■T-4後継機への重責
T-4練習機の生い立ちなどを前回紹介しましたが、今後の練習機について。

航空自衛隊のT-4練習機後継機ですが、その必要となる時期が近づいてきている一方、練習機の重要性はますます増してゆきます、そういいますのも航空自衛隊が次期主力戦闘機にF-35を選定したため、F-35は練習用に用いることができない単座型のみで構成されており、後部座席に教官が座る複座型が開発されていません、すると戦闘機での操縦訓練はすべて単座型のみ、となってしまうわけです。

航空自衛隊は創設以来、F-86,F-104,F-4E,F-15と戦闘機を運用してまいりましたが、航空自衛隊草創期の亜音速戦闘機F-86を除けば全て複座型が調達、F-4Eは複座型しかありませんでしたが、機種転換訓練に用いることが出来る航空機があり、草創期のF-86についても、同程度の練習機としてT-33,もともと戦闘機P-80の練習型、が配備されていましたので訓練環境は十分確保されていました、対してF-35は、大きく違う事が分かるでしょう。

米空軍では戦闘機シミュレータを多用することでF-35の要員を養成できる、としていますが、米空軍は超音速練習機T-38を運用中で、その後継機選定は進められていますが、少なくとも現段階で高性能な練習機を装備しているのです。T-38の単座型はF-5軽戦闘機、改良型のF-5Eを含め世界中に輸出されました。

F-5,我が国周辺では韓国空軍や台湾空軍、フィリピン空軍に採用、多くが輸出された傑作機の原型で、Tー38を運用する米空軍の例は必ずしも参考とはなりません。もっとも、T-38は老朽しており、延命改修を重ねていますが、延命に限界があるとして次期練習機を選定する動きと、予算に限界があるとして延命改修を重ねる施策と、動きはわかれています。

さて、超音速練習機、アメリカのT-38に当たる機体、航空自衛隊の超音速練習機は2005年までに全て退役したT-2練習機のみ、少数が博物館に残り、基地に野外展示される機体をのぞけば廃棄航空機として裁断され野積となっている状況ですので、さすがに再生させることはできませんし、生産ラインは遙か昔に閉鎖されていますので再生産も絶対にできません。

すると、練習機に複座戦闘機を用いた教育訓練を行い、練習機での基本訓練とFー35戦闘機の能力のギャップを埋めるよう努力するのか、シミュレータ多用の訓練体系を構築するのか、と選択肢は限られます。F-35はかなり自動化が進んだ航空機であり、機動性や機転よりも操縦難易度は、という指摘もありますが、人が乗る航空機として極限状況にも投入されるもの、シミュレータだけでの錬成には問題も残ります。
北大路機関:はるな
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
T-4練習機の生い立ちなどを前回紹介しましたが、今後の練習機について。

航空自衛隊のT-4練習機後継機ですが、その必要となる時期が近づいてきている一方、練習機の重要性はますます増してゆきます、そういいますのも航空自衛隊が次期主力戦闘機にF-35を選定したため、F-35は練習用に用いることができない単座型のみで構成されており、後部座席に教官が座る複座型が開発されていません、すると戦闘機での操縦訓練はすべて単座型のみ、となってしまうわけです。

航空自衛隊は創設以来、F-86,F-104,F-4E,F-15と戦闘機を運用してまいりましたが、航空自衛隊草創期の亜音速戦闘機F-86を除けば全て複座型が調達、F-4Eは複座型しかありませんでしたが、機種転換訓練に用いることが出来る航空機があり、草創期のF-86についても、同程度の練習機としてT-33,もともと戦闘機P-80の練習型、が配備されていましたので訓練環境は十分確保されていました、対してF-35は、大きく違う事が分かるでしょう。

米空軍では戦闘機シミュレータを多用することでF-35の要員を養成できる、としていますが、米空軍は超音速練習機T-38を運用中で、その後継機選定は進められていますが、少なくとも現段階で高性能な練習機を装備しているのです。T-38の単座型はF-5軽戦闘機、改良型のF-5Eを含め世界中に輸出されました。

F-5,我が国周辺では韓国空軍や台湾空軍、フィリピン空軍に採用、多くが輸出された傑作機の原型で、Tー38を運用する米空軍の例は必ずしも参考とはなりません。もっとも、T-38は老朽しており、延命改修を重ねていますが、延命に限界があるとして次期練習機を選定する動きと、予算に限界があるとして延命改修を重ねる施策と、動きはわかれています。

さて、超音速練習機、アメリカのT-38に当たる機体、航空自衛隊の超音速練習機は2005年までに全て退役したT-2練習機のみ、少数が博物館に残り、基地に野外展示される機体をのぞけば廃棄航空機として裁断され野積となっている状況ですので、さすがに再生させることはできませんし、生産ラインは遙か昔に閉鎖されていますので再生産も絶対にできません。

すると、練習機に複座戦闘機を用いた教育訓練を行い、練習機での基本訓練とFー35戦闘機の能力のギャップを埋めるよう努力するのか、シミュレータ多用の訓練体系を構築するのか、と選択肢は限られます。F-35はかなり自動化が進んだ航空機であり、機動性や機転よりも操縦難易度は、という指摘もありますが、人が乗る航空機として極限状況にも投入されるもの、シミュレータだけでの錬成には問題も残ります。
北大路機関:はるな
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