◆近海練習航海部隊入港歓迎行事
練習艦隊神戸入港は年度末に、ひえい入港を掲載しましたが、本日はその第二報記事です。今回は、ひえい、に続く護衛艦さわゆき入港と、入港歓迎行事の様子をお伝えします。
ヘリコプター搭載護衛艦ひえい。満載排水量6800トン、全長153メートル、幅17.5メートル、喫水5.3メートル、蒸気タービン二基の70000馬力により31ノットの速力を発揮します。推進は二軸。127ミリ単装砲二門、20ミリCIWS二基、シースパロー八連装発射器一基、三連装短魚雷発射管二基、乗員は370名。
ヘリコプター搭載護衛艦ひえい、その最大の特色はヘリコプター三機を運用できる点にあります。ヘリコプター三機を運用できるという能力は海上自衛隊の任務範囲の広域化に重要な地位を与えていて、1974年に就役、日本でもっとも古い護衛艦なのですけれども、搭載するヘリコプターを最新のものとすることで活躍を続けています。母港は呉基地。
入港し接岸を終えると、さっそく上陸準備です。神戸港に入港する客船でしたら、そのまま乗降用タラップが設置されるのですが、護衛艦にはタラップが備え付けられていて、桟橋にタラップを降ろすことで上陸準備が完了します。しかし、練習艦隊の入港は今回神戸港へはもう一隻、隣では入港準備が同時進行で進められているわけなのですね。
ヘリコプター三機を搭載する、ひえい、の巨大な格納庫。はるな型ひえい、ほか、しらね型の、しらね、くらま、にもこうした格納庫が配置されています。この格納庫上にあるクレーンは航空機整備などに使われるものなのですが、これを応用します。このほか、格納庫上には航空機火災用の大型消火装置が二基取り付けられています。写真にみえる赤い管がその消火装置ですね。クレーンの隣にはシースパロー発射器。
護衛艦さわゆき、入港。横須賀基地の護衛艦で護衛艦隊直轄の第11護衛隊に所属する護衛艦です。この二桁護衛隊は、地方隊に所属する護衛隊だったのですけれども、自衛艦隊の運用を機能化するために護衛艦隊へ編入されました。練習艦ではなく護衛艦。今回、練習艦は阪神基地の方へ入港したようです。練習艦隊入港なのですが、入港したのは護衛艦、という訳です。
神戸港のタグボートが入港を支援します。海上自衛隊の基地でしたら、地方隊の港務隊が曳船をもっていますし、補給には油船が、そして物資の輸送には交通船が配備されています。しかし、商業港に入港することは護衛艦としては多いわけですし、災害時など有事の際にも入港する必要があるでしょう、こういう場合に人と人との繋がりを、ということも意味があるのでしょうね。
護衛艦さわゆき。12隻が建造された、はつゆき型護衛艦の四番艦として1984年に就役した護衛艦です。満載排水量4000トン、全長130メートル、幅13.6メートル、喫水4.2メートル。ガスタービン四基の出力45000馬力で30ノットの速力を発揮します。非常に高性能な装備をバランスよく搭載した護衛艦で、本型12隻の建造で、それまで世界有数の対潜能力、といわれていた海上自衛隊は1980年代、一挙に世界有数の海軍に仲間入りすることが実現しました。
ひえい飛行甲板と、さわゆき。飛行甲板の大きさを象徴する一枚ですね。長大な飛行甲板は、一機が離発着、もう一機が待機することができます。設計当初には二機同時離発着を行えるように、という要望もあったのですが、そうすると127ミリ砲が一門しか搭載できなくなるわけで、当時には対空ミサイルが大型で高価、射程も今と比べれば短いものでしたので、127ミリ砲を搭載したほうが射程も長い、結果、砲を二門搭載する、ということで飛行甲板はこの大きさ、となったわけです。127ミリMk42砲は射程22km、発射速度は毎分17~34発、砲マウント重量は58.6トン。
護衛艦さわゆき。搭載する武装は、76ミリ単装砲、20ミリCIWS二基、ハープーン対艦ミサイル四連装発射機二基、シースパロー対空ミサイル八連装発射器、アスロック八連装発射器、三連装短魚雷発射管二基、そして対潜ヘリコプター。加速性に優れたガスタービン艦で、対空・対艦ミサイルを搭載、対潜装備も充実していてヘリコプターを搭載している、装備は非常に強力で近代的、バランスがとれていたわけです。
