機。

Img_0308  ひえい、で行われていた上陸準備が完了したようです。神戸港では入港歓迎行事の準備が行われていて、兵庫地方協力本部、阪神基地隊の隊員に加えて兵庫自衛隊協力会や招待者を含む多くの市民が練習艦隊、正確には練習艦隊として運用されている護衛艦なのですが、迎える準備をおこなっています。こうしたなかで実習幹部が上陸を開始します。

Img_9707_1  歓迎の花束が贈呈。こちらは高い場所からの撮影で失礼。入港歓迎行事の会場へは、関係者以外立ち入ることができなかったので、少し高いところから撮影です。名古屋港なんかでも原則そうなのですが、名古屋港の場合は少し離れた場所から撮影することができるのですけれども、神戸港は立地上少し難しいという実状があります。

Img_9715_1  歓迎行事の演奏。入港歓迎行事といいますと、これまでは地方総監部音楽隊か、陸上自衛隊の師団音楽隊が演奏しているところが多かったのですけれども、今回の神戸港入港では幼児による音楽演奏です。ちなみに、この子たちはこのあと、午前中の艦内特別公開に招待されることとなっています。

Img_9717_1  入港歓迎行事とともに、ひえい飛行甲板では手旗信号が続けられていました。文字をかたどっているという手旗信号ですが、モールス信号はかじったことのある当方も、ちょっと手旗信号までは解りません。ひえ~様、あの方がいましたらば、意味は分かったのでしょうが、ちょっと今回は解りませんでした。

Img_9735_1  歓迎行事の催し物へ笑顔で拍手する、ひえい艦長川上修平1佐。2007年から艦長の職にあり、旧海軍から続く比叡の名を継ぐ護衛艦を精強な太平洋の要塞として維持させる指揮官。右側には、練習艦隊司令官の徳丸伸一海将補。徳丸司令官は、昨年十二月に第4護衛隊群司令から練習艦隊司令官を拝命したとのことですから、4護群司令時代には、ひえい、を旗艦として司令旗を掲げていたこともあるのでしょう。かしま、よりも、ひえい、の方が合っているのかもしれませんね。

Img_9740_1  実習幹部一丸3尉に記念品が贈呈されます。実習幹部ですから艦艇き章といったき章も、防衛記念章も、まだ制服には取り付けられていませんが、これから増えてゆくことでしょう。しかし、近海練習航海最初の寄港が神戸港、最初の寄港での記念品贈呈、き章のまえのこの出来事は忘れ得ぬ思い出として胸に刻まれるのでしょう。

Img_9746_1  ひえい、とともに並んだ実習幹部。満載排水量6800トンといえば、各国の水上戦闘艦のなかではかなり大型の一隻です。その、ひえい、を埋め尽くすように多くの方が集っています。この方々は招待客なのですが、写真に写らない場所にも多くの方々が集まり、この様子をカメラに収めていました。

Img_9762_1  入港歓迎行事への挨拶を述べる徳丸司令官。盛大な歓迎行事への感謝に続き、海上自衛隊の現状と任務、そして広域化する様々な任務に応えてゆく心構えの重大性を話した上で、困難に打ち勝つ指揮官を養成する重要性に併せて、近海練習航海の位置づけを伝える内容のものでした。このほか市会議員の挨拶などもおこなわれています。

Img_9770_1  実習幹部の面々。海上自衛隊は十年前では考えられなかったことですが、アフリカ沖までをその任務範囲としています。そして日本本土に迫る弾道ミサイルの迎撃という、極めて重要な任務も担うようになり、冷戦時代の有事におけるシーレーン防衛と平時の領海警備に加え任務は多様化しています。これに応えるべく、ひゅうが型ヘリコプター護衛艦、22DDH,19DD,次期哨戒機P1などの装備化を行うとともに精力的に部隊改編を試みています。彼らの任期中はどういった転換があるのか、海から日本の代表を担う彼らとともに、私たちも考える必要があるでしょうね。

Img_9779_1  入港歓迎行事は訓辞をもって完了、実習幹部は護衛艦へかえってゆきます。このあと、招待客を対象に特別公開が行われて、午後からは護衛艦さわゆき一般公開が行われました。午後の一般公開までは時間がありますので、ここで一旦撮影は終了です。このあとの写真も次回の掲載、お楽しみに。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

