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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

榛名防衛備忘録:沖縄防衛への視座、二度と見捨てぬ沖縄戦第32軍への反省が必要

2015-06-10 23:14:00 | 防衛・安全保障
■沖縄を守る決意が必要
今回は昨日の鹿児島県奄美大島の防衛強化提案に併せ、沖縄についての話題と視点を。

沖縄から防衛力を削減し、基地負担軽減を、という声があるようですが、これを実際に行い、そして有事となった際に、沖縄の視点から、また国は沖縄県に十分な防衛力を配置しないことで沖縄県を見捨てる事となった、と解釈されないのか、沖縄防衛に関する命題を考える際、どうしてもこの一点を忘れることが出来ません、今回はこの点について。

我が国は先の沖縄戦において、本土防衛を重視するあまり沖縄の第32軍に充分な兵力派遣を行わなかったことは猛省すべきであり、特に第32軍の3個師団からフィリピン決戦後の兵力移動として金沢第9師団を台湾へ派出したのちに補充をおこなわず、2個師団のまま絶対優勢の米軍を相手に沖縄戦を戦わせた大本営の決定は、繰り返してはなりません。

一方、疑問なのは、沖縄の基地負担軽減ばかりが特に県知事により叫ばれる昨今、逆に沖縄周辺に軍事力の空白を生むことのほうが、結果的に沖縄の有事における負担を、具体的には人命財産の危機についてですが、増大させることとなるのですが、逆に現時点で防衛力の空白を生むことは、二度沖縄を見捨てる、という認識にはならないのでしょうか。

無防備ならば侵略されない、というものは間違いです、北東アジア地域でもっとも防衛力の薄いフィリピンが現在中国から環礁占拠など侵略を受けていますし、先の大戦で我が国は防備の強い地域への攻撃は避けてきました。特に沖縄は、太平洋戦争末期の南西諸島侵攻アイスバーグ作戦が、連合軍の沖縄か台湾を占領し日本本土侵攻の拠点とする計画で、防備の薄い沖縄が攻撃されたのですから。

当然のこととしまして、太平洋戦争中は沖縄へ米軍の侵攻が実際になされるかは、1944年まで懐疑的でした、フィリピンには開戦後米軍を駆逐し陸海軍の精鋭が占領、東南アジア全体を占領し、戦前から長く台湾には台湾方面軍、太平洋はマリアナ諸島が信託統治領でトラック諸島には連合艦隊の根拠地、中国には支那派遣艦隊、絶対に沖縄に侵攻などはできませんでした。

この認識は当然ながら現代とは根本から違っており、沖縄は専守防衛を国是とする日本国憲法施政下、国境にあり、第一撃を受けるまで、対処が難しいという防衛政策下、特に中国大陸からの第一撃は沖縄県を含む南西諸島にたいしてなされる蓋然性が高いのです。実際問題、沖縄県は県内の一部が中国政府により領有化を一方宣言され、公船の領海侵犯が横行、県民は憤りを感じています。

海軍艦艇が領海侵犯をしていないため、危機感が希薄なのかもしれませんが、これは過去、海軍艦艇領海侵犯事案に際しては我が国が厳しい対応をとっており、潜水艦が領海侵犯すれば即座に海上警備行動命令を発動、了解に接近する艦艇はすべて海上自衛隊の監視下にあり、その様子は定期的に防衛省がHPに開示、Web環境に接することができれば、誰でもこの情報に接することができますので、知らないは通じず知ろうとしていない、にほかなりません。

北大路機関:はるな
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