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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

本日は憲法記念日、終戦70周年の年に改めて日本国憲法を考える

2015-05-03 23:35:57 | 国際・政治
■憲法記念日
 本日は憲法記念日です、憲法について少し考えてみましょう。

 憲法とは何か、素朴な疑問ですが憲法の英訳Constitution、これを調べますと明快でして、constitutionは構造を意味しますので、即ち憲法は国家の仕組み、基本的人権や社会権、行政機構や国際関係、立法精神や国家体制を明示するもの、といえるでしょう。

 日本国憲法は平和主義を国是としており、その中で軍備を否定しているという点で特異とされます、ただ、男女同権の明記という点で世界でも唯一のもので、憲法は国家体制が天皇制を採り、国民主権と国会の在り方などすべてを盛り込んでいるものでして、この点に留意しなければなりません。

 ただ、我が国が平和主義を国是として軍備を禁じている部分、常備軍の禁止などはカントも提唱しているもので、臨時に軍備を世界平和実現までの半永続的に維持している事例はありますので、一概に評価できないのですが、国家の自衛権、立憲機能を含め防護し得ない機能は有り得るのか、という視点が問題となる訳です。

 他方で、憲法には自衛権を有するか有しないかの明示は無く、逆に国際協調を明文化しており、国際法との関係性も明治されています。その上で日米安全保障条約の締結には政治的議論がありましたが、同じく集団安全保障機構である国際連合へ加盟した際には、大きな議論はありませんでした。

 すると、自衛権に関する概念、自衛権行使の主体、自衛権行使が及ぶ地域、このあたりは合憲違憲の判断は司法府に一任されていますので、憲法違反かどうかは付随的違憲審査権に基づき司法府が判断するもの、我が国は憲法裁判所を有しませんので裁判所が統治行為論として行政府に政治問題というかたちで差し戻した場合は政府見解が違憲合憲の判断となります。

 結果、政府が軍事力の放棄は自衛権の放棄ではない、憲法が目的とするのは平和的生存権であり軍事力の放棄は目的ではなく手段である、という視点に依拠すれば、憲法と世界平和実現までの半永続的な暫定防衛力の整備は問題はないのですが、仮に問題がるならば憲法は国民を守るものですので、逆に憲法を改正する事こそが憲法の精神を守ることとなるということ。

 平和的生存権なのですが、当方は映画観賞が趣味の一つでして、その中の数作、戦場のピアニスト、シンドラーのリスト、などを観ますと国家による庇護から外れる事、戦争をしないことにより基本的人権が失われる立場の方を知ることが出来まして、非武装を手段ではなく目的とした場合どうなるのか、感情移入してしまうところ。

 集団的自衛権ですが、既に国連と日米安保に加入しており、今更この二つから脱却する事は国際関係の観点から無理がある、また一国での防衛に固執すれば海洋国家であり長大なシーレーンを有する我が国が一国で二国標準主義のような強大な防衛力を持つ必要があり強大な軍拡競争を招く可能性があります、従ってこの視点から自衛権を見てゆく必要があるでしょう。

 結局、現行憲法は現状のまま、必要な防衛政策を進め自衛権を行使し主権を維持できる能力を保持する事は出来ます。必要なのは防衛政策と国際関係であるのですから、実政策として必要な措置を如何にとるかを考え、予算を確保し、進めてゆく事の方が重要でしょう。

北大路機関:はるな
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コメント (1)
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