普天間飛行場移設問題 訓練の移設先案に九州の空自築城基地案

2010-04-05 21:56:52 | 国際・政治

◆訓練のみ移設するという空論

 報道によれば、鳩山政権は普天間海兵隊航空基地の訓練移転先に九州の航空自衛隊築城基地案が浮上しているそうです。

Img_0024  三月末までに政府部内の意見を集約しアメリカとの交渉に望む、と当初主張していたのですけれども、これそのものが昨年内の決着を一方的に破棄した上での対外公約でした。しかし、それも法的に決まっているのではない、として破棄して五月までに移設先を集約、五月末までに集約といい変えた上で、今度は五月末までに集約しなけれ番等内という法的拘束はない、と言い放った訳です。

Img_9913  一応、政府高官の公的な発言は慣習法としての一定の拘束力を有するのですから、内閣法制局は過去の国際司法裁判所勧告的意見などを伝えるべきなのでしょうが、世界が日本民主党から孤立する、というような論法で乗り切るつもりなのでしょうか。おそらく無理でしょう。いずれにしろ、いつかは結論を出さなくてはならないのですけれども、影響は他の分野の対外交渉に伝播します。

Img_9579  移設候補先として様々な想像力の粋を超えた非現実的な発言がでるのですけれども、ヘリコプターを有事の際にアメリカ本土から空輸するための滑走路が必要だといわれている中でキャンプシュワブ内陸部に輸送機発着できないような500メートル滑走路を建築するという意見、そして海上の基地施設としては空前の規模で沖縄本島ホワイトビーチ沖合に巨大海上基地を埋め立てる案を提示し、工期は間に合うのか、住民は反対しているが説得できるめどはどうか、とアメリカから懸念されている有様です。そして離島、沖縄本島から200km離れた島に基地を移設する案も奄美大島のような沖縄の海兵隊を全て受け入れられるような規模の島でなければ難しいでしょう。

Img_0213  そして浮上したものが、九州の築城基地、航空自衛隊のF15飛行隊が展開する築城基地に訓練を移設する、という案です。繰り返しますように、航空自衛隊の輸送機と異なり、陸上自衛隊の第12旅団のように、もしくはそれ以上に海兵隊のヘリコプターは地上戦部隊といったい運用あれています。海兵隊は緊急展開部隊ですから、装備は軽量、それをヘリコプターによる軌道力で補っているわけです。これを九州に発着訓練を移転するという意味は、それはもう、海兵隊地上部隊が関係しない初歩的な飛行訓練、アメリカ本土で行うような訓練ならば移転してくる可能性があるのですけれども、その回数は限りなく少ないでしょう。

Img_7271  加えて、築城基地付近には、それこそ、陸上自衛隊福岡駐屯地の第4師団を沖縄に移転して駐屯地を交換する、というような考えられないような方策を採らない限りは、海兵隊地上戦闘部隊を九州で受け入れるのは難しいといわざるをえません。朝鮮半島に近いから九州だ、もしくは様々な思いこみとともに出された案なのかもしれませんが、これは時間の空費、といえることでしょう。

 しかし、沖縄と九州について、九州周辺の訓練環境をさらに整えた上で、例えば航空自衛隊の輸送機を抜本的に増強して、沖縄と九州の戦域機動能力を日本が全面的に責任を持つ、というような追加オプションを加えたならば、多少変化があるかもしれません。テロとの戦いが始まって以降、日本の防衛協力はかならずしも大きいものではなく、この点がアメリカで報じられた場合はアメリカの世論が硬化する可能性も考えなければなりません。厳正県はもちろんのこと、日本国民も果たして日本がどのようにたいがい的にみられているのかを客観的に考える必要があるでしょう。もっとも、これこそ負担増、どう考えるべきかは世論が決めなければなりません一方で現実は直視するべきでしょう。当方は体温計を直視して本日は予備記事を掲載しました。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

韓国海軍哨戒艦チョンナン沈没事案 構造疲労?欠陥?魚雷?飛び交う憶測

2010-04-04 23:51:38 | 国際・政治

◆原因究明による将来への緊張を予防すべき

 3月26日に発生した韓国海軍哨戒艦の黄海における沈没事故について、韓国国防省筋が単なる事故ではないという意見を表明しています。

Img_1793  沈没した哨戒艦はポーハン級のチョンナンで、このポーハン級は1984年から1993年までの期間に24隻が量産された水上戦闘艦です。満載排水量は1220㌧、ガスタービンエンジンとディーゼルエンジンを搭載するCODOG推進方式を採用しています。五番艦のモクポまではエクゾセ対艦ミサイルを搭載するコルベットとして建造されていますが、五番艦以降は砲を中心とした哨戒艦として建造されています。韓国海軍には、9隻が建造された満載排水量2180㌧のウルサン級を始め多くの小型戦闘艦を保有しています。写真のクワンゲドデワン級が3855㌧、韓国海軍では大型に属するフリゲイトですが海上自衛隊の、はつゆき型が4000㌧、韓国海軍の水上戦闘艦は大型ではないことが分かります。

Img_6686_1  現場海域は軍事境界線より韓国側、38度線よりも北側にある韓国領の近傍で、ここは朝鮮戦争時代、韓国軍と住民が協力して持久戦を展開したことで韓国領として残る事が出来たということで有名です。第一報では、射撃音が続いた、という報道がありまして、北朝鮮海軍や沿岸砲兵との戦闘を彷彿させる報道が展開されていたのですが、こちらは後に否定されています。僚艦が近くに遊弋していて、こちらからももう少し情報が来そうなのですけれども、現時点では沈没は様々な憶測が飛び交っています。

Img_0444  船体後部で爆発が発生し、これにより沈没したのですが、海底にある哨戒艦は、艦尾部分がすっぱりと切断した状況とのことです。気化した可燃性ガスに引火したのか、機雷により破壊されたのか、潜水艦、もしくは魚雷により破壊されたのか、構造疲労による船体切断なのか、現時点では文字通り不明です。哨戒艦は沈没、58名が救助されたのですが、46名は捜索中という状況で、捜索中に協力した漁船が沈没するなどの二次災害にも発展しました。こうして捜索活動は3日までに中止が決定した、とのことです。想定されている原因の中には、北朝鮮軍による攻撃を含めた内容も盛り込まれていることには留意するべきでしょう。これだけの人的被害が出ているのですし、原因は綿密に調査されなければ、将来にあらぬ禍根を残します。

Img_2047  仮に係留機雷が漂流しての事故、ということならば、現場海域は天津、青島へ向かう航路にも近く、大型貨物船やタンカーなどが行き来しているのですから、他の機雷が漂流している可能性もあり、日本の海上自衛隊を含めた中国、韓国などの海軍から掃海艇を派遣して、この黄海全域を機雷掃海する必要がでてきます。この為には、六カ国協議を緊急招集し、機雷掃海に関する議論を行う必要が出てくるでしょう。また、潜水艦、もしくは魚雷艇による魚雷攻撃が想定されるならば、朝鮮半島情勢の致命的悪化の要因になり得る事態です。一方で、船体に欠陥があるのであれば、然るべき補強を行い事故の根絶を行わなければなりません。

Img_2069  今回の事案が生じた場所が、極めて政治的に微妙な位置ではあるので、細心の注意を払い、必要であれば、六カ国協議の枠組みを用いてでも調査に政治的な影響が及ぶことは防ぐべきなのですが、可能な限り、船体を浮揚させ回収することで、沈没原因を調査する必要があるでしょう。一歩間違えば将来の武力紛争にも繋がる事案ですので、日本政府も、サルベージの技術や機材の提供など協力の打診等を行い、緊張が高まる前に打開策を模索する必要があるようにも思います。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北朝鮮ミサイル危機で中止となった昨年度の駒門駐屯地創設記念行事

