■海外作戦の任務と能力
前回までに大型巡視船の戦力投射や邦人保護任務への対応能力を検証しました。

しいしま型、元来フランスから日本までの長距離を核燃料輸送の護衛用に設計されているため無給油の欧州日本間の航行が可能です、例えば護衛艦は全通飛行甲板型のヘリコプター搭載護衛艦をのぞけば洋上での補給艦からの給油などを念頭に置き戦闘航海では数日分の燃料を搭載する程度ですので、巡視船しきしま型はこの航続距離の面では護衛艦よりも優れた部分があるのも事実です。

例えば、しきしま型巡視船を現在の2隻から、15隻程度に増強し、リンク16データリンクシステムを搭載、ヘリコプターデータリンク機能を搭載、艦載機もこの性能に併せた哨戒ヘリコプターを搭載することで海賊対処任務は性能面で対応することができるでしょう、加えて多国間任務ですので、海上保安官の階級を各国海軍にあわせ適合させることで護衛艦でなくとも海賊対処任務は遂行できるでしょう。

ただ、忘れてはならないのはデータリンク能力の保持は相応の費用を要し、加えて海上保安庁の本来任務である警備救難任務には必ずしも必要なものではありません、しかし、海上保安庁巡視船が海賊対処任務へ護衛艦に代え参加するのであれば、洋上監視任務へ海賊対処任務に当たる海上自衛隊のP-3C哨戒機との連接と各国艦艇との連携が不可欠となります。

海上保安庁本来業務である警備救難能力に必ずしも必要でがない装備を体系的に導入し運用する体制と、その能力を有する巡視船の大量建造は、仮に我が国の経済力が右肩上がりで潤沢すぎる予算が将来にわたり確保できる見通しがあるならば検討の余地はあるのですが、現実を即した場合、行うべきではありません、すると消去法で護衛艦、となります。

護衛艦ですが、海外ではOPV、外洋哨戒艦という区分があります。満載排水量では水上戦闘艦として一定水準の規模を有するのですが、機関出力は経済巡航性能を重視し航続距離が大きく、駆逐艦やフリゲイトほどの重武装は有さないものの、水上戦闘艦としての能力を有し、多機能レーダーや航空機運用能力、特殊部隊や海軍歩兵の母艦機能を有し、長期間の哨戒任務や対テロ任務などに充てられるもの。

ただ、OPVは新造する場合、かなり建造費が高くなり割高との批判を新規建造する場合受けることがあります、たとえばオランダ海軍は3500t級フリゲイトの後継として4000t級OPVを建造、多機能レーダーと大口径機関砲を搭載し航空機運用力を有する性能にとどめたのですが、多機能レーダーとデータリンク能力が高い費用を要し、結局フリゲイトよりも割高となったため、議会から批判を受けました。

我が国の場合、OPVは建造費以外、もう一つの理由で必ずしも装備体系に適合しません、オランダのOPV建造は、水上戦闘艦の必要性が冷戦崩壊により低下したため、代えて、というものでしたが我が国の場合、対水上戦闘が発生する蓋然性は今なお高く、有事の際にOPVは、有効な任務がなく、特にソナーを搭載しなければ対潜戦闘に全く用途ありませんので、能力不足となります。
北大路機関:はるな
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
前回までに大型巡視船の戦力投射や邦人保護任務への対応能力を検証しました。

しいしま型、元来フランスから日本までの長距離を核燃料輸送の護衛用に設計されているため無給油の欧州日本間の航行が可能です、例えば護衛艦は全通飛行甲板型のヘリコプター搭載護衛艦をのぞけば洋上での補給艦からの給油などを念頭に置き戦闘航海では数日分の燃料を搭載する程度ですので、巡視船しきしま型はこの航続距離の面では護衛艦よりも優れた部分があるのも事実です。

例えば、しきしま型巡視船を現在の2隻から、15隻程度に増強し、リンク16データリンクシステムを搭載、ヘリコプターデータリンク機能を搭載、艦載機もこの性能に併せた哨戒ヘリコプターを搭載することで海賊対処任務は性能面で対応することができるでしょう、加えて多国間任務ですので、海上保安官の階級を各国海軍にあわせ適合させることで護衛艦でなくとも海賊対処任務は遂行できるでしょう。

ただ、忘れてはならないのはデータリンク能力の保持は相応の費用を要し、加えて海上保安庁の本来任務である警備救難任務には必ずしも必要なものではありません、しかし、海上保安庁巡視船が海賊対処任務へ護衛艦に代え参加するのであれば、洋上監視任務へ海賊対処任務に当たる海上自衛隊のP-3C哨戒機との連接と各国艦艇との連携が不可欠となります。

海上保安庁本来業務である警備救難能力に必ずしも必要でがない装備を体系的に導入し運用する体制と、その能力を有する巡視船の大量建造は、仮に我が国の経済力が右肩上がりで潤沢すぎる予算が将来にわたり確保できる見通しがあるならば検討の余地はあるのですが、現実を即した場合、行うべきではありません、すると消去法で護衛艦、となります。

護衛艦ですが、海外ではOPV、外洋哨戒艦という区分があります。満載排水量では水上戦闘艦として一定水準の規模を有するのですが、機関出力は経済巡航性能を重視し航続距離が大きく、駆逐艦やフリゲイトほどの重武装は有さないものの、水上戦闘艦としての能力を有し、多機能レーダーや航空機運用能力、特殊部隊や海軍歩兵の母艦機能を有し、長期間の哨戒任務や対テロ任務などに充てられるもの。

ただ、OPVは新造する場合、かなり建造費が高くなり割高との批判を新規建造する場合受けることがあります、たとえばオランダ海軍は3500t級フリゲイトの後継として4000t級OPVを建造、多機能レーダーと大口径機関砲を搭載し航空機運用力を有する性能にとどめたのですが、多機能レーダーとデータリンク能力が高い費用を要し、結局フリゲイトよりも割高となったため、議会から批判を受けました。

我が国の場合、OPVは建造費以外、もう一つの理由で必ずしも装備体系に適合しません、オランダのOPV建造は、水上戦闘艦の必要性が冷戦崩壊により低下したため、代えて、というものでしたが我が国の場合、対水上戦闘が発生する蓋然性は今なお高く、有事の際にOPVは、有効な任務がなく、特にソナーを搭載しなければ対潜戦闘に全く用途ありませんので、能力不足となります。
北大路機関:はるな
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