はつゆき型は、護衛艦隊において、あさぎり型とともにワークホースとして頑張っていたんですが、新型の、むらさめ型、たかなみ型が護衛艦隊へ配備が始まると、地方隊へ移管されました。その際に、ヘリコプター運用能力を省いて移管されていたのですけれども、護衛艦隊復帰にともない写真のようにヘリコプターの運用能力が再度整備されました。写真のSH60J哨戒ヘリコプターは館山航空基地の第21航空群所属機。
ひえい、で行われていた上陸準備が完了したようです。神戸港では入港歓迎行事の準備が行われていて、兵庫地方協力本部、阪神基地隊の隊員に加えて兵庫自衛隊協力会や招待者を含む多くの市民が練習艦隊、正確には練習艦隊として運用されている護衛艦なのですが、迎える準備をおこなっています。こうしたなかで実習幹部が上陸を開始します。
歓迎の花束が贈呈。こちらは高い場所からの撮影で失礼。入港歓迎行事の会場へは、関係者以外立ち入ることができなかったので、少し高いところから撮影です。名古屋港なんかでも原則そうなのですが、名古屋港の場合は少し離れた場所から撮影することができるのですけれども、神戸港は立地上少し難しいという実状があります。
歓迎行事の演奏。入港歓迎行事といいますと、これまでは地方総監部音楽隊か、陸上自衛隊の師団音楽隊が演奏しているところが多かったのですけれども、今回の神戸港入港では幼児による音楽演奏です。ちなみに、この子たちはこのあと、午前中の艦内特別公開に招待されることとなっています。
入港歓迎行事とともに、ひえい飛行甲板では手旗信号が続けられていました。文字をかたどっているという手旗信号ですが、モールス信号はかじったことのある当方も、ちょっと手旗信号までは解りません。ひえ~様、あの方がいましたらば、意味は分かったのでしょうが、ちょっと今回は解りませんでした。
歓迎行事の催し物へ笑顔で拍手する、ひえい艦長川上修平1佐。2007年から艦長の職にあり、旧海軍から続く比叡の名を継ぐ護衛艦を精強な太平洋の要塞として維持させる指揮官。右側には、練習艦隊司令官の徳丸伸一海将補。徳丸司令官は、昨年十二月に第4護衛隊群司令から練習艦隊司令官を拝命したとのことですから、4護群司令時代には、ひえい、を旗艦として司令旗を掲げていたこともあるのでしょう。かしま、よりも、ひえい、の方が合っているのかもしれませんね。
実習幹部一丸3尉に記念品が贈呈されます。実習幹部ですから艦艇き章といったき章も、防衛記念章も、まだ制服には取り付けられていませんが、これから増えてゆくことでしょう。しかし、近海練習航海最初の寄港が神戸港、最初の寄港での記念品贈呈、き章のまえのこの出来事は忘れ得ぬ思い出として胸に刻まれるのでしょう。
ひえい、とともに並んだ実習幹部。満載排水量6800トンといえば、各国の水上戦闘艦のなかではかなり大型の一隻です。その、ひえい、を埋め尽くすように多くの方が集っています。この方々は招待客なのですが、写真に写らない場所にも多くの方々が集まり、この様子をカメラに収めていました。
入港歓迎行事への挨拶を述べる徳丸司令官。盛大な歓迎行事への感謝に続き、海上自衛隊の現状と任務、そして広域化する様々な任務に応えてゆく心構えの重大性を話した上で、困難に打ち勝つ指揮官を養成する重要性に併せて、近海練習航海の位置づけを伝える内容のものでした。このほか市会議員の挨拶などもおこなわれています。
実習幹部の面々。海上自衛隊は十年前では考えられなかったことですが、アフリカ沖までをその任務範囲としています。そして日本本土に迫る弾道ミサイルの迎撃という、極めて重要な任務も担うようになり、冷戦時代の有事におけるシーレーン防衛と平時の領海警備に加え任務は多様化しています。これに応えるべく、ひゅうが型ヘリコプター護衛艦、22DDH,19DD,次期哨戒機P1などの装備化を行うとともに精力的に部隊改編を試みています。彼らの任期中はどういった転換があるのか、海から日本の代表を担う彼らとともに、私たちも考える必要があるでしょうね。
入港歓迎行事は訓辞をもって完了、実習幹部は護衛艦へかえってゆきます。このあと、招待客を対象に特別公開が行われて、午後からは護衛艦さわゆき一般公開が行われました。午後の一般公開までは時間がありますので、ここで一旦撮影は終了です。このあとの写真も次回の掲載、お楽しみに。
HARUNA
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