物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

面積図2

2008-04-30 12:41:00 | 数学

面積図について昨日書いたが、この面積図の長方形の面積にあたるところは分布量といわれる。これはこの面積を表すところの量が一様分布をしていると仮定されていることからつけられた名だろう。また、長方形の横の長さにあたるところに書かれた量は土台量といわれる。これは分布量を支えている土台のところにあるからついた名だろう。また長方形の縦の長さにあたるところは単位量といわれる。

この内包量は土台量の単位量分に対する分布量である。よく小学校の先生は単位量を長方形の横に描くことを看板を立てるという。看板に立てられたものが単位量(小学校では一あたり量という)である。また土台量も長方形の横の長さではあるが、長方形の下に横の長さに等しい長さの線分を別に引いてこれで土台量を表している。小学校の算数ではいくつ分にあたるところである。

ここで、掛け算の意味は1あたり量のいくつ分という風に定義する。掛け算を累加の繰り返しでは定義しない。ここが数教協と他の数学の教え方と根本的に異なるところである。

面積図とか掛け算の意味とかは理系の人でも小学校の先生でもなければ関心がなく知っている人はほとんどいないだろう。しかし、小学校の先生でも知っている人は少ない。

だから私が大学の授業で面積図のことを言ってもぴんと来る人は少ない。しかし、距離と速さと時間の関係を表す記憶法としてのはじき(は=速さ、じ=時間、き=距離)を三角形の中に書いてそれぞれの量が求められる訳が面積図を描いて説明されたのでやっとわかったという授業の感想が2,3人あった。この記憶法は私も中学校でならったオームの法則の覚え方(電圧、電流、電気抵抗の三者関係を三角形の中に表す)を応用したものだと思う。

大学の授業でも学生の程度の差が大きい。ゆっくりと教えないでもっとスピードを上げて教えてくださいという要望もある。しかし、もし私のペースで教えると多くの学生からクレームが来ることは眼に見えている。といって、初等的なことをすでにマスターしている人の気持ちも尊重して何か目新しいことも授業には入れていかなくてはならない。そういうことも十分の考慮して授業をやっているつもりだが、どうだろうか。

昔論文を書いているときに論文に書くことの1.5倍か2倍は調べておく必要があるという指導を先生から受けた。調べたことの全部を論文に書くわけではないという。授業でも同じであろう。授業の準備として勉強したことを全部話すわけではない。

むしろ教師の自分だけが知っていることも多い。そのうちで学生の理解できそうなこととか、当面必要とすることだけを教えるのだ。ただ、自分の関心で知っておきたいこともある。自分の中での理解の首尾一貫性とか知的要求に応えておくことがどうしても必要だからである。