北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

防衛省技術研究本部“防衛技術シンポジウム2014”明日からグランドヒル市ヶ谷にて開催

2014-11-10 22:51:01 | 北大路機関 広報

◆テーマは“挑戦と飛躍”、自衛隊60周年 

 防衛省によれば明日から明後日にかけグランドヒル市ヶ谷にて防衛技術シンポジウム2014が行われるとのことです。

Gimg_5505 グランドヒル市ヶ谷は防衛省本省に隣接する防衛省共済組合のホテルで、手頃なホテルとして当方も利用したことがあるところ。そのグランドヒル市ヶ谷東館にて防衛技術シンポジウム2014は行われます。明日11日は1000時から1800時まで、12日は0940時から1615時までの予定です。

Img_2616 技術研究本部は1000名を越える要員を以て構成される我が国防衛技術研究の主柱で、陸上装備研究所、艦艇装備研究所、航空装備研究所、電子装備研究所、先進技術推進センター、 試験場などを基点に様々な研究を進めているところです。

Img_6543 我が国防衛技術は三菱重工や川崎重工に三菱電機や日本電気といった防衛産業に支えられていますが、革新技術の研究は武器輸出が厳しく制限された我が国での営利企業には難しく、その部分を担っているのが技術研究本部という形で、最新装備の基幹部分の技術を生み出してきました。

Mimg_0079 防衛技術シンポジウム2014は毎年行われているシンポジウムで、入場への事前申請などは必要なく、自衛隊関連行事の延長としてパネル展示や装備品試作展示に講演会や発表等を見る事が出来、特に第一線での技術開発に当たる研究員へ直接話を聞くことも出来ます。

Img_8895i 特別講演の他第一日は海上装備技術セッション、ロボット技術セッション、電子装備技術セッションなど。第二日は将来戦闘機セッション、ヒューマン技術セッション 、パネルディスカッション『研究協力が拓く未来』、等が予定され、この他展示セッションや研究協力ブースにポスターセッションなど常設されているとのこと。

Img_7422 開催が平日ですので足を運びにくいことはたしかではありますが、興味深いことは確か。グランドヒル市ヶ谷はJR総武線・地下鉄都営新宿線・有楽町線・南北線 市ヶ谷駅より徒歩約3分、防衛省の隣にあり本省を目印に進めば基本的に道に迷う可能性はありません。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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今津駐屯地創設62周年記念行事(2014-11-09)PowerShotG-16撮影速報

2014-11-09 23:53:48 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

◆雨天の戦車部隊創設記念行事

 今津駐屯地祭、昨年度は台風で中止となり二年ぶりの実施です。

Gimg_8115 今年度は今津駐屯地創設62周年、しかし昨年度の61周年は第10戦車大隊が縮小改編を目前とした節目の年という意味で、貴重な駐屯地祭でしたので、中止は非常に残念で、台風接近状況下では致し方ないとは思いつつ近江今津駅にて落胆したことを思い出しました。

Gimg_8129 初めて今津駐屯地祭に足を運んだのは9年前ですが、第3戦車大隊は3個戦車中隊、第10戦車大隊は戦車4個中隊編制、100両以上の戦車が配備され、加えて第3特科連隊第5大隊が火砲20門を並べていた、重火力の駐屯地という印象をもったもの。

Gimg_8136 しかし、特科連隊の特科隊縮小や戦車大隊の縮小が進み、他方で中部方面移動監視隊や中部方面無人偵察機隊とこれらを統合する中部方面情報隊の新設など、情報収集能力強化を正面に出した改編が数年間継続され、現在の体制に近づいて行ったことを思い出します。

Gimg_8140 情報優位は現代戦闘に重要な意味を持つのですが、火力の集中を実現する機動力と生存性を備えた装備体系というものの重要性を軽視しすぎますと、当たり前ではありますが情報優位を活かす軍事機構としての能力を発揮できません。

Gimg_8152 74式戦車は本年度で制式化40周年を迎えていまして、数年前までは遠からず10式戦車に置き換えられる、と言われていたのですが、現在では機動戦闘車に置き換えられるとの方針です、第三世代戦車に対抗可能な高初速砲弾を投射できず、路上機動力は大きいものの不整地突破能力に非常な不確定要素が残るもの。

Gimg_8157 もっとも、機動戦闘車は200両が戦車100両の代替として導入される計画ですので、将来的に第7師団所用の200両の戦車のみが維持され、機動戦闘車が装軌式で戦車砲を搭載可能な改良型が開発されたうえで更に増強され400両体制に展開する、ということは考えられるでしょう。

Gimg_8159  もとより、日本は有事の際に制空権と制海権を維持すれば上陸されたとしても敵は行動を継続できないという俗説を一部で側聞するのですが、沖縄戦やフィリピン攻防戦のような一定期間の戦闘継続可能な水準の兵力輸送は可能であるわけですし、現代戦は長期化すれば軍事的要素よりも政治的要素で不利となります。

Gimg_8163  一撃後の和平を企図して領土の切り取りを図る状況は、想定外として良いのか、早急に着王陸を受けても既成事実を構築する前に排除できる重装備を固めねば逆に侵攻を受ける危惧があり、自衛権先制行使を憲法上認められない我が国としては一撃を受けるほかないため、この視点が忘れられているようにも。

