北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

榛名防衛備忘録:沖縄防衛への視座、二度と見捨てぬ沖縄戦第32軍への反省が必要

2015-06-10 23:14:00 | 防衛・安全保障
■沖縄を守る決意が必要
今回は昨日の鹿児島県奄美大島の防衛強化提案に併せ、沖縄についての話題と視点を。

沖縄から防衛力を削減し、基地負担軽減を、という声があるようですが、これを実際に行い、そして有事となった際に、沖縄の視点から、また国は沖縄県に十分な防衛力を配置しないことで沖縄県を見捨てる事となった、と解釈されないのか、沖縄防衛に関する命題を考える際、どうしてもこの一点を忘れることが出来ません、今回はこの点について。

我が国は先の沖縄戦において、本土防衛を重視するあまり沖縄の第32軍に充分な兵力派遣を行わなかったことは猛省すべきであり、特に第32軍の3個師団からフィリピン決戦後の兵力移動として金沢第9師団を台湾へ派出したのちに補充をおこなわず、2個師団のまま絶対優勢の米軍を相手に沖縄戦を戦わせた大本営の決定は、繰り返してはなりません。

一方、疑問なのは、沖縄の基地負担軽減ばかりが特に県知事により叫ばれる昨今、逆に沖縄周辺に軍事力の空白を生むことのほうが、結果的に沖縄の有事における負担を、具体的には人命財産の危機についてですが、増大させることとなるのですが、逆に現時点で防衛力の空白を生むことは、二度沖縄を見捨てる、という認識にはならないのでしょうか。

無防備ならば侵略されない、というものは間違いです、北東アジア地域でもっとも防衛力の薄いフィリピンが現在中国から環礁占拠など侵略を受けていますし、先の大戦で我が国は防備の強い地域への攻撃は避けてきました。特に沖縄は、太平洋戦争末期の南西諸島侵攻アイスバーグ作戦が、連合軍の沖縄か台湾を占領し日本本土侵攻の拠点とする計画で、防備の薄い沖縄が攻撃されたのですから。

当然のこととしまして、太平洋戦争中は沖縄へ米軍の侵攻が実際になされるかは、1944年まで懐疑的でした、フィリピンには開戦後米軍を駆逐し陸海軍の精鋭が占領、東南アジア全体を占領し、戦前から長く台湾には台湾方面軍、太平洋はマリアナ諸島が信託統治領でトラック諸島には連合艦隊の根拠地、中国には支那派遣艦隊、絶対に沖縄に侵攻などはできませんでした。

この認識は当然ながら現代とは根本から違っており、沖縄は専守防衛を国是とする日本国憲法施政下、国境にあり、第一撃を受けるまで、対処が難しいという防衛政策下、特に中国大陸からの第一撃は沖縄県を含む南西諸島にたいしてなされる蓋然性が高いのです。実際問題、沖縄県は県内の一部が中国政府により領有化を一方宣言され、公船の領海侵犯が横行、県民は憤りを感じています。

海軍艦艇が領海侵犯をしていないため、危機感が希薄なのかもしれませんが、これは過去、海軍艦艇領海侵犯事案に際しては我が国が厳しい対応をとっており、潜水艦が領海侵犯すれば即座に海上警備行動命令を発動、了解に接近する艦艇はすべて海上自衛隊の監視下にあり、その様子は定期的に防衛省がHPに開示、Web環境に接することができれば、誰でもこの情報に接することができますので、知らないは通じず知ろうとしていない、にほかなりません。

北大路機関:はるな
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榛名防衛備忘録:奄美大島戦闘機部隊配置の必要性、那覇基地過密化と対領空侵犯措置任務

2015-06-09 22:53:50 | 防衛・安全保障
■防衛要衝:奄美大島
南西諸島防衛に関して、幾度も掲載してまいりましたが今回は沖縄県ではない地域を。

中国大陸からの国籍不明機による我が国領空への接近、いわゆる対領空侵犯措置任務航空自衛隊緊急発進が、昨年度に冷戦期の最盛期に並ぶ史上二番目の多さとなったことは記憶に新しいところではありますが、このなかで中国大陸からの国籍不明機は概して東シナ海を一直線に奄美大島、鹿児島県の奄美大島を目指す経路をとっています。

日中は我が国の一部、中国側の尖閣諸島領有を一方的に宣言し、特に尖閣諸島周辺海域において緊張度が高まっている現状がありますが、尖閣諸島へ直接接近する経路は中国大陸からは希有となっています、その背景は大陸から尖閣諸島へ接近する場合、最短経路では台湾の中華民国空軍から迎撃を受けるためではあるのですが。

さて、那覇基地、南西方面航空混成団司令部の置かれる那覇基地ですが、先日航空管制の錯誤から、自衛隊機と民間機のニアミス事案が発生しました。那覇基地は那覇空港であり、沖縄の空の玄関ということもあり元々過密空港となっているのですが、緊急発進の増大が過密度合いに拍車をかけており、遅蒔きながら第二滑走路を埋め立て建設中です。

ここで考えさせられるのは、緊急発進が増大している奄美大島へ航空自衛隊の戦闘機部隊を配置する新基地を建設できないか、ということです。もちろん、新基地を建設するには、奄美空港の拡張を行う必要があり、さらに配置させるにも戦闘機数に余裕がありません、年度末に九州から一個飛行隊を那覇へ引き抜き南西諸島防空を強化する計画ですから、これ以上引き抜くことは難しいでしょう。

しかし、奄美大島の防衛上での地位は実は非常に高い実状があります。現状では那覇基地と宮崎県の新田原基地の間に戦闘機部隊は置かれておらず、基地としては鹿児島県に海上自衛隊の鹿屋航空基地が置かれている一方、奄美大島へは少々距離があります。以上の点から、那覇基地の支援と補完を含め奄美大島へ戦闘機部隊の配置がもとめられるところ。

基地といいますと、先島諸島への戦闘機部隊配置を求める識者の視点があり、宮古島や下地島などへの戦闘機部隊配置を求める声がありますが、先島諸島は中国大陸からの大量の短距離弾道弾、短距離弾道弾は台湾戦用に大量備蓄されているのですが、その射程内にあり、垂直離着陸機など基地機能がミサイル攻撃により喪失する場合でも行動可能な航空機でもなければ、配備はできません。

先島諸島への基地配備は、主として救難隊の救難機と救難ヘリコプターを配置し、飛行場周辺に中隊規模の陸上自衛隊警備部隊を置くことで、飛行場を奪取されない体制を構築する必要は高いのですが、一方で戦闘機部隊の配置となりますと、どうしても短距離弾道弾対処の限界が存在するため、分屯基地と緊急時の補助飛行場以上の機能は求められないと考えます。

さて。那覇基地の過密状態が、奄美大島に基地を配置することで多少は緩和されます、これは那覇空港でのニアミス事案を考慮しますと、現実問題として奄美大島へ接近する経路が大きい以上、再発防止措置の一つとして緊急発進基地の分散は考えられるものです。また、那覇基地が有事のさいに航空攻撃やミサイル攻撃により機能喪失に陥った場合の予備ともなり、意義は非常に大きい。

奄美大島へは、陸上自衛隊の地対空ミサイル部隊や地対艦ミサイル部隊と警備隊駐屯などが開始されることとなっていますが、那覇基地と新田原基地の中間で、そして国籍不明機の接近がもっとも多いこの地域へ戦闘機部隊を配置する検討はあってしかるべきではないでしょうか。戦闘機数の不足は、教育訓練部隊からの管理替えや飛行隊定数見直しなどが必要となるでしょうが、検証すべき命題と考えます。

北大路機関:はるな
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スタンダードSM-3ブロックIIA弾道ミサイル防衛用能力向上型迎撃ミサイル発射試験成功

2015-06-08 22:53:50 | 先端軍事テクノロジー
■SM-3ブロックIIA
 防衛省技術研究本部と米国ミサイル防衛庁が日米共同開発として開発を進めてきましたスタンダードSM-3ブロックIIA弾道ミサイル防衛用能力向上型迎撃ミサイルが発射実験に西欧したとのこと。

 スタンダードSM-3ブロックIIA弾道ミサイル防衛用能力向上型迎撃ミサイルの実験は米国カリフォルニア州ポイントマグー射場において実施され、第1次地上発射試験として最初の飛翔試験を行ったこととなります。その内容は迎撃試験ではなく発射後のノーズコーン分離と第3段ロケットモータ点火までの一連の動きを実発射を通じ試験したもの。

 射程は1200kmで最大迎撃高度は大気圏外の500kmまでを想定しており、従来の中距離弾道弾への対処に加えより高速度で落達し迎撃の難易度が高くなる大陸間弾道弾への迎撃が限定的に可能となっており、洋上のイージス艦より運用されることから、多弾頭型大陸間弾道弾が弾頭を分離以前に迎撃可能となる可能性をも含めています。

 日米共同開発に際し、我が国は開発費の45%程度を負担し進めており、日米の費用により開発された技術が将来の装備体系やアメリカが友好国や同盟国へ輸出することから、我が国からの武器輸出という結果につながる可能性があり、もともと我が国が武器輸出三原則の見直しを進めた最大の背景となった開発事案でした。

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日比防衛協力の強化を提唱 日本訪問のフィリピンアキノ大統領が声明

2015-06-07 23:57:40 | 国際・政治
■比国内基地提供も示唆
 我が国を訪問したフィリピンのアキノ大統領は5日、日比間の防衛協力強化を希望する声明を発表しました。

 この中でロイター通信が報じたところでは、自衛隊の艦艇や航空機が運用可能な基地をフィリピン側が提供し、南シナ海の警戒監視活動強化への自衛隊参画を強く求める内容が含まれ、自衛隊の航空機や艦艇が補給のためにフィリピン国内の基地利用に関する日比協定締結の用意がある事も併せて示した、とのこと。

 また、フィリピンへP-3C哨戒機など幾つかの重要な防衛装備の提供を求める要望に関する報道がロイター通信により為されています。近年までフィリピンは北東アジア地域と東南アジア地域において防衛政策への関心度の低さが指摘されてきましたが、ここ数年間の防衛力整備への転換は特筆すべきものがあります。

 フィリピンは1990年代に自国領の島嶼を中国軍により不法占拠され、国際係争状態が四半世紀近く継続しているほか、更なる自国島嶼部への中国政府による領土編入宣言を受け、警戒を強めてきました。また、2010年代に入り、この問題への日本への協力を強く求めるようになり、今回の声明もこの延長線上にあるといえるでしょう。

 自衛隊のフィリピン国内での補給などを恒久的に展開するには自衛官の法的位置づけ等を示す日比地位協定等を締結する必要があり、今回アキノ大統領が示した交渉の用意とはこれらを締結する意図があるのでしょう。併せて、南シナ海での中国軍の活動強化と周辺国島嶼部への軍事圧力の増大は、緊張度に留まるところを見せません。

 現行法では、自衛隊のフィリピンへの恒久的転回と南シナ海での哨戒活動を長期的に推進するには限界がありますが、我が国の重要なシーレーンが通るフィリピン周辺海域と東南アジア地域と北東アジア地域を結ぶ南シナ海での海洋自由原則の維持には、大きな関心が集まるところです。

 加えて、アメリカ政府も、この地域での中国軍による軍事活動強化への監視警戒体制構築をヴェトナムやフィリピンにマレーシアやインドネシア及びブルネイなどの政府より求められており、日米のこの海域での連携を模索する動きもあります。ほんの十年前には考えられない緊張度ではありますが、今後の展開を注視したいところです。


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現代日本と巡洋艦(第八回):戦力投射能力を左右する格納庫の位置づけ

2015-06-06 22:49:51 | 防衛・安全保障
■航空機格納庫の用途
日本に必要な新しい巡洋艦、前回に引き続き。

イタリア海軍のヘリコプター巡洋艦ヴィットリオヴェネトは、新空母カブールと交代する形で除籍されましたが、基準排水量7500t、満載排水量9500t、艦の排水量は護衛艦こんごう型と同規模ですが、76mm単装砲を8門搭載し、スタンダードミサイルの運用能力を持つ防空艦でした、最大の特色はヘリコプター6機を収容する格納庫を飛行甲板下に配置した事です。

全通飛行甲板という選択肢は、最少の規模としまして基準排水量5000t程度でも実現は可能です、イタリア海軍のサンジョルジョ級揚陸艦は基準排水量5000t、満載排水量7500tと小型ながら全通飛行甲板を採用しました、流石に小型すぎたようで後継艦は一挙に大型化していますが。

すると、この格納庫をどのように用いるのか、という視点が必要となってきます。格納庫は航空機を収容する区画ですが、同時に多目的区画として、邦人保護の場合には救出した邦人を収容する場合に用いることができます。例えば、準備期間があるならば、航空機搭載を1機縮小し、その区画に二層式の居住コンテナを配置することで数十名の収容能力補強も可能でしょう。

一方、全通飛行甲板方式を採用しますと、緊急時には航空機格納庫を全て多目的区画として避難民や保護邦人に開放し、航空機は全て甲板係留するという非常手段を用いることができます、波浪の飛沫と海水の塩分で航空機に多少の影響があることは否めませんが、機材よりも人命優先という非常手段として用いる選択肢の一つにほかなりません。

もちろん、格納庫に収容せずとも最初から多目的区画を配置する、という選択肢はあります。ただ、余裕のある設計は重要なのですが余裕を持たせすぎてしまいますとかえって問題が生じます。幾つか事例があるのですが、旧海軍の高雄型重巡洋艦などは、艦橋に多くの区画の余裕を持たせすぎた為復元力に問題が生じた事例がありました、留意点の大きな一つといえるでしょう。

国際平和維持活動支援、次の視点について。任務に艦艇があげられるのは車両輸送能力です。国際平和維持活動では多数の車両が必要となりますので、重要な要素のひとつ。これは車両甲板を輸送艦のように専用区画として整備せずとも、航空機格納庫を転用することで対応可能です。また、飛行甲板も車両輸送に補助的に用いることは可能です。

飛行甲板に車両を並べると航空機の発着はほぼ不可能となりますが、例えばフランス海軍の航空母艦は湾岸戦争において陸軍車両支援にもちいられていますし、主任務が輸送の場合は意外と多く用いられる手法、平時には一例としましてアメリカ海軍の航空母艦が乗員ごと母港を移籍するさいに乗員用の自動車などを甲板に積載し輸送することもあるほど。

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平成二十七年度六月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2015.06.06-07)

2015-06-05 23:36:07 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 今週末の自衛隊関連行事について。

 北海道では明日土曜日に札幌の真駒内駐屯地にて第11旅団創設記念行事が行われ、続いて日曜日に旭川駐屯地にて第2師団創設記念行事が行われます、特急スーパーカムイを利用しますと、旭川と札幌そして新千歳空港は思いのほかちかく、北海道で師団と旅団行事を二つ同時に見られる貴重な機会といえるやもしれません。

 このほか陸上自衛隊関連行事では岩手駐屯地創設58周年記念行事が行われます、戦車部隊駐屯地ですので、相応の迫力が期待できます、一時岩手に10式がはいったとの情報が流れ、足を運んでみますと10式雪上車でした、というはなしもありましたが、74式戦車の雄姿は見れる機会に見ておきたいもの。

 海上自衛隊関連行事としまして、徳島航空基地一般公開が行われます、徳島教育航空群のTC-90練習機が配備されている航空基地ですが、航空祭というよりは基地を開放してのマラソンや装備品展示などを行う、いわゆるちびっこヤング大会に近いもののようです、航空シミュレータも先着順で体験できるとのこと。

 航空自衛隊関連としましては、先ず奈良基地航空自衛隊幹部候補生学校創設記念行事が行われ、天候さえよければ航空機の飛行展示なども少々硬度が高いのですが行われます。そして日曜日には防府北基地航空祭、T-7練習機を運用する飛行教育団の航空祭ですがブルーインパルスも参加予定です。このほか東北町分屯基地も開庁記念行事を行います。