2010-04-03 16:38:27 | 防衛・安全保障

◆北朝鮮長距離弾道ミサイル試験から一年

 明日は駒門駐屯地祭なのですが、昨年の駒門駐屯地祭は、北朝鮮の弾道ミサイル発射実験が迫っていたことで中止になったことを思い出しました。

Img_9457  あの日は舞鶴にいたのですが、北朝鮮のミサイル実験が迫っており、北朝鮮国内から発射されたミサイルは日本列島を飛び越えて太平洋上に着団するよう試験を実施していたのですけれども、北朝鮮の弾道ミサイルは多段式、切り離したブースターが日本国内に落下する可能性がありました。

Img_1952  この関係で、駒門駐屯地を始めとして全国で多くの駐屯地創設記念行事が、各部隊のミサイル落下の危険性に伴う待機体制への移行ということで中止となった訳で、その後に執り行われました記念行事でも、こうした脅威の存在から眼を放してはならず、国民の負託にこたえるべし、という訓示には説得力がありました。

Img_5744  今日、高いミサイル防衛体制が確立したことでパニックは起きていませんが、もともと、日本を狙うノドンミサイルを1990年代に実用化し、第一線に配備した北朝鮮は、沖縄の在日米軍やグアム、ハワイといった米軍の根拠地、そして最終的には米本土を直接攻撃できる体制を構築するべく実施されたのが、昨年の弾道ミサイル試験でした。

Img_6297  ミサイル実験を行った北朝鮮は核爆発装置を既に開発しています。忘れている方も多いでしょうが、北朝鮮はすでに複数回の核実験を実施しており、核兵器国ではありませんが、事実上の核保有国となっています。そうした国が長距離弾道ミサイルを配備しつつある、と言う状況にある訳です。

Img_5876  もちろん、弾道ミサイルに搭載できる弾頭は大きさが限られていて、果たして北朝鮮の技術力では弾道ミサイルに核兵器を小型化・軽量化して搭載することができるのか、これについてだけは、未知数な部分があるのですけれども、可能性は零ではない、ということが議論を複雑化させています。

Img_5658  一方で、1998年以降、日本では洋上のイージス艦と陸上のペトリオットミサイルPAC3を配置し、弾道ミサイルを感知できる新型のFPS4レーダーを地上に設置し、準備を進めてきました。この結果、現在では日本の弾道ミサイル対処能力は世界有数の水準に維持されています。

Img_8017  これまでは、核兵器による恫喝に対しては、核兵器での抑止体制を構築するか、相互確証破壊体制を構築するしか対処方法はないと考えられていましたから、この弾道ミサイル防衛の体制を構築することで核兵器を含む弾道ミサイルによる恫喝に備える体制を構築したという意味は大きいでしょう。

Img_5722  しかしながら、この種の弾道ミサイル迎撃体制を維持することはかなりの労力を要しますし、現段階でも北朝鮮が発射実験を行うという表明を受けての警戒態勢を構築することで感知できた、という水準ですから、奇襲的に弾道ミサイルによる波状攻撃を受けた祭には有効に対処できるわけではありません。

Img_2417  そして落達速度の大きい中距離・長距離弾道弾に対する対処能力はその整備の端緒に就いたばかりだ、ともいえます。今後、防衛省は空中センサーの整備や高出力レーザーの配備も含めた次世代の弾道ミサイル迎撃体制を構築するべく努力しているのですけれども、このためには国民の努力と理解を政治に反映させる努力が必要でしょう。

Img_1627  弾道ミサイル危機から一年を経て、思い出されることも少なくなっており、ともすれば軍事安全保障上の問題はアメリカとの普天間問題、そして中国との関係に軸をおいた南西諸島への圧力、というものにだけ目がいき勝ちなのですけれども、本の一年前には、ミサイルが日本に着弾するのではないか、という危惧があった事を忘れるべきではありません。

Img_2363  日本を標的とすることができる使途不明の核兵器による圧力、そして弾道ミサイルによる日本への脅威という問題は、今なお健在であり、問題は鎮静化しているだけであって、終息したわけでは全く無い、ということも覚えておくべきでしょう。核放棄への六カ国協議は暗礁に乗り上げ、打開の見通しは立ったという報道はありません。

Img_2298  予防外交では抑止しきれない状況というものは、このように考えられる訳でして、一年間でここまで緩和した緊張状態は、言い換えれば次の一年間でどのように変動するかも未知数、ということにもなります。こうした際に、国として最後の選択肢というものは、どういうものまで考えられるのか、という議論は、世間から政治の政策決定者の方まで、もう少し広範に為されてもいいのでは、と一年前の写真を整理しつつ思いました次第です。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

