北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

将来航空自衛隊練習機体系への一考察(第七回):練習機の軽攻撃能力での限界

2015-06-17 23:56:55 | 防衛・安全保障
■軽攻撃能力の限界
練習機の軽攻撃能力での限界について、前回に引き続き考えてみましょう。

空対艦ミサイルを搭載して洋上阻止に充てる、という運用も考えられますが、航法装置や電子戦装置など、防空艦を多数有する艦隊への攻撃にはかなりの装備を必要としますし、そのために機体の調達費用が増大してしまえば、Tー4練習機の後継機は200機以上必要となりますので、必要なほかの戦闘機調達費用を圧迫してしまえば、本末転倒です。

特に艦隊防空は年々強化される傾向にあり、加えて空対艦ミサイルの性能も年々向上します、これらを投射するためには、もちろん哨戒機による目標捕捉能力も大きな威力を発揮しますが、データリンク能力一つとっても運用する航空機にも必要な能力が大きくなります。

野戦飛行場の適地はさほど多くなく、巡航ミサイル脅威と弾道ミサイル脅威を想定せねばならない状況を加味しますと、あまり航続距離の大きくない航空機ですと補助飛行場や野戦飛行場が限られる以上、一カ所でも滑走路を破壊された場合などには配置航空機そのものが容易に遊兵化してしまいますし、主たる用途が練習機である以上、過度な航続距離も望めません。

対航空機戦闘ですが、アルファジェットのほか、例えばイギリス製ホーク練習機などは確かに冷戦時代の一時期に短射程のサイドワインダー空対空ミサイルを搭載し、補助防空戦闘機として運用された時代がありましたが、例えばT-4練習機と同程度の練習機に短射程の空対空ミサイルを搭載したと仮定しまして、どの程度防空戦闘に寄与するものでしょうか。

M-346練習機、イタリアとロシアの共同開発練習機などは短射程の空対空誘導弾やロケット弾などを搭載し、補助戦闘機としての運用、主たる部分は練習機と軽攻撃機運用ですが、想定している航空機は存在します、しかし、地域紛争のような低烈度紛争ならばこの種の航空機の用途はいまなお広いと考えるのですが、南西諸島の特質を考えますと、やはり違ってきます。

北大路機関:はるな
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コメント (1)
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