 アメリカ海兵隊の航空行事としまして、土曜日と日曜日に沖縄の普天間基地にて普天間フライトラインフェアが実施されます、航空機一般公開と花火大会等が行われますが、身分証明が必要で、住基ネットカードやパスポートなどを持ってゆく必要があります。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭
・6月7日:第2師団創設記念行事旭川駐屯地祭・・・www.mod.go.jp/gsdf/nae/2d/
・6月6日:第11旅団創設記念行事真駒内駐屯地祭・・・www.mod.go.jp/gsdf/nae/11d/
・6月7日:岩手駐屯地創設58周年記念行事・・・www.mod.go.jp/gsdf/neae/9d/
・6月6日:航空自衛隊幹部候補生学校創設記念行事・・・www.mod.go.jp/asdf/nara/
・6月6日:徳島航空基地一般公開・・・www.mod.go.jp/msdf/tokusima/
・6月7日:防府北基地航空祭2015・・・www.mod.go.jp/asdf/hofukita/
・6月6・7日:普天間フライトラインフェア2015・・・http://www.kanji.okinawa.usmc.mil/Installations/Futenma.html

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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陸上防衛作戦部隊論(第九回):装甲戦闘車に関する海外製装備の可能性について

2015-06-04 22:52:55 | 防衛・安全保障
■ASCOD/CV-90
今回も装甲戦闘車について。装甲機動旅団用の機械化大隊基幹装備ということで掲載を続けていますが、今回も。

国産車両が望ましいのですが、ASCOD装甲戦闘車やCV-90装甲戦闘車でも換えられるとは考えます、ASCODはオーストリアとスペインが従来の旧式化した軽装甲戦闘車や装甲車を代替するべく開発したもので、30mm機関砲と高出力のエンジンを搭載した車両で、山間部と平野部という異なる運用環境に合致させるエンジン要求仕様の相違から、スペインとオーストリアがともに異なるエンジンや変速器を搭載できるよう余裕を持たせた設計で知られるもの。

自衛隊装備との互換性ですが、ASCODは、採用国が自国の整備補給体系に併せてエンジンや変速器を載せ換えることが可能であることから、イギリス陸軍将来装甲車体系の原型車両として、装甲戦闘車や軽戦車型に砲兵車両や工兵車両として採用されるものとなりました、増加装甲などの改修により取得費用は邦貨換算で9億円前後となりましたが、我が国が採用する場合はエンジンなどを国産として整備の利便性をたかめられるでしょう。

CV-90,スウェーデン製装甲戦闘車で強力なボフォース40mm機関砲を搭載する車両です。実際、オランダ軍などはCV-90の充足を待って戦車をドイツ軍保有戦車に依存し廃止したほどの能力を持ち、ノルウェーやフィンランド、オランダにスイスなど欧州各国が大量に採用しており、欧州標準装甲戦闘車というべき車両です。

ボフォース40mm機関砲は貫徹力が大きく、近年はテレスコープ弾仕様のオプションや、各国補給体系に合わせ35mm仕様なども提案されています。もともとは装甲戦闘車が機関砲に対戦車ミサイルを合わせて搭載する方式がM-2や89式にダルド等と一種潮流となりつつあった時代、一石を投じたのが大口径機関砲の搭載でした。

CV-90の新しい提案は、ポーランド軍がT-72戦車の後継に充てるべく開発を進めるPL-01軽戦車でCV-90に105mm砲を搭載したもので、この種の軽戦車型は多く提案されていますが、マルダー装甲戦闘車に105mm砲を搭載したアルゼンチンのTAM軽戦車以来の規模で大量配備となる可能性がでています、逆に12.7mm機関銃をRWSに搭載する簡易型のアルマジロ重装甲車も提案され、武装の自由度が高いのも利点の一つ。

二車種以外に、ドイツが開発したプーマ重装甲戦闘車のように、もっとも量産が全く進んでいない点にプーマは留意すべきですが10式戦車並みの重量を有し、その分10式戦車よりも高価ではありますが、非常な重装甲を有して国際平和維持活動での絶対的な防護力を期待したものが開発され、イスラエルなどはメルカヴァ主力戦車の設計を流用したナメル重装甲車、などといったものもあります。

これら装甲戦闘車を国産ないしライセンス生産するという視点は、実は有事の際の緊急生産という部分から戦車を援護することとなる要素を忘れてはなりません。装甲戦闘車の生産で戦車の工場設備をある程度流用できる、ということで、そもそも冷戦時代、74式戦車は年産60両、月産5両を前提として生産されていましたが、これは有事の際の見積もりとして月産10両程度に増強し損害の補填とした運用を想定したという話がありました。

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将来航空自衛隊練習機体系への一考察(第六回):冷戦期と現代の軽攻撃機転用の限界

2015-06-03 23:32:04 | 防衛・安全保障
■北海道と南西諸島
練習機の在り方について、F-35時代の重要性を示したのちに、それならばどこまでの性能を盛り込むかについて。

練習機について、F-35戦闘機は全て単座型のみであることから相応の機体が現状のT-4練習機後継には必要となる、との前回までの視点ですが、併せて練習機の領分というものが存在する、ということも付け加えて考えなければなりません、これは以前に掲載しましたアルファジェット練習機と軽攻撃機運用とT-4練習機の練習型特化とも関わるものです。

T-4練習機の軽攻撃型が仮に開発されたとしまして、冷戦時代、北海道に着上陸事案が発生した場合でしたらば、相応の能力は行使できた可能性があります、着上陸の主体は自動車化狙撃師団や戦車師団など、その後方の補給路をクラスター爆弾などで攻撃し、もしくは500ポンド爆弾数発を以て航空阻止、北海道の補助飛行場などを駆使すれば粘り強い防衛戦闘に寄与できたでしょう。

もちろん前線航空統制員を養成して近接航空支援を即時円滑に推進できる体制が無ければ意味がありませんし、なによりも実爆訓練をふくめた平時の訓練体系を構築しなければならず、この部分で多数の近接航空支援委対応可能な航空機を整備するという事は訓練負担も相応に大きくなることを意味するのですが、これを解決したならば練習機派生の軽攻撃機能力は威力が大きい。

付け加えれば、冷戦時代の北方有事を想定するならばですが、対航空機戦闘に対応可能なありとあらゆる航空機が機体が防空戦闘に用いられますので、むしろ航空戦に対応可能な支援戦闘機などではなく、当時は航空戦に対処が基本的に難しい軽攻撃機だからこその用途があるのかもしれません。

しかし、21世紀となりますと航空機の脅威は増大しており、特に主戦域に南西諸島を想定しますと、相手は渡洋能力を持つ戦闘機であり、北海道と大陸以上の距離を大陸と南西諸島は有していますので、展開する航空機の脅威も相当なものとなります。亜音速の練習機に武装を施したとして十分な能力を発揮できるのか、甚だ疑問といわざるを得ません。

特に、叩くべき補給拠点は南西諸島の場合、艦船となり相応の防空支援をかいくぐり攻撃を行う必要がでてきますし、洋上は北海道ほど地形障害に恵まれないため、相手の防空艦に位置を暴露しながら接近を強いられ、難易度が更に高くなるほか、南西諸島は離島空港が少なからずありますが、利用できる飛行場は、全体としてどの程度なのか、考える必要があるでしょう。

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陸上防衛作戦部隊論(第八回):自衛隊に大量配備可能な装甲戦闘車の想定

2015-06-02 22:08:23 | 防衛・安全保障
■新装甲戦闘車の想定
前回までに戦車が削減される一方、戦車を支援する装甲戦闘車の位置づけを示しました、自衛隊には装甲戦闘車が必要だ、と。

しかし、大きな難点は訓練場の問題です、さすがに市街地駐屯地に隣接する狭い訓練場で装甲戦闘車の訓練を行うのは無理があります、動けませんし照準訓練にも支障がでてきます、もともと戦車部隊の駐屯地が例外なく演習場と隣接しているのは、市街地駐屯地に配備しては戦車が訓練できない為なのですから、この点は考えねばなりません。

装甲戦闘車の車幅は道路運送車両法にほぼ全車抵触しまして、シンガポールのバイオニクス装甲戦闘車くらいしか、車幅に問題のない車両は思い浮かびません、73式装甲車に砲塔を搭載するくらいでしょうか、ロシアのBMD-4空挺戦闘車も車幅はやはり広すぎます。装甲戦闘車を一個中隊、演習場近くに配置し、平時は駐屯地で機能別訓練を行うなど、対処法はいくつか考えられるところですが。