平成二十二年度四月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報1

2010-04-02 23:29:05 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

 平成二十二年度が始まりました。気候の急変に悩まされますが、皆様如何お過ごしでしょうか、本獅子は新年度最初の自衛隊関連行事を紹介いたします。

Img_0612  桜の開花時期と併せて全国の自衛隊関連施設では、桜花一般公開を行っている施設も多いようです。基本的に駐屯地祭とは別の日に行われる行事ですから式典や観閲行進は見ることが出来ないのですけれども、この時期に駐屯地祭を行うということもありますから、このあたり、花見を兼ねて足を運んでみるのも興味深いかもしれません。

Img_3754  第一空挺団創設記念行事が明日3日と4日に行われます。空挺初降下のような訓練展示などは行われませんが、緊急展開部隊として陸上自衛隊の看板を背負っている部隊の行事、足を運ばれてはいかがでしょうか。土曜日は駐屯地開放、行事は日曜日に行われるようなので、日曜日に行くのが理想でしょうか。新京成電鉄北習志野駅から徒歩です。

Img_3620  陸上自衛隊守山駐屯地創設51周年記念行事が明日行われます。守山駐屯地祭は、毎年十月に師団祭として行われていますが、こちらは駐屯地の創設記念日、装備品展示以外は特別な事は行われませんけれども、記念日の駐屯地開放です。吊り掛け駆動車も走る名鉄瀬戸線守山自衛隊前駅から徒歩すぐです。

Img_2216  朝霞駐屯地創設50周年記念行事。写真は伊丹駐屯地の中部方面総監部ですが、朝霞には東部方面総監部が置かれている駐屯地です。東武東上線和光駅から徒歩で行くことが出来るとのことですが、大きな式典と言うよりは記念日の一般公開、という行事のようです。多数の車両が展示される広報センターがありますので、こちらにも足を運んでは如何でしょうか。

Img_0317  駒門駐屯地祭、富士の裾野の戦車部隊駐屯地で、高射特科部隊も駐屯しています。こちらは、式典、観閲行進、訓練展示と、いわゆる駐屯地祭が行われるとのことですから、一つ注目の行事です。創設50周年という駒門駐屯地ですが、御殿場線の駅から離れているのが難点、東名高速道路からは見えるのですけれどもね。写真は練馬駐屯地祭の第1戦車大隊。第一機甲教育隊、国際活動教育隊も駐屯しています。

Img_6559  宇都宮駐屯地創立60周年記念行事、宇都宮駐屯地には、航空学校宇都宮分校、・・・、が置かれているのは北宇都宮駐屯地で、宇都宮駐屯地には第12特科隊、第6地対艦ミサイル連隊、そして精強、中央即応連隊が駐屯しています。中央即応連隊は、現在ハイチPKOに派遣中ですが、派遣されていない中隊が式典に参加するのでしょう。

Img_1587  中央即応連隊といえば、海外派遣の第一陣として派遣される部隊、精強さと気合の入り方、訓練の厳しさでは第一空挺団と並ぶ部隊、二年前の宇都宮駐屯地祭では、96式装輪装甲車がこれでもかと50口径機銃を撃ちまくり、迫力が話題となっていました。昨年度は、北朝鮮のミサイル危機の関係で待機にはいっていたようで、式典は後日関係者のみとなっていました。写真は相馬原に参加した中即連の装甲車。

Img_9520  新町駐屯地祭、こちらも日曜日に行われます。群馬県高崎市のこの駐屯地には第12後方支援隊が駐屯しているのですけれども、訓練展示が以外に派手だった、という事もあるようなので、この点注目です。第12旅団司令部の置かれる相馬原駐屯地も近いですから、航空機の訓練展示への参加に期待でしょう。

Img_5879  駐屯地祭としては、いよいよ本か悪的に始まる訳なのですが、昨年は新型インフルエンザにより行事が大幅に縮小、もしくは中止となりました、そして一年前と言えば北朝鮮が弾道ミサイルの実験を行うとのことで列島が緊張に包まれた事を思い出します。今年は平穏な年でありますよう願います次第。