Gimg_8161 そんなことを考えつつも、本日は雨が、そして霞が視界を遮りました。実は雨具を完全に準備せず展開してしまいましたので、雨天には難渋しました。G-16とEOS-7Dを同時に操作し撮影したのですが、漏水を警戒しEOS50Dに装着された300MMF2.8は最後まで出番なし。

Gimg_8181 他方で雨天決行とされていましたし、戦闘職種の部隊は航空部隊を除けばよほどのことが無い限り雨天中止にはなりませんので、台風20号が南方で発生した際には若干焦りましたが太平洋上を抜けたため、天候が悪くとも行事は行われるだろう、と安心しつつ展開しました。

Gimg_81840 しかし計算外であったのは近江今津駅の長蛇の列、幸いシャトルバスの早い便に乗る事が出来たのですけれども、雨天ならば多少は来場者が減るだろう、という目論見があったのですが、なんといいますか、今津は京都大阪はもちろん名古屋からも近い、ということを再認識することに。

Gimg_8186 雨天ですのでカメラバックは袋に押し込み、傘が後ろの人に当たらないように、と気を付けつつ、観閲行進を撮影したのですが、最後の方は傘をたたんで移動することに、訓練展示は傘の隙間から撮影するよう移動し、工夫をいろいろと重ねた一日となりました次第です。

Gimg_8194  雨天、凄そうに見えるのですがかすんでいるためでして、雨量は大したことは無く、雨そのものよりも撮影には大きな支障になる風が吹いていなかったのが幸いです、風が強いと防滴器具があってもレンズに雨滴が張り付いて撮影不能になってしまいますから、ね。

Gimg_8189 ところで、この74式戦車、なんか10戦車のマークの後ろにちょっと違うマークが映っていないか、と。このマークを掲げたまま訓練展示にも参加していまして、自衛隊もお堅いだけの時代は終わり柔軟になったなあ、と妙に感心しつつ、帰路につきました。

北大路機関:はるな

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特集:平成27年度防衛予算概算要求概要?・・・弾道ミサイル脅威への対応Ⅰ

2014-11-08 22:41:20 | 防衛・安全保障

◆ミサイル防衛の更なる進展 
 平成27年度防衛予算概算要求概要には弾道ミサイル防衛能力の整備も盛り込まれています。
Eeimg_0247  弾道ミサイル脅威は北朝鮮からの繰り返されるミサイル実験が将来的に我が国を狙う弾道ミサイルとして運用される場合を想定していますが、同時に中国からの核攻撃に備える意味もあります。平成27年度防衛予算概算要求概要には“弾道ミサイル攻撃に対し、我が国全体を多層的かつ持続的に防護する体制を強化する。弾道ミサイル攻撃に併せ、同時並行的にゲリラ・特殊部隊による攻撃に対応する態勢を整備する。” としまして弾道ミサイル防衛関連経費2998億円が要求されました。
Eeimg_0627  防衛省が提示した具体的施策は以下の通り。弾道ミサイル攻撃への対応として、イージスシステム搭載護衛艦DDGの建造、この計画は1隻の建造及び2隻目のイージスシステム等の調達が含まれます。イージスシステム搭載護衛艦の能力向上としまして、2隻分が156億円として要求されています。既にイージス艦あたご型の建造が終了して後一定期間を経ているため、新護衛艦は若干大型化する可能性が高く、あわせてイージスシステムの性能はもちろんのことステルス性などでも向上する可能性が考えられるところ。
Eeimg_2039_1  平成24年度に着手した、あたご型護衛艦2隻のBMD艦化改修が引き続き実施され、加えてPAC-3部隊の市ヶ谷における展開基盤等の整備に30億円が過去のPACー3部隊の展開状況を踏まえ、防衛省本省庁舎の所在する市ヶ谷基地への展開基盤等の整備を引き続き実施として挙げられました。
Eeimg_2369_1  PAC-3ミサイルの再保証へ100億円が要求、これは長期間の運用が想定される装備について、耐用命数を迎える部品、特にシーカー部を交換するとともに、ミサイル全体の点検を実施し、弾道ミサイル防衛に不可欠となる所要数量のPAC-3ミサイルを確保することが目指されています。
Eeimg_2548  新装備開発関連となりますが、BMD用能力向上型迎撃ミサイルSM-3BlockⅡAの日米共同開発へ92億円が要求され、加えて弾道ミサイル対処能力を向上させるため、イージス・システム搭載護衛艦に搭載するBMD用能力向上型迎撃ミサイル(SM-3BlockⅡA)の日米共同開発を継続されることとなるもよう。
Eeimg_3501  各個の政策についてイージス艦の増勢は、現在のミサイル護衛艦はたかぜ型を置き換える建造となります。ターターシステムは旧式化しており、Mk13発射装置などの補修整備等の負担が大きくなっており、新たにターターシステム艦を完全イージスシステム搭載艦に置き換えるべく要求されましたが、弾道ミサイル防衛に加わる事となる。
Eeimg_3517  イージス艦の弾道ミサイル防衛能力付与は、海上自衛隊では1993年より4隻が就役したイージス艦こんごう型の、こんごう、きりしま、みょうこう、ちょうかい、にのみ当初は弾道ミサイル防衛能力を付与してきましたが、新たに弾道ミサイル脅威の拡大と共に4隻の体制では不十分となったための前中期防衛力整備計画からの事項です。ロッキード社等がミサイル防衛システムの説明を行う際、日本海側と東シナ海北部に書く一隻のイージス艦を弾道ミサイル防衛艦として充てる事で大陸側からの弾道ミサイルを防空できる、とのこと。
Eeimg_3906 あたご型イージスシステム搭載ミサイル護衛艦、あたご、あしがら、の二隻には、こんごう型よりも新しいベースラインのイージスシステムが搭載されていますが、加えて新たに建造される2隻のイージス艦にも弾道ミサイル対処能力が付与されることとなりますので、海上自衛隊の弾道ミサイル防衛対応艦は8隻となるかたち。2隻でも対応できると記しましたが、艦艇は整備や補給と訓練や待機を分ける必要があり、8隻を整備することで2隻を即応態勢に置け、このなかから艦隊防空とミサイル防衛を分担することになりますのでやはり簡単ではありませんが。
Eeimg_4055  これにより、現在護衛艦隊隷下の護衛隊群四個は各二個護衛隊を基幹として、弾道ミサイル防衛対応のイージス艦を装備する弾道ミサイル防衛対応護衛隊、ヘリコプター搭載護衛艦とイージスシステム艦乃至ターターシステム艦を持て対応する対潜掃討対応部隊という区分が、護衛隊群に所属するすべての護衛隊がミサイル防衛に対応することとなるのです。
Eeimg_4088  他方で、ミサイル防衛は弾道ミサイルの発射から着弾までの時間的余裕が非常に少ないことから、自衛隊では人工衛星からの情報収集や米軍との情報相互伝達能力とその基盤構築等を進めており、イージス艦についても、その即応能力は情報優位に依拠するものであるため、イージス艦の改修や能力向上には情報伝送能力も含まれています。

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平成二十六年度十一月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2014.11.08・11.09)

2014-11-07 23:02:57 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

 今月のWeblog北大路機関移転準備ですが、移転先では現在のレイアウトを維持できず、写真中心の行事紹介記事を充実させる予定です。

Gimg_9610  北大路機関は多くの行事を紹介してきました、OCNブログ運用中は、写真の右側と下辺部に文章を配置し、写真と文章の均衡を図る配置を採ってきましたが、移転予定のGOOブログは第二北大路機関を運用するFC2ブログと同型の配置となるようで、その特性を活かし過去の行事写真などの紹介が一気に進む事でしょう。

Gimg_7503 防衛大学校開校祭、自衛隊関連の学校祭で規模の面で最大の行事は富士学校祭と言えますが、陸海空自衛隊の幹部自衛官を養成する共通課程を修めるのが防衛大学校、横須賀市の小原台に位置しています。土曜日と日曜日に行われ、観閲行進や訓練展示、迫力の棒倒し等が行われるとのこと。

Gimg_276000 今津駐屯地祭、滋賀県湖北に位置する駐屯地で、第3戦車大隊と第10戦車大隊が駐屯しています。昨年度は台風接近により当日中止が発表されてしまいましたが、今年度は台風が逸れたため、天候は心配ではありますが2個戦車大隊の威容を眺める事が出来そうです。

Gimg_1262 施設学校祭、陸上自衛隊の施設科職種における各種装備試験や戦術研究及び専門教育を行う施設学校の創設記念行事が行われます。災害派遣の花形と言われますが戦闘支援職種の花形でもあり近年は施設科装備として07式機動支援橋の配備等が進んでいますが、拠点は施設学校の置かれた勝田駐屯地です。

Gimg_8080 山口駐屯地祭、第13旅団隷下の第17普通科連隊が駐屯しています。冬型の気圧配置により日々肌寒くなっていますので、お出かけの際は温かい服装と、雨天の予報に備えた各種装備をご用意ください。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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ソマリア沖海賊対処任務第20次派遣水上部隊へ、護衛艦はるさめ、あまぎり派遣

2014-11-06 22:15:16 | 防衛・安全保障

◆第2護衛隊司令柏原正俊1佐指揮下の2隻 

 防衛省によれば海上自衛隊はソマリア沖海賊対処任務第20次派遣水上部隊を出航させるとのことです。

Img_1401a ソマリア沖海賊対処任務も派遣水上部隊は第20次を派遣することとなりました。第20次派遣水上部隊は、佐世保基地の第2護衛隊司令柏原正俊1佐を指揮官とし、護衛艦はるさめ、護衛艦あまぎり、以上2隻を基幹として構成され、2隻は11月15日に佐世保基地を出港、ソマリア沖へ向かいます。

Img_7167i 護衛艦はるさめ、は艦長高須賀政信2佐以下180名が乗艦、護衛艦あまぎり、は、艦長青木邦夫2佐以下乗員200名が乗艦、 派遣隊員は410名となり、加えて海上保安官8名が2隻に分乗し、海賊逮捕の支援などに当たるとのこと。

Img_7415 既に日常任務化している海賊対処任務ですが、海上家遺体護衛艦による船団護衛任務の実施に際しては現在のところ護衛対象船舶への被害は皆無、逆に船団護衛は最も低速の船舶に合わせる必要があり船団への集合が船舶側から航路日程に合わないとし、独行の事例が多くなっています。

Img_5929  派遣される2隻のうち1隻を船団護衛に充て、もう一隻を哨戒任務として海賊警戒に充てる運用となっています。現在まで海賊との交戦事例はありませんが、海賊と武装漁民の区別がつきにくく、日常業務化しているとはいえ、突発事態へ備え緊張を強いられていることは確かです。

Nimg_9614  実態は外国外洋漁船を追い払う目的で破綻国家化していた頃のソマリア漁民の一部が武装漁民となり、武装漁民の一部が海賊行為を働き、他方武装漁民は海賊からの自衛へ武装しているため区別はつきにくいのです。このため、海上自衛隊は同時に哨戒機の派遣も実施し、上空からの警戒に当たっているところ。

Kimg_4814  哨戒機はジブチ共和国へ海上自衛隊が航空拠点を展開、戦後初めての航空部隊拠点を構築することとなりましたが、海上自衛隊は100機を導入し80機を運用中のP-3Cですが、この規模の哨戒機を10機以上保有する海軍は稀有で、現在2機を派遣中ですがこの2機の哨戒情報は海賊対処に非常に大きな威力を発揮している、とのこと。

Img_9551  交代まで第19次派遣艦艇と併せ護衛艦4隻が派遣されていることになりますが、現在の南西諸島での警戒体制維持へこの護衛艦の派遣は負担ではないと言えばうそになります、その反面各国艦艇とのアデン湾での親善訓練や、友好国への訪問など信頼醸成に資する意味を有しており海上自衛隊は今後も派遣を継続するようです。

北大路機関:はるな

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特集:平成27年度防衛予算概算要求概要⑳・・・自衛隊の特殊武器防護能力拡充Ⅲ

2014-11-05 23:22:48 | 防衛・安全保障

◆市街地や基地施設の除染も任務へ 
 特殊武器防護に関する来年度予算概算要求第三回は、施設内部除染と排水処理について。
Ncimg_2281  特殊武器攻撃は、化学剤による特に地域汚染を目的とした糜爛剤の散布などが行われた際、完全に密閉され通気口に化学剤対応フィルターを装着していない場合には室内に侵入します。そして糜爛剤は家屋の軒下や扉の隙間等にも長期間残留するため、例えば行政やライフライン施設がこの種の攻撃を受けた際には施設内部除染が必要となるのです。
Ncimg_0537  施設内部除染は平成27年度防衛予算概算要求概要において自衛隊に付与される新しい特殊武器御対処能力として要求される能力であり、自衛隊では従来施設内部の除染はあまり重要視されてきませんでした。また、この能力は航空基地や艦艇基地に対する特殊武器攻撃への除染にも寄与することでしょう。
Ncimg_0935  特に海上自衛隊基地や航空自衛隊及び海上自衛隊の航空基地に着いて、重要区画は必要な措置が行われ、人員に対しても防護装備が付与されてはいるのですが、基地全体が特殊武器に対応しているのかと問われたならば、残念ながら十分とは言えない部分があり、自衛隊の戦闘能力維持からも重要な施策です。
Ncimg_1382  その方法ですが、施設内状除染機材、ガス除染装置、等を新たに取得することとなります。これら除染機材の詳細は現在のところ発表されていませんが、新たに調達される新除染セットの取得として8両5億円の要求があり、この新除染セット、現在の除染車の後継装備という位置づけの装備に含まれているのでしょう、これらは順次除染車を置き換える事となります。
Ncimg_2327_1  施設用除染機材は、現在の携帯除染器が背負い式で中和剤を背負ったタンクから携行するノズルにより散布されている方式から可搬式の除染装置へ施設外に待機する除染車両より中和溶液を補充し、一機で比較的広い範囲に渡る複数室内を効率的に除染する方式に置き換えられるもの。
Ncimg_2469  ガス汚染装置は燻蒸方式での置換と無毒化を行うもので、やはり車両から薬剤溶液を補充しつつガスが充満する室内へ噴霧装置を挿入し、燻蒸することでガスを無力化します。基本糜爛剤よりも生物剤のような燻蒸方式での除染が一般的な装備を想定してのものなのかもしれません。
Ncimg_2637  現在の装備でも過去の地下鉄サリン事件では、除染作業を実施する事は出来ていましたがやはり背負い式では携行できる薬剤に限界があり、化学科隊員に普通科隊員を増援し除染したとしても施設が大型の場合にはどうしても時間を要することとなりますので、新装備に置き換え、広範囲の除染を同時に展開する必要性があったのでしょう。
Ncimg_2757  他方、高圧噴射装置が従来の化学防護装置の範囲内であるため、除染に核汚染が想定されておらず、地域除染能力へダーティーボムのような核汚染機能を有する大量破壊兵器による攻撃が行われた際の対処能力整備は、今後の課題、ということになるのでしょうか。我が国の周辺情勢を見た場合、必要な装備です。
Ncimg_2766  排水処理能力、こちらも新たに導入される能力です。廃液処理装置が要求され、これにより特殊武器除染に用いた排水などを現在のそのまま廃棄する方式から、排水を通じての二次被害、こちらの二次被害は野戦による戦術的な危惧は低く民生被害の部分が大きいのではないかの考えますが、こちらについても重視されることとなります。
Ncimg_7252  廃液処理装置は車両や航空機の精密除染などを行う際に除染機材そのものの排水を堰で囲うことで漏えいを防ぎ、除染による廃液を処理装置により濾過することで無毒化するという能力をもちます。福島第一原子力発電所対処の御潜水ではなくあくまで廃液、中和されているもので危険性は少ないのですが、必要として導入されるものなのでしょう。
Ncimg_9648  最後に、化学剤検知器(改)の取得として76式の取得に3億円が要求されています。新型ではなくすでに装備開始されているもので、化学防護隊や特殊武器防護隊の他にも、連隊や大隊規模の部隊に対し本部管理中隊経も配備されるもので、これにより迅速な検知能力を整備し、特殊武器による被害を迅速な防護装置装着へ先んじて警報を出し、防ぎます。
Ncimg_9769  施設除染は海上自衛隊と航空自衛隊にとりこれまでの能力整備の課題として当方も挙げてきましたが、改善されることとなります。加えて自衛隊の特殊武器への対処能力が強化される方向性が大量破壊兵器による国民への被害からの防護を現行能力の延長で行うのではなく主体的に強化するという施策だ、ということが重要な転換と言えます。

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第七次南スーダンPKO派遣施設隊第6師団基幹として派遣へ、第5旅団基幹部隊と交代

2014-11-04 23:08:16 | 防衛・安全保障

◆11月23日派遣先発隊が仙台空港出発

 防衛省によれば現在展開中の南スーダンPKO派遣部隊の交代部隊が派遣されるとのこと。

Pimg_13770 現在陸上自衛隊は、独立間もない南スーダンの国家インフラ整備などの支援へ国連平和維持部隊への国際貢献任務として南スーダンPKO派遣施設隊を展開中です。派遣部隊は現在、帯広の第5旅団を基幹として第六次派遣隊が活動中ですが、今回派遣されるのはその交代部隊です。

Pimg_1350 第七次派遣施設隊は東北方面隊隷下の第6師団を基幹とする編成で、指揮官あ西村修1佐、部隊は先発隊80名が11月23日に仙台空港を民航機により出発し25日に南スーダン首都ジュバ空港へ到達、主力第一波160名が12月4日出発、衆力第二波110名が12月18日に出発します。

Pimg_1365 現在派遣されている野村昌二1佐を式案とする第六次派遣隊は交代する形で11月23日にジュバ空港を出発し25日に新千歳空港へ、主力第一波120名の帰国は12月3日から、主力二派の帰国は12月17日からで新千歳空港には20日に到着すると発表されました。

Pimg_1246 南スーダンはスーダンからの民主党票により独立を果たしましたが、スーダンとの間で国境問題を抱えており、当初は中国製新鋭装備を揃えるスーダン軍からの攻撃が危惧されましたが、逆にPKO部隊駐留を盾として南スーダン軍が2011年と2012年に越境攻撃を開始し一時は非常な緊張に包まれました。

Pimg_1648 2013年にはマシャール元副大統領派によるクーデター未遂事案が発生、大規模戦闘に展開しPKO派遣部隊の一部が包囲され孤立、包囲された韓国隊の要請へ自衛隊が弾薬を特例として補給するほどの切迫状況となり、自国民救助に向かった米軍機が被弾し、インド隊に犠牲者が出るなど激化しました。

Pimg_1440  自衛隊宿営地近くでも銃撃戦が数回行われており、今年に入ってエチオピアの仲介で停戦合意が結ばれたものの完全な停戦には至らず、8月に連絡及び輸送任務に当たった国連のヘリが戦闘に巻き込まれ撃墜されるなど戦闘はごく散発的にではありますが、続いているため、予断を許しません。

Pimg_1503  自衛隊は幸い、任務期間の長期化を見越しての弾薬補填など、準備態勢をある程度整えると共に、戦闘が周辺で展開した際には警戒態勢を採りつつ挑発と誤解される行動を完全に抑え対処する事で戦闘の付随被害を受けていません。なかなか難しいことで、自衛隊の訓練水準の高さ故、というところでしょうか。

Pimg_1330 私見として、大規模戦闘の展開に際して重装備部隊を派遣するか、自衛隊の拠点があるジブチ海上自衛隊航空拠点へ空輸可能な装甲部隊を準備するなどの必要は感じるのですが、現在のところ自衛隊は粛々と新国家建設の任務を遂行中です。

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榛名防衛備忘録:航空自衛隊E-X,次期早期警戒機に関する幾つかの考察④

2014-11-03 22:18:21 | 防衛・安全保障

◆E-737AEWと能力向上改修の問題
 早期警戒機についての続き。自衛隊は早期警戒機を低空目標の迅速な発見という必要性に迫られ、比較的早い時期に導入しました。
Eimg_3184  しかし、早期警戒機の実戦における比重はその後急激に増大します。現代戦は情報優位が戦域優位に寄与する比率が飛躍的に向上しており、早期警戒機とのデータリンクがもたらす戦域優位への比重は1980年代と比較できないほど、このため早期警戒管制機の需要が高まっているわけです。航空自衛隊は前述の理由から早い時期に導入できましたが、全ての国がそうであるわけではない。 
Img_0355  日本は、早めに買っておいてよかった、と急に付加価値が上がった装備を眺めつつ、しかしそうではない国はどうするか、E-737AEWはこの為に開発されたもので、オーストラリア空軍や韓国空軍にトルコ空軍が導入、イタリア空軍とアラブ首長国連邦空軍が導入を計画中です。難点は現在のところアメリカ空軍が導入していないことで、滞空時間などでは短距離旅客機である737を原型としている分、707や767には飛行時間で及びません。 
Img_0201  また、アメリカ空軍はE-3の後継機を計画した際、太平洋を無給油横断可能なボーイング767か777を念頭に計画していたため、E-737AEWでは航続距離が足りません、もちろん空中給油を行うならばE-737AEWであっても航続距離は伸びるのですが、E-3の後継機へ採用するかは微妙なところ。
Kimg_6787  何分B-52爆撃機を運用し続ける空軍ですのでB-52よりは機体が新しいE-3について、当面運用継続が考えられるのですが、E-3と同じ707を原型とするKC-135空中給油機の後継機選定が開始され二転三転しながらもようやくではあるのですがKC-46Aに決定しており、E-3後継機選定もそろそろ、ともいえる。 
Simg_8666  他方で、アメリカ政府の財政赤字強制削減措置が採られている現状では、KC-46Aの調達を開始した今だからこそ、そちらに予算が流れてしまい、E-3後継機を後回しとせざるを得ない現状も無視できません。例えばKC-135の後継機であるKC-46Aは180機程度が取得される計画ですが、第一期分の取得は2017年までに一割に当たる18機を調達するのみ。
Eimg_4823  E-737,ここで米空軍が採用すれば、その機材を中心に能力向上への近代化改修プログラムが組まれることとなり、此処に連動することで最先端の警戒監視能力を維持できるでしょう。しかし、採用されなければ能力向上改修を独力で展開し続けなければならないことを意味するため、リスクとして非常に大きい。 
Himg_35060  早期警戒管制機は近代化改修により初めて長期間第一線運用に耐える能力を確保できる訳で、その音頭をとる国がアメリカか否かの影響は非常に大きいのです。ここで小型すぎるのは大きな難点で、原型機と旅客機型を比較しますと、E-737AEWの原型機はボーイング737-700で座席数149、E-3の原型機であるボーイング707-120Bは座席数179、E-767の原型機ボーイング767-200ERは1クラス時255、と。
E2img_8438  近代化改修については、第二階に航空自衛隊のE-767が実施している米空軍E-3の近代化改修計画に連動した改修を行っていることを紹介しましたが、例えばレーダーアンテナが同型であっても情報処理能力を司るコンピュータを新型に換装するだけで改修前は単なるエコーとして無視されていた遠距離目標の正確な識別が可能となり、探知距離が延びる事を意味します。
09thimg_1242_1  ただ、E-737AEWのレーダーシステムは米空軍がE-3の後継機として計画し、2007年に予算難で中止されたE-10統合管制機のレーダー技術が応用されており、アメリカが同盟国に提示しているように近代化改修プログラムが推進されている、逆にE-3が近代化改修によりE-737AEWとレーダーアンテナ以外の部分にてアップデートされている点も推測され、悲観視せずともよいやもしれません。
88img_0393  E-737AEWはオーストラリア空軍が米空軍との運用共通化を期して頻繁に共同訓練を実施しているほか、イージス艦との連携についても計画中のホバート級イージス駆逐艦との情報共有は計画中です。更にイタリア空軍が採用すればトルコ空軍の機体と共にNATO諸国での運用基盤を構築することにもなりますので、近代化改修プログラムの構成国は増大するでしょう。 
88img_2287_1  反面、装備体系としてE-737AEWのAESAレーダーやボーイング737という機体規模の航空機は航空自衛隊の運用体系に同程度のものはあっても同型機は無いため、後方支援基板などを一から構築する必要があります。そしてE-2Cよりも滞空時間や航続距離は大きいのですが、E-767よりは短く小さい。 
Himg_3433  事実、航続距離10400kmを誇るボーイング767に対しボーイング737は短距離用で、例えば先日オーストラリア空軍のE-7Aが浜松基地を親善訪問したのは、航空自衛隊のE-767部隊との交流を深めると共にアメリカ本土での訓練飛行へ豪州より向かう際に立ち寄ったものでした。
Himg_3168  豪州空軍のE-7Aは、オーストラリアからアラスカへ向かう際、グアムのアンダーセン基地、日本の浜松基地と千歳基地、実に三か所を経由しアラスカのエルメンドルフ基地へ展開しています。ニューサウスウェールズ州ウィリアムタウン基地からアラスカ州アンカレッジのエルメンドルフ基地まで9000km、E-767ならば十分ですがE-737AEWでは対応できません。
Img_7243  E-2Dと比較すればE-737AEWは余裕がある機体であり、将来的にも発展性や滞空時間などで魅力ある機体なのですが、近代化改修プログラムをどうするのか、日豪共同にNATOを加え進められるのかという問題、更にすでに整備されたE-2Cの運用基盤を越えるため、新たな整備基盤が必要となる。
E2img_9076  高性能ながら突き付けられた喫緊の課題に対応できるのか、という点は留意しなければなりません。理想としてはE-737AEWなのですが、現実としては短期間で運用体制を確立できるのはE-2Dだ、というところでしょうか。もっとも、最大の理想は米空軍がE-3後継機の指針を早急に提示することなのかもしれません。 

北大路機関:はるな

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入間基地航空祭2014いよいよ明日!30万突破と日本最大来場者を誇る首都圏の航空祭

2014-11-02 23:18:09 | 北大路機関 広報

◆楽しもう航空祭!大混雑入間基地の傾向と対策

 明日は文化の日、恒例の入間基地航空祭が行われる日です。C-1の性能に驚かされる一日がいよいよ始まり。

Ibimg_0942  入間基地航空祭は、0800時からのT-4による天候偵察から始まり、0935時から飛行点検機YS-11FC及びU-125の編隊飛行、1005時より総隊司令部飛行隊T-4の編隊飛行、1040より入間ヘリコプター空輸隊CH-47と百里救難隊UH-60JとU-125による飛行展示、1120時よりC-1輸送機による編隊飛行と機動飛行に空挺降下及びU-4の飛行展示、1305よりブルーインパルス飛行展示、と発表されました。地上展示航空機や装備品展示は開門から閉門まで実施されています。