アメリカ海兵隊のLAV-25ですと車幅の問題はありませんが、海兵隊は軽装甲攻撃中隊に配備しているLAV-25,水陸両用能力を有するため汎用性は高いのですが軽装甲である点に加え不整地突破能力に限界があり、設計も1970年代に始まる旧式ですので、車幅以外の面では少々用途が限られてしまうでしょう。車幅は重要ですが全てではありません。

もっともLAV-25は水陸両用能力を有し現在アメリカ海兵隊では近代化改修作業がすすめられていますので、将来的に自衛隊がアメリカ海兵隊との共同作戦を重視するのであれば、更にオーストラリア陸軍とニュージーランド陸軍もLAV-25の自国仕様を導入していますので、この両国との防衛協力拡大を視野に含めると有用な車両です、一概にはいえないところ。

さて。89式装甲戦闘車の車体設計を利用し87式偵察警戒車の砲塔を搭載する、というもの。もちろん87式偵察警戒車は夜間戦闘能力が暗視装置に微光増倍方式を採用しており、89式装甲戦闘車の熱線暗視装置方式と比較し能力が劣りますので、暗視装置の換装など相応の近代化を行う必要があり、そもそも設計が25年以上前のものですので、仕様変更の必要はありますが、視点を示しました。

89式装甲戦闘車は、79式対舟艇対戦車誘導弾を搭載し、これも古くなってきましたが、4kmという交戦距離を有するとともに35mm機関砲による対地制圧能力の高さなどを有しますが、相応に取得費用が大きいのが難点です。もっとも5億円から年間一両の維持生産の場合で7億円、デフレが長く続いた日本ですが世界の標準的な装甲戦闘車と比較した場合、かなりの安価なのですが。

そこで、費用低減の方策として79式対舟艇対戦車誘導弾を省き、車載する人員用の01式軽対戦車誘導弾により代替、搭載機関砲も35mmを25mmとして砲塔動力系統を簡略化、更に砲塔基部小型化を人員区画の拡大にあて、増大する個人用装備の収容能力強化を目指す、という視点から、一種89式装甲戦闘車2型ともいうべき提案を前回した次第です。

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5.30東京小笠原諸島西方沖地震マグニチュード8.5 防衛省自衛隊の対応

2015-06-01 23:14:19 | 防災・災害派遣
■M8巨大地震再来!深深度地震
 5月30日2023時、小笠原諸島西方沖にて気象庁速報値でマグニチュード8.5の巨大地震が発生しました。

 震源は北緯27度51.6分・東経140度40.9分、マグニチュード8.5、震源の深さは590kmと第一報が出され、気象庁の31日詳報ではマグニチュード8.1、震源の深さは682kmと修正されましたが、マグニチュード8クラスの深深度地震では世界で最も最深部で観測されたものとなり、震源の深さから最大深度は五強、東京都母島と神奈川県二宮町に限られ、幸い津波は観測されず、大きな被害はありませんでした。

 この地震に際し、自衛隊は第1師団司令部、第31普通科連隊、第32普通科連隊、第1飛行隊、東部方面航空隊、埼玉地方協力本部、第4航空群、硫黄島航空基地分遣隊、第21航空群、第7航空団が情報収集と連絡任務へ出動したとの事です。

 2029時には防衛省災害対策連絡室が設置され、2045時には百里基地よりFAST- ForceのF-15戦闘機2機が緊急発進、2100時には第1師団司令部より連絡幹部が練馬駐屯地を都庁へ出発、2114時には硫黄島航空基地分遣隊よりUH-60Jが情報収集へ離陸、しました。

 2116時に第1飛行隊のFAST- Force指定されたUH-1,2121時に第4航空群P-3C、2123時に東部方面航空隊UH-1がFAST- Forceとしてそれぞれ離陸し情報収集へ、2125時から2149時にかけ、神奈川県庁や埼玉県庁へ各部隊の連絡幹部が出動しています。

 今回は幸いにして大きな被害は出ませんでしたが、日本全国の都道府県が揺れを観測しています。小笠原諸島西方沖では2010年11月30日にマグニチュード7.1の地震が490kmの深さで、2000年8月6日16時27分にマグニチュード7.2の地震が深さ440kmで、1998年8月20日にもマグニチュード7.1の地震が深さ460kmで、それぞれ発生しています。

北大路機関:はるな
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