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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

京王電鉄 2010年に開業百周年を迎えるKEIOの多彩な車両

2010-04-16 23:54:00 | コラム

◆けいおう!!

 京王電鉄特集。個人的には京王帝都電鉄という印象が強かったのですが、1998年に社名を京王電鉄に変更しました。けいはん!、と百周年特集を掲載しましたから、本日は、けいおう!、と音の似た電鉄会社の特集です。

Img_2521  京王帝都電鉄という名前は、1910年9月21日に創立された現在の京王線を主軸とする京王電気軌道、192年9月24日創立の井の頭線を建設した東京山手急行電鉄、のちの帝都電鉄が合併して誕生した社名です。電動客車878両m貨車2両を中心に年間旅客輸送量約6億、84.7kmの路線を運行している会社です。

Img_3084  京王電鉄、その路線をみてゆきましょう。八王子と新宿を結ぶ37.9kmの京王線、渋谷と吉祥寺を結ぶ12.7kmの井の頭線とともに2kmの動物園線、0.9kmの競馬場線、8.6kmの高尾線、22.6kmの相模原線を路線として展開していまして、約2100名の従業員が運営しています。それでは、京王電鉄の車両について掲載してゆきます。

Img_2508  9000形、264両が運用されている車両で2000年から導入が開始された車両です。伝統的に京王電車は東急車両のものがつかわれてきたのですが、東急車両と日本車両が製造した車両となっています。VVVFインバータ制御方式の車両にボルタレス式台車をはいたもので、バリアフリーを考慮して車体の寸法に工夫されています。

Img_2498  京王線の電車は、井の頭線を除き1372mmの軌間を採用しているのですが、普通は1067mmと1435mmという軌間が一般的、こうしたなかで1372mmというのは、京王線がその昔、東京都内の路面電車に直接乗り入れることを目的として路線を整備したことから、この軌間が採用されることになったとのことです。

Img_3011  8000形。243両が運用されていますこの車両は、1991年から運用が開始された車両で、既に引退した5000形を置き換える形で導入されました。前面のデザインは先進的で、かつて通勤電車のイメージを大きく転換させた5000形の思想を受け継いだものといえて、グッドデザイン賞を受賞しています。

Img_2491  VVVFインバータ制御方式の車両でダイレクトマウント軸箱方式台車を採用した車両となっています。京王電鉄は、特急よりは停車駅が多いのですが、快速や急行よりは速いダイヤで運行されている準特急という種別がダイヤに盛り込まれています。2001年のダイヤ改正で誕生したこの種別は新宿と調布が特急と同じ、調布から八王子は急行という運用となっています。ちょっと面白い運行といえますね。

Img_2517  7000形。二両編成、四両編成、六両編成、八両編成、十両編成、併せて190両が運行されています。8000形、9000形は基本的に八両編成、十両編成で固定運用されていますので、様々な路線での運行が可能となっていて汎用性が高くなっています。1983年のデビュー当時は緑色を基調とした塗装から通称グリーン車という愛称で呼ばれました。

Img_2464  しかし残念、グリーン車という名前なのですが京王電車はすべてロングシートとなっています。グリーン券は不要なのですが、旅客輸送需要の高いこの路線ではロングシート車でなければ対応できない、というわけですね。後述する6000形をステンレス車化した設計、というかたちで導入された車両なのですが、近年は制御装置をVVVFインバータ制御として運行しています。ちなみに、7000形は6000形のマイナーチェンジ、という位置づけなのですから8000形が登場するまで、京王電車は一つの系列車両により構成されていた、という形になるのですね。

Img_2515  6000形。36両しか残っていない貴重な車両です。1972年から導入されたこの電車は250両が生産されました。京王線初の20メートル4扉車となっていて、都営地下鉄新宿線にも乗り入れています。7000形からはステンレス車となっていて地金剥き出しというかたちで運行されていたのですが、6000形はアイボリーを基調とした塗装で登場、運行されていました。

Img_2514  1963年から1500v昇圧対応として京王線に導入された5000形に続いて導入された車両なのですが、パノラミックウィンドウの5000形と比べると、片目のウインク状となった前面形状が特色です。都営新宿線乗り入れを想定して導入された6000形ですが、地下鉄乗り入れ仕様の車両は昨年全廃となっていて、まもなく見れなくなるかもしれない車両です。

Img_3088  1000形。井の頭線で運行されている車両です。井の頭線は帝都電鉄として整備された路線ですが、この関係で軌間は1067mmとなっています。明大前駅で京王線と連絡している井の頭線ですが、軌間が違うことから相互乗り入れはできません。この1000形は、1995年から導入が開始された車両で、VVVFインバータ制御方式のボルタレス台車、軽量ステンレス構造の8000形を基調とした設計となっています。

Img_2965  しかし車両形状は、二枚の前面窓を有する湘南型としていて、この部分は先代の3000形を踏襲したものとなっていますが、パノラミックウィンドウの採用など先進的な面もあります。表示灯の電動幕からLED化など改修を受けていて、5両編成27本の135両が運行されています。

Img_30752  3000形。1962年から導入された車両で、135両が製造されたのですが、京王電鉄線で残っているのは10両のみ、貴重な電車です。FRPカバーに七色のバリエーションがあり、長らく井の頭線で頑張っていましたが、前述の通り1000系に置き換えられつつあり、二編成10両がのこるのみとなっています。

Img_29812  東急車両製のもので、東急初代7000形と並んで、日本最初のステンレスカーとして製造された車両。アメリカのパット社と技術提携して製造されました。界磁チョッパ制御方式の車両で、淘汰が進んでいるのですが上毛鉄道、岳南鉄道、松本電気鉄道、北陸鉄道、伊予鉄道に中古車両が譲渡され、現役で頑張っています。

Img_2472  京王帝都電鉄時代、1963年までは現在地下駅となっている新宿駅は自動車道との併用軌道で、路面電車、という印象の強い電鉄でした。しかし、昇圧を果たした後は今は中古車両が地方私鉄で頑張るのみとなった当時の最新鋭5000形の導入や複々線区間の整備などを精力的に試み、今日に至ります。

Img_3096  新宿、渋谷に拠点を持つ京王は、輸送密度の高い人口密集地域を運行していたことで、利用者が多く、鉄道事業以外の分野へは長く参入しないかたちで成長を遂げて今日に至ります。通勤輸送への需要が大きいのですが一方で高尾山と首都中枢を結ぶ観光列車としての需要があり、経営とは対照的に多彩な沿線風景が特色の一つです。

Img_2523  この京王電鉄、本年に百周年を迎えるのですが、同時に全車両のVVVF制御化を期して着々と車両体系の整備を進めています。これは言い換えれば、遠からず3000系、6000系は5000系と同じ道をたどることを意味していまして、次の百年への出発準備、というかたちになっているようにみえます。

HARUNA

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