Ibimg_1774 入間基地航空祭は昨年来場者が遂に30万の大台を突破し、広大な基地ですが来場者が格納庫前のエプロン地区に集中する為人口密度が物凄く、コミケか入間基地か、と呼ばれたその航空祭は、C-1輸送機の機動飛行にこれが輸送機の可能な飛行能力なのか、と驚かされると共に、輸送機を見にこれだけ人がある丸野か、と驚かされます。そろそろかつての厚木ウイングスのように二日間実施として来場者の分散を図ったが良いのではないか、というところ。

Ibimg_0354 そんななか、冷静に考えればC-1とYS-11にU-125とT-4の基地、混雑を避けるために配備機種が似た美保基地へ行こう!、と勇んで今年赴き、土砂降りと視界不良で飛行展示皆無じゃないですか、やだーっ、となった方も居るかもしれません、当方含めて。航空祭があまりに混雑しますから、諦めて西武新宿線にて狭山市駅に展開し、基地には入らず外柵沿いに撮影を展開、編隊飛行に向かうC-1が一列に並ぶため迫力の構図が撮れるのですが、入場を断念する方も居るほど。

Ibimg_1656 しかし、混雑する入間基地航空祭ですが、ある程度コツを掴みますと意外に混雑を避ける事が出来ます。まず首都圏の入間基地ですが、基地内に西武池袋線稲荷山公園駅があり、徒歩0分という好立地にあり、西武鉄道が臨時門を設け全力で輸送する為、0800時前に到着するのであれば、それほど混雑していません。流石は西武球場を抱える西武鉄道の輸送力、と感嘆される方も居まして、駅の策を取り外しICカード対応改札を素早く展開させる西武鉄道の手際の良さから入間基地へは順調です。

Ibimg_4559 入間基地への入場ですが、稲荷山公園駅からそのまま基地に入る経路が最も混雑します、徒歩0分なのである意味当然です。しかし、稲荷山公園駅を一旦出て徒歩数分の距離に北門があり、隣には特設門も用意されています、かなり並んでいるように見えるのですが、稲荷山公園駅から基地に開門前に人が誘導されていても、それはホームを空けるための部分前進でエプロン地区へは入れず、北門、ここが意外と混雑していないのです。そして、稲荷山公園駅からの基地入場とエプロン地区への経路とは別の道を通り、エプロン地区端に出るため、最前列をある程度確保しやすくなるのです。

Ibimg_1914 基地内ですが、最も混雑するのはブルーインパルスの駐機位置、その眼の前です。地上展示されている様子を一応とっておこう、とEOS-7Dを思い切り上に掲げたところで採れたのが上記の情景でして、これ以上はとてもではないけれども接近することが出来ません、この最前列、体力自慢が日ごろの健脚を活かして目いっぱいがんばっても、開門と同時に全速力で駆け付けて最前列を確保する勢いを出したとして、手荷物検査や経路の安全確保から制止されることがありますので、第一線確保には多少の運が左右させてしまうのです。

Ibimg_4428 しかし、正面を避けて端へ端へ人口密度は低くなってゆきますので、北門から展開する場合は向かって左側へ、稲荷山公園駅から展開する場合は向かって右側へ向かうと、最前列は確保でします。そして個人的にはブルーインパルス飛行展示前には基地の周辺部に展開し、大混雑を避けられる位置から飛行展示を撮影することが望ましいのかな、と。事実当方はC-1編隊飛行の撮影を完了しますと地上展示機を撮影しつつ入間市駅まで移動し、特急レッドアローの特急券を確保して後ブルーインパルスを撮影しました。

Ibimg_1289 西武鉄道と入間基地ですが、今年は西武新宿線と入間基地との間で帰路のシャトルバスが特別運行されます、これは朗報と言えるでしょう。西武新宿線、池袋線と間違えると入間基地の反対側に出るのですが、今年は新宿線狭山市駅と基地内との間でシャトルバスが運行されることとなり、稲荷山公園駅への一点集中を避ける体制が採られることとなりました。臨時バスは退場のみで始発は1200時からですので帰路にしか使用できないのですが、帰路の混雑が緩和されるのはありがたい。

Ibimg_0871  航空祭の目玉はブルーインパルスは百里基地や浜松基地など首都圏から遠くない航空祭dも見る事ができますので、入間と言えば見どころは1120時からのC-1輸送機編隊飛行と機動飛行、シャトルバスは逆に言えば一番混雑する時間帯は1305時から1410時までのブルーインパルス飛行展示ですので、この展示を狭山市駅周辺から見れば混雑を避けられるでしょう。混雑と簡単に言いますが、基地を出るのに三時間、といわれるのが入間基地航空祭です、なにしろ西武線の駅がホームからの転落防止のために入場制限するほどなのですから。

Ibimg_2235 なお、入間基地は脚立全面禁止、レジャーシート禁止でエプロン地区中央に正午まで時間限定にてレジャーシート区画が用意されます、最前列付近でレジャーシートにより場所取りをしますと、警備か警務隊の方に退場を強く要請されますのでご注意ください。帰路、駅の入場制限にかかった場合は、西武池袋線入間市駅が正門から徒歩10分、西武新宿線狭山市駅が徒歩25分ですので、こちらも併せご検討ください。

北大路機関:はるな

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榛名防衛備忘録:航空自衛隊E-X,次期早期警戒機に関する幾つかの考察③

2014-11-01 22:29:46 | 防衛・安全保障

◆E-2DとE-737AEW,共に利点
 前回までにE-767導入までの経緯を紹介しました。E-767のレーダーシステムは米軍やNATO軍のE-3と同型のAPY-2であるため、当面は近代化改修が継続されます。
Himg_3087  このため可能ならばE-767の増備が望ましい、しかし、現状ではAPY-2の生産終了によりE-767の増備は不可能となりました。このため新早期警戒機の導入が求められることとなったわけです。有力案として、新型機であるノースロップグラマンE-2DとボーイングE-737AEW,ともにアメリカ製航空機であるこの二機種が候補として示されています。 
Onimg_321_2  E-2DはE-2Cの後継機として空母艦載用に開発されたもので、機体形状もE-2Cと非常によく似ています。ただ、E-2Cの近代化改修型であるホークアイ2000と比較し、レーダーが完全に新型となっており、探知能力や処理能力も高められているため能力が根本から違うという点が特色でしょう。 
Img_5075  AN/APS-145からAPY-9へ、レーダーの新型化により探知能力についてはE-2Cの380kmほどに対してE-2Dは550km以上に延伸しており、この能力向上は現在の沖縄周辺区域において行われているE-2Cの空中警戒任務が南西諸島南部か南西諸島中部かを警戒する際に当該空域へ進出する必要がありましたが、E-2Dの能力であれば、沖縄本島付近から全域を警戒可能です。 
Img_1697  この警戒能力は、具体的には沖縄本島より200km圏内において警戒を行う際、現状の防空識別圏内のみならず、台湾全域とその対岸、大陸沿岸部、九州南方海域を同時に警戒可能となるため、現在中国軍が我が国を想定し配備している1500発程度の巡航ミサイルが仮に発射された際、即座の感知と警報が可能となる。 
Img_1431f  更にE-2Dは共同交戦能力を重視し、イージスシステムとの連携を重視しています。米海軍用の装備であるため当然と言えば当然ですが、現在開発が進むイージス艦用の射程600kmに及ぶとされるRIM-174スタンダードERAM艦対空ミサイルと連接することで、中国軍が我が国へ巡航ミサイルによる飽和攻撃を行う可能性を抑止できる。 
Gimg_4419  600kmといえば鹿屋航空基地から那覇基地までの距離に匹敵、つまり九州錦江湾から那覇基地の防空を支援することが可能になります。海上自衛隊は共同交戦能力を米海軍と同程度を期して、データリンク能力整備に少なくない予算を投じてきました。米海軍とのデータリンクは相互性を企図して能力構築が為されており、既にE-2Cのシステムを航空自衛隊の要撃管制システムへも統合化しているため、米軍のデータと情報共有することで、数倍の脅威対象をも圧倒できるでしょう。 
Img_9047  併せて第603飛行隊が那覇基地に今年新編され、三沢基地より半数のE-2Cが那覇基地へ移転しました。元々は中国機の領空侵犯事案発生を受け警戒監視能力強化へ暫定措置として行われていたものが、対領空侵犯措置任務の激増に伴い恒常化を見据え行われた改編なのですが、これにより、E-2Cの運用基盤が那覇に配置されたことを意味します。 
Yimg_5733  E-2Dは空母艦載機であり、同じく空母艦載機であるE-2Cの後継機として導入された機体です。これは言い換えれば、そのまま流用は不可能としてもE-2Cの運用基盤をE-2Dに応用できることを意味します。整備器具はある程度、そして機体規模は同程度ですので格納庫を流用でき、初期費用を抑え早い任務対応能力がある、ということ。 
Himg_4015  E-737AEW,先日豪州空軍のE-7が浜松基地を親善訪問していますが、その期待がE-737AEWでした。これはE-3やE-767の導入を期したものの同機が生産中の時点では予算の限界などで取得できなかった空軍向けの機体で、ボーイング737を原型に新しいAESAレーダーによる警戒システムを搭載したものです。 
Himg_5149  E-737AEWはE-2Cと比較し、機体規模が大きい分航続距離と滞空時間が大きくなっているため長時間の警戒監視飛行が可能です。滞空時間は倍程度で、これは頻繁な後退を必要としないことを意味しますので、機数当たりの警戒範囲を増大させ、交代機の待機態勢という地上運用面での限界を補完します。つまり、長く飛べたほうが隙が無い、ということ。 
Gimg_9999  加えてボーイング737を原型とした機体ですので、E-2Cの電子機器と壁の隙間に乗員が押し込められ、お手洗いは設置されていても非常用のものであり、乗員は前部と後部の行き来が事実上できないほどに窮屈、だがそこが落ち着く、という話を聞いたことがありますが、疲労度が物凄い現状が、737であれば普通に行き来出来ます。この疲労度の問題は無視できません。 
Eimg_0066_1  更にE-737AEWは機体容積はE-2CやE-2Dに比べれば余裕があるため、窮屈な機体は乗員だけではなく機材の更新回収にも影響を与えるものですから余裕ある機体ならば、将来的に新型の情報処理装置や通信機器などの更新が容易に行え、E-767程ではありませんが有力な機体として長期間運用することが出来るでしょう。 

北大路機関:はるな

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