Img_1013  航空自衛隊熊谷基地にて、さくら祭りが行われます。例年はブルーインパルスの最初の行事ということで、遠方からも足を運ばれる方が多いとのことですが、通信機材などで他の航空祭では見られないものが展示されるという、注目の行事でもあります。飛行展示も今年は行われるようで、何が飛ぶのでしょうかね。

Img_3380  熊谷基地の飛行展示を調べてみますと、1130時からCH-47J,1200時からUH-60J,そして1310からブルーインパルスが飛行展示を行いまして、1405からT-7の飛行、1425からC-1輸送機、1445からF-4EJ改が飛行展示を行うとのこと。かなりの規模で飛行展示が行われると言えますね。

Img_6543  明日、アメリカ陸軍キャンプ座間において、日米親善さくら祭りが行われます。模擬戦、というようなものは行われないのですけれども、米軍の第一軍団司令部が移る施設、ということで、なにかしらそれらしい展示は期待したいところですね。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

  1. 4月3日:朝霞駐屯地創設50周年記念行事・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/eae/
  2. 4月3日・4日:第一空挺団創設52周年・習志野駐屯地創立59周年記念行事・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/crf/pa/
  3. 4月3日:キャンプ座間日米親善さくら祭・・・http://www.e-sagamihara.com//index.html
  4. 4月3日:守山駐屯地創設51周年さくら祭・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/crf/pa/
  5. 4月4日:新町駐屯地創設記念行事・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/eae/12b/
  6. 4月4日:宇都宮駐屯地創設60周年記念行事・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/eae/12b/
  7. 4月4日:熊谷基地さくら祭・・・http://www.e-sagamihara.com//index.html
  8. 4月4日:駒門駐屯地創設50周年記念行事・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/eae/1d/

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新年度もよろしく! 2010年度:Weblog北大路機関最初のご挨拶

2010-04-01 23:02:22 | 北大路機関特別企画

◆原点回帰を目指す新年度

 本日から2010年度です。それといって何か変わる訳でもないのですけれども、大まかな本年度のWeblog北大路機関の方向性を考えてみます。

Img_6416  Weblog北大路機関は、自衛隊関連行事の紹介をもとに記事を掲載していったのですけれども、昨今は普天間問題を筆頭に政治的な話題が多く掲載されているので、どちらかというと自衛隊関連行事というよりも、安全保障について考える、というような掲載内容になっています。

Img_0139_1  北大路機関としては、これを契機として議論の話題を今日する事が出来れば、とも思うのですけれども、本来といいますか、もともとこのWeblogの原点に戻る必要もあるのかな、と。つまり、自衛隊関連行事の紹介です。初期は第七師団と伊勢湾展示訓練の記事が中心でしたからね。

Img_3020  実は、自衛隊関連行事の写真が減少した背景には諸事情があるのですが、その一つが北大路機関の”防衛フォーラム”というHPを立ち上げることを考えていました。しかし、なんとも時間を捻出できずに、毎日の記事を零時が過ぎる前までにWeb環境を確保して更新するのが精一杯、という状況でした。

Img_0002  Weblog北大路機関も気付けば今年で創立五周年。一日のアクセス数は平均3000と、非常に多くのアクセスを戴いているのですけれども、なにぶん、夕食後の時間を使って書き上げている記事を掲載しているだけですので、どうしても記事の内容には限界があります。

Img_4988  そして北大路機関の撮影した著作権のある写真しか使用していませんので、各国新型装備などに関する記事はどうしても内容が薄くなってしまいますし、分析にも限界があります。そこで、今年度は過去の自衛隊関連行事を含めて、掲載してゆく、というものを、安全保障関係の時事記事とともに中枢に置いてゆこうか、と考えています次第。

Img_8830  毎日更新は、明日も出来るのかという不安とともに精一杯掲載していきますので、御用とお急ぎではない方は、日々の気分転換に御一読していただければ幸いです。そして、予備ブログであります第二北大路機関も毎月20の記事を基本に掲載していきますので、よろしくお願いいたします。

北大路機関

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (44)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする