北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

榛名防衛備忘録:沖縄防衛への視座、国家の確たる決意と自衛隊部隊装備体系の改編

2015-06-11 22:08:06 | 防衛・安全保障
■沖縄防衛への国家の決意
沖縄を守る決意が必要、としました前回に引き続き今回もこの視点から。

陸上自衛隊には9個師団と6個旅団の精鋭が維持されていまして、沖縄の第15旅団はヘリコプター空中機動能力では北関東信越地方の第12旅団とならび自衛隊の師団旅団中最強の装備を持ち、防空にあたる高射特科部隊は北海道の戦車師団とならび高射特科連隊を構成、装備はかなり重視されています。さすがに師団は置かれていませんが、旅団は先島諸島防衛へ増強改編の計画があります。

航空自衛隊は、那覇基地に現在の1個飛行隊に加え、九州北部から1個飛行隊を抽出し沖縄に移駐させます。戦闘機はこれで九州と沖縄が同数になるわけで、しかし日本の緊急は心の半数は沖縄からなされています、もちろん九州北部は朝鮮半島有事の際の最前線であり、本来は部隊を引き抜く余裕などはないのですが、緊急発進の異常増大を前にしかたありませんでした。

実際問題、那覇への派出は苦肉の策でした、可能ならば戦闘機が全自衛隊であと40機増強が必要なのです。南九州は新田原基地に1個飛行隊しかなく、自衛隊には九州のほか、首都防空を担う百里基地の2個飛行隊、日本海を経てロシアと北朝鮮と向き合う2個飛行隊、東北の2個飛行隊と北海道の2個飛行隊はロシアからの国籍不明機に備え、ほかから引き抜けません。

沖縄を二度と見捨てないように、という国家の先の大戦への反省から、防衛力強化を行っています。さらに財政難下、厳しい予算から陸上自衛隊はMV-22可動翼17機を導入します、予算難で導入できなかったAH-64D戦闘ヘリコプターの34機分に当たる費用、34機あれば現在九州の一部に配備されているAH-64Dをなんとか本州の大半に配備させることができる機数です。

MV-22は非常に高い航空機ですが、沖縄以外の九州に配備したとして、即座に沖縄へ有事の際に部隊を緊急展開させることが可能なほぼ唯一の航空機で、これいじょう沖縄へ自衛隊の駐留負担、特に練度維持には沖縄県の自衛隊演習場不足が厳しい状況となっていますので、主として演習場の負担という意味で、これを増大させないために無理をしたかたちでしょう。

沖縄には比較的多く足を運ぶようにはしているのですが、防衛上の空白をつくることは、基地負担軽減が結果的に危機管理上有事を誘発することとなっても、そのときは諦めるという諦観の認識があるのか、平和に家族と友人を殉じさせる悲壮な覚悟と使命感を以てのものなのか、単に考えないようにしている逃避だけなのか、一介の観光客には知ることができません。

北大路機関:はるな
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コメント (4)
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