北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

普天間飛行場移設問題 訓練の移設先案に九州の空自築城基地案

2010-04-05 21:56:52 | 国際・政治

◆訓練のみ移設するという空論

 報道によれば、鳩山政権は普天間海兵隊航空基地の訓練移転先に九州の航空自衛隊築城基地案が浮上しているそうです。

Img_0024  三月末までに政府部内の意見を集約しアメリカとの交渉に望む、と当初主張していたのですけれども、これそのものが昨年内の決着を一方的に破棄した上での対外公約でした。しかし、それも法的に決まっているのではない、として破棄して五月までに移設先を集約、五月末までに集約といい変えた上で、今度は五月末までに集約しなけれ番等内という法的拘束はない、と言い放った訳です。

Img_9913  一応、政府高官の公的な発言は慣習法としての一定の拘束力を有するのですから、内閣法制局は過去の国際司法裁判所勧告的意見などを伝えるべきなのでしょうが、世界が日本民主党から孤立する、というような論法で乗り切るつもりなのでしょうか。おそらく無理でしょう。いずれにしろ、いつかは結論を出さなくてはならないのですけれども、影響は他の分野の対外交渉に伝播します。

Img_9579  移設候補先として様々な想像力の粋を超えた非現実的な発言がでるのですけれども、ヘリコプターを有事の際にアメリカ本土から空輸するための滑走路が必要だといわれている中でキャンプシュワブ内陸部に輸送機発着できないような500メートル滑走路を建築するという意見、そして海上の基地施設としては空前の規模で沖縄本島ホワイトビーチ沖合に巨大海上基地を埋め立てる案を提示し、工期は間に合うのか、住民は反対しているが説得できるめどはどうか、とアメリカから懸念されている有様です。そして離島、沖縄本島から200km離れた島に基地を移設する案も奄美大島のような沖縄の海兵隊を全て受け入れられるような規模の島でなければ難しいでしょう。

Img_0213  そして浮上したものが、九州の築城基地、航空自衛隊のF15飛行隊が展開する築城基地に訓練を移設する、という案です。繰り返しますように、航空自衛隊の輸送機と異なり、陸上自衛隊の第12旅団のように、もしくはそれ以上に海兵隊のヘリコプターは地上戦部隊といったい運用あれています。海兵隊は緊急展開部隊ですから、装備は軽量、それをヘリコプターによる軌道力で補っているわけです。これを九州に発着訓練を移転するという意味は、それはもう、海兵隊地上部隊が関係しない初歩的な飛行訓練、アメリカ本土で行うような訓練ならば移転してくる可能性があるのですけれども、その回数は限りなく少ないでしょう。

Img_7271  加えて、築城基地付近には、それこそ、陸上自衛隊福岡駐屯地の第4師団を沖縄に移転して駐屯地を交換する、というような考えられないような方策を採らない限りは、海兵隊地上戦闘部隊を九州で受け入れるのは難しいといわざるをえません。朝鮮半島に近いから九州だ、もしくは様々な思いこみとともに出された案なのかもしれませんが、これは時間の空費、といえることでしょう。

 しかし、沖縄と九州について、九州周辺の訓練環境をさらに整えた上で、例えば航空自衛隊の輸送機を抜本的に増強して、沖縄と九州の戦域機動能力を日本が全面的に責任を持つ、というような追加オプションを加えたならば、多少変化があるかもしれません。テロとの戦いが始まって以降、日本の防衛協力はかならずしも大きいものではなく、この点がアメリカで報じられた場合はアメリカの世論が硬化する可能性も考えなければなりません。厳正県はもちろんのこと、日本国民も果たして日本がどのようにたいがい的にみられているのかを客観的に考える必要があるでしょう。もっとも、これこそ負担増、どう考えるべきかは世論が決めなければなりません一方で現実は直視するべきでしょう。当方は体温計を直視して本日は予備記事を掲載しました。

HARUNA

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コメント (4)
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