北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

陸上防衛作戦部隊論(第十三回):広域師団直轄部隊、二つの機動旅団を運用する機構

2015-06-27 23:10:18 | 防衛・安全保障
■広域師団直轄部隊案
広域師団が指揮する装甲機動旅団と航空機動旅団、その機構について、直轄部隊はどうあるべきなのでしょうか。

師団は、二つの旅団を隷下に有し、この指揮統制と情報優位に資する部隊を師団直轄部隊として隷下に配置します。これは師団直轄群という位置づけに充て、現在の司令部及び司令部付隊を大きく拡大改編し能力を強化したもの、という形をとります。それでは、装甲機動旅団と航空機動旅団を指揮する師団の直轄部隊について提示してゆく事としましょう。

必要な部隊の要素は、旅団の情報優位を確保し、編成が全く異なる二つの部隊へ指揮統制を行うC4ISR能力を確保するところにありますので、部隊は、“特殊作戦隊”、“警務隊”、“通信隊”、“広報支援部隊”、“無人偵察機隊”、“電子隊”、“飛行隊”、“後方支援隊”、等を師団直轄部隊とします。無人偵察機隊と電子隊は師団情報隊、とすることも選択肢として考えられるところです。

師団司令部については、特に幕僚機構や庶務及び総務の任務は司令部付隊により対応することが出来ますが野戦における情報優位の獲得はどうしても野戦部隊や専門の職種による部隊が必要となり、新設するべき部隊に挙げました。一方で後述しますが、方面隊の業務と師団の業務は、第一線戦闘部隊と後方部隊との戦域区分を以て分担する方策が合理的でしょう。

特殊作戦隊、レンジャー中隊と呼称を変えることができるやもしれません。ただ、情報優位獲得と攪乱や警戒監視任務を主要任務とし、レンジャーの遊撃戦闘を主体とした運用よりも高度な能力付与が求められる点が相違点です。もっとも、米特殊作戦部隊のような国外への潜入や友好国への軍事教育支援等の任務は含まず、レンジャーと偵察隊の中間に当たる部隊を想定します。

防衛出動待機命令や敵特殊戦部隊浸透に伴う治安出動命令の時点で重要施設や緊要地形への空中機動とオートバイ機動により展開し、監視にあたると共に必要であれば攪乱戦闘を展開します。偵察隊と任務の共通性がありますが、斥候班や情報小隊程度の装備で偵察警戒車等の装備は持たず、敵の反応を見て戦力を推し量る偵察任務を任務に含まない為、特殊作戦隊としています。

警務隊、司令部警備任務と第一線及び競合地域における交通統制と部隊展開における支援を任務とします。方面隊の保安中隊とは別に、方面隊の支援を出た第一線付近での任務を想定、更に各国憲兵の任務に含まれる落伍者救出線の構築等も担います。

ここで方面隊の保安中隊と師団警務隊の任務の相違ですが、方面隊の保安中隊は各駐屯地への分遣隊派遣による警務任務を行う点と有事における方面隊の後方での策源地における交通統制等を行う点、特に警務分遣隊は策源地となる駐屯地警備を有事の際にも担うのに対し、師団警務隊は野戦憲兵としての任務を担う点に違いがあります、特に機動運用を行う点が最大の違いといえるでしょう。

北大路機関:はるなくらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする