北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

防衛省、陸上総隊司令部を朝霞駐屯地へ配置決定、政経中枢との一体性を重視

2015-05-18 23:52:47 | 防衛・安全保障
■陸上総隊、平成29年度設置
 防衛省は陸上自衛隊の戦闘部隊を統括する陸上総隊を新編後、その司令部を朝霞駐屯地へおく方向で決定したとの事です。

 朝霞駐屯地は埼玉県にあり、東部方面総監部等が置かれています。近傍には第1師団司令部等が駐屯する練馬駐屯地があり、東部方面隊は隷下の第1師団と第12旅団及び直轄部隊を以て関東甲信越地方の防衛警備及び災害派遣へあたる陸上自衛隊の方面隊です。

 新編される陸上総隊は、現在の陸上自衛隊が北部方面隊と東北方面隊及び東部方面隊と中部方面隊に西部方面隊と五個の方面隊が全国を五つの管区に分け防衛警備に当たっているのですが、その五つの方面隊へ上部司令部を置き、陸上自衛隊の戦闘部隊を統括指揮する為に創設される事となりました。

 この方式は、航空自衛隊では航空総隊、海上自衛隊では自衛艦隊司令部にあたります。航空自衛隊は航空総隊の隷下に実戦部隊として北部航空方面隊と中部航空方面隊に西部航空方面隊と南西方面航空混成団を置いています。ですから、航空自衛隊の方式に近いといえるかもしれません。

 海上自衛隊は司令部が航空自衛隊の方式とは若干異なります、自衛艦隊隷下に護衛艦隊や航空集団に潜水艦隊等を置き、加えて全国の沿岸部を横須賀地方隊と呉地方隊に佐世保地方隊と舞鶴地方隊及び大湊地方隊とし、有事の際に部隊を配備します方式へ転換しました。

 陸上自衛隊は、今後、統合機動防衛力として、方面隊の管区を超えた機動運用を基本として国土防衛を担う防衛体制へ変革してゆきます、このため、方面隊にくぎっての運用基盤では不十分であり、全国の方面隊を統括する上級司令部を置く必要が出てきました訳です。

 司令部が朝霞駐屯地へ置かれた背景ですが、朝霞駐屯地は首都圏あり政治の中枢との一体性を確保出来る、との理由から選ばれたとの事です。この他に、候補地としては座間駐屯地なども考えられました、例えば航空自衛隊はアメリカ第五空軍司令部の置かれる横田基地へ航空総隊司令部が置かれています、弾道ミサイル防衛などに際し即座に連携をとれる、ということ。

 海上自衛隊も自衛艦隊司令部は横須賀基地に置かれており、アメリカ海軍との連携を重視しています、従って座間駐屯地におきキャンプ座間の在日米陸軍司令部及び陸軍第1軍団前方司令部との連携を重視する選択肢も有り得たわけなのですが、陸上自衛隊はその中枢を朝霞に置くこととしました。

 朝霞駐屯地には中央観閲式を行う朝霞訓練場などが隣接していまして、面積の面での余裕はあります。今後、朝霞駐屯地へは平成27年度より司令部庁舎の建築を開始し、平成29年度をめどに陸上総隊を創設、新設される庁舎へ司令部を置くこととなります。

北大路機関:はるな
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